【ソッカー(女子)】天王山制し首位浮上!21年以来の1部に向け前進!/関東2部リーグ後期第2節 VS国士館大学

ソッカー女子

リーグ戦8連勝中のなか迎えた相手は、前期リーグで唯一慶大に黒星を付けた宿敵・国士舘大学。7月4日には主将の小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース)がRB大宮アルディージャWOMANに内定するなど波に乗っている慶大は、54分、髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)のゴールで先制。さらに76分、髙松がこの日2点目となるゴールを挙げ、2点のリードを取る。そのまま得点を許さずに守り切り2-0で勝利した慶大は、国士舘大と勝ち点で並び、総得点で上回っているため自動昇格圏のリーグ首位に浮上。2021年以来の1部リーグでの戦いに向け、非常に大きな1勝となった。

 

2025/7/6(日)18:00キックオフ@国士舘大学町田キャンパスグラウンド

 

【スコア】

慶應義塾大学2ー0国士舘大学

 

【得点者】

54分 慶大 髙松芽衣(野口初奈)

76分 慶大 髙松芽衣(竹内あゆみ)

 

【慶大出場選手】

ポジション

背番号 選手名(学部学年・出身高校)

GK

12 中村美桜(理4・慶應湘南藤沢)

DF

23 坂口芹(総4・仙台大学附明成)

 

15 宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

 

5 小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース・RB大宮アルディージャWOMAN内定)

 

4 米口和花(総2・十文字)

 

11 森原日胡(総1・作陽学園)

 

→ 86分 18 岩田理子(総2・十文字)

MF

7 髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

 

2 竹内あゆみ(看3・日ノ本学園)

 

10 野口初奈(環3・十文字)

 

8 佐藤凛(総3・常盤木学園)

 

→ 65分 13 山田葵(総1・聖和学園)

FW

9 野村亜未 (総3・十文字)

 

第39回関東大学女子サッカーリーグ戦2部を戦う慶大は、前期開幕戦の尚美学園大学戦を引き分け、第2節の国士舘大戦を0−2で落とすも、第3節の日本女子体育大学戦から破竹の8連勝で8勝1分1敗の勝ち点25、首位・国士舘大学と勝ち点3差の2位につけている。最終順位が1位のチームは1部に自動昇格、2位のチームは入れ替え戦を戦う規定となっており、勝利すれば勝ち点28で並び、総得点で国士舘大を上回るため首位に浮上する重要な一戦に、敵地・国士舘大学町田キャンパスサッカー場で臨んだ。

 

慶大は攻撃時3−3−3−1、守備時5−4−1のシステムを採用。DFのレギュラー・岡田恭佳(環3・十文字)をケガで欠く中、キャプテンの小熊が最後尾のポジションでディフェンスラインを統率、守備時右ボランチに入るファンタジスタ・野口初奈(環3・十文字)がトップ下で攻撃の起点となり、右の佐藤凛(総3・常盤木学園)、左の髙松と”3トップ下“に近い形で攻撃を展開する。

 

一方の国士舘大は4-4-2のフォーメーション。前からプレスをかける際は中盤をダイヤモンドの形にし、慶大のアンカー・竹内あゆみ(看3・日ノ本学園)にトップ下の選手が、野口に対してはアンカーの選手がマンマークし、慶大のビルドアップを封じにかかる。

ケガで離脱した岡田と心ひとつに試合に臨む

試合前にはメンバーを外れた岡田の3番のユニフォームと共に写真撮影を行い、チーム全員で心ひとつに天王山を戦う。慶大ボールのキックオフ、野口が小熊に下げ、敵陣右サイド深くのタッチラインを割るボールを蹴り、国士舘大に低い位置でのスローインを強いる。その後ボールを奪った慶大は2分、ハーフウェイライン右あたりから野口がCF・野村亜未 (総3・十文字)にアウトサイドで縦パスを出すと、野村は相手に上手く体をぶつけて振り向き左サイド裏へ展開、左WBの坂口芹(総4・仙台大学附明成)が長い距離を走って追い付き低いクロスを上げると、相手のクリアはゴールラインを割って慶大のCKとなり、ファーストチャンスを作り出す。しかし、ショートコーナーからキッカーの髙松と野口・坂口による連携で攻め込むもタッチに蹴り出され、先制点には至らない。

 

