全日本インカレ(全日本大学選手権)初戦がいよいよ明日に迫った――。本日は、慶應義塾高出身の高倉真古都主将(商4・慶應)、降小雨副将(商4・慶應)、樋口太樹選手(経4・慶應)、島田航希選手(商3・慶應)による座談会をお届けします。高校時代のエピソード、チームメートのお話、そして全日本インカレへの意気込みをお伺いしました。ぜひご覧ください!
――他己紹介をお願いします!
樋口(→島田) 航希は高校から6年ぐらい一緒にやらせてもらっているんですけど、ずっと試合に出てくれていてチームの中心という感じで試合中は頼もしいです。ただコートの外に出ると結構無邪気な面というか、あんまり誰にも見せないような面があってすごい面白いやつというのが他己紹介です。
島田(→降) 降さんは塾高からずっと一緒にやらせてもらって…
降 それは皆言うだろ(笑)。
島田 高校の時は頼れるエースというかチームの軸、精神的な支柱で、プレーでも中心的な役割を担っていました。大学ではその役目というのは変わらないんですけど、ポジションがミドルブロッカーということもあって常にコートにいる訳ではないポジションですが、その中でコートに入っている時とかタイムアウト中とかに指示を出してチームをまとめ上げる仕事をしてくれて、そういう役目というのは降さんにしかできないというか、そういう大事な存在ですね。
降 バカ真面目じゃん。
降(→高倉) 何回も真古都の他己紹介をしているんで簡潔に(笑)。高校の時から主将で今も主将でもう今年で7年目になるかな、中学校からだと10年ぐらい一緒にやっていると思うんですけど、チームメートに自分の姿勢で見せるというのは中学時代の時から今まで一貫してきたような人かなと思っています。あとは他のケイスポの記事読んでもらったら僕が他己紹介してあるんで、今回はこういう感じでまとめておきます。
高倉(→樋口) 最後に僕から。今年で7年目、塾高から同期として一緒にやってきました。高校の時はスパイカーをやっていてすごい大エースだったんですけど…で高3の自分たちの代からリベロをやっていて、最近の練習だと後輩に積極的にアドバイスをしたり球出しをしている姿を見ていて、そういうことは樋口にしかできない役割かなと思っているんで、見ててかっこいいなと思います。あと今日初めてケイスポのインタビューなのでだいぶ緊張していると思うんですけど、本人めちゃくちゃ嬉しいんでガンガン質問してあげてほしいです(笑)。
――ありがとうございます。樋口選手と島田選手の初対面はいつですか?
島田 自分が中3で高校の見学に行った時ですけど、その時はまだ樋口さんのことを認知していなかったので、ちゃんと認知したのは最…
高倉 最近?(笑)
樋口 …最初日吉のスタバに行った時です。
降 それ俺もいた。
樋口 自分が高2で航希が高1の時に降と3人で行って、それがちゃんとした初めての絡みというか。
――その時のお互いの印象は?
島田 すごく真面目で、なんか太鼓の達人が上手いというイメージが強かったです。それと開成と筑駒に受かって、あと慶應志木の数学満点というマウントを最初に取ってきて、超頭良いというイメージですかね初対面は。
樋口 こいつが言ったことは志木高数学満点以外は全部嘘なんですけど。あ、それは本当なんですけど。
降 自己採点なんだよ、多分満点じゃないんだよ(笑)。
樋口 練習の時も最初僕は(航希は)すごい寡黙な子なのかなと思っていて、あんまりしゃべらない感じなんですけど、さっき言ったこの3人で一緒にスタバに行った時に、慣れてきたら結構しゃべってきてくれる子なんだなと思いました。でもその日だけだったんですよ、僕に敬語を使ってくれたのが(笑)。その日以来ずっとタメ語で僕にしゃべりかけてきて、お前って呼んだりいろいろなことをされてきて、あと変なあだ名をつけられたりもしましたね。
降 まだ覚えてるの、そんなの。
樋口 結構鮮明に覚えてる。そういう感じで最初は結構人見知りなんだなと思ってました。
――島田選手と3人は高校の時から今のように親しいのですか?
