【競走】第101回早慶対抗陸上競技会 試合後インタビュー 

競走

先日行われた第101回早慶戦の試合後インタビュー記事をお届けします。本大会の戦評記事もぜひ併せてご覧ください(【競走】次なる百年への初陣、勝利で飾れず 男女ともに宿敵に敗れる/第101回早慶対抗陸上競技会 | KEIO SPORTS PRESS

〈競走部108代主将・大島琉偉(経4・慶應)〉

――試合後の率直な感想をお聞かせください

来年につながる大会だったと思います。これで5つの大きな公式戦が全部戦い終えたんですけど、今年は残念ながら当初の目標を1個も達成できなかったので、正直厳しさが残る結果ではありますが、早慶戦では特に短距離が本当に戦えるようになってきたと思ってるので、そこは男女問わず来年以降に良い形でつないでいってくれればと思います。

――今後特に活躍を期待している選手は?

短距離で言えば、男子は林(明良)ですね。慶應が早慶戦の対抗100mで優勝したのは、本当に久しぶりの快挙ですし、彼の勝負強さにはやっぱ今後も期待したいなという思ってます。女子は藤井南月子です。1年生ながらもう既に100m女子の塾記録を更新してますし、まだまだ伸びしろがあると思ってます。慶應女子チームは早慶戦でまだ1度も勝ったことがないと思うので、ぜひ来年以降は早稲田に勝つために活躍してほしいですし、長い目で見ても女子チームを引っ張っていってくれるんじゃないかなと思います。

1年生藤井(南)は先日の慶同戦で女子100mの塾記録を更新

――ご自身にとってラストイヤーとなった今季を振り返っていただけますか?

2、3月は調子は良かったですし、5月の関東インカレを見据えて準備していた中で残念ながら4月の六大学対校で怪我してしまいました。そこからは夏の慶同戦や早慶戦に向けて出来る限りのことを準備してきたんですけど、最後まで出場は叶わなかったので、本当に残念です。でもそうやって上手くいかないのが、やっぱり陸上競技ならではだと思っています。後輩たちにはこういう思いをしてほしくなくて、僕の競技人生を『こういう終わり方もあるんだな』って反面教師にしてもらいたいです。僕個人としての成果は全然得られなかったですけれど、後輩に対して少しでも良い学びを与えることが出来たのならそれでいいのかなと思います。

チームの盛り上げ役もかってでた(写真左下)

――今大会は井上選手や鴨下選手をはじめ、4年生の多くにとって引退レースとなりました。同じ108代の仲間に向けて、どのような思いがありますか?

今回自分は走れなかったんですけれど、その分他の幹部だったり4年生が活躍してくれたからこそ、この108代が最後に意地を見せたという評価をいただけると思うので、そこは一緒にやって来れて本当に良かったと思っています。同期のみんなに改めて感謝を伝えたいと思います。

ともに戦った108代幹部(左から井上・安田・大島・鴨下)

――最後に、次の第109代をはじめ、これから慶大のユニフォームを着て戦っていく後輩たちへエールをお願いします

後輩たちには、早慶戦や慶同戦といった対抗戦だけでなく、六大学や関東インカレ、全日本インカレなど、さまざまな公式戦で一つひとつ目標を立てて、それをしっかり達成していってほしいと思います。このチームはまだまだ発展途上で伸びしろも大きく、僕の想像を超えるような活躍をしてくれる選手がたくさんいるはずです。ぜひ個々の力を伸ばしながら、総力戦を体現していってほしいです。

 

〈副将・井上丈瑠(経4・長岡)〉

――ラストレースとなりました。試合後の率直な思いをお聞かせください

今シーズン108代になってから自分は全然結果残せていなくて。関東インカレも出場はできていたんですけど、予選落ちをしてなかなか思うようにいかないシーズンだったなと思っていました。そんな中で最後の早慶戦で優勝して終わり良ければすべて良しという形で有終の美を飾りたかったんですけど、ワセダの水島に最後先行されてしまって。正直めちゃくちゃ悔しいんですけど、今自分ができることは出し切れたのかなと思うので、満足はしています。

戦い抜いたラストラン

――慶大競走部での4年間を振り返っていただけますか?

