12月2日、第58回少林寺拳法早慶定期戦が日吉記念館にて行われた。
今年から、女子拳士の活躍の場を増やすために男女に分かれて試合が行われた。女子戦は、先鋒が不戦敗に終わると、続く次鋒・湊夏子(法2・フェリス女学院)も敗れ、早々にピンチを迎えてしまう。中堅・多家桜子(看4・都立国立)、副将・田川千鶴(政4•清泉女学院)が引き分けるも大将・庄司百伽(法4・山形東)が勝利し、勝敗の行方は男子へと託された。男子戦では先鋒・小杉海斗(商2・慶應)が引き分けるも、次鋒・田邊千明(経2•厚木)がテンポ良く技を決め、慶大が2勝目をあげる。しかし、中堅・林大志朗(理4•成蹊)が敗れ、副将・山崎光輝(経4・攻玉社)が引き分け迎えた主将戦。決死の攻防が繰り広げられるも最後は慶大大将・佐藤生一(文3・日大豊山)が早大大将・宇田樹(教4・早稲田実業)に敗れ、2勝4敗4分となり4連覇には届かなかった。
【対戦表 女子戦】
慶應 早稲田
先鋒 ● 秋山果凛(教1・三段)
次鋒 湊夏子(法2・1級) ● 0ー2 今村千砂(文1・6級)
中堅 多家桜子(看4・三段)△ 1ー1 三森菜々香 (法4・四段)
副将 田川千鶴(政4・初段)△ 1ー1 遠藤直(文構4・三段)
大将 庄司百伽(法4・初段)○ 1ー0 関音葉(文構4・初段)
結果:1勝2敗2分
【対戦表 男子戦】
慶應 早稲田
先鋒 小杉海斗(商2・1級) △ 1ー1 福島綾哉(文構2・三段)
次鋒 田邊千明(経2・1級) ○ 4ー2 高橋佑(スポ2・三段)
中堅 林大志朗(理4・初段)● 0ー2 江川小次郎(商4・初段)
副将 山崎光輝(経4・初段)△ 0ー0 小川泰平 (法3・初段)
大将 佐藤生一(文3・二段)● 2ー3 宇田樹(教4・三段)
結果:1勝2敗2分
【最終結果】
2勝4敗4分で、慶應の敗北。
【競技説明】
試合は前後半1分ずつ、間に1分間の休息を挟む。判定は中段突き、上段突き、中段蹴りの技ありのみで、その本数の差によって試合の勝敗が決する。また、場外に4回追い出されると負けとなる。最終的な早慶定期戦の勝敗は、男女合わせた勝利数が多い方となる。
今秋行われた第57回全日本学生大会にて4年ぶりに総合1位を獲得した早大を日吉記念館に迎え、小杉の開会宣言で第58回少林寺拳法早慶定期戦が幕を開けた。山内嶺央(令和5年経卒)、小林慶大(薬4・都立国立)による披露演武が終わり、会場内は大いに盛り上がった。
【女子戦】
女子の先鋒が不戦敗に終わり、始まった次鋒戦。湊は粘るも、早大の勢いに呑まれて0ー2で敗れてしまう。2連敗の中、迎えた中堅戦。多家は序盤に技ありを取られ厳しい展開を迎えるも、後半に中段蹴りを決めて引き分けに持ち込む。続く副将の田川も先に技ありを取られ、3敗目を喫すると思われたなか、終盤に上段突きを決め引き分けとする。
これ以上負けられない大将戦。序盤は膠着状態が続くも後半に庄司が上段突きを決め、試合を有利に進めていく。だが、試合終了残り7秒で庄司が足を負傷し、5分間試合が中断された。再開後も庄司は集中力を切らすことなく1本を守り抜き、この日初めて慶大へ勝利をもたらした。
【男子戦】
女子戦が終わり会場の余韻も冷めやらぬなか、男子戦が始まった。先鋒の小杉は体格差ある相手に苦戦するも中段蹴りを決める。だが、終了間際に相手に技ありを決められ引き分けに終わる。すると、次鋒の田邊が積極的に仕掛け、前半のうちに突きと蹴りで2本の技ありを決める。後半にも中段蹴りを2本決め、相手の反撃をかわし4ー2で勝利した。
続く中堅戦では、林が相手を場外へと2回追い出すも2本の技ありを決められ、0ー2で敗れてしまう。後が無いなかで迎えた副将戦。慶大は山崎が健闘するも、両者決め手を欠き0ー0の引き分けとなる。そして、この日最大の声援が観客席と部員から響いた大将戦。先に技ありを決めたのは早大の宇田だったが、慶大の佐藤も負けじと中段突きを決める。後半開始後、またも技ありを先に決められてしまうが、佐藤の突きで慶大の旗が上がり2ー2の同点とする。一瞬も目を離せない緊張感が記念館を覆うなか、最後は宇田に技ありを決められて2ー3で敗北を喫した。
この結果、2勝4敗4分で慶大は惜しくも敗戦した。
試合後、早大の拳士たちが輪になり「紺碧の空」を歌うなか、慶大の拳士たちの目には涙が浮かんでいた。4年生はこの試合をもって引退するが、下級生には来年以降の早慶戦の雪辱、さらには日本一に向けて力強い歩みに期待したい。
♦︎選手コメント
湊夏子(法2・フェリス女学院)
ーー先鋒が不戦敗、次鋒戦はどのように臨みましたか?
