昨年の予選会の快晴と一変、第88回東京箱根間大学駅伝競走予選会は激しい雨に見舞われる中開催された。2012年正月の箱根駅伝本戦への出場を目指し、苦しい夏の練習に耐えてきた40大学466名の長距離部員たちがこの日立川に集結した。レースは雨中のスタート。今年の慶大の出走者は平塚知成(商4)、西郷康広(理4)、齋藤大樹(総3)、鐵本智大(理3)、福島健介(経3)、松田昂大(理3)、内山雄貴(商2)、岡田健吾(理2)、長島亮太(政2)、濱松主臣(経2)、門出康孝(理2)、粟田貴明(商1)の12名であった。
第88回東京箱根間大学駅伝競走予選会
10月15日(土) 9時30分スタート 陸上自衛隊立川駐屯地〜立川市街地〜国営昭和記念公園
この予選会は各校の上位10選手の合計タイムで競われる。1位から6位の大学はレースタイムのみ、7位以下は今年5月の関東学生陸上競技対校選手権(関東インカレ)の成績により与えられたインカレポイントによるアドバンテージタイムも併用し、最終総合タイムを出して順位がつけられる。箱根駅伝本戦は、前回大会で10位以内に入った大学と、今回の予選会を突破した9校、さらに本大会出場を逃した大学から選ばれた選手で構成される関東学連選抜を加えた20チームで行われる。今年も予選会からの出場枠は9枠だった。この数少ない本戦切符を狙って山梨学院大や日本大などの箱根常連校も参加し、熾烈な争いが繰り広げられた。慶大は1年次から毎年予選会に出場しており、昨年チームトップの成績を挙げた平塚(商4・長距離パートチーフ)や好調だった齋藤(総3)に学連選抜入りの期待がかかっていた。だが平塚は「夏場にケガをして、思うように練習を積めなかった、それが全てだった」と言うように本来の走りをすることが出来ず、1時間06分56秒で個人304位。齋藤も中盤以降にペースダウンしてしまったことで目標の1時間2分台には届かなかった。今年の慶大最高記となったものの1時間03分50秒、個人203位でフィニッシュとなった。慶大の最終総合タイムは10時間59分47秒。順位は昨年と同じ全体23位だった。
慶大は工夫して練られた練習メニューや、3次まである夏の合宿等を通じてチーム力の底上げを図ってきた。だが今年も箱根本戦出場は今年もお預けとなってしまった。しかし慶大の「チームとしての力は着実に付いてきている」(齋藤)。昨年から順位こそ変動がなかったものの、総合タイムが12分以上縮み、今年は11時間を切ることに成功。着実にレベルが上がっている。来年はさらに好成績を挙げ、箱根路を走る慶大選手が出ることを期待したい。
By Kiyoaki Onuki
コメント平塚パートチーフ
(1週間前の取材では「調子が良くない」とおっしゃっていたが、その後の変化は)僕自身のイメージという意味では「なんとか形になるかな」というところまで持っていけました。でも結果としては崩れてしまい、練習不足が響いたかな、といった感じでした。(天気の影響は)雨は前半の途中からあがったので、そこまで気になるということはなかったです。(今日意識したことは)10時間50分というチーム目標があったので、1秒でも速く、と心がけていました。(10人の合計でこのタイムだと)ひとり平均65分ということになるので、65分から大きく崩れない、というのを強く意識しました。(レースを振り返って)夏場にケガをして、思うように練習を積めなかった、それが全てだったと思います。今まで4年間のなかで、スタート地点に立つまでの準備が一番不足していた、というのが最終的な結果に現れてしまったな、と思います。(1年生から4年連続で予選会に出場していたが)1,2,3年と順調にタイムをのばしてきて、昨年は慶大トップで、(学連)選抜チームの候補、箱根まであと一歩というところまできていたんですけれども、今年は4年間でおそらくタイムが一番悪かったので、本当に情けないな、という気持ちです。ですが、それと同時にそんな自分でも最後こんな形で走ることができたので、支えてくれたチームやチーム関係者の方々など皆様に感謝したいと思います。(パートチーフとして取りくんだことについては)僕自身が走れない時期もあったのですが、後輩たちが本当によく走ってくれたな、と思います。今までに代がわりごとにいろんなチームがあったんですけれども、本当に高い目標を持って臨めていたチームなのかな、と思います。結果的にはまだまだかな、とは思いますけれども、またこれからも後輩たちが高い意識でやってくれると思います。(今日のレースを終え、競走部を引退、ということになるが)今日をもって慶應義塾競走部としては引退かな、と思います。でもまだ陸上競技者としては競技の方は続けたいと思います。(競走部の後輩に伝えたいこと)僕も結局中学生の頃から箱根駅伝というものを目標にしてきました。最終的には今年失敗して箱根は走れなかったわけなんですけれども、やっぱり大学で長距離をやる以上は正月のあの舞台を目標にし、常に意識して取り組んで欲しいな、と思います。OBとしてもいつか慶大が復活できることを信じていますので。
