慶應スポーツでは、早稲田スポーツと合同で対談企画を行いました!
第2弾は、中高時代からライバル関係の新4年生の宮崎恭輔選手(新環4・國學院久我山)と生沼弥真人選手(新教4・早稲田実業)です!
前半の記事は早稲田スポーツ新聞会の方でご覧いただけます。
――続いて、大学野球や早慶戦についての話に移ります。高校野球で神宮で戦うのと、六大学野球で神宮球場で戦うのはどのような違いがありますか
生沼 高校野球の時は神宮って言ったら夏の印象が強くて、人工芝でめちゃくちゃ暑くて体感で言ったら40度は全然超えるくらい夏場の神宮は暑いので、その対策をっていうことを考えていました。大学野球は春と秋でプレーは比較的しやすいんですけど、その分太陽が落ちてきてからも試合をやるので、太陽の位置とかボールが見にくくなるっていうところに気を遣っていて、そういうところが違いなのかなと思います。
宮崎 応援の違いはすごい感じるなと思っていて、特に早慶戦の時はやっぱり高校野球とはまた別物で、応援もたくさんの箇所でやっていますし、球場の独特の雰囲気というか応援の鳴り方も全然違いますし、声の通らなさっていうのをすごい感じていて。そこはやっぱ高校野球とは全く違うなって感じています。
――他の六大学の試合と早慶戦とでは何か雰囲気などで違いはありますか
生沼 個人的にもチーム的にも、どの試合でも同じマインドで戦うっていうのは思っているんですが、やっぱり早慶戦になると人の入り方とかワンプレーに対する歓声が全然違って、それに加えて慶應に勝つっていう話をチームでずっとしているところがあるので、違っちゃいけないですが外的要因も含めて気合の入り方が変わります。
――そういった点が「早慶戦の早稲田はなにか違う」と言われる原因ですか
生沼 そうなんですけど、本当は他の大学とも全部その勢いでやらなきゃいけないので、来季は意識します。
――宮崎選手はどうですか
宮崎 僕らも監督が常日頃からどの大学とやっても変わらないというのはずっとおっしゃっているのでそのマインドはあるんですけど、やっぱり生沼選手が言った通り早慶戦は特別で、特に早稲田の入り方は他の試合を見てても気合の入り方が違うなっていうのは感じているので、僕らはやっぱり同じマインドでいかなければいけないですが、やっぱり気合をより一層入れていかなければいけないというか、最終カードなのでそういった面でもう一段階ギアを上げるというか、そういった面はやっぱり必要なのかなというのは昨シーズン戦っててすごく感じました。
――秋季早慶戦の最終戦では、宮崎選手が3安打2打点(2本のタイムリー含む)、生沼選手は4安打1打点と、下位打線ながらお互いにチーム内で最高レベルの見事な活躍でしたが、その時の心境はどうでしたか
生沼 前日に3の0で全然駄目で、シーズン最終戦ということもあってなんとしてでも4年生のために勝ちたいという気持ちがあったので、自分としては前日3の0でもう失うものはない状態だったので、気持ち的には2戦目はめちゃくちゃいい状態だったかなと思います。
宮崎 バッティングの方は全然駄目だったんですけど、それよりも僕はキャッチャーとして勝つことだけを意識して、何としても第3戦につなげるっていう思いの方が強かったので、その中で結果を残したことはよかったかなとは思っています。それでも勝ち切れなかったっていうのが悔しいところですし、やっぱり4年生のためにもどうしても優勝したいという思いがとても強くあったので、第2戦で終わってしまって優勝を決められないというのが試合中、試合後の心境ではありました。
――お二人にとって『早慶戦』とは
生沼 大学でプレーする中で注目度が一番高い試合なので、自分の中では一番楽しい時間ですね。
宮崎 やっぱり憧れていた舞台でもありますし、僕も楽しめる場所じゃないかなと思います。
――印象に残っている早慶戦はありますか