島田 自分はすごく生意気なんですけどいっぱい気に掛けてくれて、生意気な態度をとっても優しく接してくれたり、時にはちょっと厳しいこと言ってくれたり自分を成長させてくれた先輩なんで、感謝しています。
――逆に先輩方から見て島田選手はどういう印象ですか?
高倉 航希が高校の練習に来た時に初めてパスのペアを組んで、めっちゃ上手いなって思いました。そこから印象は変わっていなくて、天性な感じでやっているんだ、自分の世界があるんだなっていう感じは今も変わらずです。だからその世界でどれだけやりやすくしてあげられるか、どうやったらやりやすくなるのかなっていうのは高校の時も考えていましたし、この6年間考えていることですかね。本人は生意気って言っているんですけど別にそんな感じはしなくてちゃんとするところはちゃんとしてると思います。
降 バレーボール上手いんですよ、航希は。平たく言うと「バレーボール分かってるな」というのはコミュニケーション取ったりとか、プレーを見てると随所に感じる部分があって、そこはすごく今年1年間は頼りにしていたというか。もうちょっと技術的な話をすると、例えば試合中の押さえてほしいポイントとか、点を取ってほしいところで取ってくれます。どうしてもキャリアが浅い選手が集まる慶應が勝っていくためにはこういう選手は1人2人もっと多くいてくれないと厳しいなとずっと思っていたので、そういう意味ではずっとですけど、今年は特に頼りにしていました。
――4年生間の初対面は?
降 僕と真古都は中学校の地区が一緒で、僕の中学校はめちゃくちゃ弱くて。渕江が全国一位だったんですけど、皆なんか試合の時にハチマキ巻いて坊主で頭真っ白で出てくる「まじやばい人たちいる」みたいな(笑)。超怖いしなんかめっちゃスパイク強いし、そんなとこの選手だったっていう感じです。
で樋口はね、僕が塾高への進学が決まった時にツイッターのDMで絡んできて…
樋口 その前からあったよな。
降 あー、その前からあったわ。JOCっていう東京都のジュニアオリンピックカップの選考会が品川の港区の中学校であって、彼と僕は初めて同じチームだったんですよ。水色のTシャツを着ていて、それが初対面でした。本当に当時の感想を率直に言うと(樋口は)スカしていて、230センチのネットだったんでちょっとレシーブできるしスパイクめっちゃ決まるし、なんならその選考会だったら上手い方みたいな。「あいつ無名だけどバレーボールできるぞ」みたいな感じが出ていたし本人も漂わせていたんですよ。で、これちょっとオチがあって(笑)。JOCの選考会って2回あるんですね、それで真古都もいたんですよそこに。2回目も僕はなぜか彼(樋口)と同じチームで、2回目はネットが243センチになるんです。で243センチになった瞬間、全部スパイクネットにかけ始めて「なんかこいつめっちゃ弱い」みたいな感じになって、カッコつけてるけど弱い人だなぁていう印象で終わったっていう。それがファーストインプレッションです。超スカしていて上手い感じを出していたのにネット高かったらお前打てないやんみたいな、ネタキャラみたいな感じになってました当時から(笑)。
――皆さんポジションが違いますが、自分のポジションの魅力は?
