2021年以来4年ぶりの勝利を目指すソッカー部。今年は慶大が1部リーグ、早大が2部リーグと所属リーグに差があるだけに絶対に負けられない展開となった。早慶クラシコ直前企画第5弾となる今回は石田航大(政3・慶應/ブリオベッカ浦安U-18)、村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U−18)、三浦成貴(商3・浜松開誠館)の3選手にインタビューを行った。
ーー他己紹介
三浦→石田
石田のキャラクター的な特徴の一つは、みんなに対して優しすぎるところかな。たまに優しすぎるがゆえに優柔不断で、みんなに流されてしまうような部分もあるけど、基本的にみんなに対して気を配れて、周りに気づく力がある人だなと思っています。
一方で、サッカー面だと最近になって少しずつピッチ外での優しさをいい意味で感じなくなって、ピッチ内で貪欲にボールを奪いに行く姿勢であったり、勝負へのこだわりみたいなのが出てきたと思っています。優しさと力強さを兼備しているというのが石田航大です。
石田→村井
亮友くんって呼んでるんですけど、亮友くんと成貴と僕は三人とも寮に住んでいて、1年生の時から亮友くんにお世話になってるので、生活面も色々知ってます。後輩の部屋の中に入ってきて、部屋を荒らすだけ荒らして帰っていくというような(笑)。みんなに対して優しく先輩後輩関係なく接してくれます。
サッカー面では、みんなが冷静になりきれない時とかに、亮友くんは状況とかを冷静に捉えられてるなって感じることが多くて。人が見てないとこを見てたり、大人なところを感じます。個人的に、僕はそんなに足が速くないんですけど、亮友くんは足が速くて、それを活かしたプレーが他の人とは一味違うので、そこをみんなに見ていただきたいと思ってます。
村井→三浦
成貴は称号がいっぱいある男なんですよ。哲学者とかデュエル王とか。本人はめちゃくちゃ変わってるので、寮内で唯一誰も立ち入れない部屋にしていて。何かとみんなに好かれてる謎な一面もあれば、ピッチ内では高校時代主将を務めた者として球際強く熱く行けるのが成貴の強みです。あと、俺は未だに同い年なのに敬語使われてて、これも哲学者の影響なのかわからないけど、距離の遠さを感じます(笑)。
ーー寮生活について
石田:寮の中に食堂があって、そこで朝と夜は食べるんですけど、夜は多い時は10人くらいで一緒に楽しく食べてます。
村井:朝はこの2人がいつも遅いので死んだような顔で食べてますけど(笑)、夜はみんなで楽しいですね。仲の良さは寮ならではかなと思います。
三浦:寮で会うのは基本的に食事ですけど、亮友くんは寮で洗濯して部屋に持って帰る時とか、お風呂から部屋に帰る時とかの道中でちょっかいかけてきます。
村井:他の寮生に比べて成貴はめちゃくちゃ会うから、成貴は俺のこと好きなんだよね。部屋荒らすのもテスト期間中に邪魔しに行くのも石田にしかやってないけど(笑)。
石田:そうなんですよ。勉強中にスピーカーで爆音の音楽流されて全く集中できないっていうこともあったり。
村井:それはしょうがない。下田寮の後輩としてね。

サッカーでも私生活でも相手に切り込む村井
ーー個人として、前期のプレーを振り返って
三浦:たまにセンターバックをやってたんですけど、前期を通して基本的にはサイドバックで試合に出させてもらっていました。ディフェンスラインの選手はディフェンスの対人能力がうまくなきゃいけないとか、フォワードだったらゴール前のクオリティとか、色々ポジションごとに求められることが特徴的にあると思うんですけど、僕の中ではサイドバックは(能力)全部必要だなと感じています。攻撃が始まるビルドアップの時の細やかな小手先のテクニックも、ボールを受けた時の緊急で裏に蹴ったり、逆サイドに展開するようなダイナミックな技術も、運動量も、クロスをあげて試合を決める力も、守備における対人能力も。全部ハイクオリティで持ち合わせていないとサイドバックとして価値を発揮できないなっていうか。今までは、自分は球際の強さが特徴だから、それをどれだけ発揮できるかにしか目がいってなかったんですけど、今年は前期を通して、全部ハイクオリティでいなければならないと感じたので、後期は全てのスキルにおいて関東一のクオリティを発揮して関東で一番のサイドバックになれたらなと思っています。
石田:2年生までずっとトップチームでプレーしたことはなくて、今シーズンも怪我で出遅れてたんですけど、復帰して徐々にチャンスを貰えるようになりました。その中で、できている部分も感じた反面、自分の実力の足りなさや、課題が明確になりました。でも今まではトップチーム出場がなかったので、実際出てみると、慶應を背負ってピッチに立つことの責任感を感じました。より「慶應の勝利のために全力を尽くしたい」と思って試合出るために徐々に強くなっていっているという状態です。
