2024年度の秋季リーグ戦は「5位」と苦しんでいる慶大。一方の早大は、圧倒的な強さで連戦連勝。あと1勝で優勝というところまで来ている。ここまでの戦いは力の差が見受けられる両チームだが、慶大にも意地がある。いよいよ今週末に迫ってきた早慶戦。リーグ戦の一部ではあるものの、対抗戦として意味合いも強いこの一戦に燃える選手たちに話を聞いた。今回は、チームを鼓舞する熱き主将、本間颯太朗(総4・慶應)選手!
ーー今季ここまで、打率.045、本塁打0、打点1
なかなかヒットが出ない中でも練習でやっている形としては悪くないので、苦しい状態ですけど、残りの早慶戦は学生最後ということもあって、結果が出る出ないにしろやり切りたいと考えています。
ーーここまで打撃面でかなり苦しんでいる。その要因は
「考え方」というところが一番大きいと思っています。調子が良い時は打つべき球を打てるような考え方ができ、メンタル面でも良い状態で入れていると思うんですけど、どうしても状態が悪い時というのは、そういう風に考えたらダメだと分かっていても「打たなきゃいけない」、「ヒットを打ちたい」という悪い方向に考えてしまって、打てなくなってしまう。練習でできていることが試合ではできないという所は、メンタルの問題が一番大きいと思っています。
ーーオフ期間で打撃面で取り組んできたこと
強く振るためにずっとやってきていることですけど、へそ前でバットを返すことを一番意識してやってきました。
ーー普段の打席で、打席に立つ時に狙っているボールは
対戦するピッチャーによって変わりますが、基本考えていることはベルト真ん中付近の球をざっくり待って、狙っている球種だとしても難しいコースに来たら絶対打てないので、どんな球種にしても真ん中に来た球をしっかり打ち返すというイメージで打席に入っています。
ーー9/15の立教2回戦で適時二塁打を放った。その感触は
ピッチャーがベルト真ん中付近に甘い球を投げてくれたので、それを素直に打ち返せたのでいい感じで打てたと思います。
ーー打席中のルーティーンが変更された。その理由は
ルーティーンというよりかは自分自身の意識付けという部分が一番大きいですが、今までは両手で開く動作をやっていたんですけど、それだけだと左肩がまだ開いてしまうので、左肩を前に入れるような形で右手を引くような動作になっています。ネクストに関しても、打席で打つために今何が必要か自分へのインプットだと思ってやっているので、体の状態に合わせて変わっていくものだと思います。
ーー今季ここまでの自身の守備を振り返って
ずっとサードをやってきた中で、この秋セカンドにコンバートされて、セカンドというポジションも難しい中で、難しい球もたくさん来たんですけど、夏から秋にかけてたくさんノックを受けてきた自信はあるので。セカンド守備に関してはできているとは思うんですけど、サード守備と比べると余裕が無い分、周りへの声掛けが足りていないのでまだまだできると思っています。
ーー夏季キャンプでは「一歩目の意識」を中心に取り組んだと仰っていた。他にも守備の中で意識していることは
味方ピッチャーと相手バッターの相性であったり、力関係というところの「0歩目」。ポジショニングをすごく意識しているのは、僕がそんなに足が速くないので、ポジショニングで他の選手よりも1歩でも2歩でも速く、その打球に行けるようにしています。本当ならファインプレーになる打球を普通に捌くことが、自分の守備の中で最もいい守備だと思っているので、ポジショニングを「一歩目」の他に意識して取り組んでいます。
ーー東大2回戦、法大2回戦では春まで取り組んでいたサードの守備についた。セカンド・サードそれぞれの魅力・難しさは
セカンド守備に関して言えば、投手の軌道が見えるし、打者のスイング軌道も見えるので、そもそもセカンドからはキャッチャーのサインも見えるので、投げる球種・コースが分かっている状態で、ポジショニングや一歩目が決まれば面白いと思っているところで、逆にサードからは投手の軌道だったり、球種が分からない中で、打者との距離も近いですし、来た球をどれだけ速く反応して取れるかという所が面白さであり、難しさでもあります。セカンドは(打者との)距離が長い分、カバーする範囲が広いので、守備範囲の広さが難しい部分だと思っています。