序盤10分間は国士舘大にボールを握られる時間が続く。5-4-1のブロックを敷きコンパクトに守る慶大は、ダブルボランチの竹内と野口が中央のスペースを消し、ハイボール勝率の高い最終ラインが控え、国士舘大に外回しの攻撃をさせる。セカンドボールを拾われポゼッションを許すも、相手SHにボールが出るとWBと守備時SHの選手のプレスバックで追い詰め、中央への侵入を許さず、右WB・森原日胡(総1・作陽学園)らが安定した守備を見せる。

粘り強い守りで得点を許さない

攻撃は左CBの落ち着き払った両足使い・宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏 / ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)、長短に速いパスを供給するリベロ・小熊、1人剥がして前進できる右CB・米口和花(総2・十文字)、少ないタッチでボールを捌きリズムをつくるアンカー・竹内の4人でひし形を作って見事なパス回しで攻め、2トップとトップ下の3人でプレスをかけてくる国士舘大に対し数的優位でビルドアップを行う。相手両SHが慶大の左右CBにプレッシャーをかけてくると、二列目の選手がタイミング良くフリーになって引き出し、ボールを前に進める。12分、慶大ゴールキックからのビルドアップに対し、中盤ダイヤモンドの4-4-2の陣形を取り、竹内にマンマークをつけて前からのプレスをかける国士舘大。髙松が相手アンカー横でフリーになると、相手右SBがこれにつられる。見逃さなかった小熊が左サイドのスペースにロングフィードを送り、坂口がスピードを上げてボールを受けるとすぐさま右足で相手最終ラインとキーパーの間にアーリークロスを供給、野村が反応するも、相手キーパーの見事な飛び出しでキャッチされ、得点の芽を摘まれる。

 

また、チーム全体で崩しのイメージが共有され、スペースを作り、近い距離での流れるようなパスワークからチャンスをつくるシーンも目立つ。13分、宮嶋がボールを持つと、髙松が下りて相手を引き付ける。できたスペースをついた野口に宮嶋が縦パスを出し、野口は2タッチで大外の坂口にはたく。すると今度は髙松が野口のいたスペースに走り込み、坂口がダイレクトで渡す。髙松が受けた瞬間、野村が完璧なラインブレイクで裏を取ると、髙松は1トラップからスルーパスを通す。野村はエリア外に飛び出したキーパーをかわしシュートを放つも、カバーに入ったDFに阻まれる。

 

20分、相手が米口に食いつき、前からプレスをかけた瞬間、攻撃のスイッチが入る。佐藤がマークを外してボールをもらい、ダイレクトで野村に預ける。野村は足裏でリターンすると、佐藤は一気に左サイド裏にふり、受けた坂口がファーサイドにクロスをあげる。惜しくもクロスは合わず、ネットを揺らすことはできなかったが、中盤の自由な動きと少ないタッチでの素早いパス回し、大外からキーパーとディフェンスラインの間へのクロスという慶大の攻撃パターンが機能する。最初の大きなピンチは24分、相手CKでゴール前に密集を作られ、ファーサイドへのボールを頭で合わせられるも、GK・中村美桜(理4・慶應湘南藤沢)を中心とした黄色と紺の壁がゴールを死守。両チーム無得点で飲水タイムを迎え、前半を折り返す。

 

飲水後、国士舘大は慶大の変幻自在なビルドアップに徐々に対応。慶大右サイドでは米口にプレッシャーがかかった際に佐藤が低い位置まで下りて受ける動きが機能していたが、前線の選手たちのプレスに最終ラインが連動することで佐藤を捕まえられるようになる。またボールと逆サイドのSHがかなり内側まで絞ってDF陣がスライドを徹底、ボールサイドのSB・CBが積極的に前に出られるようになり、全体として出足が良くなっていく。

 

後方からの前進が簡単にはできなくなった中でも、相手がブロックを敷いている局面では慶大は両CBの持ち運びからゴールチャンスを作っていく。32分、右サイドで米口が運ぶと佐藤・野口・森原が相手守備陣を広げ、抜群のオフザボールの動きを誇る野村が抜け出しスルーパスが出る。キーパーと1対1の絶好機となるが、わずかに飛び出しが早くオフサイドを取られてしまう。

 

39分にも宮嶋の運びから野村が抜け出し、スルーパスが出るがタイミングが合わずオフサイド。アディショナルタイム1分にはゴール正面やや右、ペナルティアークのあたりから野口がFKで直接ゴールを狙うも落ち切らず、ボールはバーの上を越える。慶大がパスサッカーを展開してゴールに迫り、国士舘大はハイボールやショートカウンターで得点を狙うもスコアは動かず、0-0で前半を終了する。

 