島田 自分はウイングスパイカーというポジションです。ウイングスパイカーの中でもエースになる攻撃型がこのチームだと龍一さん(安達龍一、環4・洲本)で、逆に自分は攻撃はするんだけども守備を中心にするようなポジションだと思っていて、自分のポジションの魅力は言ってしまえば目立たないことなんですよ。目立たないのは良いことじゃないかもしれないんですけど、自分はそれに魅力を感じていて。自分がいないとチームがなんか回らないなとか崩れるかなとか、自分がいるとチーム自体のプレーが円滑に回るなみたいな、そういうのが魅力というか。目立たないんですけど…まあ目立ちたいんですけど!本当は。
一同 アハハ(笑)。
島田 けど目立たないのも悪くないなって今は思っています。でも、来年は目立ちたいと思います。
樋口 意気込みね。
島田 守備プラス攻撃ということで、去年の捺暉さん(小出捺暉、R4環卒)のような存在になりたいと思います。
樋口 僕は一応5、6年リベロをやっていて、チームを引っ張ってくれる人って真古都なり降なりたくさんいると思うんですけど、(リベロは)チームを押し上げられる存在というか。何かを持ち上げるときに上から引っ張るか下から押すかみたいな、それの下から押し上げられるというところがリベロの魅力なのかなと思っています。ポジション柄1本目を触ることが多いので、すごく土台にならなきゃいけないというところもあって、自分が崩れたらチームも崩れちゃう、それこそ土台みたいに。航希と同じような感じのイメージなんですけど、広く視野を保って常に気を配らなければいけないみたいな。誰1人漏れをつくらず組織全体を押し上げていかなければいけないというのは、コートを一番後ろから見る人間でもあるので、そういったまたちょっと違うリーダーシップみたいなものを取れるというのが1つ魅力なのかなと思います。
高倉 僕はセッターで、ゲームをつくったり自分のトスの配分だったり相手との駆け引きでチームが勝ったり負けたりするというのはセッターにしかない魅力かなと思います。スパイカーは上がってきたトスに対してしか処理とか取ることはできないんですけど、ただ僕はレシーブが上がってそれを3本目につなげるポジションということで、やっぱり人とのつながりだったり、信頼関係っていうところでやっていくポジションだと思うので、そこは魅力と言いつつ若干難しい部分ではあるのかなというのはセッター5年やっていて感じているところです。花形といえば花形かもしれないですけど、実際に試合で目立つのはスパイカーだったりする場面はあるので、そこは航希が言っていた目立つ・目立たないという話はセッターにも当てはまるのかなと今聞いていて思いました。
降 ミドルブロッカーの魅力か、難しいな。無いと言うと怒られそうなんですけど、レシーブしないし半分しかいないし目立たないし。パスが返らないとクイック攻撃はないので、そういう部分ではもしかしたら友達とかバレーボールをやりたいって子がいたら「いやミドルブロッカーはやめときな」て言っちゃうかもしれないです(笑)。じゃあなんで自分がやってきたのかなって皆の話を聞きながら考えていて、樋口とか航希とかと被っちゃうんですけど、一番ミドルブロッカーがいないとバレーボールできないんじゃないかなって思います。僕らが機能していないとそもそもレシーブするボールなんて無いと思いますし、僕らがいないとサイドアタッカーのスパイクというのはどっかで決まらなくなると思うんで、そういう意味では大事なポジションなのかなって今聞きながら思いました。ただ大学に入り直してどこのポジションやりたいかって言われたらレフトって言います。当時に戻るんだったら「(ミドルブロッカーは)嫌です」って言うかもしれないです(笑)。
――やってみたいポジションはありますか?
高倉 僕はリベロをやってみたいですね。セッターって毎回ボールを触るポジションで、リベロないしリベロじゃなくてもそうなんですけど、ボールを触らないで動きだけで相手を乱したり位置取りだけで相手にミスさせたりとかっていうのはちょっとやってみたいです。なかでもリベロが一番面白そうかなって、技術的にできないんですけど良いなって思います。
樋口 僕はもうエーススパイカーをやりたいですよ。
一同 (爆笑)
樋口 目に見えて一番目立つポジションをやりたいですね。一番キャーキャー言われるし気持ちも高まるし、自分がいないと勝てないというのを味わえるのはスパイカーの中でもエースというところだと思うんで、僕はどこやりたいかって聞かれたら「エーススパイカーをやりたいです」って答えます。
――高校と大学の部活の違いは?
樋口 練習時間が長いっていうのは大きいかな。
降 そうですね、めっちゃ練習していました。
樋口 朝から晩までずっと一緒にバレーボールしていたんで、それは大きな違いですかね。
――塾高時代の一番の思い出は?
