7月7日、味の素フィールド西が丘にて第74回早慶サッカー定期戦(早慶クラシコ)が行われる。慶應スポーツでは早慶クラシコにあたり、計19人の選手に取材した。第1弾は香山達明(経3・慶應志木)と茅野優希(政3・慶應)と根津拓斗(政3・慶應)の3年生トリオ。全員が早慶戦を「夢の舞台」と称する。そんな夢舞台への意気込み、自身の強みなどを伺った。
――まずは、他己紹介からお願いします。
茅野→香山:サッカー面の話をすると、まあプロも結構いけるんじゃないかなっていうくらい、プロの声もかかりそうな「志木高の天才」っていう感じです。注目して欲しいところは推進力っていうところ。ドリブルが特徴で、185ぐらいあるのにスピードもあって、自分で相手を剥がして前に運んでいけるところは、見どころというか注目だと思います。
根津→茅野:茅野くんは、サッカー選手の中では割と小柄な方ではあるんですけれど、その小柄なところをしっかり活かしきれているというか、ドリブルとか、瞬間的なスピードみたいなところで、その自分の小ささを逆に武器にして戦っているなという風に思っていて、プライベートでは塾高時代からの同期で、今年で6年目になりますけど、ピッチ内外でその存在感というのを発揮してくれる素晴らしい選手だと思います。
――どのように存在感を発揮されてますか?
根津:ピッチ内では声だったりとか、鼓舞する声だったりとかを得意にしてくれていて、ピッチ外に関しては一緒に遊ぶ時間とかを過ごしていく時も、話題を提供してくれるじゃないですけど、いつも何かと楽しい話を持ってきてくれる、ちょっとその情報通みたいな。
茅野:いやいやいや、ちょっと、ちょっと待ってちょっと。
根津:ちょっと、うん。ちょっと違うか。(笑)
茅野:ちょっと嫌だわ。(笑)
根津:ピッチ内外でも楽しませてくれるなという感じですね。
――他己紹介の続きを
香山→根津:根津は見ての通り大きいので、身長を活かしたプレーっていうのはもちろんなんですけど、ここ最近はやっぱりキーパーとしてのはくというかオーラというのがついてきて、怪我とかもあってプレーできない時が続いてもやっぱりずっと慶應キーパー陣の中心にいて、頼もしくなってきているなというのはめちゃくちゃ思っています。ピッチ外は、何かと一緒にいることが多いんですけど、まあ良い距離感というか、喋りすぎず… 。時々可愛いところを見せてくれるのが、可愛くて良いなと思います。(笑)
――今シーズン、ご自身のプレーを振り返って
茅野:今シーズンは、ちょっと去年とは違ってあまり出られてないというか、結果も残せていないし、コンスタントに出てはないんですけど、途中出場で出ていた2試合は、自分の役割を理解して、途中から入るということなので、ゲームの流れだったり求められた役割っていうのを全うする、自分がやるべきことをやるっていうことは、今シーズンで心がけています。もちろん結果にはこだわっているんですけど、やっぱりチームに対して自分がやれることをやっています。
香山:今シーズンは開幕戦で2アシストできて、開幕3試合スタメンで出させていただいて良いスタートは切れたんですけど、開幕3試合目の後に怪我をしてしまって第7節まで怪我で出られないというところで、いち早くチームの戦力になるっていうところもそうですし、実際試合に出たら現状のチームの悪い流れとか、チームの流れを変えられるような、チームを勇気づけるプレーを意識してやっていきたいなと思います。
根津:去年2部から3部に落ちて、リーグのレベル感みたいなのは実際落ちているところもあって、去年ほどピンチをつくられるシーンが数としては少なくなっているので、その中でも3、4、5節の自分たちの勝ちがなかった時には、チームとしてのピンチのシーンは少なかったのに、そこを止めきれずに失点してしまって負けたりとか、引き分けになったりしてしまうというところが多くて、キーパーっていうポジション上、どれだけ止めても一点取られたらダメだし、逆に1本のピンチで決められてもダメだし、そこらへんを止める精度というか、もっと止めないといけないなというのは課題としてあります。
――ご自身のプレーの武器について
茅野:自分の武器は、周りの選手を活かしながら、その中で自分を活かしていくところで、具体的なプレーに関すると、コンビネーションで崩していくとか、入って行くとか。ゴール前で毎回嫌なプレーをするところだと思います。
