昨年、ワセダの地で敗戦した悔しさを胸に、慶大は1年を締めくくる早慶戦に臨んだ。大学組手は大接戦となり一時は早大が優勢となるも、最後は慶大が勝ち切った。見事な気力を見せ、2年ぶりの勝利を手に入れた。
第81回早慶空手定期戦
12月4日 @慶應義塾大学日吉キャンパス 日吉記念館
大学組手
○慶大7―6早大●
先鋒 | 志村侑悟(商1・両国) | 2―0 | 秋吉優斗(スポ1・埼玉栄) |
次鋒 | 岩本遼(総1・高松中央) | 6―0 | 塩冶城春(人3・岩国) |
三鋒 | 南保空花(環4・帝京) | 2―3 | 天本菜月(スポ3・宮崎第一) |
四鋒 | 西田考佑(法2・保善) | 1―6 | 時田隼門(社2・玉川) |
五鋒 | 関右京(商1・慶應志木) | 6―4 | 吉田蒼一郎(スポ2・世田谷学園) |
六鋒 | 田野恵都(総4・東京女学館) | 1―2 | 藤平梨沙(スポ2・花咲徳栄) |
中堅 | 中西風渡(経4・慶應) | 2―4 | 野澤颯太(法4・松商学園) |
六将 | 秦令欧奈(商4・慶應) | 6―0 | 澤祐太郎(教2・世田谷学園) |
五将 | 川上菜菜(環4・日本大学鶴ヶ丘) | 0―1 | 土谷菜々子(スポ4・札幌北) |
四将 | 小林峻平(総4・早稲田佐賀) | 6―0(反則) | 溝井郷介(政経4・早稲田実業) |
三将 | 園田雅人(総3・松山東) | 4―1 | 池田倖紀(スポ2・北海道恵庭南) |
副将 | 冨田ちなつ(環3・日本航空) | 3―0 | アルフォルテさくら(国際2・ラ・サール・フィリピン) |
大将 | 上野武志(総4・東福岡) | 3―7 | 長沼俊樹(スポ4・保善) |
日吉記念館にて開催された第81回早慶空手定期戦。会場内には白い道着が擦れる音とともに、選手たちの勝利への気合があふれる。
開会宣言により大会が開始され、まず行われたのは、早慶両校の選手による形演武。
小学生から参加し、平安初段、鉄騎三段の団体形、個人形・燕飛の演武と約束組手が行われる。朗らかな雰囲気で大会が始まった。
大学個人形では、早大の秋吉優斗(スポ1・埼玉栄)によるパープーレンの演武。観客席から「大学生?」の一声もあがった。対する慶大も、山田和花(総2・埼玉栄)が同形を演武。
次に団体形の演武が行われた。田野恵都(総4・東京女学館)、川上菜菜(環4・日本大学鶴ヶ丘)、山田の3人は互いの肩をたたき合い、コートに足を揃える。ゴジュウシホウショウは先輩方から受け継いだ大切な形。気合の声が会場全体を包み、あたりは静まり返った。
男子3人は、得意のウンスーで観客を圧倒。早大の力強さに対して、慶大は3人の息をぴったり合わせる。団体形をあれほどの精度まで高めるには、日々の地道な練習が不可欠であろう。
今回、女子男子ともに、団体形の「分解」の演武が注目の的だ。分解は本来決勝戦で披露する演武で、一度見た観客はこの繊細さに引き込まれる。皆、息をころして見ていた。この分解を披露したところに、慶大の勝負への思いが見える。
大会最後の種目となる大学組手では、両校接戦となったが、チーム一丸となって根気強く戦い、慶大が7点取で勝利を決めた。
先鋒・志村侑悟(商1・両国)は一点先取で幸先良いスタートを切り、続く岩本遼(総1・高松中央)が上段で6点を決める。
三峰・南保空花(環4・帝京)は緊張感と才能で競り合いの組手。西田考佑(法2・保善)の素早い上段回し蹴りは惜しくも決まらず、早慶同点となる。
関右京(商1・慶應志木)が逆転をねらって6点を取る。田野は形選手ながら組手選手に劣らず、1点を決めた。中堅の中西風渡(経4・慶應)はバトンを受け取り2点返すも、相手の野澤颯太(法4・松商学園)が4点取で早稲田の優勢。
しかし六将・秦令欧奈(商4・慶應)が上段決め、「おっしゃー」と喜びの一言。五将・川上は選手の優しさ表れる、相手を読む闘い。続く小林峻平(総4・早稲田佐賀)が素早い点取で6点を取り返し、園田雅人(総3・松山東)も油断大敵、負けじと点を取る。続く、副将・冨田ちなつ(環3・日本航空)がしなやかな上段で勝ち決める。大将・上野武志(総4・東福岡)、得意の刻みで客を魅了。
形を見ても組み手を見ても、選手一人一人に個性がある。今年慶大空手部は、お互いの個性を生かし、支え合って戦った。そして自らに負けず、日々の稽古に耐えてきた強さを持っている。
繊細で力強い空手の魅力、そして人間性あふれる空手部の活躍に、今後ますますファンが増えるのではないだろうか。
(記事:門松心美、撮影:五関優太)
選手コメントはこちらから