高倉 一番印象に残っているのは僕の誕生日に1人の部員がすごい髪型にしてきて顧問に怒られた話なんですけど、それは使えなさそうなのでやめときます(笑)。
樋口 それこそさっき言った練習が長かったみたいな話に関連して練習試合とかも同じで、大学の部活だと午前とかで終わるんですけど、高校の時は合宿でも1日中練習試合をしていました。それで代が変わって僕たちの代になった時に千葉の高校で練習試合をしていたんですけど、まずこいつ(降)が捻挫をしてしまってリタイアしたんですよ。でもう一人も体調が悪くなってリタイアして、結局3人体調不良でリタイアして。それで本当に新チームが始まって全然人がいないというなかで初心者だったやつとかも一緒に入って、ポジションをいろいろ入れ替えながら練習試合をなんとか3日間耐え抜いたというのは、たまたまクリスマスのあたりだったのもあって「僕はなんでこういうことをしてるんだろう」ていう(笑)。
高倉 人生初セッターの日じゃないの?
樋口 そうそう、僕が人生で唯一セッターをした試合というのもその試合で。結構面白いイベントもありつつ新しいこともできる、あとは面白いチャンスもありつつという感じで僕は結構覚えていますね。
――その試合は皆さん覚えていますか?
高倉 僕は覚えていますね。
降 この3人(高倉・樋口・島田)は出ていたんですよ。
高倉 樋口のトスを打った記憶がめちゃくちゃあって。それはめちゃくちゃ覚えていますね。
――他に高校の時のエピソードはありますか?
島田 自分が一番印象に残っているのは、真古都さんたちの代の春高予選で、あと1回勝てば春高にいけるというところで負けた試合です。
降 へーそれが一番印象に残っているんだ。
島田 自分はその試合絶対勝てると思っていて。で春高は自分がバレーをやってきてその当時は1番憧れというかすごく夢に見た景色だったので、そこに絶対いけると思っていた試合で負けたというのはとても悲しいというか。それで自分は悔しくて泣いて過呼吸になるっていう。
降 死ぬほど泣いてたな。
樋口 死ぬほど泣いてた。
島田 過呼吸になったことが無かったので自分でもすごくびっくりしました。
樋口 試合終わる前から泣いていました、コートの中で。点数取って盛り上げながらこいつだけ泣いてましたね。
島田 結構点差があって追いつくのが厳しい点差だったので…
降 19ー23ぐらいだよね、多分。
島田 そこで自分のサーブが回ってきてサーブ打ってる時にも泣いちゃってましたね。
降 俺ね、泣いてこいつと一緒に歩いてる写真撮られてたよ。
高倉 自分も泣いてた記憶はあるけど、航希が一番泣いていたような。
降 今パナソニックパンサーズでオポジットもやってる西山(大翔)選手がいたんですけど、すごく高い選手で手をつけられないくらい異次元に強くてボコボコにされましたね。
――この1年でプレー面で覚醒したと思う人は?
降 満場一致なんじゃない?これは。
高倉 多分一致すると思います、多分。
一同 (顔を見合わせて)え?!
降 1人しかいないじゃん。この中じゃないよ。
樋口 俺も1人いるなあ。
降 1回言ってみよう。
一同 せーのっ
降 龍一。
高倉 龍一。
島田 龍一さん。
樋口 克弥。
一同 アハハ(笑)。
島田 僕も克弥(内田克弥、環2・松江高専)か龍一さんだったんですけど、覚醒した人なら龍一さんかなって。
降 覚醒だったら龍一でしょ。
樋口 「伸びた」かな、克弥は。
降 龍一です!
一同 (笑)
――安達選手はどのように変わりましたか?