生沼 2020年秋の早慶戦2戦目の、蛭間さん(蛭間拓哉、R5スポ卒=埼玉西武ライオンズ)ホームラン打った試合になります。実際ほとんどの人が2アウトになった時にもう駄目だと思っていたと思うんですけど、おそらくベンチの方はそうじゃなかったんだろうなっていうことを考えると、自分はその時ベンチに入っていなかったですが、これが底力なんだなということを感じて、スタンドにいる4年生も今思えば誰も諦めていなかったので、この粘り強さが感動を生むんだなって感じて印象に残っています。
宮崎 僕もその試合が一番印象に残っていて、慶應側の立場からしたら正直2アウトになった時点で優勝決まったというのをすごい感じたので、試合は最後まで分からないな、最後気抜いたら駄目だなっていうのを、グラウンド内だけじゃなくてスタンドもそういう気持ちが大事なんだなっていうのをすごい学んだ試合でした。
――続いて新チームや来季についてお聞きしていきます。慶大は4年生が卒業して大きくメンバーが変わると思いますが、チームの雰囲気などはどうでしょうか
宮崎 やっぱり試合を経験していた選手が少ないので、自分たちでやろうという意識がとても強くて、去年よりも練習の質自体はかなりいい状態ではないかなとは思っています。そういった面では去年と違ったまたいい色が出ているのかなと思っています。
――早大は大きくメンバーは変わらないと思いますが、雰囲気の違いなどはありますか
生沼 去年はキャプテン副キャプテンの存在がかなり大きい部分でしたが、今年のチームは主将副将がみんなを引っ張っていくというよりは、みんながそのつもりでみんなで切磋琢磨していく、みんなでつくり上げるチームになっていて、学年関係なくコミュニケーションを取り合えている感じになったかなとは思います。
――最上級生となり後輩、チームをまとめていくにあたって心がけていることはありますか
宮崎 去年出させてもらってはいたので、後輩のそういったリーグ戦のこととか伝えるということや、コミュニケーションはいろんな人とたくさん取って全員が戦力になれるようにというところは意識して、練習だったり日頃の生活だったりで取り組んでいます。
生沼 さっきメンバーがあまり変わらないという話があったように、自分の場合はスタメン争いをまた春に向けてというところから始まっているので、後輩に対して気を遣うというよりは自分のことでいっぱいいっぱいになっちゃってる部分があって、その中でも自分のことをちゃんとやっているところを後輩が見て、それが結果として付いてくるようなきっかけになるのかなと思っているので、正直今は自分のことしか考えていないです。
――秋季リーグ戦は、早大2位、慶大3位という結果で明大を来季は追いかけていくわけですが、どのような所に力を注いでいますか
宮崎 うちは廣瀬(廣瀬隆太、新商4・慶應)に頼らないチームというところをすごく意識して練習をしていて、やっぱりどうしても廣瀬は絶対に他の大学からマークされますし、廣瀬以外が打ったり守ったりしないと勝てないと思うので、そこを一番チーム全体で意識してやっているところです。
生沼 特に去年優勝した明治は上位打線の足がものすごい速いというのがあって、自分たちも明治のカードを落としたんですけど足とかプレッシャーのあった時に守備面でのミスが目立ってしまったので、明治の一番速いバッターを常に想定してノックをやるというところを意識しています。
――明大で特に警戒している選手は誰になりますか
宮崎 やっぱり宗山選手(宗山塁、新商3・広陵)、上田選手(上田希由翔、新国日4・愛産大三河)、足だったら飯森選手(飯森太慈、新政経3・佼成学園)、直井選手(直井宏路、新商3・桐光学園)がキーマンになってくるのかなと思います。
生沼 宗山選手、上田選手はもちろんで、その前の上位打線の足の速いバッターというところに注目して、そこを徹底的に抑えるというのを意識して、そうすれば宗山選手と上田選手は圧倒的に力がある選手でその二人に打たれてそれで負けるのは後悔が残らないので、その前のバッターに注目して抑えていきたいなと思っています。