全体的に言っても自分が競走部入学当初に描いていた競技生活ではなかったなと思うのが正直なところです。自分の目標としては全国で活躍するような選手になって、この部を引っ張っていきたいという思いがあったんですけど、全日本インカレにすら僕は出場できなくて、副将としても自分は不甲斐ない副将だったと思います。ただ、それでも中距離ブロックはじめ他のブロックの部員と助け合いながら色々な経験をさせてもらえたという意味では、本当に競走部に入ってよかったなと胸を張って言えるのかなと思います。

「競走部に入ってよかったなと胸を張って言える」

 

〈副将・鴨下友織菜(環4・都立三鷹)〉

――最後となる早慶戦でしたが、どのような気持ちで臨まれましたか?

大学4年間というのもありますが、私自身10年間陸上をやってきた中の本当に最後のレースだったので、副将という立場を背負いながらも、ちょっとだけ自分のために多く走ろうと思って挑んだ大会でした。

――レース後には涙が溢れる場面もありました。その時はどのような心境でしたか?

あんなに号泣しちゃったのは初めてだったんですけど、二つの感情がありました。「優勝」を自分としても副将としても目標に掲げていたので、それを叶えられなかった悔しさと優勝したのが仲間であり、4年間ずっとライバルの(井上)汐莉だったので、すごい嬉しくて「悔いはない」と思って溢れた感情でした。

4年間戦い抜いた井上(汐)とレース後に涙の抱擁

――慶大競走部での4年間を振り返っていただけますか?

まだ22年間しか生きていないんですけど、競技以外も含めて勝るものはないんじゃないかなという4年間の毎日でした。自分の好きな陸上に没頭できた4年間でもありましたし、こんなにレベルの高い素敵な仲間に囲まれた4年間もないので、宝物で自慢の4年間でした。

――最後に、次の第109代をはじめ、これから慶大のユニフォームを着て戦っていく後輩たちへエールをお願いします

陸上は結果のスポーツでそれまでの過程をすごく大事にしてきましたが、私自身、慶應だからこそ楽しめたという思いがあるのでそれを後輩たちにも楽しんでほしいなと思います。また、自分があまり叶えられなかった「結果を出す」ことが合わさったらもっと最高なんだろうなと思うので後輩たちには過程も結果も完璧に輝いてほしいなと思います。

「宝物で自慢の4年間でした」

 

〈短長ブロック長・横井健道(法4・城北)〉

――ラストレースとなりました。試合後の率直な思いをお聞かせください

毎年早慶戦ではタイムを更新しているので、個人的には思い入れがある試合でしたが、優勝する気持ちで臨んだので、正直悔しい部分が大きいです。ですが、最後の公式戦ということで、ひとつすっきりとした気持ちで終われたかなと思います。

「早慶戦は一番思い入れのある試合でした」

――過去、早慶戦では何度も自己ベストを更新されてきました。早慶戦にはどのような思いがありますか?

最初から公式戦に出場できていたわけではなく、少しずつ出場できるようになって、一個一個の公式戦に向き合っていく中で、やはり早慶戦は体育会系において、一つの指標かつスタートラインかなと思います。「選手になったな」という新鮮な気持ちで3回早慶戦を走ることができました。

――試合前はかなり気合が入っている様子が伺えました

緊張した顔が撮られてしまって恥ずかしいですけど(笑)まぁ、今日は特に気合が入っていたと思います。

――短長ブロック長として、どのように陸上競技と向き合われてきましたか?

