慶大が1部の舞台に戻ってきた。グラウンド脇の葉桜が王者の帰還を祝福する。1部での4年ぶりの勝利に向けて主将の田中雄大(商4・成城/三菱養和SCユース)を筆頭に勝利を目指す慶大。試合開始直後の4分、相手ペナルティエリア付近の好位置でFKのチャンスを得ると、新しく10番を背負った副将・角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が相手GKの意表を突く完璧なフリーキックで先制する。しかし、24分にはパスミスから失点し同点とされ、試合は振り出しに。失点直後の26分、柳瀬文矢(法4・駒大高)が抜け出し、シュートを放つ。ボールはゴールラインを割るも、これは惜しくもオフサイドの判定となり、勝ち越しとはならなかった。その後はチャンスを上手く生み出せないまま前半を終える。後半も攻め込まれる状況が続くが、相手ペナルティエリア内での攻撃がハンドを誘発し、PKの権利を獲得する。ここもまたもや角田が丁寧に決め切り、勝ち越しに成功。角田の慶應の10番にふさわしい活躍で開幕から幸先のいいスタートを切った。
2025/4/6(日)14:00キックオフ@慶大下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学2ー1東京国際大学
【得点者】
4分 角田惠風(慶大)
24分 齋藤晴(東国大)
60分 角田惠風(慶大)
◇慶大出場選手
GK
1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)
DF
2 三浦成貴(商3・浜松開誠館)
3 五十嵐宥哉(商4・清水東)
4 秋元心太(法2・駒大高)
6 永澤昂大(政4・國學院久我山)
MF
7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)
→87分 13 三浦大其(経2・慶應)
8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)
10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)
17 辻野悠河(商4・暁星国際)
→ 87分 15 洪潤紀(政2・國學院久我山)
14 村井亮友(商4・ザスパクサツ群馬U-18/桐生)
→65分 19 朔浩太朗(理3・学習院高等科)
FW
9 柳瀬文矢(法4・駒大高)
→81分 11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園)
4年ぶりに慶大が1部の舞台に返ってきた。グラウンド脇に咲く桜が慶大の復帰を祝うかのようにピッチに降り注ぐ。2021年10月の駒沢大学戦以来、実に3年半ぶりの1部での勝利に向けて昨年5位の東国大に挑んだ慶大。スタメンには主将の田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)を始めとする経験豊富な上級生から、今節が関東リーグ初出場となる秋元心太(法2・駒大高)などさまざまな顔ぶれが並んだ。

関東リーグ初スタメンの秋元
早くも試合が動いたのは前半4分。村井亮友(商4・ザスパクサツ群馬U-18/桐生)が相手ペナルティエリア付近の好位置でファールをもらうと、慶大はいきなりチャンスを迎える。角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が右足で放ったボールは吸い込まれるようにゴール左奥へ。芸術的な先制弾で流れを完全に慶大のものとした。試合後に角田は「あの位置で練習したFKはほとんど外さなかったので」と余裕の表情を見せた。

角田の完璧なフリーキックで先制する
その後も齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)を中心に攻撃を組み立てるも、24分には守備中のパスミスからボールを奪われ、洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)が懸命にカバーに入るも、相手のシュートはゴールに吸い込まれ、同点とされる。失点直後の26分、角田からのスルーパスから柳瀬文矢(法4・駒大高)が抜け出すと、そのままシュートを放ち、ゴールネットを揺らすも、これはオフサイドの判定となり、惜しくも勝ち越し弾とはならなかった。

今季から背番号1を背負う洪潤太
その後は上手くチャンスを生み出せないまま、試合は後半へ。後半は攻め込まれる状況が続くが、村井や齋藤などがサイドから攻め込むと、60分に相手のハンドを誘発し、PKの権利を得る。ここで蹴るのは慶應の10番・角田。相手応援団のブーイングも受けながらも、落ち着いて相手キーパーの逆方向に蹴り込み、勝ち越し点を奪った。追加点の欲しい慶大は65分に村井に代えて朔浩太朗(理3・学習院高等科)を投入。さらに81分には立石宗悟 (法4・桐蔭学園)を投入し、さらなる得点を狙う。

