【應援指導部】世代を超えた六大学の絆 対抗意識と尊重/第71回「六旗の下に」@よこすか芸術劇場

應援指導部

6月9日(日)、よこすか芸術劇場にて、東京六大学応援団連盟主催の第71回「六旗の下に」が盛大に開催された。年に一度の応援団の晴れ舞台。彼らの生き様と、応援の意義に迫る。

ユニコンくん

「六旗の下に」とは、東京六大学(東大、早大、立大、法大、慶大、明大)の応援部、応援団、應援指導部による合同演舞会だ。学生スポーツ興隆の一環として、同連盟により1953年(昭和28年)から毎年一度開催されている。主役は最上級生を中心とした各大学の応援団。学生服を着た部員たちの演舞、チアリーディング部のダンス、吹奏楽団の演奏により、各校校歌・応援歌・拍手が披露される。彼らにとっては、日頃の研鑽の成果を発揮する人生に一度の場。企画や舞台演出のほか、照明や受付などの裏方作業も各校の学生中心に準備される。彼らにより、一から作られる舞台なのである。

六大学の応援団が主役

公演は、オープニング、各校演技、フィナーレの三部構成。

 

オープニングでは、学生たちの今日までの活動の軌跡を映像で振り返り、壇上に整列した六校の旗手により校旗の掲揚が行われる。

映像とともに振り返る

各校30分程度割り当てられる大学別演技は、六大学が応援合戦で火花を散らす。各校の個性あふれる司会進行も、会場の盛り上げに一役買う。

慶大の司会を務めたEさん

フィナーレでは、第一応援歌の演奏に合わせて各校の4年生が続々再登場。4年間の集大成のごとき迫力で、全六大学の歌の振り付けを全員で踊る。六校の名チャンスパターン・スペシャルメドレーにより、会場の熱気は最高潮に到達。最後に全応援団が壇上に会し、5時間に及ぶ超大作は幕を下ろした。

フィナーレにはスペシャルメドレーが

ここからは、各校の演技についてまとめていく(順番は各校演技の登場順)。

  • 東京大学:智勇兼備~応援に魂を注ぐ主将の意地~

応援部主将は、全身を使い地面に倒れそうな程の低姿勢で淡青旗を靡かせた。その姿は、鉄声会により受け継がれし繊細な気品と不屈の闘魂を帯びていた。チームの順位に関わらず、その執念は揺るぎない。(チャンステーマの一つ「不死鳥の如く」は名曲だ)

  • 早稲田大学:一念通天~取り戻した臙脂の矜持~

今季リーグ戦優勝を呼び込んだ応援。「コンバットマーチ」での部員全員の突き、「紺碧の空」のつくり出す熱量は、達人の域。部員一人一人が伝統に奢らず、貪欲に進化を求めたその姿勢は、この春まず一つ実を結んだのである。

  • 立教大学:初志貫徹~逆境を乗り越えた若き健児たち~

今年の立教は異例の年だ。最上級生はチアリーディング部の数人のみ。3年生以下が4年生を献身的に支えることで、創部当初からの部の理念を貫き通した。3年生リーダー2人の思いを受け、最後に校歌「栄光の立教」を披露した4年生団長。彼女の演舞には、校旗の「立」の字にたがわぬ崇高な品格があった。

  • 法政大学:胆大心小~豪快さと愛嬌のオレンジエクスプレス~

2人のリーダーを中心とした応援の迫力と存在感は圧倒的であり、他の追随を許さない。司会による六大学いじり。皮肉と嫉妬の入り混じったユーモアある語りは、今年も会場を和ませた。塁上に走者がいる限り流れ続ける「チャンス法政」。その圧力は来季も他校の脅威となるだろう。

  • 慶應義塾大学:泰然自若~揺るぎなき三色旗~

他校の応援を“荘厳”と評するならば、慶應の応援は“華麗”と言えるだろう。彼らが表現したのは、塾生ならではの清爽さと自由さである。マスコットキャラクター「ユニコンくん」の登場、歌詞の書かれたプラカードの掲示、20分に及ぶ応援歌メドレー。塾生は他の学校には見られない多様な応援により、観客の掛け声を後押しした。

塾旗の掲揚も

  • 明治大学:臥薪嘗胆~来季へ血潮を燃やす紫紺~

トリは本年度の応援団連盟当番校を務めた明治。彼らが「狙い撃ち」したのは投手の球ではなく、観客の心である。応援を受け会場の熱気はさらに高まった。2季連続の準優勝に終わった春季リーグ戦。「やっぱり明治がナンバー1」の掛け声は、早稲田に屈した悔しさを払拭し、来季に向けた強い決意の表れであった。

 

 

学生達は継承されし母校の応援への誇りを胸に、互いの“色”をぶつけ合った。やがて、対抗意識は尊重に代わり、最後には皆が手を取り合い互いを讃えあっていた。その情熱は会場全体を包み込んだ。幕が下りた時、皆の心は同じ色に染まっていた。応援のおかげで、観客は大いなる勇気と生きる希望を得る。応援のおかげで、壇上の学生達は自己表現の場を与えられる。応援のおかげで、人は大学・世代を超えて心を通わすことができる。応援のおかげで、六大学に新たな歴史が刻まれる。応援には大きな力があるのだ。

誇りを胸に

応援の力を実感

(取材:竹腰環、岩切太志、片山大誠、工藤佑太)

 

<アンケートご協力のお願い>

ケイスポ應援指導部班では野球の春季リーグ戦を迎えるにあたり、様々な記事を公開しました。読者の皆さまの率直なご意見やご感想を、ケイスポ公式Xのアンケートでお寄せいただけると幸いです。今後扱ってほしい企画や記事、○○が知りたい、などもぜひお寄せください!

アンケートのご協力お願いします


タイトルとURLをコピーしました