高倉 去年は試合に出るようなメンバーではなくて、出た試合でもミスだけして帰るというか。去年の秋までそういう感じだったんですけど、今年の春はあいつがいないと勝てない試合が何試合もありましたし、圧倒的な高さというのはなんか文字通り覚醒、自分たちの代になって覚醒したかなっていうのはありますね。覚醒といったら龍一しか出てこないのが俺の印象なんだけど(笑)。
降 1年生の時から見てるからなおさらそう思いますね。
高倉 本当にやばかったんだよ。入学当初はね?
降 そう、全然手に当たらないみたいな。スパイクもなんか打ったらどこか飛んでくみたいな。
島田 サーブキャッチを真下に叩きつけるっていう。
降 サーブで狙ったらもうサービスエースみたいなね。
高倉 そういうキャラというか、そういう選手だったんですよ本当に。それが3年の秋までそういう感じだったのに、急に。
降 気が付いたら。意味分からないインナー打ち始めるみたいな。
高倉 本当に何があったか分からないんですけど(笑)。でも練習してないわけではないですし、彼はビーチバレーの大会に航希と一緒に出たりして、そういうところの経験が覚醒を引き起こしたんじゃないかなとは思いますね。でも伸び幅がすごかったので覚醒といったらやっぱり龍一ですね。
樋口 俺は克弥って言っちゃったので1人だけ、何もあれなんですけけど…
降 克弥の話でいいじゃん。
樋口 克弥は練習量がとにかくすごくて週7で練習しているんですよ。なので覚醒というよりは本当に努力の分だけ伸びたという感じの印象なんで、だから覚醒とはちがうんですけど…。
降 (笑)
樋口 伸び幅でいったら龍一に負けず劣らずなんじゃないかなと思います。
――4年生から下級生全体へのコメント
降 できることなら入替戦にはいかないでほしいなと思いつつも、入替戦すげえ成長するんで、いってほしいなって思ったり。(入替戦に)いかないに越したことはないんですけど、ああいうハイプレッシャーな環境でバレーボールをするというのは普段のリーグ戦の中ではないので、人生の経験としてちょっと経験してほしいなっていう。
んー3年生とか頑張ってほしいなと思いますね。いろんな考えを持ったいろんな子たちがいるので。航希に限らず喜輝(松本喜輝、環3・九州産業)・晟己(大槻晟己、総3・清風)もそうだし、あと西山(西山誠一郎、政3・山口)とか。立川(立川貴一、商3・愛光)、スタッフの厳ちゃん(厳欣怡、経3・慶應女子)・三ツ井(三ツ井梨々香、商3・慶應湘南藤沢)とかも含めて、大変だと思うんで頑張ってもらえたらなと思っています。
高倉 僕は感謝の気持ちがすごく大きいかなと。やっぱり上の人についていくっていうか僕らの代のチームとして行動するということは、当たり前のことかもしれないですけどそれをちゃんと遂行してくれたというか。最終的な成績は僕らの代の成績になってしまうんですけど、それでも腐らずちゃんとやってくれたのは主将としてはすごくありがたいなと思っています。後輩のプレーで助けられた場面・点数というのはたくさんありました。多分4年生が点を取ったというよりかは後輩が点を取った方が割合的には多くなるんじゃないかなって思うぐらい後輩のプレーには助けられました。
降 喜輝は得点王だもんな。
高倉 僕らの代ではあるんですけど、パスを取ったりしたのは航希含めた後輩たちなので。そこにはトスを上げる側としても頭が上がらないですね、本当に感謝です。
樋口 今年は自主性をテーマに4年生としてはチームを作ろうという話になっていました。その中で僕はバレーボールがあんまり上手くないので後輩にとやかく言うこともないなと思って、「皆自由にやってよ」という感じでここ1年間過ごしてきました。1・2・3年生とも皆バレーボールが好きで上手くなりたいという気持ちがすごく強いんです。なのでそういうところから窺える姿勢とかバレーボールに対する取り組み方とかは自分がすごく学んだことが多いなと思います。もうバレーボールで生かすという機会は僕にとってはあんまり無いですけど、今後生きていく上ですごく勉強になったことが多いなっていうので、そういう意味では真古都と似ていてすごく感謝してますね。すごくバレーボール好きな子たちが集まってるっていうのが印象です。
――ここまで1年間戦ってきて、振り返っていかがですか。成長したと思うところは?
