競走部・長距離ブロックの田島公太郎(環2・九州学院)は新3年生ながら長距離ブロック長を任された。東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)に出場経験もある田島は、慶大としてチームで箱根駅伝に出場するという目標に向かって日々練習に励んでいる。田島はキャプテンとして実力でも自分が大黒柱になるという強い覚悟を持っていた。
チームで箱根駅伝に出場する
正月の風物詩、箱根駅伝は来年で100回目を迎える。本選出場を目指す慶大競走部の長距離ブロック長には新3年の田島が就任した。今の長距離ブロックが新3年生に中心選手が多いことや田島自身も第98回大会で関東学生連合の一員として箱根駅伝を走った経験があることを踏まえ、コーチから任命された。「やってくれるならついて行くという姿勢を全学年見せてくれたので個人的にもうれしかったです」と周囲も納得の選出だった。しかし、「先輩がいるチームの中でどういう振る舞いをしたらいいかも分からないですし、本当はいけないけどどうしても遠慮してしまうことがあるので、そこのバランスをうまくやっていきたい」。新4年生の先輩もいる中で自分がブロック長を任されたことに不安も覚えている。
田島は2カ月ほどブロック長を務めてきて、周りを頼ることがうまくなったという。「分からないことが多いので、それならもっと陸上人生が長いみんなに頼るのもありだと思います」。チーム全員で強くならないと箱根には出場できない。それは昨年の箱根駅伝予選会でも痛感したことだ。予選会では早い段階で集団走が崩れてしまい、26位に終わってしまった。その反省を生かし、チームで強くなることに向き合っている。
そして箱根駅伝に出場するために必要なことは「継続すること」である。昨年は合宿や強化練習で故障者が出てしまい、練習している人よりも故障者の方が多くなってしまうこともあった。「チームのベクトルも一からやり直しで、足に不安を抱えたまま予選会のスタートラインに立つ、大事な時に追い込む練習をしてない人がスタートラインに立つということが多かったので、ベストメンバーで組めたかというとそうではなかった」と昨年を振り返り、今年の決意を語った。「1年間目をそらさずに箱根に向かうということを意識しながら練習をみんなで継続することが大事だと思います」。
大黒柱として
田島自身も大きく成長した1年だった。部の仕事を多くこなす必要もあり、様々なことを経験してメンタルが強くなったという。昨年法大で行われた記録会で自己最低記録を更新してしまった時にも、「キャプテンになったこともあるかもしれませんが、ここで折れない姿勢を見せることが大事で、泥臭く何回もチャレンジしてぼこぼこにされてという過程を繰り返すことが、慶應が箱根に出た時に価値になる」とポジティブに考えられるようになった。
そして今年はトラックでも戦える選手になりたいと意気込む。田島が得意とするのは、傾斜があり、より一瞬の駆け引きがキーとなるロードであるが、関東インカレなどトラックを走る場面も多くある。苦手意識を克服し、トラックで他大のエースに走り勝ち、関東インカレでは長距離ブロックから得点を獲得することも目標の一つとしている。
キャプテンとして「実力で見た時にもちゃんと大黒柱になりたい」と田島。「目立つような記録は予選会でしか出せなかったのですが、それを年中通して、絶対的な強さをつけていきたい」。そしてその先にあるのは慶大の選手から慶大の選手へ襷がつながる瞬間。「来年こそは」とはもう言わない。その揺がぬ思いを胸に、箱根への道を走り続けている。
(記事:長沢美伸)