【相撲】慶大2選手が全国1位2位 長谷川は世界選手権2連覇へ歩みを進める/第4回全日本相撲個人体重別選手権大会 @靖国神社相撲場

相撲

毎年春に大相撲の奉納が行われている靖国神社相撲場で、5月11日、第4回全日本相撲個人体重別選手権大会が開催された。慶大からは、シニア女子中量級に長谷川理央(総4・木造)、シニア女子軽重量級に鈴木志歩(総1・日本大学高)が出場。長谷川は優勝、鈴木は準優勝を果たし、全国の舞台に名を刻んだ。

 

<基本的な用語>本記事で登場する相撲の基本的な用語をご紹介します。また、取り組み解説もありますので、相撲にあまり馴染みのない方も是非ご覧ください。

差し手…相手の腕より下側にある手。

すくい投げ…まわしを掴まずに、相手の脇の下からすくうように投げる技。

上手投げ…相手の差し手の上からまわしを掴み、相手を投げる技。

下手投げ…相手の差し手の下からまわしを掴み、相手を投げる技。

上手出し投げ…上手を取った肘で相手の差し手を極め、押し出すようにして相手を前に投げ倒す技。

押し出し…相手を押して土俵の外に出す技。

押し倒し…相手の体を押し、倒し勝つ技。

寄り切り…相手に体を密着させ、土俵の外に出す技。

寄り倒し…相手に体を密着させ、相手に体を預けてそのまま倒す技。

(参考:日本相撲協会公式サイト 決まり手八十二手https://sumo.or.jp/Kimarite

 

取り組み表(○=勝ち)

シニア女子中量級

決まり手

西

長谷川理央

○すくい投げ

福里愛美

長門美咲

○上手出し投げ

長谷川理央

長谷川理央

○下手投げ

川嶋希

木村心優

押し出し○

長谷川理央

長谷川理央

○押し倒し

松本渚

長谷川理央

○上手投げ

福里愛美

シニア女子軽重量級

決まり手

西

古閑詩織

寄り切り○

鈴木志歩

鈴木志歩

寄り倒し○

雪本慈

石川乃愛

下手投げ○

鈴木志歩

石井さくら

○寄り切り

鈴木志歩

鈴木志歩

○下手投げ

雪本慈

 

今年で4回目の開催となる全日本相撲個人体重別選手権大会(通称:全日本体重別)。この大会はアマチュア相撲における日本最高峰の大会として位置付けられており、昨年度の全国大会や国際大会等で優勝またはそれに準ずる成績を収めた選手が選抜される。総当たりで試合を行うこの大会は、9月にタイ・バンコクで行われる世界相撲選手権大会の日本代表選考も兼ねる重要な大会だ。慶大からは女子シニアの部に長谷川と鈴木の2選手が出場。長谷川は昨年ポーランドで行われた世界女子相撲選手権大会で金メダルを獲得しており、世界大会2連覇がかかる重要な大会である。また、鈴木は大学入学後2回目の主要大会への出場となり、1年生の活躍にも期待がかかる。

 

<シニア女子中量級>

長谷川―福里

頭でぶつかり合い、立ち合いは五分五分。両者が押し合う中、左四つで土俵際まで寄られるも、長谷川は右を巻き替え、もろ差しの相撲を展開。右からのすくい投げで逆転勝利した。

※左四つ…両者が左手を差し合う体勢

※もろ差し…相手の両脇の下に腕を入れる体勢

長門―長谷川

立ち合い、長谷川は突きで相手の出足を止めるが、両者押し合いの展開に。土俵際に相手を押し込むも、そこで左上手を取られると、左からの上手出し投げを決められ、勝ちを逃す。

長谷川―川嶋

長谷川は立ち合いで相手を見ながらのど輪で一気に土俵際へ押し込む。相手はここをこらえるも、右下手を掴んだ長谷川が下手投げで勝利。

※のど輪…首元を手のひらで押し込む技。

木村―長谷川

冷静に相手を見る立ち合い。はず押しの体勢のまま押し出しで勝利。

※はず押し…親指と他4本の指をY字に開いた手の形で相手の脇の下や腹などにあてがって押す技。

長谷川―松本

長谷川が鋭い立ち合いで圧倒する。相手が吹き飛ばされ、そのまま押し倒しで勝利。

優勝決定戦 長谷川―福里

上手投げで優勝を決めた

初戦同様、両者頭で当たり合う。長谷川は左を差し、右をおっつけながら右上手を掴む。相手は左からのすくい投げを仕掛けるも長谷川はこれをこらえ、右からの上手投げで勝利する。

