2025年度に結成100周年を迎えた東京六大学野球連盟。ケイスポでは、「六大学野球連盟結成100周年記念インタビュー」と題して、社会人野球強豪・トヨタ自動車で活躍する福井章吾(令4卒・大阪桐蔭)&増居翔太(令5卒・彦根東)バッテリーにインタビュー。増居は昨秋の第49回社会人野球日本選手権で3試合に登板、防御率0.38と圧巻の投球で「最高殊勲選手賞」を受賞。そしてその増居を巧みな好リードで支えたのが慶大の1年先輩・福井だった。チームの7度目の優勝に貢献した”慶大バッテリー”は、大学時代にも2021年の東京六大学リーグ戦春秋連覇を成し遂げ、全日本大学野球選手権大会優勝・明治神宮大会準優勝を果たした。今もなお活躍が光る福井と増居に、慶大野球部時代や社会人野球、今後の野球人生に関するお話を伺った。
――(この取材は3月6日の試合後に対面で実施)慶大野球部と対戦してみて
福井:バッターについては、自分が思った以上に仕掛けているなといった感じで、良い試合ができているのではないかと思いました。ピッチャーについては、堀井さんが「もう少し投げられるピッチャーがいる」と言っていたので、投げられるピッチャーが豊富にいる状態は非常に良いなと思いながら見ていました。
増居:僕は現在の4年生と1年間だけ重なっていたので、その4年生たちを中心に注目していました。また僕はピッチャーなので特にピッチャーを中心に見ていたのですが、良いピッチャーが増えたという印象を受けました。そのようなピッチャーを中心に、守備からしっかりとリズムを作れていて、とても良い雰囲気が感じられました。
――大学時代の話題に移ります。今でも一番印象に残っている試合は
増居:僕はパッと出てくる試合がありますね。福井さんが3年のときの蛭間のバックスクリーンの試合。あれは20年秋か。
福井:20年秋の早大2回戦。逆転ツーランを9回表に打たれて、優勝を逃した試合らしいです。
僕は21年秋の3-3で引き分けやったけど、優勝した試合(早大戦2回戦)です。最後達弥(橋本達弥・令5卒・現横浜DeNAベイスターズ)が抑えた試合はここまでやってきてよかったなと思いました。
――明治神宮大会の決勝(中央学院大に9-8で敗れ、4冠を逃した試合)は
福井:あれは今やから言えるけど、最後のお祭りみたいな感じ(笑)。優勝できたらよかったけど、相手の方が上だったかなという感じでしたね。
――2人がバッテリーとして出場した心に残っている試合や場面は
福井:いや、結構あるな。ナイスピーしたのは法政やな。
増居:法政ですね。
福井:21年秋の法政2回戦。結果的に0-0の引き分けやった試合を、増居は6か7回ぐらいまで投げたんやけど、あのときはめちゃくちゃナイスピーした記憶あるかな。それか大学野球選手権のときの関西学院大戦。増居はピカイチの試合がないねんけど、ある程度いつも一緒ぐらいで抑えるから。それでも強いて言えば法政かな。

慶大時代もバッテリーを組みチームの勝利に貢献
――大学時代で最も成長したことと苦しかったことを教えてください
福井:僕は高校野球のトーナメント戦から大学野球のリーグ戦に切り替えることと、トーナメント戦だったら5日間で終わるところを、リーグ戦では1シーズンが2か月と長期間に及ぶのでスタミナ的にもとても苦しかったです。成長できたことは、どちらかというと野球バリバリの高校(大阪桐蔭)でやらしてもらっていたのが、慶應に入ってからはいろんな人がいて、そのなかでみんなで勝利する喜びを学べたことだと思います。
