【野球】2023春季リーグ戦開幕前取材⑤ 堀井哲也監督〜新戦力で天皇杯奪取へ〜

野球対談

見えない敵との闘いも少しずつ収まり、今年の神宮はグラウンドとスタンドが一体となり、歓喜と熱気の渦が巻くことだろう。慶應スポーツでは、悲願の優勝に向けて日々挑戦し続ける体育会野球部の選手たちにインタビューを行いました!

 

第5回は、慶大野球部を束ねる堀井哲也監督です!

――昨年のシーズンを振り返っていかがでしたか

3連覇がかかっての春は、法政と明治の3回戦に逆転をされてということで優勝を逃して。秋は天皇杯奪取ということで、最後早稲田に勝ち点を落として優勝を逃してということで、もう一歩というところで優勝を逃した1年だったなというふうに思っています。

 

――特に秋は、早稲田に勝てば2季ぶりの優勝という目前のところまで来ていました。優勝をするのにチームとして足りなかった点は何だったかと分析されていますか?

1回戦は特に勝てる試合を落としたなということで、やっぱり攻守において詰めの甘さがあったなというのが1つ、2回戦は打ち合いで追いかける展開になったんですけど、もう1歩そこをひっくり返せる攻撃力がなかったという、いずれにしても力不足ということだと思います。

 

――新チームで廣瀬(隆太、商4・慶應)主将が就任。どのような活躍に期待していますか?

1番1年の時からの経験値もありますし、文字通りチームの軸としての活躍に期待をしています。ただ、廣瀬に頼ってばかりでは天皇杯は取れないので、廣瀬を軸にしながらも周りの選手の力で勝っていかなければいけないとも思っています。

 

――副将は森下祐樹(総4・米子東)投手、善波力(商4・慶應)選手、小川尚人(環4・三重)選手の3人体制。それぞれに期待している活躍、役割は何ですか?

3人ともリーグ戦経験が少なからずありますし、ポジションも上手く投手、捕手、内野に分かれているので、それぞれのポジションの中でしっかりとキャプテンを支えるような働きをしてもらえればと思っています。特にこの3人は選手をまとめる力もあって、廣瀬がキャプテンじゃなければその3人誰がなってもおかしくなかったので、キャプテンとしての気持ちも考えながら副キャプテンとして支えてくれる、というのを期待したいと思っています。

 

――昨シーズン終了後、練習面では投打共にどこに力を入れて取り組んできましたか?

昨年の反省から、12〜2月のキャンプまでの期間は個々の力をつける。これは体力的、技術的なことを含めて個々の力をつけることに特化してきました。鹿児島キャンプから開幕に至るまでは、チームの互いの呼吸、連携であったり、攻撃・守備含めて、選手をどのように配置すれば上手く機能するのか、打順やピッチャーの投げる順番も、そういうことをひたすら、私としても色々見て確認したかったですし、選手間でも連携を図りながらチームとして機能するように作ってきたという。そういう前半と後半に分けたら、この4、5ヶ月はそういう期間だったと思います。

 

 

――秋シーズン終了以降のオープン戦では、秋は捕手で全試合スタメン出場&大学日本代表候補合宿にも呼ばれた宮崎恭輔(環4・國學院久我山)選手がファースト、外野の齋藤來音(環4・静岡)選手がセカンドを守るなど、色々な選手が色々な守備位置についていました。このようなコンバートはどのような意図がありましたか

選手個々の力では六大学の中で突出しているわけではないので、チームとしてどう作り上げるのかというところなんですよね。それが先ほど申し上げたこととちょっと繋がるんですけど、選手の配置やどういう組み合わせがいいのかとか、一人一人の居場所、どこが一番最大の力を発揮できるのかというところをひたすら模索した4、5ヶ月というところだったので。結果として宮崎はキャッチャーに落ち着き、齋藤は内野を視野に入れながらの外野ということで、最終的にはそのように固まってきたんですけど、それも試行錯誤あってのことなので、最終的な形とは試行錯誤した状況とはだいぶ違う点もあるんですけど、違ったポジションをやるということも非常に経験値として能力を上げるには非常に役立ったんじゃないかなと思います。

