今年で23度目の開催となった早慶女子サッカー定期戦。慶大はこれまで22大会、強豪・ワセダに対して白星を挙げていない。「新たな歴史をつくる」と意気込むラストイヤーの4年生。「4年生を初の早慶戦勝利の代にしたい」と語る後輩選手。部員それぞれが特別な思いを胸に戦いに臨んだ。試合序盤から主導権を奪われ、なかなか自分たちの展開に持ち込めない慶大。何度もシュートされるも、慶大DF陣の活躍もあり、前半を無失点で終える。後半には2度のCKを獲得し、チャンスの場面を迎えたが、得点にはつながらず。83分、慶大がビルドアップを試みたところ、パスカットされると、そのままゴール前までボールを持ち込まれ、シュートを決められる。得点を許してしまい、0ー1のまま試合終了。悔しさの残る敗戦となった。
2024/8/24(土)17:00キックオフ @AGFフィールド
【スコア】
慶應義塾大学0―1早稲田大学
【得点者】
83分 生田七彩(早稲田大学)
◇慶大出場選手
GK
中村美桜(理3・慶應湘南藤沢)
DF
小熊藤子(環3・スフィーダ世田谷ユース)
坂口芹(総3・仙台大付属明成)→91分 守部葵(環3・十文字)
竹内あゆみ(看2・日ノ本学園)
岡田恭佳(環1・十文字)
米口和花(総1・十文字)
MF
岩瀬絢弥(商4・浦和第一女子)→91分田中紗莉(総1・日体大SMG横浜U18)
佐藤凛(総2・常盤木学園)→81分 岩田理子(総1・十文字)
野口初奈(環2・十文字)
FW
大橋桜子(商4・INAC東京レオンチーナ)
野村亜美(総2・十文字)
今年度の早慶女子サッカー定期戦はAGFフィールドにて、女子単独開催となったが、慶大応援席には黄色いTシャツを着たソッカー部男子の部員たちも駆けつけ、会場には応援歌が大きく響き渡った。「早慶戦初勝利」という史上初の快挙に向け、慶大イレブンは強豪・ワセダとの戦いに臨んだ。
試合開始直後、いきなりゴール前までボールを運ばれる慶大。シュートされるも、DF小熊藤子(環3・スフィーダ世田谷ユース)が身を挺して防ぎ、岡田恭佳(環1・十文字)がすかさずクリア。DF陣の見事な守備でピンチを切り抜けた。その後も、果敢に攻め込む早大であったが、慶大DF陣がしっかりとプレッシャーをかけ、冷静に対応し、ゴールを決めさせない。
前半17分、センターサークル付近で、相手のパスに野口初奈(環2・十文字)が素早く反応してボールを奪うと、そのまま佐藤凛(総2・常盤木学園)にパス。佐藤は体勢を整え、ゴール前20mの位置からロングシュートを試みるも、相手GKにキャッチされる。
前半終了間際の41分、またも猛攻を仕掛ける早大。スピード感のあるパス回しで一気にゴール前までボールを運ばれ、シュートを放たれる。しかし、GK中村美桜(理3・慶應湘南藤沢)が冷静にセーブ。その後も、CKを与えるなど落ち着かない場面が続いたが、両者ゴールネットを揺らすことなく、0ー0のまま前半戦終了。
なんとしても先制点を挙げたい慶大は何度も相手陣地に攻め込むが、早大DF陣に阻まれ、パスもなかなか通らない。序盤、2度のCKを与え、ピンチを招くも全員で一丸となってゴールを守り、相手に点を入れさせない。後半61分、ゴール間近まで迫られシュートされるも、ボールはゴールポストに当たり、失点の危機を免れる。72分の場面ではCKを獲得し、野口がゴール前に上手く合わせたキックを放つも、相手選手に弾かれる。ボールはそのままゴールラインを越え、再び慶大のCKに。今度は佐藤がゴール間際に巧妙なキックを放ったが、これも相手選手に弾かれてしまう。
後半76分、DF小熊の右サイドへの見事なロングパスに大橋桜子(商4・INAC東京レオンチーナ)が追いつき、相手DF2人に囲まれながらも、なんとか米口和花(総1・十文字)につなぐ。早大DF陣の強固な守備を前にシュートには至らなかったが、慶大のいつもの攻撃のかたちが見られた。そして、後半78分、この日、慶大応援席を最も沸かせた場面が生まれた。慶大のスローインからプレーが再開するも、すぐさま相手選手にボールを奪われる。そこから、ゴール前の守備が薄くなったところを一気に攻められ、ゴール前わずか5mほどからシュートを放たれる。しかし、GK中村が冷静に対応し、見事セーブ。慶大応援席は大いに盛り上がった。
後半83分試合は動いた。慶大DF陣からパスをつなぎ、攻撃を仕掛けようとした際、相手FWにボールを奪われると、そのまま勢いよくゴールまで迫られ、シュートされる。ボールはゴールネットを揺らし、慶大は失点。その後も、何度も相手陣地に攻め込む慶大であったが、ゴールを決めることはできず0ー1のまま試合終了、悔しい敗戦となった。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、膝から崩れ落ちる選手や涙を浮かべる選手の姿があった。「早慶戦初勝利」という史上初の快挙に対する選手たちの真剣な想いが伝わる光景であった。また、会場には来場者を楽しませるような様々なイベントブースや展示物が用意されており、早慶戦を裏で支えるスタッフたちの想いも感じることができた。フィールドに立って、チームのために応援してくれる人々のために戦う選手と、日頃から選手を支えるスタッフや応援する観客の双方の想いが試合を創り上げていたのだろう。今年度の早慶女子クラシコのテーマ、「共創〜選手と観客が共に創る、伝統の一戦」がまさに体現されていた。今年度も強豪・ワセダ相手に白星を挙げることは叶わなかったが、慶大ソッカー部女子のチームワークはさらに強固なものとなり、今後の後期リーグ戦に良い結果をもたらすきっかけとなることだろう。より一丸となった慶大イレブンが「一部昇格」に向けて戦い抜く姿ををこの目で見届けたい。
(写真:愛宕百華、記事:上村真子)