自分の同じポジションには、副将の角田惠風さん(商4・慶應)だったりがいて、彼の持ってるクオリティとかは関東でもトップレベルなのでその人の間近で毎日一緒にプレーできるのは残り半年くらいしかない中で、少しでも多くのことを吸収して来年に繋げていきたいなと思っています。あと、去年の副将の茅野優希さん(令7卒・慶應)に結構影響を受けてました。彼のハードワーク、チームのために誰よりも戦うところは見習わないといけないと思ってて。自分も惠風さんや茅野さんのようなプレイヤーになりたいと思ってます。
村井:前期は、自分にとっては苦しいシーズンでした。去年1年間ほぼ毎試合メンバーに入って試合に出るチャンスをもらっていた中で今シーズンは開幕から2試合はコンディションが良くて、自分の中では「やれている」という感触もあり、出場機会をもらえていたんですけど、そこから怪我がちになって、うまくいってないモヤモヤの中で、試合に絡めない悔しい中でサッカーしていた。結局、去年の半分以下の4試合しか出れなくて悔しい反面、アミバイタルカップ以降コンディション自体は良くなってきているので、後期・大臣杯・早慶戦に向けて今現在はポジティブに向かっているという感じです。
ーー三浦選手、サイドバックやセンターバックでそれぞれ求められることが違うと思うが、その点についてどう考えているか(今まではサイドバックでの出場が多く、流経大戦と日体大戦からセンターバックで出場)
三浦:違和感はやっぱりありました。サイドバックの時の景色と全然違う。ただ、前期は割と自分がセンターバックをやりたい欲があって。なぜかというと、グラウンドの中央はスペースが相対的に少ないから自分の強みの球際の強さ、体を張ったインターセプトを相対的に発揮しやすい。これからは他の自分の強みを増やさないといけないんですけど。2試合でセンターバックをやった時は純粋に楽しかったです。
ーー石田選手、茅野さんや角田選手に影響を受けて自分の強みとなった点は
石田:自分のポジションであるインサイドハーフはチームの中でも一番運動量を求められていて、攻撃でも守備でも体を張る。自分も体力や試合中走るのは元々他の人よりは長けていると思っていて。惠風さんや茅野さんに負けないように僕も走って、ハードワークするところが自分の持ち味になったかなと思います。

前副将・茅野に憧れる石田
ーー村井選手、アミノでキャプテンマークを付けていたが、その時について
村井:二人(石田・三浦)に今笑われている通り、キャプテンマークは自分には合っていないというのが率直な感想です(笑)。その中であの試合は普段試合に出れていないメンバーが出場して、「その中では自分が一番経験があるのではないか」というような話し合いでキャプテンになりました。「キャプテンとしてどうやって振る舞えるか」が自分の中でキーワードになったので、いい経験にもなったし、その責任感が今に繋がってポジティブな思い出になっています。
ーー次に、チーム全体について前期を振り返って
三浦:個人的に思っているのは、前期折り返し時点では最下位なんですけど、誰も1部リーグの舞台を経験したことがなくて、そのレベル感が分からず、とりあえず日々の練習試合や練習をこなしていった結果、1部のクオリティや強度を思い知らされて、シーズン途中に修正して、「この基準じゃやってられない。もっとみんなでやっていかなきゃダメだ」とチームとして徐々にレベルアップしながらやっていた前期で、それが間に合わなかった。これが総括かなと。
ーー前期リーグ戦の結果の一方で、アミノバイタルカップでは明治に勝利、さらに総理大臣杯への出場を決めた、その点については
村井:(三浦が言うように)前期の間、徐々に改善しながら調子を上げていったというのもそうだし、その結果として、アミノバイタルカップ明治戦の勝利とか総理大臣杯出場に持って行けた。でも、自分たちが(1部の舞台を)知らない中ですごく苦労したシーズンでもあり、逆に成長したシーズンでもあった。特に1・2・3年生にとってはいい経験になったのではと感じています。
石田:確かに、アミノバイタルカップも集中開催で、中1日とかでの試合で結構厳しい戦いだったんですけど、今まで試合に出ていなかった人が出ていた中で1試合1試合勝っていって、最後全国まで決められたのはチーム全体の底上げというか。出ている11人だけでなく、他のメンバーも実力が上がっている証拠かなと。その点はこれからに向けてポジティブに捉えられると思います。
ーー去年の早慶戦を振り返って
村井:去年のシーズンで、0ー4というあんな負け方をしたのは練習試合も含めてあの試合だけだったんじゃないかなという記憶があります。去年は、全体としてすごくうまくいっていたシーズンだったからこそ、去年のワセダ戦の2敗(早慶戦と総理大臣杯)は自分たちの中ですごく大きかった。特に早慶戦敗北の景色は今でも鮮明に覚えているし、ベンチで見ていた時も0ー3になった状況で中々うまくいかなくて。1万人が入った国立の舞台で不甲斐ない試合をしてしまった後悔が残っています。