 

オープン戦では、様々な戦い方を実践した

 

――投手陣においてはどの投手が中心になるのか、先発は誰が投げるのか教えてください

正直開幕4日前(取材日:4月3日)なんですけど、まだ迷っています。ただ、候補は昨年日曜日(2戦目)を投げた外丸(東眞、環2・前橋育英)。それから冬に大成長を果たした谷村(然、環4・桐光学園)、リーグ戦経験のある森下、浮橋(幸太、総3・富岡西)のこの4人ですね。この4人をどういう順番で投げさせるのかっていうのを、最後(初戦の)法政の仕上がりをビデオで見ながら、最後の最後まで悩みたいなと思います。

 

――野手に関して、本間颯太朗(総3・慶應)選手がフレッシュリーグなどでも色々なポジションを守っている印象。今季のリーグ戦ではどのように起用していきたいですか?

まずキャッチャーっていうところを考えたんですけど、宮崎も去年の経験が非常に大きくて宮崎の方がこの春はいいかなと、まずそこで決着をつけました。本間をどうしても打順の中に入れたいと、そこで今1番当てはまるのがセカンドかなと。ということでセカンド、2番ないし3番が彼の今のポジションですね。

 

――期待のルーキーはいますか

3人ですね。いずれも途中出場になるとは思うんですけど、ピッチャーの広池(浩成、経済1・慶應)、内野の上田(太陽、商1・國學院久我山)、外野の横地(広太、法政1・慶應)の3人がベンチ入りするであろう、最終候補メンバーに入っています。

 

――ベンチメンバーの中で、キーマンになる選手はいますか

一つはさっき挙げた本間ですね。廣瀬はもちろんですが、本間の活躍度合いっていうのは非常に大きいと思います。もう一人挙げるとしたら、外野手の橋本(駿、経済4・巣鴨)は打順1番になるのか2番になるのか、あるいは6番くらいになるのかちょっとこれはまだ流動的なんですけど。廣瀬プラス橋本、本間がキーマンだなと思っています。ピッチャーはさっき挙げた4人ですね。

 

――今年は昨年とメンバーが大きく入れ替わって、リーグ戦経験が浅い選手が多いですが、シーズンではどのように勝ち抜いていくことをイメージしていますか?

毎年のことですけど、接戦になると思うんですね。どれだけ粘り強く、勝ち切れるチーム力があるかだと思うので、試合によっては全員を注ぎ込みながら、トータルで勝つという試合もあるでしょうし、ある試合はスタメンで行った選手がとにかく踏ん張って粘って粘ってという試合もあるでしょうし。常に色々なことを想定しながら、戦う。それは経験値がない選手が多いので、リーグ戦に入ってからの戦いぶりを見ながら、利用していこと思うんですよね。ですから、今の時点では極端に言えば廣瀬以外は未知数と。その中で組み合わせをスタートから上手く持っていけるかということになるので、リーグ戦に入る前のシミュレーションはできたんですけど、リーグ戦に入ってからの判断がありますので、そこに今心を砕いている、色々なことを想定しているという段階ですね。

 

――オープン戦では勝利する試合も多い印象がありますが、手応えは

まあ、オープン戦は互いの試し合いなので色々な課題が出たりするのはお互い様なんですけど、その中で勝ち切るというのはチームになってきている、選手の立場で言えば少しずつ自信になっている、戦い方が見えてきている、そういうふうに手応えは感じています。ただ、リーグ戦に入ったらガラッと変わってきますので、オープン戦はオープン戦というのは頭に入れながらの対応をしようと思っています。

 

――今シーズンから応援席も復活。読者、ファンの方へのメッセージをお願いします!

4年ぶりに平常に近い形でリーグ戦が開催されるということで、この間、特に今の4年生は3年間いろんな面で制約されたと思うので、そういう方たちに対して日常を取り戻すきっかけになるような戦いをしたいですし、卒業生の塾員の皆さんも含めて閉塞感を少しでも吹き飛ばせるように。WBCとはいかないまでも、それに近い発信をしたいと思っています。

 

――楽しみにしています。お忙しい中ありがとうございました!

(取材:北村可奈)

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