【Last message】主務として部内外を統括 裏方に徹した4年間の献身 /4年生特集「Last message~4年間の軌跡~」No.41 宮田健太郎(野球部)

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24年度に引退を迎えた4年生を特集する「Last message~4年間の軌跡~」。第41回となる今回は、野球部の宮田健太郎(商4・慶應)。宮田は中学以来となる野球部への入部を決意すると、マネージャーとして幅広い仕事に携わり、最終学年は主務に就任。野球部内外の連携だけでなく、東京六大学野球連盟のマネージャーとしてリーグ戦運営を担うなど、部を献身的に支えてきた。そんな宮田にとって“慶大野球部”とは。

新チーム発足直後、宮田は「心配しかなかった」という。当時のスタメンは投打ともに主力が4年だったため、卒業。さらに宮田が「互いに長所を補っていた」と評する先輩マネージャーも6名卒業し、大幅な戦力ダウンは否めなかった。しかし、宮田は「チームとして全員がいろんな経験を積むことができる」と前向きに捉えていたという。春の室内練習場の建て替えに伴い、例年より長めの鹿児島キャンプに加え、関西・愛知でもキャンプを敢行。大学や社会人の強豪と実戦を重ね、その度に個々の選手の経験値を積みあげた。「競争力とそこから生まれる勢い」が特徴の野手陣。またオープン戦を通して成長した下級生投手たちの奮闘に、宮田は確かな手ごたえを感じていた。

迎えた春季リーグ戦。前季覇者として、勢いそのままに初戦の東大に2連勝。続く法大に初戦を落とすも3戦目、劇的な渡辺憩(新商2・慶應)のサヨナラ本塁打で勝ち点を獲得し、立大にも水曜までもつれ込む大熱戦を制した。しかし、明大に2連敗で勝ち点を落とし、最終節の早慶戦。「幼稚舎の頃から凄く憧れていた舞台で、初めてベンチに入って自分自身が意気込んでいた部分もありました」。チームとしても明大2連敗から切り替えて挑んだものの、結果はスコア1-8、2―12の惨敗。明大・早大との個々のレベルの差、野球に対する意志の強さの違いを実感した。

印象に残っていると話した法大3回戦のサヨナラ

夏の北海道キャンプ。前半の幕別町でのキャンプはオープン戦でも勝つことが出来ず、投打ともに苦しんだ。しかし後半の旭川市でのキャンプは全員が課題を認識した上で、試合にも勝てるようになっていったという。新戦力の台頭が目覚ましい野手陣と、コントロールに加え気持ちの面でも一段と成長を遂げた投手陣の融合は、秋の賜杯奪還へ向け不可欠な要素だった。

主務として迎えた最後のリーグ戦。慶大は、開幕カードの立大に対し1勝1敗で迎えた3回戦、6回に決勝打を浴びスコア0-1で勝ち点を落とすと、続く明大とのカードにも3戦まで持ち込むも、1-2で惜敗。3カード目の東大に勝ち点も、初戦を落とすなど苦しい戦いが続いた。特に東大1回戦の敗戦は、宮田自身「夜ご飯が喉を通らず、夜も寝れませんでした」と振り返るほど落ち込んだという。

チームをベンチから見守り続けてきた

4年生として、「何かを残して引退したい」。法大に2連敗し、勝ち点1、リーグ5位が確定していた中で、ついに最後の早慶戦を迎えた。宮田は最後の秋季早慶2戦をこう振り返る。

「清原(正吾、商4・慶應)と水鳥(遥貴、商4・慶應)のホームランも嬉しかったですけど、本間(颯太朗、総4・慶應)のタイムリーというのが大きかったですし、渡辺和大(新商3・高松商業)が完投。土曜日の勝ち方もめちゃくちゃ気持ちいい勝ち方ができたと思うんですけど、それより日曜日の試合の方が僕的にはめちゃくちゃ嬉しくて。試合が進んでいく中で最後耐えきれずに失点する、というケースが凄く多かったところを最後の最後まで踏ん張って8回、林純司(新環2・報徳学園)の犠牲フライで勝ち越して勝った。今まで弱かったところを克服できた1年の成果が、結果として出たっていうのがすごくうれしかった」

“早稲田が勝つ”下馬評を覆し、2連勝で勝ち点を獲得したことは、シーズン5位の中でも収穫となったといい、「早慶戦前の空き週2週間での練習の取り組みや、気持ちの部分。そういった結果以外でのほんの少しですけど、ちょっと残して引退することができたのかなっていう風には思っています」。早慶戦を見て野球を始めた宮田にとって、最後に夢が叶った。

秋季早慶戦後、メンバーに指示を出す宮田

主務の主たる仕事は、「マネージャー17人と監督とのパイプ役」。選手同士はもちろん、選手とマネージャー、東京六大学野球連盟と野球部、様々な企業・団体などをつなぐ”橋渡し役”を果たした。また東京六大学野球連盟のマネージャーとして、リーグ戦運営に携わり、オープン戦でレベルの高いチームと組みたい日程通りに試合を組めた時や、他の5大学のマネージャーみんなでリーグ戦を運営できた時にやりがいを感じたという宮田。1年からグラウンドまわりの用具、寮、食事の管理、遠征の準備など、多くの事務作業をこなし、チームを支えてきた。そんな宮田にとって、「慶大野球部」とは。

「まず入ってよかったなって。本当に人生のためになりました。マネージャーとしても監督含めOBの方々だったり本当にいろんなことを教えていただいて、社会に出る勉強にもなりましたし、人としてもいろんな考え方、人との接し方、たくさんのことを学ぶことができた4年間でした。自分の中では1番いい道だったと思います」。

野球部内外で密な連携をとってきた

宮田はこの春から一般就職を選択。慶大OBも多数在籍しているため、これからも社会人野球、東京六大学野球の「一ファン」として野球に携わるという。宮田の今後の活躍も楽しみだ。

次のステージでもさらなる活躍に期待

(取材、記事:加藤由衣)

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