6連勝を達成し、この勢いのまま首位まで上り詰めたい慶大。今節はリーグ上位に位置する専修大学との一戦とあり、試合開始直後からゴールに迫られる。ハイプレスも続きパスの乱れが相次ぐ中で、23分にはPKを与えてしまう。ただここはGK根津拓斗(政3・慶應)のファインセーブで先制を許さない。このプレーを皮切りに慶大が徐々に流れを取り戻し、41分には右サイドの茅野優希(政3・慶應)のクロスを受けた田中雄大(商2・成城学園/三菱養和SCユース)がファーサイドから右足を振り抜き待望の先制点。するとその2分後、球際で競り勝ったボールを香山達明(経3・慶應志木)が右サイドからゴール前に運び、サイドチェンジして山崎健翔(法4・桐蔭学園)へ。山崎のパスに、最後は茅野がうまく合わせて追加点。後半は同点に追いつかれるも、90+1分、右サイドからのパスに塩貝健人(政1・國學院久我山)がゴール左上に突き刺す勝ち越し弾を決める。相手の猛攻を凌いだ慶大が7連勝を飾り、勝ち点3を獲得した。
2023/10/1(日)14:00キックオフ@専修大学生田北グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学3ー2専修大学
【得点者】
41分 田中雄大(慶大)
43分 茅野優希(慶大)
67分 貝賀鼓太郎(専大)
70分 浦川流輝亜(専大)
90+2分 塩貝健人(慶大)
◇慶大出場選手
GK
21 根津拓斗(政3・慶應)
DF
2 内藤豪(法3・駒澤大)
5 山口紘生(商3・國學院久我山)
3 山本献(商4・國學院久我山)
MF
27 祖父江圭悟(総4・滝)
6 道家拓真(環4・鹿島学園)→83分 17 荘司慈英(商3・慶應)
20 田中雄大(商2・成城学園/三菱養和SCユース)→73分 14 角田惠風(商2・慶應/横浜F・マリノスユース)
13山崎健翔(法4・桐蔭学園)
FW
11塩貝亮太(商4・暁星)→HT 10 塩貝健人(政1・國學院久我山)
29 茅野優希(政3・慶應)
18香山達明(経3・慶應志木)→52分 7 熊澤維吹(文4・國學院久我山)→74分 15 清水皇貴(経2・三田学園)
6連勝を達成し、波に乗る慶大。前節から僅か3日という連戦の中で、先制点をあげて主導権を握っていきたい。そんな慶大の思惑を見透かしたかのように、専大はサイドのスペースや足を活かした攻撃で慶大に向かってくる。開始2分には、左サイドからDF3枚を掻い潜ってクロスを打たれる。ヒヤリとした場面で判定はオフサイド。その後は慶大がボールをキープするも、専大はDF陣のみならずボールを持つ選手へのハイプレスを終始かけてくる。パスの乱れを招きボールを奪われると、そのままDF数枚を抜かれてゴール前に侵入されるシーンも多発した。すると23分、相手にPKを与えて最大のピンチを迎える。ただここは、GK根津拓斗(政3・慶應)のファインセーブで先制を許さない。
根津のこの渾身のプレーから、流れは徐々に慶大へ。DF陣へのハイプレスは止まるところを知らずパスが通らない場面も目立ったが、32分には左サイドの田中雄大(商2・成城学園/ 三菱養和SCユース)から、山崎健翔(法4・桐蔭学園)と塩貝亮太(商4・暁星)を経て、右サイドでフリーになっていた祖父江圭悟へ。右サイドのゴール手前で塩貝亮と祖父江がクロスを目論むも、祖父江のキックは高く上がり相手GKへ。33分には、茅野優希(政3・慶應)や香山達明(経3・慶應志木)、塩貝亮が右サイドから敵陣を切り崩しにかかり、CK(コーナーキック)のチャンスも獲得するなど、慶大が主導権を奪う。
すると41分、相手のパスの隙を突いた茅野優希がボールを奪うと、そのままドリブルでゴール前へ運んでミドルシュート。惜しくも相手GKに止められるが、ボールは右サイドに残る。相手のパスのミスに内藤豪(法3・駒沢大)が対応すると、そのボールを受けた田中雄大が右サイドの茅野優希へとパス。茅野が田中にボールを戻し、ファーサイドからシュートを叩き込み先制。さらにその2分後には球際で競り勝ち、右サイドから香山達明が駆け上がって山崎健翔へ。山崎のクロスから、最後は茅野優希がボールを押し込み2点目。2点のリードで前半を折り返す。
2点リードで迎えた後半戦。序盤はボールが落ち着かず、しばらくは我慢の時間が続くが、山口紘生(商3・國學院久我山)らDF陣の体を張ったプレーで難を凌ぐ。それでも54分、慶大は右サイドでボールを奪うと、パスを繋いで左へ展開。相手選手と競り合いながらも、ルーズボールを拾った田中雄大が、持ち前の正確なキックでゴール前の茅野優希にパスを出すも、相手DFのマークでうまく枠を捉えることができない。その後も、茅野優希や塩貝健人(政1・國學院久我山)を中心に何度もゴールに迫るが、あと一歩のところで3点目を奪うことができない。
一方の専修大も、まずは1点を返そうと攻勢を強めるが、DF・内藤豪のクリアやGK・根津拓斗のセーブで何度もピンチを乗り越える。67分、相手のシュートを根津が手で弾いたものの、シュートの勢いが勝り失点する。さらに70分には、同点弾を許してしまう。しかし、不安を払拭するかのように、慶大は再び攻勢を強める。そして90+2分、エース・塩貝健人が勝ち越しゴール。慶大メンバー、ベンチ、応援、その全てが歓喜に包まれた。最後までボールが落ち着かずヒヤリとする場面もあったが、途中出場の清水皇貴(経2・三田学園)やDF陣をはじめ、全員で粘り強く守り抜き3ー2で専修大に勝利を収めた。勝利の瞬間には、再び慶大サイドが歓喜に包まれた。
慶大は、この試合で7連勝を達成した。10月5日時点で、慶大は勝ち点33で2位を堅守。同日の試合で1位の神大が明学大に敗れたため、5点あった神大との差は2点に縮まった。一方、3位の城西大は勝ち点31で慶大とは2点差という接戦である。慶大は、次節が城西大戦、その次は神大戦と、優勝・2部昇格争いを大きく左右する負けられない試合が控えている。まずは7日の城西大戦、慶大らしいソッカーで勝ち点3を掴み取って欲しい。
(取材:長掛真依、佐藤光)
以下、監督ならびに選手インタビュー
淺海友峰 監督
――今節の勝利で7連勝となりました。今節振り返っていただいていかがですか?