僕の代は短長ブロックが一人しかいないので、僕プラス後輩という形になっていて、『僕が引っ張っていかないといけないな』という思いで半年間やってきました。なかなか結果は出なかったですが、後輩の中ではタイムが伸びている人もいて、“みんなで”タイムを出していきたいという気持ちを持って向き合ってきました。

――最後に、次の第109代をはじめ、これから慶大のユニフォームを着て戦っていく後輩たちへエールをお願いします

関東インカレと全日本インカレで4×400mリレーで入賞することを目標にずっとやってきたのですが、僕がそれを達成できなかったので、後輩たちにはぜひ達成してほしいです。託したいなと思います!

 

〈投擲ブロック長・山田直弥(商4・清水南)〉

――今日のやり投げの試合を振り返っていただけますか?

記録が45m17ということで、ベストの47mは更新できませんでした。ただ、今年はあんま調子良くはなくて、この前までの練習も良くなかったんです。腰痛とかもあって不安な中では意外と身体が動いたので、及第点だったかなと思います。

――今日の円盤投げの試合も振り返っていただけますか?

円盤投げは最近結構力を入れて練習していました。いろいろ怪我を抱える中では比較的負担が少ないので。外部の新しいコーチに頼んで教えてもらって、自分の中のレベルアップはしたかなと思って試合に臨みました。最低限得点はきちんと取れたのは良かったんですけれど、その一方で記録に関しては全然満足できるものではないです。優勝できる可能性もあったので悔しさはあるんですけれど、そこも含めて自分の実力なので、たとえ下振れたとしても勝ち切るだけの実力がなかった自分が悪いと思います。試合で良いパフォーマンスをできるのと同じくらい、もともとの自力を上げて、どんなに最悪な状態でも勝ち切れるようにしたいです。

「自力を上げてどんなに最悪な状態でも勝ち切れるようにしたい」

 ――早慶戦で競走部の多くのブロックは代替わりとなります。後輩の皆さんに向けてエールをお願いします

 

今年の一年生が入ってくるまでは、投擲ブロックは3人でやっていて、ブロック長としてしたことはあんまりなかったと思います。もともとは自分一人でいろいろ考えないとなと思っていましたが、一年生が入ってきたことを機に、後輩と協力して良いブロックにしていくにはどうすればいいか倉田と一緒に話して、自分たちなりに施策を打ってきました。ただ、その結果が出るのはもっと先なので、個人としてもブロックとしても、もっと上手く成長できるようにしていきたいです。

――慶大競走部での4年間を振り返っていただけますか?

十種競技をやってて、始めた最初の頃はほんとに上手くいかなくて、絶対自分は向いてないと思うこともありました。記録は伸びないですし、試合出てもいつも最下位になるので。そんな中、今日一緒に円盤投に出ていた後輩の高橋(諒)は関東インカレ二連覇している選手で、「ああこのままじゃいけないな」という思いが芽生えました。自分個人の成長としては、高橋が入ってきて、もっと違うやり方にしないといけないという思いが生まれて、自分でもっと考えるように、自分の弱さに向き合えるようになりました。「まず目の前の課題は何なんだろう」、「まず一歩先に行くためにはどうしたらいいだろう」と考えるようになってからは上手くいくようになりました。これらの考え方は陸上以外のことにも応用できると思うので、この学びを社会に出てからも活かしていけたらいいかなと思います。めちゃくちゃ濃い4年間でした。

「めちゃくちゃ濃い4年間でした」

――山田選手にとって、陸上競技とは

生きる軸です。小学生くらいからずっと陸上やってて、それまでずっと長い間やってきたという意味でも自分の軸だと思いますし、大学4年間で得た学びは明らかに自分を成長させていますし、絶対に今後活きてくるものだと思います。今までこんなに力を入れてやってきたことは陸上以外なくて、受験勉強とかも色々ありましたけど、結局こんなに集中してやることはなかったですし、そういった面でも自分の軸です。これがなくなったら、自分はどんな人生歩んでいるのかわからないくらいです。

 