降 振り返ると大変な1年だったなと思いますね。1部で4勝したのに入替戦にいくというのはこの4年間のキャリアの中で初めてだったので。本来ならば2勝すれば入替戦を回避できるはずなのに4勝したのに入替戦だし、その入替戦は負けるし、こんなに頑張ってきたのに2部なんだって。そういう意味では大変な1年だったかな。最後1部に上がれたので結果的には良かったんですけど、そこはまた自分が1部の選手で終わるために上がるというよりはどちらかというと、2部なんだというところで僕は気持ちの整理をつけて、あとは後輩たちが来年1部でできるようにというところでやっていました。振り返ってみるとそういう意味では大変な1年だったなと思います。
チームが成長したなと思うのは、僕個人の主観的な意見ですけど、結論から言うと1部っぽい考え方ができる選手が増えてきたな、まだまだですけどチーム全体がそういう考え方をできるようになってきたのかなと、ちょっと上から目線ですけど思っています。というのも4年間ずっとそうだったんですけど、慶應はあんまり華々しいキャリアを歩んできた選手が他の関東1部のチームと比べて少ないので、どうしてもそういう相手とやるときに気持ちの面で負けてしまったりとか、ただ何てことないスパイクを打っているだけなのにそのプレーに圧倒されてしまったりとか。つまり気持ちの面で負けてしまっているんですね。そういうのが文化としてあるのは自分が1年生の時から感じていて、今の下の子たちに至るまでそういうふうに感じてしまっている。しょうがないんですけどね、それは。チーム全体がいざ試合となると、そういうふうに感じちゃうなと思うことが多かったんですけど、そこは今年1年ずっと割り切るプレーと割り切っちゃいけないプレー、自分たちはどういうバレーボールをしていかなければ勝てないのかというのは割と口酸っぱく個々に伝えてきました。なのでそういう部分で最後勝ちにつながったのもあるし、2部にいた時も1部っぽい考え方をしてバレーボールができるというか、相手のプレーに動じずに自分たちがやらなければいけないプレー、つまり自分たちの戦い方というのを最後まで徹底して勝つということが自分を含めてチーム全体が成長したのかなって思っています。それが多分慶應のバレーボールの文化になっていくのかな?
樋口 あと学年を超えて選手間で教え合うみたいなのは増えた気がしますね。後輩からいろいろ「もっとこうした方がいいですよ」って言われたりもしますし、逆に先輩がいろいろ言ったりっていうのもあるので、そういうのは新しく成長したことなんじゃないかなと思います。
――島田選手は樋口選手に教わったことは何かありますか?
樋口 僕高1でレシーブを教えてからもう抜かれちゃったので何も教えてないです。
降 いや、覚えてるかもしれないじゃん。
高倉 覚えてるかもしれない、航希ひねりだせ(笑)。
島田 教えてもらったことは“良いプレーをした後に余韻を出す”っていう…
一同 (爆笑)
降 それだ(笑)。解説してちょっと。
島田 例えば良いレシーブをした後に次のプレーにすぐにいかずに、その上手くいった自分のプレーに心も体も浸るっていう。「いや~このプレーいいなぁ」って。
樋口 真似しろよ(笑)。全然真似しないんですよ、こいつ。
島田 真似はしてないですけど…。それは教わりましたね。プレーで魅せてもらいました。
――全日本インカレに向けて意気込みをお願いします
島田 活動日誌にも書かせてもらったんですけど、まずは4年生と一緒に出られる最後の大会ということでプレーで恩返しをしたいです。自分の力だけでは勝たせられないんですけどまずは4年生を勝たせる。4年生を勝たせるために少しでも力になれたらなと思います。ここ2年は早慶戦が引退試合だったので初めてトーナメントで引退試合っていうところで、負けたら終わりというプレッシャーの中なんですけど、自分はまず4年生と一緒にバレーができるという喜びを味わってプレーしたいです。その上で1日でも長く一緒にバレーができたらなと思います。