増居:今同じ話がありましたけど、年に2回、2か月かけて行われるリーグ戦の中で、調子がすごく良い状態って年に1回か2回くらいしかなくて。そんな中で、自分の調子があまり良くなくても、どうやって結果の波を小さくするかが一番難しかったです。でも、それが一番成長できた部分でもあるし、今でも自分の力になっている部分だなと思います。
――大学時代のチームメイトで特に影響を受けた選手は誰か
福井:いろんな影響の受け方がありました(笑)。野球の面で一番影響を受けたのは郡司さん(郡司裕也・令2卒・現北海道日本ハムファイターズ)。郡司さんは僕の2個上で、キャッチャーの先輩だったのでいろいろ教えてもらいました。人生を楽しむ面だと同級生にいる橋本典之(令4卒・現大阪ガス)で、そいつとの出会いは人生を変えてくれたと思います。
増居:僕は3つ上の先輩の津留崎さん(津留崎大成・令2卒・現東北楽天ゴールデンイーグルス)です。僕の身体がめちゃくちゃ小さいときに、津留崎さんが昼寝している僕のベッドのカーテンを開けて「ウエイトしたか」「プロテイン飲んだか」と確認してきて、その当時はすごくしんどかったですが、今思えば大事なことを教えてくれたと思います。
――正木智也(令4卒・現福岡ソフトバンクホークス)選手や萩尾匡也(令5卒・現読売ジャイアンツ)選手などプロで活躍する元チームメイトを見て
増居:僕は同級生に萩尾、橋本、上に正木さんや渡部さん(渡部遼人・令4卒・現オリックスバファローズ)、下には廣瀬(廣瀬隆太・令6卒・福岡ソフトバンクホークス)がいますが、身近で野球をやっていた選手がプロに行くっていうのは僕の人生の中でほとんどなかったので、とても刺激を受けました。また「こういう選手がプロに行くんだ」というプロの世界が勝手に身近に感じるではないですが、そういう意味でも影響力があると思います。
福井:僕は高校も含めて周りにプロ野球選手がいますが、同級生の正木や遼人の頑張りは僕を含めた同級生の刺激にもなるし、あいつらが活躍したら同期のグループLINEが動いたり、あいつらに会えるってなったらみんなで集まったりと、ある意味目標の存在だと思っています。逆に社会人に進んだ身としては「あいつらよりも長く野球をやってやる」という1つ目標の立ち位置になっているので、刺激を受けながら野球をやっている存在だと思います。
――堀井監督から受けたアドバイスや言葉で今でも大切にしているものは
増居:僕が一番好きなのは「高めの変化球ははしごをかけてでも打て」(笑)。
福井:ふざけてる、ふざけてる(笑)。
増居:例えというか、それぐらい「高めの変化球は打てるから打ちにいけ」っていう意味です。僕はピッチャーなので関係ないんですけど、面白くていいなって(笑)。
福井:監督なあ、まあいろいろ言ってた。
増居:多すぎてな、これといったのは。
福井:監督は言葉だけじゃなくて選手のことを信頼してくれていて、いつも一緒に戦ってくれていました。そういう存在だから、答え方を変えると、「堀井監督から学ぶことはめちゃくちゃ多かった」という感じですね。堀井監督やから勝てたこともたくさんありました。

堀井監督と握手を交わす福井
――大学時代のお互いの印象を教えてください
福井:(大学のころと)変わってないです(笑)。増居はマイペースやし、意外と周りに興味がない。興味を持ってそうで持ってないのが翔太。そこは良さであり、悪いところではないけど、印象はそこかな。めちゃくちゃ変わってない。僕だけが変わったっていう感じ(笑)。
増居:良いことやね。福井さんは見ての通りの部分もあれば、すごく寂しがりなところもあり、基本ふざけてる。世に出てる1%がめちゃくちゃまともなイメージ。99%はふざけてる。
福井:流しといてケイスポに(笑)。相当ふざけているからな。ふざけてると思ってなかったでしょ?