※おっつけ…自分の肘を自分の脇に押しつけ、相手の差し手の肘を外側からあてがってしぼりあげること。

 

<シニア女子軽重量級>

古閑―鈴木

立ち合い、低く当たった鈴木は右を深く差し、左は前みつをうかがいながら、そのまま寄り切りで勝利。

前みつ:腹部前面付近のまわしのこと。

鈴木―雪本

鈴木は立ち合いで右を差し、右四つの組み手。低くきた相手にもろ差しを許し、土俵際に寄られる。鈴木はうっちゃりに持ち込むも、相手に体を預けられ、きわどい勝負だが寄り倒し負けに。鈴木はしばらく起き上がることができなかったが、立ち上がり、次戦に挑む。

うっちゃり…土俵際に追い込まれたとき、体を反って相手を体にのせ、ひねるようにして相手を土俵際に投げる技。

石川―鈴木

立ち合いで右を鋭く差し、右からの肩透かしで相手を崩すも、相手を見てしまい攻め込まれる。しかし、左四つの組み手から土俵際で粘り、その後相手の足を跳ね上げつつ、左下手投げで勝利。

石井―鈴木

立ち合い、当たらずに四つに組みにいく。右四つとなったがそのまま土俵際まで相手に寄られてしまい、左上手で持ち上げられ、寄り切り負け。

2位決定戦 鈴木―雪本

下手投げで2位決定戦を制した

2試合目で惜しくも敗れた相手との再戦。立ち合いは両者頭で当たり合い、鈴木は左を差す。そのまま土俵際まで寄るも、相手の小手投げと鈴木の下手投げの打ち合いに。審判の手は最初相手に上がるが、審判団の協議の結果、相手が先に土についていたため、判定が覆り勝利。鈴木が実践した、手ではなく頭から落ちる相撲の鉄則が、勝ちに繋がった。

小手投げ…相手の差し手を外から抱え込み、押さえつけるようにして相手を投げる技。

 

鈴木は2試合目で負傷するも、次の試合からは負傷を感じさせない力強い相撲を展開。2位決定戦では、敗れた相手と再び対戦し勝利。リベンジを果たし、準優勝に輝いた。長谷川は一度敗れるも、圧倒的な強さを見せ優勝を果たし、見事世界選手権への出場権を獲得。長谷川は再び、世界の頂点を目指す。初の女子部員として慶大相撲部に入部し、主将として部を牽引してきた長谷川と、今年度から新たに加わったルーキー・鈴木。女子部員の快進撃は、まだまだ続く。

取材:梅木陽咲、柄澤晃希

 

以下、試合後インタビュー

長谷川理央選手(総4・木造)

世界選手権2連覇へ一歩近づいた長谷川

―――今日の試合を振り返っていかがでしたか

一番のライバルの選手で気持ちをしっかり作っていったので、勝てたことはよかったです。ただ、次の試合を落としてしまったというところで、詰めの甘さがあるなと思いました。

―――第3試合からの気持ちの切り替えで意識していたことはありますか

特別なことはしていなくて、目の前の試合だけを考える、という感じでした。

―――優勝決定戦は、先ほどライバルだとおっしゃっていた福里選手との対戦でしたが

とにかく勝つ、そのことだけを考えていました。

―――今後への意気込みをお願いします

全部の大会で優勝できるように頑張ります!

 

鈴木志歩選手(総1・日本大学高)

ルーキー・鈴木の今後の活躍に注目だ

―――今日の取組、全体として振り返っていかがでしたか

自分の納得のいく相撲ができなかったので、すごく悔しいです。

―――順位決定戦の前に、先に取組を終えた長谷川選手と話されていましたが、どんなことを話されましたか

理央さんから、「肩の力抜いて頑張れ」という風に言ってもらいました。

―――順位決定戦は一度敗れた相手との取組となりましたが

相手が年下だったこともあって、絶対に勝つぞ、という気持ちで取り組みました。

―――最後に、今後に向けて意気込みをお願いします

来年こそは体重別で優勝して、世界で活躍したいと思います。

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