伝統から伝説へ
慶大テニス部が関東リーグで準優勝を果たし、2年ぶりに王座への切符を手にした。4年生を中心に団結したチームは、それぞれが個性を発揮しつつも、日本一の頂を目指す集団としてバランスのとれた強さを見せた。いざ、王者慶大復活へ。百年の伝統校が新たな伝説の一歩を踏み出した。
4年生の強さⅡ長谷川副将編へ
エースの真髄!不動のS1志賀へ
チームを支える3年生の底力!2人の3年副将へ
羽ばたく慶大の若い力!明日のヒーロー達へ
関東リーグ二位通過
今季のチームの二大巨頭である井上主将(総4)、長谷川副将(総4)を筆頭に、夏以降大きな存在感を放っている加藤副将(環3)、東京オープン優勝の志賀(政2)、さらには高校時代USオープンjrも経験したスーパールーキー近藤(環1)など、豪華なメンバーで関東リーグに挑んだ慶大。当然昨年敗れた早大、法大とは厳しい闘いとなることが予想された。初戦、第二戦は順当に快勝。幸先の良いスタートを切った。しかし臨んだ第三戦、法大戦は予想に違わず死闘の様相を呈する。前半戦のダブルスでは両校一試合ずつ勝ちを分け合い、勝負はD1対決へ。ここで井上・長谷川の4年生ペアが勝利への執念を見せる。相手ペースだった第3セットで流れをひっくり返してタイブレークに突入すると、怒涛の連続ポイントでこの試合を勝ち取った。だがこの後に波乱が待ち受けていた。シングルスでは本来S4の近藤をS6にチェンジして安全に白星を狙った慶大。しかし、S4の塩田副将(総3)、S5加藤副将が討ち取られると、劣勢になった場の雰囲気に押されるようにして近藤のプレーも精彩を欠いてしまう。ついに近藤が逆転負けを喫し、慶大の王座進出に危険信号が点滅。ここで再び4年生が慶大の窮地を救った。S3で井上主将が、S2長谷川副将が登場すると、両者ともに硬さの無いプレーでゲームをまとめ、チームに2勝を献上。これによって慶大は4-4で法大に並んだ。そして4年生の願いとチームの希望はS1志賀に託される。相手はインカレベスト4の笹井。苦戦するかと思われたが、志賀は焦りを見せず本来のプレーで終始ペースを握り、相手を追い詰めてゆく。勝利の瞬間、固唾を呑んで見守っていた選手達からは歓喜の声が上がった。そして志賀に駆け寄った井上主将の目には光るものが。互いにがっしりと握手をして健闘をたたえ合った。
続く第4戦は宿敵・早大との対決。日本一の悲願を達成するためには避けては通れない相手だ。慶大はここまで全勝のD2加藤・近藤が粘り強さを見せ、インカレ王者の伊藤・廣田をフルセットの末に破る大金星。しかし快進撃はここまでだった。その後は現大学王者の猛者達を追い詰めることができず、春の早慶戦に続いて結果は1-8。勝利は王座での対戦に持ち越された。
最終戦の亜大戦では、疲労からか全体的に勢いが乏しかったものの、なんとか逃げ切り7-2の勝利を収めた。また、この日はS6に新人の田中(法1)が初登場。堂々としたプレーで1セットを奪うも、その後押し切られ、リーグ戦初勝利はお預けとなった。しかしこれで晴れて王座進出が決定。昨年はわずかに届かなかったそのチャンスを、今年はしっかりと掴み取った。
「チーム」の中で光る「個」の力
今大会通して際立っていたのは、要所でしっかり決めてくれる4年生とS1志賀の頼もしさだ。特に志賀は各校のエース選手が集まるS1で4勝1敗と、安定の強さを発揮。慶大不動のS1としてその存在感を示した。またダブルス全勝、シングルスでも3勝の近藤をはじめ、ダブルスで全試合に登場した井上善(経1)やシングルスで健闘した権(総1)など、若々しい新戦力の活躍も目立った今大会。今後の慶大を支える若手層の厚さを感じさせた。
気合も戦力も充実している今季。一昨年の王座準優勝という結果に甘んじてはいられない。狙うは日本一の高みに輝く玉座だ。全国の強豪が集う王座決定戦で、強い慶大庭球部の返り咲きに期待したい。
By Asuka Ito
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