東京六大学対校陸上競技大会が国立競技場で行われ、慶大競走部からも対校種目・オープン種目に多くの選手が参加した。男子対校ではフィールド競技で強さ見せ得点を稼ぐと、三輪颯太(環3・西武文理)が100mで優勝するなどの活躍で、3位に輝いた。また、5000mでは木村有希(総3・葵)が慶大記録を更新する快走を見せた。女子対校ではトラック競技で少しずつ得点を積み重ね、3位という結果を残した。男女ともに目標には届かなかったが、関東インカレに向けて、現時点での実力を確認する貴重な大会となった。
第56回東京六大学対校陸上競技大会
4月2日(日) @国立競技場
対校男子 111点 第3位
対校女子 12点 第3位
順位 | 対校男子 | 対校女子 |
1位 | 法大 | 早大 |
2位 | 早大 | 法大 |
3位 | 慶大 | 慶大 |
4位 | 立大 | 立大 |
5位 | 東大 | 東大・明大 |
6位 | 明大 |
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♢慶大得点獲得者(男子・対校種目)♢
名前 | 種目 | 記録(決勝でのタイム) | 順位・得点 |
奥泰貴(商3・慶應湘南藤沢) | 800m | 1分53秒04 | 7位・2点 |
井上丈琉(経2・長岡) | 800m | 1分53秒46 | 8位・1点 |
豊田兼(環3・桐朋) | 400mH | 50秒00 | 2位・7点 |
鈴木悠真(理4・希望ヶ丘) | 400mH | 52秒85 | 6位・3点 |
白銀克隆(理4・広島学院) | 400m | 49秒47 | 7位・2点 |
三輪颯太(環3・西武文理) | 100m | 10秒40 | 1位・8点 |
大越隆聖(商2・慶應)―三輪颯太―廣木亮太(理4・浦和)―大島琉偉(経2・慶應) | 4×100m | 40秒26 | 4位・5点 |
上野佑太(営M2・西南学院) | 110mH | 17秒67 | 8位・1点 |
鈴木太陽(環2・宇都宮) | 3000mSC | 9分1秒36 | 5位・4点 |
白銀克隆―豊田兼―柴田有仁(理M2・菊里)―奥泰貴 | 4×400m | 3分13秒20 | 3位・6点 |
木村有希(総3・葵) | 5000m | 13分54秒42 | 5位・4点 |
イベルブランドン(総3・洛南) | 走幅跳 | 6m98 | 3位・6点 |
小林一揮(政3・慶應) | 走幅跳 | 6m52 | 6位・3点 |
伊藤達也(商4・帝京大学) | やり投 | 67m67 | 1位・8点 |
穂苅大和(理3・日比谷) | やり投 | 45m73 | 7位・2点 |
武田翔太(法4・慶應) | 走高跳 | 2m10 | 1位・8点 |
若原祐人(経2・慶應) | 走高跳 | 1m90 | 3位・6点 |
齋藤恒(経4・山形東) | 円盤投 | 31m28 | 5位・4点 |
穂苅大和 | 円盤投 | 26m26 | 8位・1点 |
三浦和真(理4・小山台) | 三段跳 | 14m78 | 1位・8点 |
イベルブランドン | 三段跳 | 14m10 | 3位・6点 |
中野悠哉(理4・慶應) | 棒高跳 | 4m10 | 3位・6点 |
府中(文4・日日大藤沢) | 棒高跳 | 3m80 | 4位・5点 |
齋藤恒 | 砲丸投 | 8m78 | 6位・3点 |
山田直弥(商2・清水南) | 砲丸投 | 8m21 | 7位・2点 |
慶大得点獲得者(女子・対校種目)
名前 | 種目 | 記録(決勝でのタイム) | 順位・得点 |
仲子綾乃(総3・浜松西) | 800m | 2分12秒04 | 2位・2点 |
工藤音花(政4・岡山朝日) | 100mH | 15秒02 | 3位・1点 |
岩屋佑未奈(経4・慶應女子) | 100m | 12秒10 | 3位・1点 |
鴨下友織菜(環2・三鷹中等) | 400m | 58秒21 | 3位・1点 |
鈴木わかば(総3・宇都宮女子)―工藤音花―岩屋佑未奈―清水美甫(環1・中大附属) | 4×100m | 47秒26 | 3位・1点 |