根津:僕はやっぱり自分の身長を活かしたシュートストップというので、ペナルティエリア外からのロングシュートも何があっても決められたくないですし、そこら辺は自信を持ってプレーしています。
香山:自分は、腕の使い方は慶應1番だと思うので、攻守ともにドリブルとかも腕を使ってこじ開けて行ったり、相手を弾いたりする腕の使い方が1番武器かなと思います。
――具体的にどのような感じですか。
香山:相手の力の方向を変えたりするのが、自分的には1番こだわってやっています。
――今年で3年目ですが、ここまでで成長したこと、変わったことはありますか。
茅野:1番自分の中で変わったなと思うのは、本当に3年になるくらいのタイミングぐらいのところなんですけど、1、2年の時はとにかくもう自分のことというか、結果だったりのところをフォーカスしていたところがあったなって思って、ただ3年生になるってことで上級生になったので、もちろん自分のことも拘るんですけど、メンタルの部分で周りを客観的に見るというか、チームのためだったりとか、自分のことだけじゃなくてというマインドは変わったなと思います。
香山:自分は大学に入るまで、やっぱり県大会、都大会に出られたら「ラッキー、嬉しい」みたいなレベル感でサッカーをしてきて、大学に入って高いレベルのサッカーで今まで自分が考えてなかったことまで考えてやるみたいなところで、やっぱり1、2年の頃はとにかく新しいサッカーの出来事が楽しいというところでずっとやっていたんですけど、3年生になってある程度の知識をつけた上で、自分がお客様気分じゃなくて自分が慶應をどう勝たせていくかというところに責任感が生まれたかなと思います。
根津:僕も若干、香山と似ているんですけど、今まではただ単にゴールを守るだけに、プレーの中でゴールをさせなければいいみたいな、もちろんそれはそうなんですけど、それに加えてただ単にゴールを守るって言っても、その大学サッカー部っていろんな小中高の系列校のサッカーの中でもトップで、ただ単にゴールを守るっていうだけじゃなくて慶應の全体のゴールを守るんだっていう、僕中等部出身なので、そういう意識がすごい芽生えてきた。その責任感というか「慶應全体を守ってやるんだ」みたいなところは意識として芽生えてきたところかなと思います。
――皆さんにとって早慶戦とは
茅野:去年も同じこと言ったかもしれないですけど、ずっと憧れの舞台ですし夢の舞台でもあって、ここに入部した理由の一つに早慶戦に出たいっていうのがあるので、去年途中から出て、その目標というか夢というか、そういうのは叶えることはできたんですけど、それでも燃え尽きることはなくてもっと出たいと思うし、もっと活躍したいと思うし、なんなら早稲田に勝ちたいという感情が出てきていて、今でもずっと憧れの舞台だし夢の舞台だなという感じです。
根津:僕もほぼ一緒なんですけど、大学に入った時の決め手みたいなところが早慶戦に出ることで、去年それを達成して、やっぱり去年負けて思ったのは早慶戦に出ても勝たなきゃ意味がないなっていうのはすごい思ったので、ただ単に憧れの舞台ってだけじゃなくて、そこで勝利を掴み取って全員で喜ぶという快感みたいなのを得たい場ですね。
香山:根津とか茅野と違って、自分は去年も一昨年もスタンドで応援する立場で、1年の時とかはもう早慶戦は別世界のものだと思っていて、そんな出られるとかやれるとかは全然想像していなかったんですけど、まさに夢の舞台なので、夢が実現するっていうところで精一杯頑張りたいと思います。
――早慶戦でどんなプレーに注目して欲しいですか
茅野:僕のことを「圧巻の突破力」とよく形容してくれるので、「圧巻の突破力」でお願いします。
根津:「気迫のこもったセーブ」を見て欲しいです。
香山:僕まだキャッチコピーないので…
茅野:キャッチコピー作れば良いやん。香山が。
香山:なんかいいのない?
根津:「俺の腕を見ろ」
香山:ダサい。(笑)
茅野:ダサいダサい。(笑)
茅野:あ、言い忘れてたんですけど、香山はバスケ部出身で…。
香山:中学時代はサッカーちょっといいかなって思って、帰宅部でバスケをやっていました。
――バスケで鍛えられたところとかはありますか?