増居:そこは変わってない、いつまでも。
――2023秋・明治神宮大会優勝、2024秋・早慶戦2連勝といった後輩たちの活躍に関して
増居:慶應野球部チームとしての結果もそうですが、個人的には大学時代被っていた選手がまだ大学でプレーしているので、一人一人の頑張りを見ていると頑張っているなと嬉しく思います。
福井:僕も一緒ですね。感慨深いよな、母校が優勝してくれたら。トヨタの野球部でもどこかの選手のチームが優勝するので、そういうときにやっぱり嬉しいなと思います。逆に去年の秋5位だとちょっと悲しいなと、そういう風に感情が入っていく感じですね。

スタンドからの歓声にこたえる福井
――実際、試合を見に行ったりすることはあるか
増居:去年は見に行ってないかな。一昨年は見に行ったけど。でもあれでは見てるかな。
福井:あースポナビね。Big6TVね(笑)。引退してから、俺一回も神宮行ったことない。すまんな。コロナもあったしな。関係ないか。
増居:俺の時もう復活してるからな。
福井:そうやな。行こうとしてるけど行ってない感じ。
――現役選手で期待している後輩は
増居:福井さんもう被ってないもんね。多分あんまわかんないよね。
福井:いやでも俺はこの答えをケイスポさんが求めているだろうという答えがある。大村昊澄(新法法2・慶應)。昊澄は会ってるもんな。昊澄が名古屋やから、よく年末とか会うんですよ。
増居:そうそう、たしかにね。
福井:俺のことをすごく尊敬してくれてるし。もう一人いるわ。野手は昊澄で、ピッチャーは別所孝亮(新環3・大阪桐蔭)にしよう。大阪桐蔭から慶應に来た2人目だから。
増居:あーそうね。たしかに。僕は外丸東眞(新環4・前橋育英)ですかね。まさかキャプテンになるとは思ってなかったですけど。キャプテンどうこうの前に春はピッチャーとして頑張ってほしいなと思います。去年はいろいろ悩んでいたみたいなので、話も聞いたりしたんですけど、今日だいぶ吹っ切れた顔で投げてたので、この感じで突っ走ってほしいなと思います。
――続いて大学野球と社会人野球の違いは
増居:いろいろありますけど、よく言われるのは一発勝負。高校が一発勝負で、大学のリーグ戦を挟んでまた一発勝負の世界に戻ってきたっていうのが違いの1つ。
福井:あとはシンプルにレベルが高い。ピッチャーも野手も。1つ2つレベルが上がるっていうところはめちゃくちゃ感じていますね。
――社会人となって苦しかったこと
増居:お互い共通しているかもしれないですけど、試合に出られないことです。社会人野球っていうかうちのチーム事情もそうですけど、試合に出られない期間があった。僕は1年目の1年間。
福井:俺は2年半出てない。いっぱい良い選手がいて層が厚くて出られない。最初入った時は「なんで出られんのや」と思っていたけど、年々自分の実力と全体の実力で出れないなってわかってきて、ようやく去年試合に出られました。
――福井選手は今季から副将に就任
福井:もう4年目になりますが、4年目以下の人がチームの半分以上を占めているので、「若手をどういう風にまとめていくのか」「若手がどうチームに入り込んでいくのか」というところをキャプテンの方とも課題を持ってやっています。そこのまとめ役として、増居選手含め3年目以下の選手のモチベーションをいかに上げていけるかというところを重視してやっているという感じです。
――今年の目標、これから野球人生としての目標をお願いします
増居:今年の目標か。都市対抗優勝。僕はピッチャーですから優勝投手になることです。
福井:今年の目標はしっかり正捕手を取ることです。そして、しっかりチームを勝たせる、優勝することだと思っています。野球人生の目標は…先言っていい?(笑)
増居:どうぞ(笑)。
福井:まずはやりきったっていえるかどうか。「しっかりやりきった」っていうところまで野球をやる。あとは野球からいろいろ学んだことがあるので、いずれは指導者の道に進み、いろんなことを還元できればいいなという思いが野球人生のゴールとしてあります。
増居:おー。素晴らしいですね。僕は野球選手として自分に伸びしろが感じなくなるまでやり切ることです。
――以上で取材は終了です。お忙しい中取材をご快諾してくださりありがとうございました!

肩を組む福井(写真左)と増居(写真右)
(取材、記事:河合亜采子)
ご覧いただきありがとうございます!今回ケイスポでは、”東京六大学野球連盟結成100周年企画”として、プロ野球選手としてご活躍されている福岡ソフトバンクホークス・柳町達選手(令4卒)、廣瀬隆太(令6卒)選手にもお話を伺いました!こちらはケイスポ公式YOUTUBEで掲載されておりますので、ぜひ以下のリンクよりご覧ください!