鴨下友織菜―仲子綾乃―神田陽向(理4・慶應湘南藤沢)―井上汐莉(法2・韮山) | 4×400m | 3分54秒02 | 2位・2点 |
倉田紗優加(環1・伊那北) | やり投 | 50m07 | 1位・3点 |
日根千晴(商3・桐蔭) | 走幅跳 | 4m99 | 3位・1点 |
♢男子トラック競技♢
男子トラック競技で得点が期待されていたのは、400mHのハードルの豊田だ。予選から快走を見せ組1着で決勝進出を危なげなく決めた。続く決勝では、21年の東京五輪出場の実力者・法大の黒川和樹との優勝を争った。豊田は序盤で黒川にわずかに差を付けられると、黒川がそのまま逃げ切って1着。惜しくも敗れたが、五輪出場選手とハイレベルなレースを繰り広げただけに、今後に期待がかかる。
100m決勝には予選を勝ち抜いた三輪が登場した。スタートこそ出遅れるもそこから加速し、接戦でゴール。固唾をのんで電光掲示板を見つめていた三輪は「(1位を争った)稲毛(碧=早大)選手は本当に実力がある選手なので、その選手にギリギリの勝負がでたことがすごくうれしかったのと、それでも勝っていてほしいという祈りもありました」と当時の心境を振り返った。そして一番上に自分の名前が表示されると喜びを爆発させた。「ずっと1年生2年生と期待されて入学したのにもかかわらずあまり結果を出せていなかった中で、やっとまともな結果を残せたのかなと思いますが、もっと頑張らないといけないなと思います」。高校時代、100mと200mの2冠に輝いたスプリンターがついに復活の兆しを見せた。幸先の良いスタートを切った三輪は試合後「この勢いのままのまま、天狗にならず同級生の豊田君とかにも続いていけるように」と今季の意気込みを語った。また、三輪は敢闘賞を受賞した。
もう一つトラック競技で素晴らしい記録が出た。5000mで木村が慶大記録を大きく更新する走りを見せた。史上初の13分台ランナーの誕生だ。木村は序盤から先頭集団に付いて行くと、最後までそのペースを保ち、5位でフィニッシュした。しかし本人は「塾記録は順当に走れば狙えると思っていましたが、まずは優勝を狙っていました。そこで中盤から少し弱気なところが出てしまい追っていくことができず、ラスト100mでもかわさてしまたので、そこが公式戦で勝つために足りないと感じました」と謙虚に反省点を口にした。今シーズンは「タイムでは50切り(13分50秒を切ること)と、10000mでは28分30秒を狙っていきたい」とさらに上を目指している木村。チームでも箱根駅伝の予選会突破を目指したいと力強く語った。
♢男子フィールド競技♢
フィールド競技では慶大勢が実力を見せつけた。主将の伊藤達也(商4・帝京大学)がやり投で期待されていた通りの結果を出して優勝。走高跳の武田翔太(法4・慶應)、三段跳の三浦和真(理4・小山台)も1位で8点を獲得した。昨年から関東インカレや早慶戦など、安定して結果を出し続けている。また、棒高跳や砲丸投、円盤投でも順調に得点を積み重ねた。慶大の実力を遺憾なく発揮し、フィールド競技が終了した夕方ごろには一時1位に立つなど、他大学をけん引した。
♢対校女子♢
女子の注目は800mの仲子綾乃(総3・浜松西)だ。早大選手と最後まで競り合ったが、あと一歩及ばず惜敗。ゴール後の表情からは悔しさが感じ取れた。
また、男子と同じくやり投では倉田紗優加(環1・伊那北)が50m越えの投てきで優勝した。まだ1年生の倉田。関東インカレなど、今後の大舞台でも注目される選手の一人になるだろう。
10年ぶりに国立競技場に帰ってきた六大学対校戦。声出し応援も解禁され、終盤の5000mやリレー種目では各大学の応援部・団による応援も行われ、盛り上がりを見せた。最高の舞台での試合では、オープン種目も多数行われ、関東インカレや全日本インカレ、世界陸上に向けて素晴らしい記録も生まれた。記録が出なかった選手も貴重な経験になったに違いない。いよいよ本格的なシーズンが始まった陸上競技。「強者であれ」というスローガンを掲げた慶大の躍進が大いに期待される。
(記事:長沢美伸、写真:長沢美伸、野上賢太郎)
本大会では上記の2名が大会オフィシャルカメラマンの一員を務めさせていただきました。ありがとうございました。