試合の主導権を完全に掴んだ角田
86分には永澤昂大(政4・國學院久我山)がファールを誘発し、相手は2枚目のイエローカードで退場に。人的有利の状況でさらに攻撃を仕掛けたい慶大は87分、齋藤に代えて三浦大其(経2・慶應)を、辻野悠河(商4・暁星国際)に代えて洪潤紀(政2・國學院久我山)を投入。なお、洪潤紀はこの試合が関東リーグデビュー戦となった。その後はスコアボードが動くことなく試合が終了。2-1で開幕戦を白星で飾った。

リーグ戦初出場の洪潤紀
この日は、角田が2得点の活躍で攻撃をけん引。秋元や三浦大といったフレッシュな顔ぶれの存在感も光り、収穫の多い一戦となった。次節の相手は、昨季Jリーガー5名、JFL選手2名を輩出した実力校・中大。難敵との一戦だが、開幕戦の勢いを武器に、まずは今季初の連勝を目指したい。

今季初の連勝を目指す
(記事:塩田隆貴 取材:愛宕百華、塩田隆貴、岡﨑葵衣)
【選手インタビュー】
◇田中雄大(商4・成城/三菱養和SCユース)
ーー開幕戦どういった気持ちで臨んだか
開幕戦というところで、緊張感もあるので、自分とか角田とか経験のある選手がどれだけ引っ張ってやっていけるか、立ち上がりから試合で圧倒できるかっていうところが勝負かなと思っていました。立ち上がりだけ意識して臨みました。

立ち上がりに気をつけたという今節
ーー今日の試合を振り返って
早い時間に角田が決めてくれたんで、いままでの天皇杯とかと比べればいい形で試合に入れて、自分のミスから失点したんですけど、自分たちのサッカーは前半からできていたので、後半も自分たちのサッカーを継続して、角田が最後でPKまた決めてくれたので、まだまだ課題はあると思いますけど、いい試合だったなと思います。
ーー次節中大戦への意気込み
1試合1試合やっていくしかないと思うので。次は平塚というアウェーでの開催になるので、リーグ戦初のアウェーということ、立ち上がりから気をつけつつ、今日みたいないい試合ができればと思います。
◇角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)
ーー試合全体の振り返って
去年から積み重ねてきた「攻撃的なサッカー」をいつも通りやろうというところで立ち上がりからいい形でゴールに迫れていたので、試合全体としては「いい入りができた」というところで自分たちのサッカーができていたと思います。でも後半リードしてからは結構後ろ重心になってしまって、デザインされた攻撃を出せなかったのでそこは反省なんですけど、初戦はとにかく勝ちが大事だと思っていたので、勝ててよかったです。

いい入りができたと語った
ーーゴールシーンを振り返って
1点目のフリーキックは、練習から位置はほとんど決めていたので自信を持って蹴りました。(2点目の)PKは、この間の天皇杯で1本目を外して、2本目の蹴り直しで成功していたので、外したというのもあって毎日3本くらいは必ず蹴るようにしていました。走っている間にキーパーを見ていたら先に動いてくれたので、開いていたところに入れました。
ーー新チームが始動したが、チームとしてこの1年どう戦っていきたいか
入部したときに、自分たちが4年になったときの目標として「自分たちの代で(関東リーグ)1部で戦って優勝したい」というものを掲げました。2部から3部に落ちたり、昇格したりありましたけど、今は1部で戦うことができているので、1年のときに掲げた目標というのを実現するために、主将の(田中)雄大と、副将の自分と(西野)純太の3人で役割は違えど引っ張っていって、去年積み上げた中町さんの「デザインされた攻撃的なサッカー」を1部の舞台で表現して勝ちを積み重ねたいです。

全員の総和で勝利を目指す
ーー次節への意気込み
レモンガススタジアムということで、相手の中央大も自分たちもやり慣れていないグラウンドですけど、22分の1勝っただけでは意味がないので、次もしっかり勝てるように改善と反省を繰り返して臨んでいきたいと思っています。