慶大の体育会を深掘りしていく新企画、「What is ○○部?」。24回目の今回はトライアスロン部 Team J.!ケイスポは、日吉陸上競技場で行われたラン練、日吉協生館で行われたスイム練をそれぞれ取材した。トライアスロン部 Team J.は、体育会ではないものの、現在体育会への加入を目指している。そんな同部は、体育会の部活動と遜色のない練習量で日々鍛錬を積んでいる。そんなトライアスロン部の魅力に迫る。今回はトライアスロン部の、汲田知己(商2・竹早)、石黒佑(経2 ・浅野)、島田翼(政3・立教新座)、秋山陽香(商1・湘南)、加茂真帆(文2・立川国際)、杉浦拓真(経3・早稲田)、の6選手、またマネージャーの田嶋優衣(商4・桐蔭)にお話を伺った。
――大学入学までどのようなスポーツをしていた?
島田「もともと高校までずっと競泳をやっていて、大学からトライアスロンを始めたという感じです。」
石黒「自分も中学と高校で競泳をやっていました。」
汲田「高校時代、僕は競泳とかじゃないんですけど水泳部に入っていました。」
秋山「私も高校で水泳やってました。」
トライアスロンそのものの経験者はいない様子だが、やはりトライアスロンの一部分を形成する水泳経験者が光る。しかし一方でこんな声も聞こえた。
加茂「私は中学でバスケやってました!」
杉浦「自分は野球をやっていました、でも週に1、2時間ボール触るくらいの同好会みたいな感じでした笑。」
水泳経験者が多いものの、杉浦選手は高校まで野球経験者。トライアスロンそのものや、トライアスロンを形成する3つの競技のうちの1つをやっていないと厳しい、というわけでは全くないそうだ。

ラン練中のTeam J.
―トライアスロンを始めたきっかけは?
汲田「僕は新歓期間にビラを見て入りました。普通に大学入るまでトライアスロンを知らなくて、なんかほんとに勘違いしていて格闘技系だと思っていたんですよ笑。トライアスロンっていう文字的に。まさか走って泳いでなんて知らなかったんで、ほんとにビラ見るまで知りませんでした。」
秋山「新歓行って雰囲気が良くていいなと思って入部しました!」
加茂「個人的にチームスポーツより個人で打ち込めるスポーツをやりたいなって思っていて、大学から新しいスポーツ始めたいなと思ってトライアスロンもいいかなと思って新歓行きました。」
田嶋(マネージャー)「私は元々サークルにすら興味が無かったのですが、友達に誘われてトライアスロン部に見学に来て、そしたら先輩方が凄く優しくて、練習や試合に誘われて、試合会場で先輩から「入ってるんでしょ?」と言われて、その時は圧を感じて入っちゃったんですけど、今思えば、先輩の暖かさや雰囲気の良さと、あと選手のかっこよさ、トライアスロンっていう競技に真剣に向き合ってる姿がかっこ良くて、チームとしていい所だなと思って入りました。」

蒸し暑い中の練習で選手の頬には汗が光る
―トライアスロンの魅力、やりがいを感じる瞬間とは
汲田「魅力は、個人的なものになるんですけどやっぱり達成感。あとやっぱ3種目あるんで面白いですよね。自分の足りないところを他でどう補ったりするのかとか。いろいろな戦略を立てることもできるというところが一つの面白さです。」
石黒「やっぱりトライアスロンの一番の特性はやはり3種目あることだから、例えば自分だったら水泳出身だからスイムが一番得意だけど、他の2種目は大学入ってから伸びる感覚っていうのがすごく良くて、それこそ例えば今水泳やっても伸びって限りがあるけど他の種目だったら未経験だからビギナーズラックみたいなのも相まって結構伸ばすことができるから、そういうこう自分の専門種目を活かしながらも他の種目でも成長を感じられるっていうのが魅力かなって思います。」
秋山「3種目あるからどれかを頑張るっていうよりは何か全部を上げていくのが、難しいけど面白い。」
加茂「それぞれ得意種目があったりする中で自分の苦手なところも得意種目でカバーしたりとか、3種目全部基礎から全部を上げていくところは大変だけど、見ててもやっててもすごく魅力的だなって思います。」
杉浦「やはり大学から始める人が多いので、たとえば3種目未経験とかであっても、全部が一流レベルになる必要なくて総合でボーダー超えればいいわけです。もちろん簡単ではないけど、そういう意味で、全国に行きたいとかっていう目標が他の競技よりも現実味がある点は間違いなく励みになります。そしてなんで言ったってトライアスロンは界隈が狭いので、他大の人とかとレース会場仲良くなったりとかってところは凄い良いなと思います。」

