5月20日(火) 東京六大学野球春季リーグ戦 法大3回戦 @明治神宮野球場
慶大は法大に競り負け。先発・渡辺和大(商3・高松商業)は、初回に松下歩叶(営4・桐蔭学園)に2ラン本塁打を浴びるなど、2回途中4失点で早々にノックアウトされてしまう。それでも慶大は、負けじと林純司(環2・報徳学園)、小原大和(環3・花巻東)の二人で合計5得点を挙げ、追いすがる展開。しかし最終回、6番手・小川琳太郎(経4・小松)が松下に勝ち越し適時打を許し、敗戦。勝ち点の獲得は明日以降に持ち越しとなった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
法大 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 6 |
慶大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 |
慶大バッテリー:渡辺和、田上、木暮、入江、水野、●小川琳ー渡辺憩
法大バッテリー:槙野、山床、野崎、○赤間ー只石、中西祐、土肥
法大本塁打:松下2号2ラン(1回)、只石1号ソロ(6回)
慶大本塁打:なし
◆慶大野手成績
位置 | 選手 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
[9]89 | 今津慶介(総3・旭川東) | ニゴロ | 見三振 | 四球 | 遊ゴロ | 右飛 | ||||
1 | 小川琳太郎(経4・小松) | |||||||||
[7]97 | 小原大和(環3・花巻東) | 四球 | 空三振 | 左2 | 遊安 | 三安 | ||||
[8] | 常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢) | ニゴロ | 遊ゴロ | 投直 | 空三振 | |||||
6 | 上田太陽(商3・國學院久我山) | 一犠打 | ||||||||
[5] | 今泉将(商4・慶應) | 見三振 | 遊ゴロ | 四球 | 中飛 | ニゴロ | ||||
[3] | 中塚遥翔(環2・智辯和歌山) | 中安 | 空三振 | 遊飛 | ||||||
1 | 入江祥太(環1・石橋) | |||||||||
H | 森村輝(総4・小山台) | 右飛 | ||||||||
8 | 丸田湊斗(法2・慶應) | 一ゴロ | ||||||||
[2] | 渡辺憩(商2・慶應) | 左飛 | 中2 | 左2 | 四球 | |||||
[6] | 八木陽(法2・慶應) | 中飛 | 見三振 | |||||||
H7 | 福井直睦(商2・慶應) | 左安 | 空三振 | |||||||
1 | 水野敬太(経2・札幌南) | |||||||||
9 | 吉田雄亮(商3・慶應) | |||||||||
[4] | 林純司(環2・報徳学園) | 右2 | 右2 | 右犠飛 | 空三振 | |||||
[1] | 渡辺和大(商3・高松商業) | |||||||||
1 | 田上遼平(商3・慶應湘南藤沢) | 見三振 | ||||||||
1 | 木暮瞬哉(法4・小山台) | |||||||||
H | 横地広太(政3・慶應) | 中飛 | ||||||||
3 | 吉野太陽(法3・慶應) | 死球 | 一ゴロ |
◆慶大投手成績
選手 | 投球回 | 打者 | 投球数 | 被安打 | 被本塁打 | 与四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
先発 | 渡辺和大(商3・高松商業) | 1 1/3 | 12 | 45 | 6 | 1 | 2 | 2 | 4 | 4 |
2 | 田上遼平(商3・慶應湘南藤沢) | 2 2/3 | 9 | 42 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 |
3 | 木暮瞬哉(法4・小山台) | 1 | 3 | 9 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4 | 入江祥太(環1・石橋) | 2 | 7 | 29 | 1 | 1 | 0 | 2 | 1 | 1 |
5 | 水野敬太(経2・札幌南) | 1 | 5 | 19 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 |
6 | 小川琳太郎(経4・小松) | 1 | 5 | 15 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
前日の曇天から一晩明け、神宮の空には快晴が広がった。暑いほどの陽気の中、この日のマウンドに上がったのは渡辺和。前々日の1回戦に先発するも、6失点と期待に応えられなかった。そんなエースを強力に援護し、1回戦を引き分けに持ち込んだ打線は、前々日2安打、前日3安打1本塁打で打率を.395にまで上げた切り込み隊長・今津慶介(総3・旭川東)を筆頭に連日の6得点で絶好調。そんな野手陣を背に、エースの矜持を見せたい渡辺和。

試合前打率リーグ3位と好調・今津

前回のリベンジを果たしたい渡辺和
中1日での登板となった慶大のエースは初回、先頭から2者連続で三振を奪う。しかし3番・片山悠真(文3・八王子学園八王子)に右翼への二塁打を許すと、続く4番・松下に、バックスクリーンへ飛び込む2ラン本塁打を浴び、立ち上がりから失点を許す。2回表、先頭の投手から2者連続で四球を与えると、2番・境亮陽(営1・大阪桐蔭)、3番・片山に連続適時打を浴び、2点を失う。渡辺和は2回途中45球で早々とマウンドを後にする。セットアッパー・荒井駿也(商4・慶應)、クローザー・広池浩成(経3・慶應)はここまでの法大戦全てでベンチ外。慶大投手陣の苦しい台所事情の中、ここでマウンドに上がったのは、リーグ戦初登板の田上遼平(商3・慶應湘南藤沢)。1年次のフレッシュリーグで快投し、次期エースとしての片鱗をみせたが、それ以降苦しいシーズンが続いていた。なお1死一、三塁のピンチに、田上が相対するのは、4番・松下。田上は、初回に2ラン本塁打を放った法大の主将を2球で追い込むと、3球目に投じた外角のスライダーを打たせ、遊ゴロ併殺打に打ち取った。田上が完璧な火消しに成功する。