先鋒が勝てていなかったのでプレッシャーはありましたが、本番は練習通りには行かないと思って臨みました。
ーー来年以降への意気込みをお願いします!
慶應の女子部員がかなり少なくなってしまうので、私が頑張らないといけないなと思っています。本番に慣れていなかったことがあるので、実戦を積んでいきたいです。
多家桜子(看4・都立国立)
ーー早慶戦に向けて、どのような部分を意識して練習に取り組まれましたか?
これまでの試合経験が少なく、立合も相手の方が経験豊富だったので、試合に慣れるために多くの試合を経験してきました。得意技の蹴りをたくさん練習してきました。
ーーチームの雰囲気はいかがでしたか?
基本的には和気藹々でしたが、全日本学生大会が終わり早慶戦の勝利に向けて出場する人、出場しない人も一丸で勝利に向けて練習に取り組めたと思います。
ーー後輩へのメッセージをお願いします!
あまり良い結果を残せませんでしたけれど、後は頼んだぞ。
田川千鶴(政4・清泉女学院)
ーー試合終了間際に技ありを決め同点としました。率直な感想をお願いします。
昨年も残り数秒で後1本行けたが行かなかったことが心残りだったので、今年はやるしかないと思っていました。
ーー初めての男女戦となった今大会。いかがでしたか?
チームの一体感を出すにも、男女混合の方がいいなと感じました。女子と男子では熱量が異なり、女子だけでは盛り上がりがまだまだ難しいのが正直なところです。
ーーチームの雰囲気はいかがでしたか?
今年はいい雰囲気で来れましたけれど、最終的に勝利に繋げなかったのは私達の力不足だと感じています。
ーー後輩へのメッセージをお願いします!
慶應のプライドを持って、最後まで戦ってほしいです。期待しています。
庄司百伽(法4・山形東)
ーー試合中の怪我もあった中の勝利でしたが、いかがでしたか?
4年間の練習は嘘をつかない、自分らしい動きを意識して、勝っていい流れで男子戦に繋げたいという思いで戦いました。
ーー大将として臨んだ今回の早慶戦、振り返ってみていかがでしたか?
プレッシャーは感じることなく、前に信頼できる仲間が前に4人いたので、大将という立場を任せてもらって自分はリラックスして臨めました。
ーー早慶戦に向けてどのような準備をされましたか?
立合リーダーという練習メニューを一から考えるポジションにいたので、全員が勝てるメニューを考えて、自分自身も練習に一生懸命取り組んできました。
ーー後輩へのメッセージをお願いします!
来年こそ、二冠(全日本学生大会総合優勝、早慶戦完全優勝)を目指して欲しいです。
小杉海斗(商2・慶應義塾)
ーー早慶戦に向けてどのような準備をされましたか?
相手が大きい選手なので、リーチの長い選手に間合いを取る練習を繰り返しました。
ーー練習の成果、リーチの長い相手への作戦は今回の試合で出せましたか?
相手も作戦を考えてきて攻撃しづらい状態が続いきましたが、引き分けということである程度の成果は出せたと思います。
ーー先鋒は緊張されましたか?
最初緊張するかと思いましたが、観客席・部員の応援の声がとてもよく聞こえて、緊張が吹っ飛び試合に集中できました。
ーー来年以降への意気込みをお願いします!
今年は負けてしまったが、来年以降はもっと力をつけて完膚なきまで勝てるように頑張りたい。
田邊千明(経2・厚木)
ーーテンポよく技を決め、4ー2の勝利。どのような準備をされましたか?
相手の試合の動画を見たが短時間で対策をうてず、部内の強い人間と戦い自分を強くするように練習してきました。
ーー来年以降への意気込みをお願いします!
来年は3年生で幹部代となるので、実力だけでなく人間性も成長していきたいです。
林大志朗(理4・成蹊)
ーーご自身にとってどんな引退試合となりましたか?
自分が勝っていれば慶應としても勝てていたので、とても悔しい試合でした。
ーー後輩へのメッセージをお願いします!
今年のメンバーはうまい選手が揃っているので、来年以降も全国大会、早慶戦でいい結果を出して欲しいです。
山崎光輝 (経4・攻玉社)
ーー両者なかなか攻めることができない試合展開でしたが、率直な感想をお願いします。
負けないで最低でも引き分けで大将戦に繋げたい、と考えていました。試合途中で行こうかなと思った瞬間もありましたが我慢して、チームとしての作戦を意識しました。
ーー4年間を振り返っていかがですか?
途中入部で部活は2年間しかありませんでしたが、中味を濃くしたかったので後悔はないです。
ーー後輩へのメッセージをお願いします!
男女ともに負けてしまいましたが、来年は早慶戦だけでなく、学生大会でも優秀な成績を残して欲しいし,自分に何かできることあればサポートしていきたいです。
佐藤生一(文4・日大豊山)
ーー大将として臨んだ早慶戦。率直な感想をお願いします!
悔しいの一言。相手の宇田君とは関東大会、世界大会で引き分けで来ていて、最後この場で絶対勝ちたかったが負けてしまいました。
ーー後輩へのメッセージをお願いします!
今年悔しい思いをさせてしまいましたが、実力のあるメンバーなので日本一を期待しています。
(記事:岡里佳、写真:大泉洋渡)