スイム練中のTeam J.
―3つの種目をこなすトライアスロンゆえの難しさや楽しさとは
汲田「さっき言った通り、やっぱり3種目あることかな…ちょっと頭悪いわけじゃないですか三つ全部やるって笑。その3つ掛け合わせて、ただの足し算にならないようにするところが楽しいですね。どうやって補うとか。」
島田「自分は先ほど話したように競泳出身ですが、やっぱり競泳が得意だからといって、ほかの種目を疎かにすると、やはり他の選手と差が出てきて、その自分の長所すら生かせないみたいなことがレースでは多々あるので、他の種目のベースを上げつつ、自分の得意種目で力を発揮するっていうのが難しいところなんじゃないかなという風に思います。」
秋山「何か1個得意なのあったとしても、他も一定の水準にまで持ってかないといけないのが難しいですね。楽しさは1個うまくいかなくても残り2つがあるから頑張ろうって思えるとか。あとは仲間がすごいみんな良い方々で楽しい。」
加茂「難しさで言うと、やはり3種目やらなきゃいけないので、結構練習時間取られちゃうっていうところが、バランス取るときに難しいなって思います。」

インタビューを受ける島田選手
―試合中の苦しい場面をどう乗り越える
島田「トライアスロンの醍醐味ってすごい観客との距離が近いところで試合できるってところだと思っていて、マネージャーだったり、OBOGの方だったり、他大の友人だったりっていうのが、本当に真横で応援してくれてるみたいな状況がレースでは多いので、そういった応援を励みにしながら、あとは、自分とも戦いみたいな感じで乗り越えてます。」
汲田「トライアスロンのレースって大体周回コースで、周回中に自分より1周回速い同期とか同じチームメイトと会うときに声かけあうのが僕は一番好きで、あの瞬間がどれだけつらくても一番励みになりますね。」
島田「やっぱり3種目あるので、もちろん練習の量っていうのも大事なんですけど、どの練習を、どのタイミングでやって、あとは、疲労をどのタイミングで抜くかっていうのも、やっぱり練習の一環にはなってくるので、 睡眠時間であったり、食事だったり、大学生なので授業もあるので、そういったところのタイムマネージメント能力っていうのは、やっぱりどの種目にも共通して必要になってくるんじゃないかなっていうふうに思います。」
杉浦「僕は我慢強さだと思いますね。もちろんレース中もそうなんですけど、3種目全部練習しなければならないというのがあって、自分の中でこっちの種目やりたいけどこっちの練習もしなきゃみたいな、意思の力もある程度必要になると思います。」