樋口 今までの試合、入替戦とかも含めて、それ以上に勝ちにこだわるというか、良い意味でも悪い意味でも勝たなければいけないという思いが強くなる大会だと思います。日本一という目標を掲げているのでそこに向けて頑張るというのはもちろんあるんですけど、なんか僕としてはその1試合1試合の準備だったりとか、日頃の練習だったりとか、そういったところから楽しみながら、何か学びを得ながらその結果として最後日本一という結果がついてくれば良いかなと思っています。うちのチームのまだまだだなと思うところは勝とうとすればするほど自分たちの良いところがでないというところです。そういうところを含めても、やっぱりちゃんと1試合1試合楽しめたら楽しむのが良いし、そこからまた何かを学べたらいいのかなと思います。その結果最後一番良い結果、日本一という結果を得られればすごく良いかなとは思うので、そういうところで堅くなりすぎずというのが目標です。自分としては周りのおかげもあってこのキャラも作ってもらえているので(目標を達成するために)僕としてはそういうところを生かしながらちょっとでもチームが明るくなるように頑張れたらいいなと思います。
降 素晴らしい。僕は龍一みたいにプロではやらないので、人生の中でちゃんとバレーボールをやるのは最後というふうに決めているというか決まっています。このバレーボールというものを使って自分を表現できる機会も最後だと思うし、バレーボールというものを使って普段お世話になっている人に、例えば感謝の気持ちを伝えるとか、バレーボールというツールを使って何かをする最後の試合かなというふうに思っていて、バレーボールでできる思い出も多分最後。なので何か一つ人生の中の締めとして結果どうこう以前にこの2019年から2022年までの間の自分という選手がいて、慶應バレーボール部の仲間としてバレーボールをして両親とか周りの友人とかとひとつの4年間を作り上げてきた最後の舞台に(全カレは)なるので、抽象的ですけどそこが良い思い出で終われるように。勝って終わるのがベストですけど、別に勝とうが負けようがこの4年間が良かったもので終われるように後悔のない日々を過ごしたいと思います。
高倉 僕もバレーボールを本格的にやる試合は最後になると思います。多分人生これから先の方が長いですけど、振り返ったときにバレーボールの記憶として最後やったのはこの試合だなっていう大会になるので、自分がやってきたこととか、バレーボールに関してやってきたことを全て出せたら良いなと思っています。あと、すごく良い試合もすごく悔しい試合も一緒にやってきた同期、同期は4年間だし、1個下は3年間、2個下は2年間、1年生は半年ちょっと、ですけど一緒にやってきた仲間とこの試合ができるということに感謝するのとそれを楽しんでできたらなと思っています。
――最後に、応援してくださる方々にメッセージをお願いします!
高倉 日頃僕らが活動できているのは当たり前じゃないということはこの4年間、コロナで練習できなかったりというのもそうですし、それこそお金の面だったり練習場所の管理だったり、あと日頃食べているもの、それこそ親が食事を作ってくれたりとか、感謝してもしきれない部分は応援してくれている人にはその思いがあります。僕らができるのはプレーで示すことかなというふうに思っているので、そこは僕たちを信じて応援してほしいです。僕らも頑張ります!
――ありがとうございました!
(取材:五関優太、田中瑠莉佳)
◇プロフィール◇
高倉真古都(たかくら・まこと)
2000年5月8日生まれ/商学部4年/慶應義塾出身/身長178センチ/主将・S
降小雨(じゃん・こさめ)
2000年10月19日生まれ/商学部4年/慶應義塾出身/身長191センチ/副将・MB
樋口太樹(ひぐち・たいき)
2000年6月5日生まれ/経済学部4年/慶應義塾出身/身長178センチ/L
島田航希(しまだ・かずき)
2001年11月2日生まれ/経済学部3年/慶應義塾出身/身長182センチ/OH