46年ぶりに悲願を達成した慶大庭球部。王座優勝の率直な感想、今後についてなどインタビューを行いました!本編は、入学時はコロナ禍で辛さを味わったが、そんな困難を乗り越え、そして歴史を塗り替えた4年生と、そんな4年生に「思い入れがすごくあった」という一つ上の代の尾原太成さん、日置和暉さんです!
神田喜慧 主務(政4・慶應湘南藤沢)
——優勝おめでとうございます。優勝した時のお気持ちと、優勝した瞬間は、号泣してなかなか立ち上がれない様子もありましたが、その時を振り返っていかがですか
ありがとうございます。未だにお祝いのお言葉を頂けるのは嬉しい限りです。 チームに大きな期待を向けられていた分、なかなか最後の1試合が勝ち切れず、シングルスが始まってからの時間は果てしなく感じました。一度大きく下を向いてしまった瞬間もあり、不思議と鮮明に覚えています。 周りから心無い言葉を言われることも多く、王座優勝出来なければ自分たちの責任、特に自分らの責任が大きいのもあって、その重さから解放された感覚が一番大きかったです。
優勝した瞬間の一番大きな感情は、喜びより安堵でした。今年優勝出来なければ僕らにとっては意味の薄い王座になってしまいますし、勝って結果を出してナンボなのが勝負の世界だと思うので。
最後に菅谷が勝ってくれた瞬間は、チームの背負っていた重荷が無くなった様な感覚がしたのを覚えています。
今となっては恥ずかしいですが、あの時は本当に立ち上がることすら出来ませんでした。
あとはただただ幸せでした。他人には理解されないであろう幸福感を1人贅沢に噛み締める。全員が同じことをしていたと思います。王座優勝のために行動してきた人ほどその幸福感は大きかったと思います。
——主務としてチームを優勝に導きました。主務を務めていて辛かったこと、やりがいに感じたことなど、印象に残っていることはありますか
やりがいは正直あまり感じることができず、苦しい事、嫌な事、辛い事ばっかりだったなと感じています。ほとんど毎日なんで主務やってるんだろうと考えていました。今でも思います正直。
ただ自分が自分でいる以上、主務は断らなかったんだろうなと今は考えてます。大小様々な判断の連続が今の自分を形作っている中で、運良く大きな決断の瞬間を頂けたのは、縁があったからだと思いますが。そう考えるとあの判断をした瞬間は印象的な出来事の1つです。
幹事になってからは少なくともチームの潤滑油になることは意識してました。素晴らしく仕事が出来る人間ではないのでその代わりじゃないですけど、部員と無理に接点を作ってでもコミュニケーションを取っていくのはとても楽しかったです。
幸運なことに今年は優勝することができました。自分があの瞬間を主務として立ち会えたことに、本当に大きな意味があったと感じています。「優勝した時に主務でいる方が普通の部員でいるより良いだろうな」という想いが実っただけでも、充分に幸せな主務です。
他に印象に残っていることといえば、藤原と航平が決勝に進んだ日のことは鮮明に覚えています。決勝も1人のテニスファンとして試合を見ていましたが、今でも鮮明に思い出せます。主務生活の中でインカレ帯同は一番楽しかった時期です。
——庭球部での4年間とこれまでのテニス人生を、今後の人生にどう活かしていきたいですか
少なくとも最後の1年、特に王座優勝の経験は何にも代えられないものなので、心の支えにしていこうと思います。
目標に向かって愚直に突き進む、自分の事について考え続ける姿勢は、テニス人生を通じて得る事が出来たモノだと思います。また、大学4年間で型にハマったものでもあるので、変わらず自分をグレードアップさせていきたいと思います。
特に社会人になってからは自分で自分をコントロールしなければいけない、環境を自分で変えないといけない事が多いと思うので、最大限自分が得た型を活かしていきます。
——同期の皆さんにはどんな言葉をかけたいですか
感謝を伝えたいと思います。
1年の頃から考えると到底主務になる器ではなかったと思います。あと、引退直前にして「同期」という何かを感じる様になりました。
自分がノリ良く酒を飲むタイプじゃないのが悲しいですが、変わらずみんなとテニスはしていきたいです。
4年間ありがとうございました。
——後輩たちにメッセージ
引退日にも言いましたが、今を全力で生きてほしいと思います。
部活に100%注げとは言いません。僕も100%テニス部!って訳ではなかったので。ただテニス、部活、好きなこと、勉強などなどを自分なりの全力でやり切って欲しいと思います。
大学生活を振り返ると、「最後」は最後と気付く前に終わっていました。これが最後かもしれない!と頑張るのはキリがないので難しいですが、今やるべきことを全力で、ならまあ出来るかなと思います。
昨日より今日をより良き日にする。難しい様でやってみたら意外と簡単だと思います。
4年間は長いけど全力でやり切るには短い気がする。残りの庭球部生活も頑張れ!