斎藤
(今日のレースを振り返って)個人的には、調子が良かったので最初の5キロは攻めたんですけど、それが仇となって中盤以降だいぶペースが落ちてしまい、結果的には全く納得出来るタイムではなかったので、自分はまだまだ20キロなどのロードレースの経験が足りないと思いました。チームとしては、10時間50分というのが目標としていて、結果として10時間59分47秒ということで目標には達しなかったんですけど、今まで11時間掛かっていたのを切ることが出来たというのは、チームとしての力は着実に付いてきているのかなと思います。(悪天候だったが)走る方としては雨の方が体温を下げてくれたり、吸水の手間とかも省けたりするので、走りやすい選手は多かったのかなと思います。(今季を振り返って)今年度の競走部長距離の目標として、チームの底上げということがありました。今までAチーム、Bチームという風に分かれていたものを1つにして、集団走でお互い切磋琢磨しながら刺激を与えていくということがチームの底上げには繋がったかなとは思います。
門出
(レースを振り返って)個人的には前半から速いペースできたので、最後の方はちょっと疲れちゃったんですけど、合計タイムとしては、及第点だったかなと思います。(天候の影響もあったと思いますが)去年は結構日差しが照っていて暑かったので、むしろ今年は雨の影響で逆に涼しく走れたので、そこはよかったかなと思います。(レース前に意識したこと)調子自体は良かったので、あまり考えすぎないようにしようというのは意識していました。(来シーズンに向けての抱負)とりあえず、冬のハーフマラソンとか関東インカレの標準を狙っていきたいです。来年の箱根駅伝予選会では、今より1分以上早いタイムでゴールできればいいかなと思っています。
鐵本
(今日のレースを振り返って)反省点ばかりが目立つレースだったなという印象です。調子自体はそんなに良くなくて、当日目標として考えていたレースペースでレースを進めることが出来るとは思っていなかったのですが、チームのために最低限の走りはしたかったです。だいたい63分半くらいで走りたかったんですけど、その走りも出来なかったということで非常に反省しています。(激しい雨の影響は)雨は全然気にならなかったです。途中気付いたらもう止んでいたので。(レース前に意識したことは)楽に走るイメージを頭の中でしっかりと思い描くことを意識していました。(来年はラストイヤーになるが、今後に向けての意気込みや目標など)チームのポテンシャルはすごくあると思うので、力はあるのに出せていないっていうのが今のチームだと思います。一年間の取り組みでそういった部分を伸ばしていけると思うので、来年はチーム順位を少しでも上げること、そして学連選抜で箱根駅伝の出場を確実にすることを目指します。
福島
(今日の走りを振り返って)3週間前にケガをしてしまって、不安が結構あったんですが走り切れる状態までなんとかもってくることができました。タイムは悔しいですし、予定よりは遅くなってしまったんですがレース的には力を70~80%くらいは出せました。(目標タイムは)66分10~20秒くらいですね。(天候について)雨は3回目の出場で初めてだったんですけど、涼しかったので走りやすかったとも思います。アップでは雨だとやり辛いんですけど、そんなに気にせずですね。雨のレースは結構好きですし、別にいいかなと。(来年について)来年は駅伝主務になるので、運営やみんなのサポート面でもしっかりしていかなければいけないと思います。運営の方は完璧にやりたいですえし、もちろん選手としてもあきらめていないので、今年よりは4~5分早く走りたいです。(駅伝以外の種目は)メインは1500mでやっているので、秋と春は1500mで関カレ標準を切って、出られるように頑張っていきたいと思います。
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