守らせていただけるならどこでも守りますが、守りやすいのはずっと守ってるサードかなと思います。セカンドの守備をやってて思ったのが、サードの守備は自動化されていることが結構多く、セカンドだとまだ考えてから動く、あれもやらなきゃこれもやらなきゃって思ってから動いているんですけど、サードであれば打者の動きであったり、スイングを見て大体この辺に飛んでくるだろうなっていうポジショニングが立てれます。だからこそ、他の選手に対する声掛けという部分で時間が割けているのかなと思っています。個人的にサードの方が守りやすいというか、自信はあります。
ーー秋は立大3戦、東大3回戦、法大2戦の計6試合でスタメン出場。2023春から3季通して全試合スタメン出場してたが、明大1回戦で4季振りにベンチスタート。スタメン落ちを告げられた時の心境は
今年の春もそうですし、去年の春もなかなか自分の結果が出ていない中で、「いつでも変わるんだろうな」っていうところが自分の中であって、かと言って自分の中で何が変わるのかと言われると、僕はあまり感じてなくて。スタメンならスタメンなりの貢献の仕方があると思いますし、ベンチスタートならベンチでの勝利への貢献の仕方があると思うので、僕はあまりこだわりはなく、「チームが勝つために自分が置かれた立場で何ができるか」をやり続けるだけだと思っています。
ーー1年間主将として引っ張ってきた。今のチームは
春に比べると夏の練習期間を経て、チーム力は凄く付いていると思うんですけど、リーグ戦始まってからオープン戦含め、リーグ戦の結果も含め「1点差で負けることが凄く多い」と感じています。だからこそ、何かもう一つ突き詰められるところが、野球面から、もっと言えば生活面からあると感じています。
ーー慶應高でも主将を務めた。高校と大学で主将としてチームをまとめる上で理想や考え方に違いは
高校の時はトップダウン、これやれあれやれって言う感じで厳しい、怖いキャプテンという形で自分の中でやっていた自信はありますし、中学校でやってきたチームが厳しいチームで、それである程度結果を出してて、それが正解だと思っていたんですけど、大学に入ってからそれだけが正解じゃないというか、大学野球部は人数も多いですし、それぞれバックグラウンドを持っている中で一人ひとりが自立してどうやったらチームの勝ちに貢献できるか考えてもらうこと、自立してもらうことを促す。高校までのトップダウンの考え方ではなくて、ボトムアップの考え方が組織として強くなるということを大学に入ってから感じました。
ーー今まで4年間の大学野球を振り返って印象に残っている打席は
昨秋の早慶3回戦の7回の打席の本塁打が一番印象に残っています。早慶戦で勝ったチームが優勝という中で、点差的にも廣瀨さん(=廣瀨隆太・R6卒・福岡ソフトバンクホークス)の本塁打で2点先制したけど、6回裏に1点取られた次の回2-1の打席だったと思うので、打席入る前に泰三さん(=栗林泰三・R6卒・JR東日本)に「絶対チャンスで回します!」みたいな感じで打席に入って、無我夢中というか(笑)印象に残っているけどあんまり覚えてない(笑)でもあの歓声の中で本塁打打ったのも初めてでしたし、グラウンド1周回っている時に、幸せというか、野球人生でいちばん野球やっていて良かったと思いました。
ーー慶大野球部は本間選手にとって
4年間通じて本当に成長させてもらいました。1年生の春で選手権のスタメンを経験させて貰えたけど思うような結果が出なかった中で、1年生の秋はケガでになかなかチームに貢献できず、2年生で代打という役割をいただけてリーグ戦に出て、3年からスタメンを経験させてもらって4年では主将もやらせて貰えてという、常に自分の中で新しく挑戦できるものがこの4年間常にある環境で、その度に悩んだり、苦しい時もあったんですけど、それを1個1個壁を乗り越えて行く中で、本当に野球人としても社会人としても成長させてもらったと思います。
ーー最終学年として、最終カードの早慶戦まで残り2週間(インタビューは10月30日に行われました)。現在の心境は
もうやりきるしかないという所と、小学校から野球を始めて今までの野球人生は色んな人に支えられたものだったと思うので、その方々に少しでも感謝の気持ちを表せるようなプレーをしたいと思っています。
ーー早慶戦で注目して見て貰いたいプレー・ポイント
気迫、氣というところで、一番注目してもらいたいと思います!
ーー最終週の早慶戦へ向けて意気込み
勝ち点5で完全優勝を狙ってくる早稲田に対して、いい相手と僕の学生最後の早慶戦ができるというところに凄く幸せを感じているので、早稲田から最後勝ち点を取って、2024シーズンをいい形で終われるように、野球部一同頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いします!
(取材:加藤由衣)