練習では互いを助け合い高めあう姿が目立った(左:汲田選手、右:石黒選手)
―Team.Jという場所の雰囲気、魅力
汲田「ガチな人からほんとトライアスロン好きでやっている人までいるっていうところは一つ魅力だと思います。あと自分に合わせて練習とかも組めるし、だけれども先輩たちがアドバイスしてくれるし。和気あいあいとできるところは魅力的だと思います。」
石黒「これは自分がJに入ったきっかけでもあるんですけど、サークルだから練習も自由参加だしいつ来てもいいしみたいな感じだけどその中でも全力でやっている人が多くて。放任主義的な環境の中で、結構多くの人が自分なりに目標を持って全力でトライアスロンに向き合っているところがすごく素敵だなって思います。」
島田「みんなが協力して、1つの練習だったり、チームを作り上げていっているところもそうですし、やっぱりみんなトライアスロンを好きでやってるなっていうのが、すごい伝わってくるので、やっぱりしんどい競技なだけあって、好き好んでやれないとなかなかきつい競技だと思うので、みんながトライアスロンを好きっていう気持ちを持って取り組めているのが、うちのチームのいいところなんじゃないかなと思います。」
杉浦「やっぱりJのいいところってゆるい所だと思いますね。締める所は締めながらゆるいところはゆるいっていうのはいいところだと思います。チームとしてかなり仲が良いかなと。」
田嶋(マネージャー)「先輩、後輩分け隔てなくというのは勿論、ただそれだけじゃなくて、普通はなかなか後輩から先輩にアドバイスするのは難しいと思うんですけど、スイムが得意な後輩から苦手な先輩にアドバイスしたりっていのも、Jでは当たり前の光景で、他のサークルだとなかなか下から上へのブラッシュアップみたいなのは難しいのかなと思うので、そういうことを当たり前にできるところはこのチームの強みだなと思います。」

練習中も和気あいあいとした雰囲気が光った
―今季の目標は
汲田「そうですね、とりあえずチームに恥ずかしくないようなレースをするってことですかね笑。」
石黒「まずは6月末の大会でしっかり全国を余裕もって決めて、チームとして団体順位を上げられるように、全国大会でいい順位とってチームに貢献したいと思います。」
島田「前回の日曜日(6/8)に関東選手権というレースがあって、そこでは自分の成長だったり、上位で通用するなっていう部分が感じられて、加えて課題や自分の成長した点だったりもここまでのレースで実感できているので、あとは9月のインカレがメインレースにはなってくるので、そこに向けてしっかり自分のできることを積んで、 悔いのないレースをできることを目標に今頑張っています。」
杉浦「インカレの完走をまずはしたいなっていうところなんですけど、なかなか厳しい戦いになると思うので、あと3ヶ月そこに向けて頑張っていきたいと思っています。」
加茂「私の目標は6月29日の関東インカレ完走することです。」
秋山「私も初レースなのでまずは完走を目指してます。」
田嶋(マネージャー)「一番の目標はチームとして掲げている目標に向けて選手達を持ち上げ、貢献する事です。特に、全国大会予選での目標と全国大会での目標があるので、そこに選手を持ち上げる事、選手達は自分達で掴みにいってくれるんですけど、それを押し上げるような活動ができればなというが大きな目標です。」
トライアスロンという競技は、大会に参加したすべての人が必ずしも完走できるとは限らない。だからこそ、競技者として完走するということは一つの到達点となる。完走を目標にする選手から全国大会を目標にする選手まで、各々が自分なりの目標を持ちながらこの競技に取り組んでいる。
慶應義塾体育会への申請を目指すTeam J. 。そこには体育会に負けない練習量と、先輩と後輩の分け隔てなく、和気あいあいと、明るく楽しく高め合う仲間たちの姿があった。
彼らの挑戦は、単なるスポーツ活動を超えて、自らを鍛え、高め、限界を乗り越える営みであった。困難の中にこそ成長があり、仲間と支え合う中にこそ真の強さがある。今後のさらなる飛躍を心より期待したい。
Team J.としては、6月29日に那須で行われる関東インカレが目下の目標である。
ケイスポでは、今週(6月29日)日曜日に行われる関東インカレの結果や、全国大会へ向けたインタビューを今後掲載予定。乞うご期待!
※写真の1枚目と7枚目は部から提供いただきました。
(記事、取材:神戸佑貴 、取材:小野寺叶翔、佐々木瞬)