茅野:いや、でもマルチスポーツの権化って感じ。
香山:いろんなスポーツを取り入れてみたいな。
――あとは、何をやられてたんですか?
香山:結構力を入れてやっていたのはバスケなんですけど、卓球とかバトミントンとか水泳とかそういうところから、ステップとかを取り入れて結構トレーニングしています。
――早慶戦への意気込みを教えてください。
茅野:自分はまず、もちろん出ること、メンバーに入ることですし、スタメンで出ることにこだわりを持ってこの1ヶ月間を過ごしたいと思っていますし、その中でも試合に出て結果を残すために、自分がチームに対してできることを考えて、チームの勝利に貢献したいなと思っています。
根津:やっぱり、サッカーの早慶戦って他の早慶戦とかと違ってエンタメ要素が強いところがあるので、いろんな歌手の方を呼んだりだとかっていうのを考えると、やっぱりお客さんを楽しませるっていうのはすごい大事だと思うので、僕個人がどうこうっていうよりかはチーム全体でお客さん全員を楽しませられるようなサッカーが体現できたらなと思っています。
香山:早稲田とか慶應はみんな、すごいキャリアの人とかいるので、自分が早慶戦で通用するんだっていうところを見せて、高校でまだ全然高いレベルでないところでやっている選手たちの希望になりたいなと思います。
(茅野選手への質問)
――延世大学(韓国)への留学で得られたものは
茅野:いやーもうたくさん。
根津:遊び?
茅野:いやいや、たくさん。たくさんあるんですけど、え、それはサッカーの話ですか?
香山:お前それはサッカーだろお前。(笑)
茅野:サッカーの面でいうと、向こうはこっち以上に結果主義で、結構試合とかも出させていただいたんですけど、ゴールを取ったりとかアシストしないとボールが来ないっていうか、本当にそういう空気感なので、延世で学んだのはやっぱその結果へのこだわりだったり、個人のプレーの幅を広げないと生き残っていけないんだなということです。まあ、ただ韓国と日本は、延世と慶應は違うので、そこをうまく慶應の中にどう活かしていくのかっていうのはちょっと課題でしたけど、まあそこを今取り組んでいるって感じです。サッカー以外だと、まず国際的な交流ができたっていうのはすごく大きくて、そこでできた友達もそうですし、本当に2週間一緒に寮で朝から晩まで暮らしていたので、その中でできるコミュニケーションだったりとか、とにかく筋肉、筋トレのところだったり、まああと韓国料理が美味しいなーっていうところとか。あと向こうはオンとオフをすごく分けるのが上手で、週5練習して週2オフなんですよ。土日オフなんですよ、向こうは。週5はしっかりサッカーに全部集中して、週2は休んで。
香山:精一杯遊んで?(笑)
茅野:遊んではない。違う違う。ちゃんと筋トレとかしてたんですけど、そういうところはすごい素敵だなーって思って、日本に帰ってきてからもオンとオフっていうところは…。
全員:(笑)
(根津選手・香山選手への質問 )
――お二人(根津さん、香山さん)は、怪我をされた中で、モチベーション維持の方法や、どのような思いで見守っていたかを教えてください。
根津:やっぱり僕はトップチームのメンバー外で、実際に応援歌を歌うっていう経験が初めてで、外から見てると、こんなにみんな声出してくれてたんだっていうのを、すごい外に出て感じるところがあって。これだけいろんな人が声出して、運営もやって、で試合を成り立たせてくれているんだっていうところをすごく実感して、そういうところに感謝の念みたいなのはすごく感じました。モチベーションは、香山とかは結構長い怪我なんですけど、僕は1ヶ月くらいなのでやっぱり怪我をとにかく早く治して、どれだけ早くピッチ内に復帰できるかみたいなところに専念しているので、そこまでモチベーションが落ちる要素はなかったかなと思います。
香山:僕は去年も4ヶ月くらい怪我で離脱してて、今年も1ヶ月ちょっと怪我で離脱して、その中でのモチベーションとしては、こんな長い期間あったらなんでもできるなーって思って。復帰した時にこれやってやろうかなみたいな、いろいろ自分の将来像みたいなのを想像してワクワクした気持ちでやっていました。
――以上になります。ありがとうござました!
(取材:長掛真依)
★3人が早慶戦のピッチで「心・技・体」を体現する