——最後に一言
この10年間、色々な人に影響を受けながら自分が正しいと信じる道を進んで来ました。
出会ってくださった皆様に、心からのお礼を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。
来年からは更なる荒波に揉まれていきます。
酒井亮(政4・慶應ニューヨーク)
——優勝おめでとうございます。率直なお気持ちをお願いします。
ありがとうございます。慶應は王座準優勝を何度も繰り返しあと一歩のところまで来てはいましたが、優勝はとても遠い存在でした。その中で自分たちの代で遂に掴み取れたことを嬉しく思います。マッチポイントの足が震えるほどの緊張、菅谷が勝った時の歓喜、安堵は今でも忘れません。優勝後はあまり実感はありませんでしたが、庭球部外の友人から「日本一おめでとう」と言ってもらえた時は、凄いことを成し遂げたんだなと感じました。
——「VITALITY」というスローガンを掲げ活動してきたと思いますが、チームとしての1年間を振り返っていかがですか。
目標である王座優勝に近づくごとにVITALITYが増していったなと思います。藤原主将のチームが発足した当初はスローガンが形骸化していた気もしていました。ただ学年を超えて仲の良いチームが出来たことで王座優勝が引退する4年生のためのものでなく、「このチームで勝ちたい」と全員が思えたのではないかと考えています。
——入学当初に思い描いていた姿と今を比較してみて、「ここ成長したな」など思う部分はありますか。
自分が思っていたよりも成長できてないんじゃないかなと思うことの方が多いです。テニス面でも大きな結果は残せなかったですし、4年間何してたんだろう?と思う時がしばしばあります。強いて言うなら、同期にアニメ、漫画好きが多いので、雑なボケに対してどの作品の何のシーンかを引っ張り出す頭の回転の速さが培われたかもしれません。
——同期の皆さんにはどんな言葉をかけたいですか。
疎遠になるかもしれないけど連絡取ろうね。
——後輩たちにメッセージをお願いします。
わがままをあまり言わない。学年を超えて仲良くなるのは良いことですが、意見を言うのとわがままを言うのは違うと思います。自分の良いようになるまで駄々をこねるのではなく、黙って、我慢して何かをやることも大事だと思います。その我慢が後々大きな爆発力になると思うので。ほぼ制約と誓約みたいなもんです。
高山統行(経4・慶應)
——優勝おめでとうございます。率直なお気持ちをお願いします。
言葉では表せないくらい嬉しいです。どんなに全力で頑張ったとしても優勝できるチームは1チームです。その中で「日本一」という夢を叶えることができて感無量です。
——優勝した瞬間、どなた様の顔が一番に浮かびましたか。
部員全員の顔が思い浮かびました。
——このチームが勝てた1番の要因、強みはどこにあったと思いますか。
主将の藤原を中心に、お互いを信頼し合い、「日本一」という目標に全員が一直線で向かっていった事だと思います。
——同期の皆さんにはどんな言葉をかけたいですか。
4年間ありがとう!!
——後輩たちにメッセージをお願いします。
より良き部を作ってください!
竹内悠大(経4・慶應湘南藤沢)
——優勝おめでとうございます。率直な気持ちをお願いします
4年間で1番チャンスのある年だったので優勝できて良かったです。リーグ・王座でプレーした選手、サポートをしていた部員、王座の応援に来てくれた女子部員含め感謝の気持ちでいっぱいです。
——王座優勝するにあたり、一番難しかったことと、それをどう乗り越えていきましたか
難しかったのは、王座に早稲田がいなかったことで初めて向かってくる相手と王座決勝で対戦した点だと思います。
部員全員が全ての対戦で全勝を求めたこと、去年の女子の2連覇を間近で見たことが危ない場面があっても最後勝ち切れた要因だと思います。
——竹内選手にとって、「慶大庭球部」とはどういう存在ですか
良くも悪くも大学生活の全てです(笑)
——同期の皆さんにはどんな言葉をかけたいですか
最高の終わり方!!!おめでとう!!!
——後輩たちにメッセージをお願いします
早稲田を超える18連覇目指して頑張れ!!!!!!
