【ラクロス(男子)】「底力を見せられた」当日選手変更も攻守で明大を圧倒 王座復権へ強さ感じる白星発進/第36回関東学生ラクロスリーグ初戦vs明大

男子ラクロス

「日吉から日本一へ」。関東学生ラクロスリーグ初戦が、日吉陸上競技場で開催された。リーグ戦が日吉陸上競技場で行われたのは、実に7年ぶり。日本一への旅路にふさわしい出発地だ。そして大勢の観客が見守る中、試合は幕を開けた。第1Qは、中西海(経3・海城)が渾身の先制ゴールでチームに勢いをもたらすと、石村嶺(経4・慶應)も冷静にアンダーシュートを沈め2−0とする。第2Qはゴール前まで迫られヒヤリとする場面もあったが、慶大の守護神・岩城敦大(法2・慶應)やDF陣の鉄壁の守りで難を凌ぐと、石村嶺、主将・藤岡凜大(政4・慶應)、そして急遽メンバー入りを果たした松本壮英(政4・慶應湘南藤沢)が立て続けに得点し、5−0で前半を折り返す。第3Qは前半の攻勢から一転、慶大は2失点を喫するなど苦しい時間帯が続くも、失点を最小限に抑えて5ー2。最終第4Qは、開始直後に田代豪(商4・慶應NY)のゴールでさらに1点を追加し悪い流れを完全に断ち切ると、リードを守り抜き6ー2で明大・HUSKIESに勝利。六大戦の雪辱を果たし、幸先の良いリーグ幕開けとなった。

 

◇スタメン

AT

#3  藤岡凜大(政4・慶應)

#7  田代豪(商4・慶應NY)

#90 池田朋史(商3・慶應)

 

MF

#51  石村嶺(経4・慶應)

 

LMF

#17 関根瑠偉(政3・慶應)

 

DF

#16 奥澤拓馬(商4・慶應)

#22 小川健(政4・慶應)

#83 峰岸諒(環2・慶應湘南藤沢)

 

G

#79 岩城敦大(法2・慶應)

 

FO

#63 村田陽世(環4・慶應)

 

♢得点♢

 

1Q

2Q

3Q

4Q

慶大

明大

慶大得点者

中西、石村

石村、藤岡、松本壮

田代

 

開幕直前特集でも言及したが、慶大の所属する関東学生1部リーグでは、リーグ戦で結果を残した上位2チームに全日本大学選手権大会への出場権が与えられる。そして学生日本一に輝いたチームは、「ラクロス日本一」を決める全日本選手権大会へと駒を進める。そのため、「ラクロス日本一」返り咲きを目指す慶大にとって、関東学生ラクロスリーグで結果を残すことは絶対条件。さらにリーグ初戦の相手は以前、全日本大学選手権大会FINALでも顔を合わせた明大・HUSKIES。4月の六大学対抗戦では、敗北を喫している。そんな慶大と明大のリーグ初戦を見届けようと、日吉陸上競技場には大勢の観客が集まった。

 

第1Qは、FO直後の混戦で明大にボールを奪われ、いきなりゴールへと迫られる。ゴール周辺でパスを回されシュートまでもっていかれるが、ここは慶大の守護神・岩城敦大が難なくセーブし、すぐさま慶大の攻撃へ。昨2023シーズン、2024シーズンでも圧倒的な得点力をみせていた田代豪、藤岡凜大、池田朋史(商3・慶應)らが立て続けにシュートを放ち、明大に脅威を与える。そして6分、ついにその瞬間が訪れる。なおも慶大の攻撃中、藤岡がゴール裏から展開すると、ゴール前でパスを受けた中西海が体勢を崩しながらも渾身のシュート。放たれたボールはネットに突き刺さり、ホーム・日吉陸上競技場には先制を讃える「若き血」が響き渡る。さらに10分、岩城のセーブから再び攻撃に転じると、石村嶺が仕掛ける。石村は、明大DFに囲まれながらもゴール左前に切り込むと、冷静にアンダーシュートを叩き込み2ー0。その後は、パスミスやパスカットで一時的に守りの時間も迎えるが、危なげなく第1Qを終える。

先制ゴール直後の中西海(右)と石村嶺(左)

 

