昨週の立正大戦の流れに乗って勝利を収めたい慶大。この日相手に迎えるのは昨季、春秋ともに悔しい敗戦を喫した筑波大。選手たちも「絶対に倒さなければならないライバル的存在」とする相手にどう太刀打ちするのか多くの注目を集めた。
快晴の下、たくさんの観客の期待を背に前半が開始されると、悔しくも筑波大に先制を許してしまう。しかし、すぐに華麗な連携プレーでトライを取り返すと、流れを徐々に慶大に呼び寄せる。前半終了時点で両校3トライずつ取るシーソーゲームとなった。昨季の雪辱を果たすための残り40分。総力戦で必死に喰らいつくも筑波大にさらに3トライを許し、追い上げも実らず敗戦した。
ライベルへのリベンジは叶わずとも、春季大会初出場選手のトライなど、次戦に向けて期待も残る一戦となった。
2025年4月27日(日)関東大学春季交流大会 対筑波大学 @下田グラウンド
- 慶大 20{15―21、5―17}38 筑波大○
関東大学春季交流大会 第2節 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/4/27(日)12:00 K.O.@下田 | 筑波大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
3 | 1 | トライ(T) | 3 | 3 |
0 | 0 | コンバージョン(G) | 3 | 1 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
15 | 5 | 計 | 21 | 17 |
20 | 合計 | 48 | ||
前半9分 恩田(T) 前半19分 大川(T) 前半26分 橋本(T) 後半39分 早川(T) | 得点者 | 前半5分 大町(T) 前半6分 水澤(G) 前半14分 磯部(T) 前半15分 水澤(G) 前半33分 飯岡(T) 前半34分 水澤(G) 後半8分 飯岡(T) 後半22分 濱島(T) 後半24分 高橋(T) 後半25分 水澤(G) |
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 西澤 賢佑 | 178/109 | 文4 | 膳所 |
2 | 渥美 和政 | 173/100 | 経4 | 慶應 |
3 | 廣瀬 宇一朗 | 180/115 | 環2 | 桐蔭学園 |
4 | 笠原 大介 | 180/96 | 商4 | 慶應 |
5 | 加藤 光 | 182/100 | 法2 | 慶應志木 |
6 | 岩垂 樹希 | 177/93 | 政4 | 慶應 |
7 | 米津 幸治 | 175/91 | 商4 | 慶應 |
8 | 恩田 優一郎 | 175/100 | 政3 | 慶應 |
9 | 橋本 弾介 | 169/76 | 法4 | 慶應 |
10 | 大川 竜輝 | 172/85 | 理4 | 慶應 |
11 | 石垣 慎之介 | 176/80 | 政4 | 慶應志木 |
12 | 今野 椋平 | 183/90 | 環4 | 桐蔭学園 |
13 | 小舘 太進 | 173/84 | 商4 | 茗溪学園 |
14 | 山本 大悟 | 174/85 | 環4 | 常翔学園 |
15 | 伊吹 央 | 176/81 | 経4 | 慶應 |
筑波大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 小澤 一誠 | 172/103 | 医4 | 国学院久我山 |
2 | 前川 陽来 | 168/96 | 体4 | 尾道 |
3 | 岩重 晴大 | 169/103 | 体4 | クラーク記念国際 |
4 | 磯部 俊太朗 | 190/110 | 体3 | 国学院久我山 |
5 | 白丸 智乃祐 | 185/107 | 体3 | 長崎北陽台 |
6 | 中森 真翔 | 191/96 | 体2 | 桐蔭学園 |
7 | 高木 海斗 | 174/94 | 体4 | 筑紫 |
8 | 大町 尚生 | 167/90 | 生環4 | 長崎北陽台 |
9 | 高橋 佑太朗 | 172/78 | 体4 | 茗渓学園 |
10 | 水澤 雄太 | 180/86 | 体3 | 茗溪学園 |
11 | 飯岡 建人 | 184/86 | 体3 | 流経大柏 |
12 | 今村 颯汰 | 170/78 | 体3 | 福岡 |
13 | 東島 和哉 | 179/83 | 理4 | 浦和 |
14 | 濱島 遼 | 175/74 | 体4 | 福岡 |
15 | 増山 将 | 177/83 | 体3 | 東海大学付属大阪仰星 |
慶應義塾大学 |
| 筑波大学 |
804kg | FW平均体重 | 800kg |
100.5kg | FW合計体重 | 100kg |
177.5cm | FW平均身長 | 177cm |
昨年筑波大に2点差で逆転負けした屈辱の記憶が残る、快晴のこの日の下田グラウンド。春季交流大会優勝を目指す中で最後までミスが許されない重要な一戦となる。慶大のキャプテン、今野のキックで開始した。
開始直後、ラインアウトに成功し前試合大活躍の石垣にパスが渡り、相手ディフェンスをすり抜けていくのが期待されるも、筑波大の低いタックルで攻撃を簡単には許されない。その後慶大も粘り強いディフェンスで自陣への攻め込みを阻止する我慢の時間が続く。
