【ソッカー(男子)】2週連続の劇的ゴールで勝ち点獲得も「勝たなければいけない試合」と笑顔なし 悔しさ残る引き分けに/関東リーグ第9節 VS流通経済大学

ソッカー女子

前節、エース・角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が後半アディショナルタイム7分に沈めた劇的決勝弾で久々の勝利を飾った慶大。良い流れを継続すべく、荒鷲イレブンは勝ち点3差で慶大の1つ下、11位につける流経大との一戦に臨んだ。キックオフから流経大のコンパクトで高強度な守備に苦しみ、自陣でボールを失う危ない場面も作られたが、徐々にプレス回避の糸口を掴むと、慶大らしいアグレッシブな攻撃でゴールに迫る。しかしポストや相手ゴールキーパーの好セーブに阻まれ先制点を沈めることはできず、0-0でハーフタイムを迎える。後半は一転して流経大にボールを握られる展開が続き、57分に自陣深くでのボールロストから先制を許す。リードした流経大はボールを失わないことを最優先にじっくりと時間を使いながら追加点を狙うが、慶大も2年生ながらメンバー入りを続けている洪潤紀(政2・國學院久我山)と三浦大其(経2・慶應)や、怪我から復帰した永澤昂大(政4・國學院久我山)らを次々に投入する積極的な選手交代で徐々に主導権を握り返す。すると試合終了間際の90+7分、コーナーキックから攻撃参加したゴールキーパー洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)がヘディングで落とすと、齋藤真之介(経4・桜修館 /FC町田ゼルビアユース)のボレーシュートがネットを揺らし、先週に続いて土壇場のゴールで勝ち点1を繋ぎ止めた。しかし、結果的に降格圏に沈む目下のライバルである流経大と勝ち点差を広げることはできなかったため、この痛み分けは「一部優勝・全国制覇」を掲げるチームにとって手放しに喜べるものではないだろう。

 

2025/5/24(土)14:00キックオフ@慶應義塾大学下田グラウンド

 

【スコア】

慶應義塾大学1ー1流通経済大学

 

【得点者】

58分 流経大 山野春太
90+7分 慶大 齋藤真之介(洪潤太)

 

【慶大出場選手】

ポジション

背番号 選手名(学部学年・出身高校)

GK

1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)

DF

2 三浦成貴(商3・浜松開誠館)

 

4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)

 

5 齋藤大斗(総2・日大三/FC町田ゼルビアユース)

 

→ 69分 6 永澤昂大(政4・國學院久我山)

 

26 藤平一寿(法4・桐蔭学園)

MF

7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)

 

8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)

 

10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)

 

11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園)

 

13 三浦大其(経2・慶應)

 

17 辻野悠河(商4・暁星国際)

 

→ 66分 15 洪潤紀(政2・國學院久我山)

FW

9 柳瀬文矢(法4・駒大高)

 

→ 79分 13 三浦大其(経2・慶應)

 

 

劇的勝利で作った流れを継続したい慶大は、前節途中投入から豊富な運動量で逆転勝利に貢献した藤平一寿(法4・桐蔭学園)、左サイドを切り裂き同点ゴールをアシストした齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)をスタメンに据え、怪我明けの永澤昂大(政4・國學院久我山)がベンチメンバーに復帰。経験豊富な4年生を中心に、降格圏に沈む流経大と勝ち点差を離すべく試合に臨んだ。

スタメンに抜擢された藤平

キックオフ直後からお互いに固い立ち上がりとなったが、この要因は流経大のコンパクトな守備にあった。慶大のゴールキーパーを交えたビルドアップに対して、流経大はまず中央を封鎖し、慶大がサイドから前進するべく横パスを出すと、それをスイッチに素早く全体をボールサイドに寄せ、慶大の選択肢を狭めた。これに対し慶大は、流経大の意識が前のめりになった瞬間を見逃さず、背後のスペースを狙い打開を図った。慶大は3分、ロングボールを胸でトラップしたセンターフォワード柳瀬文矢(法4・駒大高)がそのまま反転して相手ディフェンダーと入れ替わるも、流経大の素早い寄せに対して孤立し、危険なエリアに侵入することはできなかった。

柳瀬がチャンスを演出

また、流経大は攻撃面でも慶大対策を実行した。慶大のインサイドハーフ辻野悠河(商4・暁星国際)を柳瀬と共に最前線に配置する4-4-2の守備陣形に対し、流経大は3バックシステムを採用。最後方に生まれる数的優位を活用し、慶大のプレスを引き込んでからディフェンスラインの手前側に落とすようなロングボールを蹴り、セカンドボール争いを制することで前進を図った。この形から6分、ロングボールに対するクリアが短くなったところを流経大に拾われ、これを起点に流経大ボールのコーナーキックというピンチを迎えるが、流経大の選手がニアで合わせたヘディングはうまくミートせず、失点を免れる。

主務・辻野がチャンスメイク

慶大のチャンスは14分、今日は本職の右サイドドバックではなく右センターバックで起用された三浦成貴(商3・浜松開誠館)が持ち味である運ぶドリブルで流経大のプレスをかいくぐると、タイミングよくマークから外れてボールを受けた角田がワンタッチで相手のウィングバックの背後に生まれたスペースにスルーパスを送る。すると、これに右ウィング立石宗悟(法4・桐蔭学園)が反応し、相手サイドバックとの競走を制して右サイドからクロスを提供。しかし、これも流経大にクリアされ、シュートまで辿り着くことはできない。

