【應援指導部】六つの色が響き合った! 未来を担う世代が放った確かな“耀き”/第49回東京六大学合同演奏会

應援指導部

「第49回東京六大学合同演奏会~六耀(りくよう)~」が7月12日(土)に東京都内で開催された。この演奏会は、東京六大学の吹奏楽部・チアリーディング部が一堂に会する一大イベントであり、各大学の学生同士の絆と成長が随所に見られるものとなった。そんな演奏会の模様を振り返りつつ、その意義に迫る。

 

東京六大学合同演奏会とは、東京六大学応援団連盟に所属する吹奏楽部・チアリーディング部の部員が一堂に集い、合奏やチアリーディング、マーチングドリルなどを披露する一夜限りのステージ。49回目を迎える今年のタイトルは『六耀~りくよう~』。“六大学がそれぞれの輝きを出しつつ、一つの舞台を作り上げるために力を合わせる”、そんな思いが込められている。その中心を担ったのは、各大学の2・3年生。最上級生の力を頼ることなく、演出、運営、演技の多くをこの2学年を中心に創り上げた。

第一部は吹奏楽、第二部はチアリーディング、第三部はドリルステージとフィナーレという構成で、総勢150名を超える六大学の部員による迫力と完成度の高いステージが披露された。

第一部の吹奏楽ステージでは、慶大應援指導部3年・Tさんが司会進行を担当。満員の観衆を前に、六大学の魅力を伝えるべく、様々なアイテム、フリップ、更にはダンスを披露し場内を盛り上げた。昨年は演奏者として出演していたTさん。

「お客様に楽しんでいただくことはもちろん、演奏者の皆さんの緊張を少しでも和らげられたら

立教大学の同期とともに披露した観衆と演奏者双方に寄り添ったパフォーマンスは、演奏会に彩を添えた。

そんなTさんたちの紹介を受け始まった第一部・吹奏楽ステージ。演奏隊9パート・62名とドリル隊11パート・54名、各大学の奏者が勢ぞろいしたステージでは「風之舞」「マードックからの最後の手紙」「ディズニープリンセスメドレー」「シング・シング・シング」といったバラエティ豊かな選曲による演奏が披露された。指揮を担当した慶大のOさんは「六大学の仲間と作る音楽は唯一無二」と語る。

第二部のチアリーディングステージでは、2年生・3年生がそれぞれ「pink moon隊」「black sun隊」「ルーティン隊」と名付けられた3チームに分かれて登場。かわいさ・カッコ良さ・美しさという三者三様のコンセプトを掲げ、それぞれが観客の視線を一身に集めた。中にはスタンツ(組体操のような技)やピラミッドなど、何人ものチアが連携して行うパフォーマンスもあり、その協力する姿からは六大学の垣根を超えた絆を感じられた。

第3部・ドリルステージでは、エルヴィス・プレスリーのロックサウンドに合わせた隊形移動、メンツとカラーガードの一糸乱れぬ動き、金管によるファンファーなど、視覚と聴覚が織りなすパフォーマンスは迫力満点だった。

「舞台裏では笑顔が絶えず、信頼関係に裏打ちされたチームワークが演奏に表れていた」

このTさんの言葉通り、慶大の部員たちは、慣れないライフル演技にも他の学生たちと協力して挑戦し、練習の成果を披露していた。最後は、東京六大学の第一応援歌や校歌のメドレー『六大カレッジ』がフィナーレを飾り、2時間に及ぶ学生たちの舞台は幕を下ろした。

本演奏会では、各部の間の休憩時間を活用して幕間ステージも実施され、各大学の吹奏楽・チアメンバー少人数が合同でパフォーマンスを行った。慶大は、今春のテーマソング「青い珊瑚礁」の応援を披露した。そこには、演奏本編とはまた異なる親しみやすい空気感があった。

前述の通り、今回の演奏会の最大の特徴は、出演者が2・3年生中心で構成されていたこと。最上級生不在の中、各校の部員たちはそれぞれの役割を全うし、絆を深め合いながら舞台を完成させた。彼らが近い将来母校の応援を引っ張っていく。観衆は、そんな未来に期待を膨らませながら、学生たちの奏でる音と共鳴していた。

合同演奏会は学年の枠に留まらず、六大学全体の絆も深める貴重な機会にもなった。慶大代表として幕間ステージに参加した應援指導部Eさんはこう振り返る。

「普段は戦友としてスタンドで顔を合わせる六大学ですが、六耀で仲を深めることが出来、秋の再会がより楽しみになりました」

六大学の存在は、時に大きな活力を一人に与える。Tさんにとっても同じだ。

「司会原稿作成の際に、他大学の裏方を務めた同期のアイデアが大きく役立ちました。大学ごとに表現のセンスやユーモアが異なっているので、どんな言葉選びが最適かを一緒に考えるプロセスはとても面白かったです

演奏会の実現には、舞台に立つ表方だけではなく、照明・音響・受付・衣装・広報といった裏方の存在があったことも忘れてはいけない。また、リハーサルや合同練習だけでなく、その合間の他大学のキャンパス巡りや食堂の名物料理を楽しむ交流も学生たちの心をつないだ。

紡がれた絆を胸に、夏から秋へ。應援指導部は、秋シーズンに“日本一の応援席”を実現させるべく、さらなる飛躍を誓った。

この日、舞台に立った学生たちの眼差しの先には、それぞれの大学の未来が耀いていた。その耀きは、間違いなく観客と演者の心に刻まれたに違いない。

~公演後インタビュー~ T.Jさん

Q.六大学の仲間とともに一つの舞台を作り上げた合同演奏会ですが、終演後の率直な感想をお聞かせください。

A.今回は司会として合同演奏会に携わらせていただきました。満員のお客様を前に、六大学が創り出す一体感あるステージを盛り上げるお手伝いができ、とても楽しい時間でした。客席から温かく盛り上げてくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。六大学、そして「応援」という共通点があるからこそ実現した、大人数の熱気とパワー溢れるステージ。その熱量が少しでもお客様の心に届いていたら嬉しいです。

Q.秋季に向けて、應援指導部そして個人として新たにチャレンジしたいこと、意気込みがあればお聞かせください。

A.今回の合同演奏会を通じて、たくさんの刺激をもらいました。六大学の仲が一層深まったからこそ、これからの応援活動では”良きライバル”として切磋琢磨し、慶應義塾体育会應援指導部としてどの大学よりも選手に想いを届け、観客の皆さまを楽しませられる“日本一の応援席”を作りたいと考えています。個人としては12月に開催される自校の定期演奏会で、今回の経験や得たインスピレーションを最大限に活かし、素晴らしいドリルステージを創り上げたいです。華やかで楽しいステージをお届けできるよう精一杯頑張りますので、ぜひ会場にお越しいただき、生の迫力を感じていただけたら嬉しいです。

 

(取材:柄澤晃希、竹腰環)

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