完璧なリーグ戦デビューとなった田上
逆転優勝へ向けて、絶対に負けられない慶大。2回裏、慶大は先頭の5番・中塚遥翔(環2・智辯和歌山)が安打で出塁すると、2死1塁で、林純が右中間を破る痛烈なライナーを放ち、適時二塁打として1点を返す。田上は4回表に1死二塁のピンチを迎えるも、3割を超える高打率の1、2番を打ち取り、3イニング目も無失点に抑える。5回表、先頭に内野安打を許すと、後続を木暮瞬哉(法4・小山台)に託す。木暮は後続を3人でテンポ良く抑え、援護を待つ。その裏、先頭の8番・林純が右翼線に落ちる二塁打で出塁すると、1死一、二塁で、2番・小原が左翼フェンス直撃の2点適時二塁打を放ち、1点差とする。

林純の適時打で1点を返す

木暮が3人で無失点に締めた

小原の適時打で1点差に追い上げる
テンポの良いピッチングで援護点を呼び込んだ木暮に変わり、6回表にはマウンドには入江祥太(環1・石橋)が上がる。先頭は7番・只石貫太(営1・広陵)。昨年甲子園の地を踏んだ1年生の二人による早速の対決に神宮は燃えた。3球目、入江が投じた内角高めのストレートを、只石は強振。高く舞い上がった打球は左翼スタンドに飛び込んだ。入江はリーグ戦初登板の出鼻をくじかれてしまう。気を取り直したい入江は、1回戦で3ランを放っている8番・中村騎士(営2・東邦)を外角低めのスライダーで空振り三振に取り、代打の井上和輝(法1・駿台甲府)を中飛に打ち取ると、1番・藤森康淳(営3・天理)を内角低めの直球で見逃し三振に斬った。前年、高校野球の聖地・甲子園で輝いた、石橋高校のエースは、大学野球の聖地・神宮で堂々たるピッチングを魅せた。

只石に被弾も上々のデビューを飾った入江
6回裏、1年生の堂々たるピッチングに応えたい慶大打線は、先頭の女房役・渡辺憩(商2・慶應)が三塁手の頭を越える痛烈なライナーを放ち二塁打とすると、続く福井直睦(商2・慶應)も三遊間をしぶとく破り、無死一、二塁のチャンスを作る。続く8番・林純が右翼へ犠飛を放ち、1点差とする。その後、2死一、二塁のチャンスを作ると、小原が遊撃への内野安打を放ち、同点とする。7回表、入江はクリーンナップを3人でテンポ良く封じ込めると、8回からは水野敬太(経2・札幌南)が登板。前々日は1イニング、前日には1.2イニングを投げ抜き、この日で3連投となるが、ピンチを背負いながらも疲れを感じさせない投球で、無失点に抑える。

3連投もこの日は無失点に封じ水野
慶大打線は7回に2死三塁のチャンスを作るも得点ならず。9回表、マウンドには6番手として小川が上がる。しかし小川は、1番・藤森と3番・片山に安打を浴び、1死一、三塁のピンチを招く。ここで迎えるは、4番・松下。小川は150km/hに迫ろうかという直球を投げ込み、気迫を見せる。2ボール2ストライクとして5球目に選んだ球種はスライダー。しかしそのスライダーが真ん中に入ってしまう。法大の主将はその失投を強振。打球は左翼への適時二塁打となり、慶大はここで勝ち越しを許す。9回裏、慶大は先頭の2番・小原の意表をつくセーフティバントで出塁。なんとか追いつきたい慶大は、途中から3番に入っている上田太陽(商3・國學院久我山)の送りバントで1死二塁とし、同点のチャンスを作る。ここで打席に迎えるは前日逆転3ランの4番・今泉将(商4・慶應)。前日の鮮やかな逆転劇の立役者の打棒に期待がかかるが、今泉はあえなく二ゴロに倒れる。2死として、迎えるは途中から5番に入っている丸田湊斗(政2・慶應)。しかし丸田も一ゴロに倒れ、ゲームセット。慶大は最大4点差を追いすがるも最後の最後に競り負ける形となった。
打線は1、2回戦に引き続いて気を吐き、5得点を挙げた。投手陣は荒井、広池という慶大投手陣の要を欠いた中で、田上、入江という新顔の二人が堂々たるピッチングを魅せ、5人の投手で渡辺和降板後の7.2イニングを2失点に抑えただけに、エース・渡辺和の乱調は誤算であった。4回戦となる翌日は、前日に先発した外丸東眞(環4・前橋育英)の先発が予想される。外丸が法大戦は3登板目となる点に加え、ここまでの法大戦で、大車輪の活躍を見せる水野敬太がこの日の登板で3連投と、翌日も総力戦が続くだろう。その中で芽吹いた入江、田上の二人を中心に、慶大投手陣一丸となって、勝ち点を掴み取って欲しい。
◆活躍選手コメント
入江祥太(環1・石橋)
初登板で緊張もありましたが、堂々と楽しく投げることができてよかったです。絶対に日本一を取りたいので、明日は必ず勝ちます。

1年で最初にリーグ戦デビューを果たした入江
(記事:神戸佑貴、写真:加藤由衣)