今季絶好調の立石

中盤以降も一進一退の攻防が続く。27分、自陣深くで相手のプレスを食らい、ギリギリのボール回しが続く中で三浦成のトラップが乱れ、ペナルティエリア内でボールを失うが、流経大のニアを狙ったシュートは枠外に逸れ窮地を脱する。すると32分、今度は慶大にチャンスが到来する。アンカー田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)から左サイドで高い位置を取った左ウィング齋藤真にパスが通ると、齋藤を内側から追い越した辻野がパスを引き出し、この日最初の枠内シュートを放つが、これはゴールキーパーにキャッチされ、得点とはならない。

 

このプレーで流経大のプレスを回避する糸口を掴んだ慶大は35分、三浦成が背後に抜け出した立石へスルーパスを出すと、セカンドボールを拾った右サイドバック藤平がアーリークロスを供給し、このこぼれ球を角田がボレーシュート。このシュートはゴールキーパーの正面に飛んだが、瞬時に反応した柳瀬がゴールキーパーの目の前で軌道を変える。しかし、これも惜しくもポストに嫌われ先制点を奪うことはできない。

なかなか得点には至らず

更に前半終了間際の44分、相手ボールのコーナーキックからのロングカウンターで齋藤真が背後に飛び出し相手ゴールキーパーとの1対1を迎える。齋藤真はゴール左上隅へ鋭いシュートを放ったが、今度はゴールキーパーのスーパーセーブに阻まれ、得点とはならない。前半最大のチャンスを逃した慶大は、このままスコアレスドローで試合を折り返す。

とうとう失点を許す

後半は序盤から苦しい展開が続く。前節で初スタメン初ゴールを記録した斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)を中心にゴールを守る。55分、ミドルシュートを打ち込まれるも、ここは守護神・洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)が好セーブで先制点を許さない。しかし、直後の58分、ゴール付近でボールを奪われ失点。先制点を奪われる。

スタメン出場の続く斎藤雅

流れを変えたい慶大は63分、辻野悠河(商4・暁星国際)に代えて洪潤紀(政2・國學院久我山)を、69分には齋藤大斗(総2・日大三/FC町田ゼルビアユース)に代えて永澤昂大(政4・國學院久我山)を投入。交代直後の70分、左サイドの永澤のクロスに柳瀬が合わせるもここはオフサイドでチャンスをものにできず。

途中出場のMF・洪

79分、柳瀬に代えて 三浦大其(経2・慶應)を送る。すると83分、三浦大がサイドからの突破を狙うとFKを獲得。前節の劇的弾と同程度の好位置からのFKに、副将・角田の直接ゴールに期待がかかる。角田の放ったボールは相手GKを越え、完璧な弾道を描いたが、ここは惜しくもポストに阻まれ、同点には至らなかった。

執念の1発でついに同点

その後は一進一退の攻防が続き、もう試合も終わるかと思われた90+5分。永澤がミドルシュートを打ち込むとCKを獲得。この日最後のチャンスを前にGK・洪も攻撃に加わる。前節同様、試合終了間際の決定機に会場のボルテージはマックスに。主将・田中がCKを蹴るとボールはGK・洪へと渡る。GK・洪が身長を活かし上手く頭で合わせ、前の齋藤真に繋ぐと、齋藤真はダイレクトで押し込み同点。執念の一撃で勝ち点獲得。またも劇的な幕切れで流経大戦を終えた。

(記事:髙木謙、塩田隆貴 取材:重吉咲弥、神戸佑貴、髙木謙)

 

【選手インタビュー】

◇齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)

同点弾の齋藤真

--本日の試合を振り返って
一言で言えば、勝たなければいけない試合を落としてしまったという印象です。

--流経大のコンパクトな守備に苦しむ時間も長かった
チームとして、自分たちがやらなければいけないことが出来ない時間帯が長く続いてしまいました。自分としては、まず監督から言われている基本的なことを遂行しようと意識していました。

--ラストプレーで同点ゴールを叩き込んだが、感触は
最低限引き分けで次の試合に臨めることは出来ましたが、とにかく勝たなければ行けない試合を落としたという印象が強いので、自分のゴールに対して嬉しいという感情はありません。

--次戦・桐蔭横浜戦に向けて
今日の試合と同じような展開が予想されます。自分たちから相手にアクションを仕掛ける能動的なサッカーを展開すれば必ず勝てると思います。

 

◇永澤昂大(政4・國學院久我山)

積極的な攻撃参加だった永澤

--復帰戦、ビハインドでの投入だったがどんな意識で試合に望んだか

怪我で離脱してしまった責任もありますし、出場した試合でもチームに迷惑をかけてしまったと自覚しているので、今日はチームを助けようという気持ちで試合に臨みました。

 

--左サイドから再三チャンスを作った齋藤選手とのコンビネーションについて

齋藤真選手とは去年から左ウィングと左サイドバックとしてコンビを組むことが多かったので、連携は深まっている感覚があります。自分が囮になるランニングをすることで相手を動かし、齋藤真選手を活かすことを意識してプレーしています。

 

--次戦・桐蔭横浜戦に向けて

同じ下位同士の対戦なので絶対に負けられませんし、苦しい時期が続いていた中で、ここ2試合負けが無いため、次戦も勝利して勢いをつけたいです。

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