石田:当時僕はスタンドで観客誘導をしていました。開始直後、失点したと聞いた時、「まじか」と思いました。試合出場はできなかったんですけど、ワセダに負けたというのは慶應に所属する一員として悔しさを感じましたし、それとともにメンバーに入れていない自分に対しても悔しさがありました。
三浦:すごく個人的な話をさせてもらうと、ソッカー部入部後1年間怪我人だったんですけど、その中でも「4年間をどういう形で過ごすか」についてある程度プランを立てていて。当時のプランとしては「2年生の後期からトップチームのスタメンで活躍すること」を決めていました。なので去年の早慶戦、ベンチ外で試合を眺める状況は、強がっていると思われるかもしれないですけど一応想定内でした。そこまで自分が置かれていた立場に実力含めて不満はなく、「ここからだ!」としか思っていなくて。ベンチ外から見ていた感想としては「俺がそろそろ出てくるからワセダ待ってろ。俺がいれば(ワセダは)倒せるやろ」と思っていました。
ーー早慶戦に来る人に見て欲しい自分のポイントは
村井:自分はウイングとしてスピードが武器。それを活かしながら、ゴール前でゴールに関わる・ゴールを決めきる・アシストする、というのが持ち味なので見てほしいです。あと、4年生として最後の早慶戦なので。かっこよさとかもうそんなのどうでも良くて、勝つことしか考えてないので、泥臭く、死に物狂いで戦う姿をお届けできればなと思っています。
石田:入部前に一回早慶戦を見ていて、その時に「学生だけでこんなにすごい舞台を作れるんだ」と衝撃を受けて。なのでソッカー部に入部して早慶戦というのは1つの目標で、大事な一戦になるので、その中で走って、ハードワークして、勝利に向かってまっすぐ戦っているというところを見ていただきたいと思います。
三浦:僕は球際の強さが特徴で、その点に関してだけ言えば「自分は世界一だ」と思っているので、「ワセダの左サイド・うちの右サイドは僕が支配する」くらいの強い覚悟で、早慶戦勝利に貢献できるようにと思っています。

ワセダを倒すことが塾員の責務であると語る三浦
ーーワセダで警戒している選手・慶應での注目選手は
三浦:ワセダに関しては、特に警戒する必要はないかなと思っているので。油断をするというわけでは決してないんですけど、我々は1部の世界を知っている。そのプライドもあるし、純粋に慶應生とのプライドもあるし。だから特に「こいつやべぇ」みたいな選手は僕の中にはいないです。
石田:等しく皆つぶす。
村井:俺は早稲田の選手は誰もあまり知らないです。
三浦:名前出てこない時点でそんなに警戒するような選手はいないかなと。
石田:キーマンはやっぱり三浦くんじゃないですか?彼今、進化しているので。今までの三浦成貴じゃないので。ここで色々言っちゃうとバレちゃうので言わないですけど、彼走れるので。キックも蹴れるし球際だけじゃないので。成貴の起点から攻撃して点が生まれるんじゃないかな、と僕は思います。
村井:俺は西野純太(総4・駒大高)かな。1番去年の早慶戦の悔しさを知ってるのもそうだし、今シーズンあまりサッカーできなくて苦しんでるのも見てきているし、その中で何かやってくれるんじゃないかなという期待感がありますね。他の人はまあいつも通りすごいので。特別今シーズンの中で挙げるなら純太だね。
ーー最後に早慶戦への意気込みは
三浦:慶應義塾はワセダの眼前で若き血を謳歌しなくてはならない。慶應義塾はワセダと鎬を削ったその空間に若き血の残響を響き渡らせなければならない。これは慶應義塾の一員としての義務であって、責任であって。塾員としての責任を全うしたいと思ってます。
村井:どんな本読んだらそんな言葉出てくるの(笑)。これは特殊例だからね。
石田:僕は「脱小石田」で。これは社会人スタッフの刀野真一さんに、僕のプレーが良くなかった時に言われるので。当日は「小石田」でも「石田」でもなく「大石田」で!あと、僕は塾高出身で慶應生のプライドを他の人よりは持っているので。ワセダに勝って若き血、歌いたいです。
三浦:癖強が続いている(笑)。
村井:4年生の代で早慶戦に勝つって結構大きいことで、「早慶戦に勝った代だね」ってOBから言われたりもしますし。実際4年間で一度も実現していない勝利を自分たちの代で叶えて、4年ぶりに早慶戦優勝して歴史に名を残したい。自分たちの代でチームに勝利を残したい。個人としても、出た時間の中で全力を尽くす。勝利のことだけを考えてプレーする。その気持ちを全面に出しながら、絶対勝ちます!
ーーお忙しい中、ありがとうございました!
(記事:島森沙奈美 取材:髙木謙)