今年で100回目を迎えた早慶対抗陸上競技大会。仲間の絆を信じ、宿敵の打倒に燃えた学生たちにより、世紀を超えて歴史を紡がれてきた。渡辺康幸や山縣亮太など幾多の名ランナーも、この大会で母校の誇りを胸にしのぎを削り、世界へ羽ばたいて行った。そんな伝統の一戦を取材した。
♢慶大得点獲得者♢
岩井章太郎 | 110mH | 13秒96 | 2位・2点 |
横井健道 | 400m | 47秒48 | 3位・1点 |
イベルブランドン | 走幅跳 | 7m42 | 1位・3点 |
細萱颯生 | 走幅跳 | 6m92 | 3位・1点 |
若原祐人 | 走高跳 | 1m90 | 1位・3点 |
稲井孝太郎 | 走高跳 | 1m85 | 2位・2点 |
小倉拓己 | 走高跳 | 1m85 | 3位・1点 |
鎌形圭佑 | 棒高跳 | 3m80 | 2位・2点 |
府中歩輝 | 棒高跳 | 3m30 | 3位・1点 |
高橋諒 | やり投 | 60m39 | 3位・1点 |
高橋諒 | 円盤投 | 33m64 | 1位・3点 |
山田直弥 | 円盤投 | 27m37 | 3位・1点 |
野村早希 | 200m | 27秒66 | 3位・1点 |
仲子綾乃 | 800m | 2分11秒04 | 1位・3点 |
鴨下友織菜 | 800m | 2分13秒11 | 3位・1点 |
日根千晴 | 走高跳 | 1m45 | 3位・1点 |
日根千晴 | 走幅跳 | 5m30 | 3位・1点 |
倉田紗優加 | やり投 | 54m39 | 1位・3点 |
舞台は慶應義塾大学にある日吉グラウンド。悪天候の中、スタンドには多くの観客や応援団が駆けつけた。男子は10種目、女子は7種目が行われ、両校が各種目の順位に応じて加算される得点の総合点で勝敗を争う。結果は、[男子:慶應21-36早稲田][女子:慶應10-28早稲田]となり、男女ともに早稲田大学に敗北を喫した。 そんな中でも光明は確かにあった。ここからは今大会特に活躍が光った種目・選手を取り上げていく。
[男子]
・走高跳:1位 若原祐人(経済3)
2位 稲井孝太朗(法3)
3位 小倉拓己(理工1)
優勝は昨年この種目2位に入った若原。2位の稲井、3位の一年生小倉とともに表彰台を独占した。
・棒高跳:2位 鎌形圭祐(経済2)
3位 府中歩輝(文4)
成長著しい二年生の鎌形が自己ベストを記録し2位に。四年生の府中も3位に入るも、優勝の座は逃した。
・横井健道(法3):400m 3位
ベスト1秒近く更新し、関東大会A標準記録も突破した。
・イベル・ブランドン(環4):走幅跳 1位
大会二連覇を達成。悪天候の中、自己ベストにあと1㎝に迫る好記録を残した。
・高橋諒(商1):円盤投 1位
やり投げ 3位
8種目競技にてインターハイ2連覇の実績を持つ逸材。円盤投では自己ベストを更新して優勝する勝負強さも見せた。
[女子]
・仲子綾乃(総4):800m 1位
大会二連覇を達成。序盤は冷静な試合運びをみせ、残り200mからのラストスパートで試合を決めた。トラック競技唯一の優勝、副将の意地である。
・倉田紗優加(環2):やり投げ 1位
高校時代インターハイ優勝の実力者。重圧をものともせず大会二連覇を成し遂げた。
グラウンドにはさまざまな表情があった。勝って喜ぶ者、負けて悔しがる者、勝っても苦笑いの者、負けても晴れやかな者。しかし、彼らの表情は試合後には笑顔に変わっていた。大会を戦い抜いた早稲田の選手たちとの握手と抱擁。目標に向かって頑張る、最後のひと踏ん張りができる、勝者/敗者となりえるのは、全て戦う相手がいるからこそである、そう実感した瞬間だった。
チームとしては悔しい結果であることに変わりはない。しかし、その過程に目を向けてみるとどうだろうか。今年は8月上旬より夏季オリンピックが開催される影響で、例年より一か月以上早い時期での開催となった。さらに、当日は30度を超える高温多湿の環境の上に、雷雨により競技が中断される事態に陥る程悪条件に見舞われた。長期的にも短期的にも試合に向けて調整することが難しい大会だったと言える。この過酷な状況の中でも、彼らが集中力を切らすことはなかった。何人もの選手が自己記録を更新した。その選手たちをスタッフも懸命にサポートした。この経験は彼らの競技人生にとって大きな糧となるだろう。
この結果は前向きにとらえることもできる。大会後には夏合宿が待っているからだ。選手たちにとって今大会は、夏の成果を示す場ではなく、夏への課題を見つける絶好の機会となったのだ。ここで得た気づきを胸に、試練の夏から飛躍の秋へ。学生たちの物語は続く。
(記事:竹腰環、写真:ウジョンハ、小田切咲彩、鈴木拓己、キムムンギョン、イムソンジュン)