――お互いの大学で意識している選手はいますか
宮崎 もちろん生沼選手もそうなんですけど、やっぱり代表合宿でも一緒になった伊藤選手(伊藤樹、新スポ2・仙台育英)、印出選手(印出太一、新スポ3・中京大中京)の二人は絶対に警戒しなきゃいけないなと思っています。
生沼 宮崎選手は自分は個人的に負けたくないなっていうのがあるんですけど、チームとしてみるならやっぱり廣瀬かなと思って。廣瀬はキャプテンになってチームの顔であることは間違いないですし、自分自身も中学でチームメイトだったっていうのもありますし、なんとしてでもそこの得点源みたいなところの芽を摘んでおかなければなと思います。
――目指している選手像はありますか
宮崎 バッターとしては鈴木誠也選手(シカゴ・カブス、二松学舎)、キャッチャーとしては中日の木下選手(木下拓哉、トヨタ自動車)がキャッチャースキルがすごく高いので、目標というか参考にしている選手は一番はその二人かなと思います。
生沼 正直そんなにトッププロの選手をモデルにやったことがないので目標にしている選手は挙げがたいんですけど、身近でいうところの蛭間さんであったりその前の4番の今井さん(今井脩斗、R4スポ卒=トヨタ自動車)であったり、同じチームで同じ舞台で戦っていた先輩ですごい輝いている人たちっていうのは、なんとかそういう人たちのいいところを盗んで自分のものにしたいと思ってやってきたので、そういう人たちが挙げられるのかなと思います。
――来季の具体的な目標はありますか
宮崎 僕は個人としてはベストナインと打率3割5分、ホームラン3本以上というところを目指して、盗塁の刺殺4つ以上というところを目指して今取り組んでいます。
生沼 自分もベストナインで、形に残るものとしては一番活躍した証だと思うので、それを目標にしてやってきていて、数字とかはちょっと難しくてまだ漠然とした感じです。
――何かお互いに質問したいことはありますか
生沼 キャッチャー宮崎選手から見て今の打者生沼はどう映っていますか?
宮崎 配球や状況に応じてボールを一球一球張ってくるので、それはすごい読まれている感じがして嫌だなというのがあるのと、逆に読んでいるボールが分かればこっちのものだなというのが印象ではあります。ただ、早慶戦の後にも話したんですけどチェンジアップ待ってるって言っても高めに浮いた変化球は全部打たれそうな感じはしましたし、すごい嫌なバッターだなっていうのは感じました。
――最後に来季の意気込みをお願いします
宮崎 この冬また一段階レベルアップして慶應のキャッチャーとして、あとは誰もが認めるような選手になりたいなと思っています。
生沼 何十年後に過去を振り返った時に、「あの時こうしてれば」って後悔しないように一日一日を過ごしていきたいなと思います。
ーーお忙しい中ありがとうございました!
◆宮崎恭輔(みやざき・きょうすけ)
2001年5月31日生まれ。國學院久我山高を経て、環境情報学部新4年の内野手・捕手。3年春にはリーグ戦初打席で本塁打を記録。秋には捕手としてレギュラーに定着し打率.300をマーク。12月の大学日本代表候補合宿にも帯同した。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。
◆生沼弥真人(おいぬま・やまと)
2001年11月23日生まれ。早稲田実業高を経て、教育学部新4年の内野手。2年春にリーグ戦出場を果たすと、3年秋には規定未到達ながら打率.438を記録。本職はファーストだが、この冬にはサードにも挑戦した。182センチ、88キロ。右投げ右打ち。
※取材は1月27日にオンラインで行われました。
第3弾もお楽しみに!
取材:齋藤汰朗、田中駿祐(早稲田スポーツ)、北村可奈(慶應スポーツ)