慶大の延長12回に及ぶ死闘は、劇的な幕切れとなった。1点リードで迎えた9回、先発の外丸東眞(環3・前橋育英)が適時打を許し同点に追いつかれる。しかし続くピンチを木暮瞬哉(法3・小山台)が抑えると、延長12回、代打起用の渡辺憩(商1・慶應)が左翼席への本塁打。慶大の勝ち点は、誰もが想像しない形で転がり込んできた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 計 | |
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慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
法大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1x | 2 |
◆慶大打撃成績
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
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1⑧丸田湊斗 | 三振 | ・・ | 犠打 | ・・ | 死球 | ・・ | 三振 | ・・ | ・・ | 投安 | ・・ | ・・ |
2⑤本間颯太朗 | 中飛 | ・・ | 四球 | ・・ | 犠打 | ・・ | 一飛 | ・・ | ・・ | 投飛 | ・・ | ・・ |
3⑥水鳥遥貴 | 四球 | ・・ | 二併 | ・・ | 左飛 | ・・ | 遊ゴ | ・・ | ・・ | 右飛 | ・・ | ・・ |
4③清原正吾 | 三振 | ・・ | ・・ | 三ゴ | 死球 | ・・ | ・・ | 三振 | ・・ | 三振 | ・・ | ・・ |
5⑦真田壮之 | ・・ | 二安 | ・・ | 死球 | 右2 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ |
7二宮慎太朗 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | 二飛 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ |
7横地広太 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | 中飛 | ・・ |
6⑨常松広太郎 | ・・ | 三振 | ・・ | 三振 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ |
🈱小原大和 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | 遊ゴ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ |
9佐藤駿 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | 三飛 | ・・ | ・・ | 三直 | ・・ |
7④林純司 | ・・ | 三振 | ・・ | 三安 | ・・ | 三安 | ・・ | ・・ | 遊ゴ | ・・ | 右飛 | ・・ |
8②森村輝 | ・・ | 三飛 | ・・ | 右安 | ・・ | 遊直 | ・・ | ・・ | 遊ゴ | ・・ | ・・ | 二飛 |
9①外丸東眞 | ・・ | ・・ | 左2 | 二ゴ | ・・ | 三振 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ |
1渡辺和大 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ |
1木暮瞬哉 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | 投ゴ | ・・ | ・・ | ・・ |
🈱渡辺憩 | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | ・・ | 左本 |
◆慶大投手成績
投球回 | 打 者 | 投球数 | 安 打 | 本塁打 | 四死球 | 三 振 | 失 点 | 自 責 | |
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外丸東眞 | 8⅓ | 32 | 117 | 6 | 0 | 1 | 3 | 1 | 0 |
渡辺和大 | ↉ | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
木暮瞬哉 | 3⅔ | 15 | 50 | 3 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 |
法大3回戦の行われた4月29日は、月曜日ながら祝日。試合前から多くの観客が詰めかけた。先発は1回戦と変わらず、慶大・外丸、法大・篠木健太郎(営4・木更津総合)。正真正銘のエース対決だ。
その両右腕は安定の立ち上がりを見せ、なかなか得点が入らない。3回には1死一、三塁をつくるも、水鳥遥貴(商4・慶應)が併殺打に倒れ先制とはならなかった。
試合が動いたのは5回。2つの死球で2死一、二塁とすると、この日初先発の真田壮之(経3・慶應)が右翼手の頭上を越える適時二塁打。普段は明るいキャラクターでチームを鼓舞する元気印が、バットで結果を残した。
法大は先発・篠木から前日先発の吉鶴翔瑛(営4・木更津総合)につなぐ必勝継投で、慶大に追加点を許さない。迎えた9回、慶大は外丸に命運を託すも、1死から4番・武川廉(人4・滋賀学園)に三塁打を許す。なんとか逃げ切りたい慶大だったが、主将の安遼哉(法4・大阪桐蔭)に適時打を浴び同点に追いつかれた。
慶大はここで投手を渡辺和大(商2・高松商業)にスイッチするも、二塁打を浴び1死二、三塁とされる。逆転の大ピンチで、投手を木暮に再びスイッチ。木暮は代打・西村友哉(法4・中京大中京)を遊直に抑えると、続く打者も遊ゴロに。守護神の小川琳太郎(経3・小松)が欠場の中、見事な火消しとなった。
試合は延長に入るも、慶大はなかなかチャンスをつくれない。一方木暮は12回までを投げ、無失点に抑える好投を見せた。
結末は、あまりにも衝撃的だった。延長12回裏、代打で告げられたのは、初出場の渡辺憩。慶應義塾高校では甲子園優勝に貢献し、活躍が期待される1年生だ。3ボール1ストライクからの5球目、真ん中高めの直球を打つと、打球は左翼席へ。試合を決める本塁打で、慶大が逆転で勝ち点を獲得した。
法大は簡単には勝たせてくれない。本試合も延長12回に突入。昨秋の法大3回戦、延長12回引き分けを彷彿とさせるような展開となったが、何とか勝ち切った。法大との3試合で目立ったのは、経験の少ない選手の活躍。2回戦では代打・二宮慎太朗(商3・慶應)が本塁打を放つと、途中出場の林純司(環1・報徳学園)が2点適時打。本試合で先制打の真田は、これが自身初安打。そして最後は渡辺憩の代打本塁打と、まさに「All in」の3日間だった。
5日後には、3カード目の立大戦。慶大が得意とするカードで3つ目の勝ち点を奪い、慶明戦、慶早戦につなげたい。
(記事:工藤佑太、写真:加藤由衣、大泉洋渡)