西野大成(経4・かえつ有明)
——優勝おめでとうございます。率直なお気持ちをお願いします。
ありがとうございます。
最高です。一昨年、昨年と王座決勝で負けてきたので、最後の年に王座を獲ることができて本当に光栄です。
4年間サポートしてくださった、OB・OGの方々、監督コーチ陣、先輩、後輩、同期、家族、そして応援してくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
46年の慶應体育会庭球部の想いが詰まった優勝だと思います。本当にありがとうございます。
——学連として大会を支え、サポートとしてチームを支えましたが、多方面でのご活躍を振り返っていかがですか。
関東リーグ戦では学連の業務のため、チームの応援ができず悔しい思いをした時もありましたが、学連も最後までやり抜いて良かったと思います。リーグ戦では初のYouTube ライブ配信を実施するなど、学連でも非常に貴重な経験をさせていただきました。
——「慶大庭球部だからこそ」良かったことはありますか。
慶應には様々な入試形態があるからこそ、庭球部にも様々なバックグラウンドを持っている人がいて面白かったです。それ故に意見が割れたり、考えが合わないことも多々ありましたが、自分にとっては非常に貴重な機会になりました。
——同期の皆さんにはどんな言葉をかけたいですか。
みんな大好きです。
飲み会にはきて欲しいです。
結婚式にも呼んでください笑
これからもよろしくお願いします笑
——後輩たちにメッセージをお願いします。
今まで本当にありがとうございました。最後の王座でみんなと優勝できて本当に嬉しかったです。
来年のリーグ、王座を楽しみにしてます。
文武両道でかんばってください。
そして今後ともよろしくお願いします。
尾原太成さん(R5理卒)
——優勝しました!率直な感想をお願いします
なかなか感情が入り乱れてて、うまく表現できないというのが率直な感想ですね。まずは本当におめでとうございます。そして本当にありがとうございますということで、歴史を変えてくれた後輩たちに心の底から感謝したいですね。また新しい歴史を築いていってほしいなと思います。
——後輩たちの戦いぶりについては
本当に泥臭くていい試合をしてくれたなと思います。最後の最後のボールを追いかけてて、見てて心惹かれるものがありました。
——神田主務への想い
本当によくやってくれたと思います。彼が主務を引き継ぐとき、すごく迷っていた瞬間を目の当たりにしました。最終的に主務を引き受けてくれて、こうして王座優勝にチームを導いてくれて、本当になんと言えば良いか分からないぐらい感謝しています。
日置和暉さん (R5環卒)
——優勝しました!率直な感想をお願いします
運命的に感じたのが2つあるんですよ。今日10月4日、僕の誕生日なんですよ。王座の日程が出たときに、10月4日に王座の決勝があるというのを聞いて、「呼ばれてね?」って思ったんですよね(笑)藤原、林、神田の代は思い入れがすごくあったので、きっと彼らは僕に誕生日プレゼントをくれるんじゃないかと思っていて。そしたら、本当にくれたなっていう。もう1つ運命的で良いなと思ったのは、優作が試合を決めたわけなんですけど、そのときに白藤くんがベンチに入っていたわけなんですよ。昨年、白藤くんが負けたときに菅谷の兄貴(菅谷拓郎=R5商卒)が、ベンチで泣いている白藤くんのところに一番最初に行って慰めてた光景を、僕は今でもよく覚えてるんです。一番コートのベンチでその光景を見ていたんです。そして今日試合見たら、弟(菅谷優作)が試合してて、白藤がベンチ入ってるじゃないかと。この光景を僕がその見た瞬間に、「これはいく。」という感じがしたんですよね。そこで菅谷優作くんが決めてくれたというのは、兄の気持ちか分からないですけど、昨年の代の雪辱も果たしてくれたなっていう感じがすごくあったという、この2点が印象に残っています。
——後輩たちの戦いぶりについて
団体戦は個人がどういう戦績を出してるのかっていうことだけでは、試合の結果は決まらないっていうのが自分も4年間経験して思うことで。個人の要素に加えて、「チーム力」という曖昧な概念があって。「何なんだろうそれ」って思うんですけど、これはテニス部の「より良き部を作ること」というその「良き部」こそがいわゆるチーム力だと思っていて、その要素がすごい働くんですよね、団体戦は。今日見てた中ですごく感じたのは、この代のチーム力は半端ない。どうしてかというと後輩、特に1年生とかを見ると、1年生も4年生ももちろん勝つんだという思いでやっているのはもちろんあるかもだけど、1年生とかも「先輩に勝って欲しい」という顔をしているなというふうに僕は見えたので、そこがすごいチーム力があったんじゃないかなと思います。そこは4年生が後輩を引き付けたとかそういうところがすごくあったからだと思うので、この後輩たちだからこそできたことがあったんだと思います。自分が思うのは団体戦の中ではチームの中では自分のことだと思えてるかという感覚がすごく大事だと思っていて、「絶対勝ってほしい」と思うことってすごく簡単に思えるじゃないですか。「自分のチームをめちゃくちゃ勝ってほしい」と言うことはすごい簡単に聞こえるけど実はすごい難しいんですよ。学年によって思い入れって差が出てくるかもしれないし、メンバーかノンメンバーかで差が出てくるかもしれない。学年だったりメンバーかノンメンバかだったり、そういう非対称なところでそこに対する熱量が変わってきやすい。どうみんなが同じ方向を向けるか、みんなでチーム勝つんだと思える、そういう風になっているチームが良いチームだなと思うんですよ。今日の団体戦を通じて、それをすごく感じられましたね。
(野上 賢太郎)