選手交代せずに入った後半も前半同様、立ち上がりは押し込まれる展開が続く。それでも、3CBによる最終ラインは相手の2トップに対する数的優位を生かし、チャレンジアンドカバーを徹底して得点を許さない。粘り強く守り抜いた慶大は、個の技術で打開するシーンを増やす。49分、佐藤が中盤で楔を受けると、相手を背負いながら華麗にターンを決める。一度ボールを失うも再び拾い、野村にループでスルーパス、野村は抜け出すと1人剝がして右足でシュートを打つが、惜しくもバーの上に外れる。51分、内側に入っていた坂口が相手の裏に走り、宮嶋が左足で絶妙なフィードを送る。坂口は左のポケットを取り、カットインして右足でシュート、これも枠を捉えることはできないが、エリア内からシュートを立て続けに放ち、得点の香りが漂ってくる。

 

待望の瞬間は54分、右サイドで野口が持つと、髙松が抜群の嗅覚でエリアに侵入。野口は右足でピンポイントのクロスを上げると、髙松はワントラップで相手DFの前に入り、浮いたボールを右足でニアへグラウンダーのシュート。これがゴールネットを揺らし、1―0。貴重な先制点を奪う。

先制点を挙げた髙松

62分、3連続CKで追加点のチャンスを作るも、ゴールを奪うことはできない。この日は計12回のCKをシンプルに中に入れる形に加え、ショートコーナーから3人の連携でニアゾーンを取る形やファーに多くの選手が流れてニアに低いボールを蹴る形、ゴール前に密集を作る形など様々なパターンで攻めたが、いずれもゴールには至らなかった。得点後は自陣での守備の時間が多く、少し重い展開が続いた慶大。65分、ビルドアップにアクセントを生んでいた佐藤に代え13番の山田葵(総1・聖和学園)を投入。そのまま右トップ下に入り、攻撃ではライン間でうまくフリーになり、守備では素早いプレスバックで貢献する。

 

76分、米口が敵陣右サイドでポジションを取った森原にパスをつける。森原は相手にドリブル突破を匂わせながら、サポートに来たフリーの竹内に落とす。竹内は右足でワンタッチクロスをキーパーとディフェンスラインの間に上げると、1点目と同様にゴール前に入っていた髙松がダイレクトで合わせ、追加点。欲しい時間帯に得点を挙げ、2-0とする。

 

後半は無理に後ろからつながず、リスクを冒さないシンプルなロングボールを増やす。飛び出しに優れた野村はポストプレーでも存在感を発揮。ボールを収め、攻撃の時間を作り出す。また、野口が幾度となく中盤のデュエルに勝利。自分より大きな相手を背負いながらもうまく振り向き、五分五分のボールを保持する。

積極的な裏抜けからチャンスを作った野村

守備陣はボールを奪うと、大きなクリアで陣地を回復。チーム全体ではっきりとしたプレーを続け、押し込まれる中でも絶対的なチャンスは作らせない。後半最大のピンチは85分、相手にエリア内にてフリーでヘディングシュートを打たれるも、ここはバーに救われる。86分、右サイドで上下動を繰り返し、2点目の起点になった森原に代え、岩田理子(総2・十文字)を右WBに投入。フレッシュな選手を入れて、試合を締めにかかる。18:00キックオフ、暑さの盛りは過ぎ直射日光もない曇り空ではあったが、風がなくジメジメとした厳しいコンディション。そんな中でも両WBを中心にハードワークを続け、守備の陣形を崩さずに守り抜き、試合終了。2-0で慶大が国士舘大を下した。

 

勝利した慶大は勝ち点28で国士舘大と並び、勝ち点に次ぐ順位決定要項の総得点は慶大が31、国士舘大の20を上回っているため首位に浮上。このまま1位でシーズンを終えれば、来期は2021年以来の1部リーグでの戦いとなる。次節の7月13日、日本女子体育大学との一戦を終えると、リーグ戦は2か月ほど中断する。細かいパス回しを使った創造的な攻撃に、集中力を保った固い守り。「細部に宿せ」をテーマに掲げた彼女たちの戦いから、今後も目が離せない。

(取材:柄澤晃希)

 

【選手インタビュー】

 

◇小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース・RB大宮アルディージャWOMAN内定)

DFリーダーの主将・小熊

――首位・国士舘大との一戦、チームとしてどんな意気込みで臨んだか

勝てば自分たちは得点が結構多くて、首位に立てると分かっていたので必ず勝つという気持ちで、前回の試合でケガした主力の子もいたので、その子のためにも頑張って勝ち切りたいという思いでチーム全員戦いました。

 