今節は、相手が後半に強いという印象があったことと、連戦ということを意識して選手の配置をしたんですがイメージ通りにはいかなくて。専修大学さんのクオリティーが凄く高いなということが正直ありました。
――今回も同様、毎回スタメンを入れ替えながらの試合が続いているかなと思うのですが、その意図についてお伺いできますか?
今回はシンプルに連戦だったということですが、うちの良いところでもあるんですけど悪いところでもあって、選手1人1人の「個」の差があまりなくて。だからこそターンオーバーを使えるというか、逆に言うとちゃんと戦術を理解して卒なくプレーできているというのは良い部分だと思います。ただ突き出た「個」が少ないことは良くないことではあるとは思いますけど、そういう意図で(色々な選手を)使っている感じですね。
――現在リーグ1位の神奈川大学戦も近々控えていますが、何かチームで力を入れている部分であったり、取り組んでいる部分について教えて下さい
中断期間には相手を想定した練習を少ししましたけど、僕らが詰めてきたのは「目の前の試合に集中する」ということだけなので、そこはぶらさずにやっていけたらいいかなと思います。
――次節に向けての意気込みをお願いします。
怪我だったり、今日も怪我人出たりとか、つった選手とか、専修大学さんも出たみたいですが、体調不良が増えていて、全国的なものなのでしょうけれど、コンディションを整えて、備えていきたいと思います。
根津拓斗(政3・慶應)
ーー今日の試合を振り返って
まず、7連勝がかかっているという重圧のかかる試合で、僕も第5節以来でしたので、正直とても緊張していたのですけれども、開始早々にPKで自分の中で勢いに乗れたのが大きかったのかなと思います。そこで2点味方も取ってくれて、後半もう少し楽に進めたかったのですが、2失点してしまって、自分たちで試合を難しくしてしまったなという感じです。結果的に、最後は健人(=塩貝健人)が決めてくれたからよかったのですが、もう少し楽に進められた試合かなというところが反省点としてあります。
ーー第5節以来のスタメンでしたが、ご自身のプレーを振り返って
わりとアップから体は動いていたので、それを試合でうまく出せたのかなと思います。最後の方のパントキックとかも狙ったところ遠くに蹴れていたので、狙ったことをしっかりとできたという意味ではすごく良い試合だったのかなと思います。ただ、最後に連続2失点してしまったせいで、試合を難しくしてしまったので、どちらかさえ止めていればチームがもっと楽になったのかなと。重要なところを、もう一個止められるキーパーになる必要があるのかなというのは反省点としてあります。
ーーかなり声が飛び交っていましたが、どのようなコミュニケーションを
できるだけリスク排除しながら点をとりにいくとなった時に、慶大は健人(=塩貝健人)が前線にいて裏をとりに行くというのが1番効率的だったので、後ろでリスク排除しながらカウンターに前を使うっていうところで、声かけは意識していました。あとは相手が前線にかけてきていて、常に3枚くらい裏抜けを狙っている中で誰が抜けてくるかというのは、90分間としてずっと意識的に声をかけていたかなと思います。
ーー次節への意気込み
僕が出られるかどうかは分からないですけど、出られたら8連勝つかみ取れるように、また来週も良い準備してやっていこうと思います。
茅野優希(政3・慶應)
――2試合連続でのゴールとなりましたが、ゴールシーンを振り返っていかがですか?
自分たちが練習の中で取り組んできた形が出せたので、そこは凄く上手くいったというか、綺麗な形で点が取れて、僕は最後本当に触るだけだったんですけど、そこに行くまでに仲間のお陰で点が取れたなと思います。
――同点になってからのチーム全体としての動きや声掛けというのは
去年は2部でプレーしていましたが、こういう展開が多かった時に、自分たちで立ち直れなかったり崩れたりしてしまうことも多かったんですけど、今年のチームではそういうところをなくしていこうということで、ピッチ内の声掛けだったり、ベンチワークも含めて、全員で一体感を持ってできたことは、今日逆転できた理由かなと思います。
――7連勝ですが率直にいかがですか?
めちゃくちゃ嬉しいです。7連勝という数字はとても嬉しいですが、昇格や優勝という結果が付いてこないと意味がないので、今日は喜んで、明日からは次の城西大学戦に向けて、個人としてもチームとしても準備していかなければと思います。
――次節への意気込みをお願いします
自分が出られるかは分かりませんが、出るための準備を100%して、仲間のために、組織のために、チームが勝つために自分ができることを全力でやりたいと思います。準備の部分は変わらず続けていきたいと思います。