筑波大のキックで自陣22mライン付近に持ち込まれ、ラインアウトからフェーズを重ねられる。筑波大・白丸に気を引かれている隙にパスを受けた中森に間を抜かれトライを決められてしまう。山本がキックチャージをしに行くも、筑波大のコンバージョン成功により7点の先制を許す。
前半8分、慶大ボールのスクラムから敵陣5mライン付近で何度も相手ディフェンスの突破を試みる。ペナルティなく冷静に得点機会を伺い、ラックから橋本のパスを受けた今野がすぐにタッチライン付近にいた恩田にロングパス。相手の隙をついたポジショニング、連携プレーで1トライを取り返すことに成功。5−7と追い上げを見せる。
このまま流れを引き寄せたかった慶大だが、筑波ボールのラインアウト後、トライライン付近で攻め込まれる。1分ほど粘り強いタックルで抵抗するも、力で押し込まれさらに点差をつけられる。
直後の慶大はラインアウトから、橋本の素早いパスで徐々に敵陣支配を展開する。
慎重な攻めが功を奏し、筑波大のペナルティを誘発すると、今野のペナルティキック、そしてラインアウト成功からさらなるチャンスを迎える。ラックからボールが今野に回ると、後ろから回り込んだ大川にノールックパス。ボールを回すと見せかけて、そのまま自ら大川がトライラインへ飛び込みトライを決める。バックス陣の信頼関係が垣間見える華麗なプレーを見せつけた。再び点差を詰める。
その後も絶え間なく筑波大のパス回しに耐える時間が続く。その中でも相手のミスを見逃すことなく追加点獲得を狙う。しかしそう簡単には得点に結びつかない。トライライン直前で好機と思われる場面も、ペナルティを取られてしまう。
諦められない慶大は、ハーフウェイラインのルーズボールを逃さなかった石垣をきっかけに猛追を再開。そこから相手ディフェンスを1人でうまく交わしながら敵陣を約30m駆け抜ける。
その後、大川から米津にロングパスが渡り、ゲインするとラックからボールを持ち出した橋本がそのまま押さえトライを決め、15−14と逆転に成功する。
33分、自陣5mライン付近にまで攻め込まれ、魂のタックルでとにかく耐える時間が続く。しかしタッチライン付近で後ろから走り込んできた筑波大・高橋にパスが渡り、そのままトライを決められる。コンバージョンも成功され、15−21に。
その後は相手のチャンスをものにさせない確実なディフェンスを見せつつも、慶大側のペナルティも目立ち、得点には結びつかず前半を終了する。
1トライ1ゴールで逆転圏内というスコアで折り返し、早々に点差を詰めたい慶大は後半3分、自陣から岩垂の鋭いゲインで相手のペナルティを誘発。フォワード陣の強い圧力でノックオンを誘いチャンスを作った。
しかし、ここは筑波大のラスト5mを守り切る粘り強さが上回り、後半最初のトライを奪うには至らなかった。また、この慶大ボールのラインアウトを巡る攻防が後半のキーファクターとなった。
後半6分、蹴り合いの中で、山本の執拗なチェイスにより敵陣10mライン付近でラインアウトからマイボールを確保したものの、悔しくも有効なアタックには繋がらなかった。逆に筑波大がノックオンのアドバンテージを活かした速攻を仕掛けると、慶大はディフェンスラインが整う前に大外から突破を許し、そのままトライを奪われリードを広げられる。
後半21分、筑波大にアドバンテージを与え、ピッチを横断する高難易度のロングキックパスからそのままトライを奪われる。
続けて後半28分、筑波大のテンポの良いパスワークに揺さぶられ、最後にオフロードパスを受けた高橋に勢いそのままトライを決められる。
何とか点差を縮めたい慶大。試合終了間際の後半44分、慶大の粘り強いオフェンスに痺れを切らした筑波大が相次いでオフサイドを犯す。慶大はタッチキックからのラインアウトではなくタップキックでの速攻を選択し、途中投入の早川湧人(環3・国学院栃木)が執念のトライを挙げ、意地を見せた。
同じカテゴリーに所属するライバルである筑波大に対し、前半は組織的なディフェンスで互角の戦いを繰り広げた。20-38という悔しい結果に終わったが、4トライを挙げた手応えが得られた試合となった。次戦に向け、タイガージャージの戦士たちは牙を研ぐ。
以下、副将・山本選手のインタビュー↓
――今日の試合を振り返って
シンプルに負けちゃって悔しいっていうところはあるんですけど、準備していたことは試合で出せたかなと。なので、結果はついてこなかったですけど、収穫もありましたし、次につながる試合にはなったかなと思います。
――今日の筑波戦に向けて具体的にはどのような準備をされていましたか?
立正大戦の後からこの1週間ディフェンスにずっと重きを置いてやってきました。本番では何度か相手に守備陣を抜かれる場面もあったんですけど、特に前半はディフェンスで前に出ることが出来た場面もあったので、その点準備してきたディフェンスは十分に出せたと思います。
――後半の試合展開についてはいかがですか?
後半は自分たちがビハインドの状況だったので、少し前のめりというか、焦りを感じてました。それがプレーにも悪い形で直接出てしまって、自分たちでズルズルミスしたのが相手のスコアに繋がってしまいました。負の連鎖になってしまったことが、後半あのように少し尻すぼみになった原因なのかなと感じています。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
ディフェンスはもちろんですが、それに加えて今週はアタックで何度かミスが起きてトライを取りきれない場面があったので、そこを修正してしっかり得点を取り切れるアタックの練度をチームとして高めていこうと思います。
(取材:愛宕百華、島森沙奈美、髙木謙
記事:島森沙奈美、髙木謙)