――前期の国士舘大戦は0-2で敗れた、どんなことを修正したか

前期の敗戦は負ける試合ではなかったという共通認識があったので、首位相手だからと言ってやることを変えず、自分たちの今まで積み重ねてきたことをいつも通りやろうという意気込みで行きました。

 

――リベロでディフェンスラインを統率し完封、今日の守備陣の動きは

100点ではないですね。1枚FWでうまい選手がいてボールを持たれて、自分たちがもう一個前で反応できていたらその選手にボールを取られずに相手陣地で押し込める時間帯もあったと思うので100点ではないんですけど、0で抑えられたというところにはしっかりと喜びたいと思います。

 

――リーグ戦9連勝中、チームの状態は

すごい良いと思います。勝つことが当たり前になってきている雰囲気があるので、それに慢心せずに日々練習を積み重ねることが大事なんですけど、自分たちが掲げた「こだわる」というところは常に毎週毎週積み重ねられていると思うので、また勝って10連勝で折り返しまで頑張りたいと思います。

 

――勝利して首位に浮上、国士舘大には総得点、得失点差で上回り、直接対決は互角。今後の戦い方について

負けなしで全部勝ち切って、首位で突破して危なげなく一部に行きたいと思います。

 

――2021年以来の1部に向けて意気込み

自分たちは(2022年に)入学してから1部昇格を目標にしてきたんですけど、その思いも叶わずその努力も足りずずっとやってきたので、ラストイヤーで一部に上げて、下の代に一部を経験して欲しいと思います。

 

◇髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

岡田と言葉を交わす髙松

――今日のゲームを振り返って

みんなでやることを変えないで、とにかく走って、戦って、勝つという同じ方向を向いていたのでそれがちゃんとピッチ上で表せた試合だったと思います。

 

――1点目の場面、どういったイメージを持って中でクロスを待っていたか

いいクロスが上がってくるシーンはずっとあったし、タイミングよく相手のディフェンスラインとキーパーの間に走り込めば決められるという自信はあったので、勢いを持って行けたかなと思います。

 

――非常に大きな追加点となる2点目は

チーム全体としてサイドにボールを運んでゴールを決めるというのは練習からやっているところだったので、中がちゃんと入らないとという気持ちで走ったら良いボール来たなという感じです。

 

――自身のプレーの強みは

パスで味方と相手を剥がすところだったり、規則性のない崩しでどんどん動きを変えていくっていうところは強みですね。

 

――試合後、スタンドで応援していた岡田選手とどんな言葉を

今日の試合は恭佳さんのために勝つっていうのは自分の中で決めていたところだったので、点を決められて良かったという感じで話しました。

 

――今後のリーグ戦に向けての意気込み

今日首位に立つことが出来たので、地に足をつけて浮かれることなく、自分たちのサッカーの精度をもっと上げて、よりレベルの高い見ていて面白いサッカーでこのまま首位を譲らないでいきたいと思います。

 

◇野口初奈(環3・十文字)

中盤でボールを握った野口

――今日のゲームを振り返って

2部の舞台で慶應が始動してからあまり上位に立てたことはなかったので、前期自分たちのミスで負けてしまった国士舘にしっかりとリベンジを果たせたというのは自分の中でもチーム全体としてもすごく成長があって良かったなと思います。

 

――ビルドアップでは上手く顔を出して攻撃につなげるシーンがあった。自身のビルドアップにおける役割は

これまでは1つ下のアンカーのポジションでチームのビルドアップの流れをつくる役割だったんですけど、今年に入ってからは1個高いトップ下のポジションで、自分の中では結構苦戦して、慣れるのに時間がかかってしまったんですけど、そこでの役割としては1個前の位置で前を向いてゴールに直結できるようなプレーであったり、後ろの選手でパスコースに困っていたらしっかりと受けに行ってボールをキープするっていうのを意識してやりました。

 

――守備のときは竹内選手とダブルボランチで守って、攻撃では縦関係。2人の間での連携やコミュニケーションはどう取っているか

守備ではいつも自分が左なんですけど、自分と竹内選手の良さが全然違うので、今日の試合に関しては自分が右にいることで、お互いに自分たちの最大限の力を発揮できる位置だったので、そこは話し合って試合に臨みました。攻撃に関しては、竹内選手は安定したプレーが特徴的なので、前を向いたらすぐにもらえるように、ここでのホットラインはなるべく作れるように意識しました。

 

――来週の日本女子体育大学戦に向けての意気込み

主将の小熊選手がWEリーグの活動があって不在で、主将がいないというチームにとってさらに成長できるような機会ではあるので、しっかりとチームの総力で勝ち切れるように頑張りたいと思います。

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