2点リードで迎えた第2Qは、テクニカルファウルやパスミスが嵩み、第1Qよりも守りの時間が長くなる。慶大は、「17番」を背負う関根瑠偉(政3・慶應)のパスカットや、副将・佐藤孝紀(政4・慶應)の粘り強いマッチアップで応戦する。G・岩城敦大も、明大の素早いパス回しやゴール前での混戦にも冷静に対応。明大の攻撃を封じ、慶大の攻撃へと繋げる。すると、2年生G・岩城の健闘に応えるかのように、石村嶺が早くもこの試合2ゴール目を挙げ、主将・藤岡凜大もこれに続いて4ー0。さらに直後の攻撃では、松本壮英が藤岡のアシストから鋭いシュートでゴールネットを揺らし、5ー0と明大を突き放す。この日急遽メンバー入りを決めた4年生・松本のゴールだけに、慶大サイドは大興奮に包まれる。守備では、副将・小川健(政4・慶應)の厳しいチェックや奥澤拓馬(商4・慶應)の粘り強いディフェンスで明大をゴールに寄せ付けず、5点リードで前半を折り返す。

 

松本壮英のゴールに会場が沸く

 

第3Qも序盤から一進一退の攻防が繰り広げられ、苦しい時間が続く。ゴールに迫る明大の選手に対し、小川健、関志翔(政3・國學院久我山)、峰岸諒(環2・慶應湘南藤沢)が3枚でプレッシャーをかけると、峰岸がグラウンドボールをスクープして敵陣へ展開。しかし、峰岸からパスを受けた藤岡凜大がクロスを弾かれボールを奪われると、ターンオーバーからそのまま失点してしまう。直後には、増成琉之助(政3・慶應)がFOで競り勝ち、一気に駆け上がってチャンスメイク。池田朋史、石村嶺、田代豪が立て続けにシュートを放つが、惜しくもゴールを奪うことはできない。慶大はタイムアウトで立て直しを図るが、直後にもクロスを叩き落とされターンオーバーから再び失点。守備では、小川と関根がロングで華麗にパスを繋いで好機をつくるが、得点に繋げることはできず。我慢の時間帯が続くが、ここでも増田友翔(経3・慶應)、峰岸、小川らDF陣が堅実な守備をみせ、簡単には突破を許さない。そして、奥澤拓馬が厳しいチェックをしたところで、第3Q終了。この試合初の無得点・失点と苦しいQになったが、失点を2に抑えてラスト15分へと繋げる。

2年生ながら存在感を発揮している峰岸諒

 

最終第4Qは開始直後、藤岡凜大がクリース内に侵入すると、パスを受けた田代豪がしっかりとゴールに押し込み6ー2。藤岡と田代の「ホットライン」がみせた軽快な技ありゴールに、応援席からは驚きの声も。田代のゴールで悪い流れを完全に断ち切った慶大は、ここまで得点を重ねてきた藤岡、石村嶺、中西海を中心に再びゴールへと迫っていく。また第4Q後半はターンオーバーが繰り返されたが、慶大DF陣が冷静に対応。しっかりと明大の攻撃を抑え込んで慶大のポゼッションとし、攻撃へと繋げる。そして残り時間わずかの場面でも、藤岡が相手DF2枚を置き去りにしてクリース内に侵入するなど、慶大は最後まで攻撃の手を緩めない。なおも慶大のポゼッションで試合を展開する中、試合終了のホイッスル。リーグ初戦は6ー2で明大・HUSKIESを下し、見事六大戦の雪辱を果たした。

田代豪のゴールを喜ぶ選手たち

 

 

 

 

 

 

試合終了後、生き生きとした姿で、笑顔で応援席の前へと向かう選手たちの姿が眩しかった。オフェンス陣が着実に点数を積み重ねた一方で、守備では小川健ら実力あるディフェンス陣が明大攻撃を封じ、G・岩城敦大が手堅くゴールを守り切った。攻守がそれぞれの役割を全うし、苦しい状況の中でも第3Qを2失点に抑え、第4Qからうまく立て直したところに慶大の強さが表れていたと思う。さらに、急遽メンバー入りした松本壮英も得点でチームに貢献するなど、誰が入っても活躍できる「強い慶應」を実感させられた試合だった。これからどんな戦いを見せてくれるのか、慶大男子ラクロス部のまだ見ぬ可能性に胸が高なる。ホーム・日吉陸上競技場での勝利で幕を開けた日本一への旅路。「日吉から日本一へ」、そして慶大男子ラクロス部の“REVIVE”ヘ、舞台は整った。

試合を終えた選手たち

 

                        (記事・取材:長掛真依、取材:牧瀬藍)

 

▽以下、選手インタビュー

主将/AT・藤岡凜大選手(政4・慶應)

ーーリーグ初戦を振り返って

実は試合前にアクシデントが結構あって、出るメンバーが急遽変わったりとかいろいろあったんですけど、そういった中でもしっかりと勝ち切れたっていうのは、良い意味で底力を見せられたのかなと単純に安心してます。

 

