應援指導部の定期演奏会が12月4日神奈川県民ホールにて開かれた。定期演奏会は1年間の集大成として位置づけられており、唯一應援指導部の部員が応援する側ではなく、主役となって公演をするステージである。また、これをもって4年生が引退となるため、それぞれたくさんの思いを抱いた上で向かう特別なステージとなった。
本公演は全4部構成。第1部、第2部は吹奏楽団による「pops stage」、「symphonic stage」が行われた。続く第3部ではチアリーディングとドリル(マーチング)によるステージ、さらに最後の第4部では応援ステージが繰り広げられた。まずは吹奏楽団が登場したpopsステージ。誰もが知る名曲「Aladdin」や吹奏楽の定番「ディスコ・キッド」、スタジオジブリの曲が凝縮された交響曲「シネマトリロジー」を演奏し、吹奏楽らしい生きた音で会場を盛り上げた。そのあとには普段では演奏する機会の少ないクラシックの曲を演奏した。緊張も伝わっている部分もあったが、堂々としたソロの演奏もあり、見事に会場を流れる音で包んだ。
また、幕間には1年生による企画が行われた。1年生がいくつかのテーマによる企画を行い、フレッシュかつ、應援指導部への溢れる気持ちを感じさせ、会場を盛り上げた。
次にチアリーディング部が登場。この日のためだけに構成された5種類のステージによるチアステージであり、どれもチアリーディング部らしく、ダンス、スタンツ、溢れる笑顔が光っていた。
円陣からスタートしたチアステージは、どんなときも絆を感じさせるものであった。笑顔の中には4年生や同期のことを考えて見せるような表情も見られた。また今年度の定期演奏会では観客による声出しが解禁されたこともあり、観客からも大きな声援が飛び交った。さらに、ドリルステージでは全部員がここでようやく集い、中にはフラッグも用いられた華やかなドリル、笑顔弾けるチアの豪華なパフォーマンスが見られた。
最後は応援ステージ。由緒ある五旒の塾旗紹介が行われ、幾度も神宮球場で4年生が踊り演奏してきたチャンスパターンが、神奈川県民ホールでも行われた。ここでは應援指導部のみならず、会場全体が一体となり、チャンスパターンに入り込んで歌っていた。たくさんの感動を届けてくれた、日本一の野球部をはじめとする、体育会、そして彼らと共に応援をしてきたたくさんの人々に対して感謝を届けながらの最後のチャンスパターンであった。
気迫そのものを感じさせ、応援のあり方を魅せつける、そんな定期演奏会であった。コロナ禍に入部をし、本来の応援席の姿を経験していない4年生。この1年間の活動は、応援席が復帰し待ちに待った応援席でありながらも、手探りで、不安も大きかっただろう。そんな中でも、應援指導部の先頭にたち、日本一の応援席をつくり続けてくれた4年生の集大成、そして4年生にこれまでの感謝を届ける、そんなステージであったように感じられた。最後に演奏された「若き血」では、応援をすることへの執念を持った部員たちが心の底から、ステージを楽しみ、肩を組んで笑顔で熱唱していた。その姿は4年生が歴代先輩たちからコロナ禍を超えてつないでくれた応援の楽しさの表現、応援をするということ、自分たちが應援指導部であることに誇りを持っていることが全面にでた、まさにKEIO PRIDEを体現させた姿であった。
(取材:酒井里彩)