ーー六大戦で敗れた早大・明大に雪辱を果たしたが、今のチーム状態は

やっぱり六大戦の時は怪我で抜けていたDF陣がしっかり戻ってきてくれたので、そういう意味でチームとして一つになってまとまってやりたいことができているなという実感はすごいあるので。この調子で、リーグ戦で勝っていくのが大事かなと思います。

 

ーー連続失点から逆転負けする試合もあった中で、2失点に抑えて勝ち切れた要因は

DFが今日はしっかり修正してくれてたので。第3Qはオフェンスがあまり良くない流れだったところを、第4Qではしっかり初めに1点取って、もう無理に攻めなくても逃げ切れば良いよねっていうところまでチームのやりたいことを統一できたので、そこで明治につけ入る隙を与えなかったのが大きいかなと思います。

 

ーー流石のプレーもありましたが、ご自身のプレーを振り返って

今日はちょっといつもやっているメンバーではなかったので、オフェンスが。そういう意味では難しいところもあったんですけど、点差がついた中で後半は次に繋がるというか、慶應のオフェンスの幅を見せるための戦術というか、やりたいことを、テーマをおいてオフェンスをしていたので、そこをしっかり試せたのは良かったと思いますし、もうちょっと個人的には点を取りたかったなというのはありましたね。(笑)

 

ーー次戦へ向けてどのように調整されますか

藤岡:まだ相手と日時が決まっていないので、なんとも言えないんですけれど。次の試合は峰岸くん(=2年DF・峰岸諒)が活躍してくれると思うので。

 

峰岸:活躍します!

 

藤岡:彼のクリアに期待したいですね!(笑)

 

峰岸:83番です!!

 

藤岡:彼のクリアに期待したいと思います!!

 

 

副将/DF・小川健選手(政4・慶應)

ーーリーグ初戦を振り返って

結果を見て、2失点に抑えられたのは良かったかなというのと、初戦で今シーズンの大事なスタートを勝利という形で良いスタートを切れたので、ここから乗っていければと思います。

 

ーー相手エースを抑えられていたが、ご自身のプレーを振り返って

主将でありキーマンである相手の3番(=明大主将・佐藤颯士)を自分がしっかり抑えるという役割だったんですけど、1on1自体は5分5分というか結構やられてしまったので。そこはこれから他大学のキーマンとか、もう一回明治とやることがあればしっかり抑えつつ、そこでチームの勝利に貢献できたらと思います。

 

ーー2失点で抑えられたことについて、慶大DF陣を振り返って

2失点で抑えられたのは良かったところだと思います。特に、マッチアップの部分、誰が誰につくかというところをしっかりと個人の戦いで負けなかったのが良かったのと、ボールが落ちた後、グラウンドボールとかクリア、ライドの部分でボール大きなミスなく、こっちのペースで試合を進められたのが良かったと思います。

 

ーー次戦へ向けてどのように調整されますか

どこがきてもしっかりと大差で勝てるように。目標は全日本選手権優勝なので、ここで負けていられないので。しっかり他大学相手に圧勝して、社会人にも勝てるようなチームにしていきたいと思います。

 

 

G・岩城敦大選手(法2・慶應)

ーーリーグ初戦を振り返って

僕が自分の中で大事にしている、先制点を取らせないっていうところをとりあえず達成できたのが良かったかなと思います!

 

ーーリーグ初戦に、初のスタメンとして臨まれましたが

今もう一人の浜地さん(=浜地航太郎)が怪我明けで、まだあんまり復帰して間もないということで、基本的には交代できないという状況で、自分が頑張らなきゃいけないっていうメンタルで挑みました。

 

ーー早慶戦に続き活躍されていたが、ご自身のプレーを振り返って

日頃の行いを良くしておいてよかったなっていう感じで。日頃から積んでた徳がこういうところで出てきてくれてよかったかなと思っています。(笑)

 

ーー練習面で何か意識されていることは

特には、あまり変に意識してることとかはなくて。飛んできたボールを取るっていう簡単なお仕事なので。そのお仕事をしっかり全うできるように、練習の時は楽しくやること。あんまり乗り気じゃない雰囲気とか気持ちでやってもうまくならないので、楽しもうって心は忘れずにいつもやっています。

 

ーー第3Q失点が続いた場面では何を考えていたか

ある程度、得点差に余裕があるのは分かっていて。失点の内容としても、別に良い内容の失点ではないんですけど、試合では普通考えられる想定内の失点だったので。すぐ切り替えて、あんまり失点でナヨナヨしないということを思って、失点しました…(笑)

 

ーー次戦へ向けてどのように調整されますか

とりあえず初戦で勝ったっていう良い流れを切らさないようにして、次も勝ちにうまく貢献できればいいかなと思ってます。

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