〈若原祐人(経4・慶應)〉

――最後の早慶戦を終えたの今の率直な心境をお聞かせください

毎年4年連続で早慶戦に出場させていただきました。昨年は運良く優勝することができましたが、今年は連覇を目標としていたものの果たせず悔しい思いです。それでも周りが盛り上げてくれて最高の試合にしていただき、やり切った気持ちでいます。

――今回の記録(1m90cm)に関して

悔しい気持ちです。先週の慶同戦では1m95を1本目で跳ぶことができました。自分の陸上人生のすべてを出し切った感覚があります。これまで少し曖昧に続けてきた陸上人生でしたが、それも含めて満足しています。本当は1m95を一発で決めて、須﨑とさらに高い高さで競いたかったです。

「須﨑とさらに高い高さで競いたかったです」

――悪天候での試合でしたが、その点についてはいかがですか?

雨は止んだタイミングでしたが、招集完了から競技開始までの待ち時間が長く、体が鈍ってしまい、あまり動きが良くありませんでした。棒高跳びの終了を待ってからの開始だったため、難しい状況でした。 

「体が鈍ってしまいあまり動きが良くありませんでした」

――慶大競走部での4年間を振り返っていただけますか?

出場できる対抗戦にはすべて出させていただき、貴重な経験をさせてもらいました。昨年は運もあって六大学、慶同戦、早慶戦のすべてで優勝できました。その後、今年の対抗戦は3位、2位、2位と悔しい結果が続きました。ただ、4年生になって六大学で2mを跳び、自己ベストを更新できたことは良かったと思っています。

――最後に、次の第109代をはじめ、これから慶大のユニフォームを着て戦っていく後輩たちへエールをお願いします

混成競技の選手にも、高跳び専門で十分活躍できそうなほど力をつけている選手が複数いますので、来年以降がとても楽しみです。ぜひ頑張ってほしいです。

 

 

〈大会最優秀選手・林明良(政3・攻玉社)〉

 

――男子最優秀選手という結果を受けて、今の率直な心境をお聞かせください

去年とは対照的に今年はインカレであまりいい結果が残せてなかったので、結構悔しい気持ちがずっとあって、最後に結果を出してシーズンアウトとしたいなと思っていました。こういう形で公式戦で100mで優勝して最優秀選手というものをいただくことができたことは、本当に良かったです。

――2週間前のレースでは約1年ぶりの自己ベストを更新。その中で迎えた早慶戦、どういう状態で臨まれましたか?

前半シーズンがあまりうまくいかなくて。色々自分の中で課題とするものを探りながら色々試していました。それこそ練習でも違うアプローチで練習を行いながら、今の自分に何が足りないのかっていうのを1つ1つ考えて、練習を行った結果が、富士北麓でのグランプリシリーズで決勝に残ることができ、そこでベストを出せたので本当に良かったです。

――今日は凄まじい接戦となりました。その試合展開の中で勝ち切った今日の走りを振り返っていただけますか?

 今までは前半がうまくいっても後半になってから力んじゃうっていうことが結構多くて、もったいないレースになってしまうことが多かったので、リラックスするということを意識しました。最初は結構置いてかれちゃったんですけども後半リラックスして、とにかく自分のスピードを信じて最後まで自分の走りをしました。

「とにかく自分のスピードを信じて最後まで自分の走りをしました」

――早慶戦で競走部の多くのブロックは代替わりとなります。新シーズンは最上級生になりますが、その意気込みをお聞かせください

 自分が1、2年の時は、もっと速い先輩に引っ張ってもらってて、特に4継とかでは三輪さんだったり、豊田さんだったり、速い先輩方にずっとついてく感じでした。来年からは最上級生として、後輩を引っ張っていくようにならないといけないと思うので、恥ずかしくないようにちゃんと結果を残して後輩を引っ張っていけるような選手になれたらいいなと思います。

 

 

〈須﨑遥也(商3・丸亀)〉

――今日の試合を振り返っていただけますか?

実は昨日も試合に出ていて、今日は最低限のところで得点を獲得することが必須になってくる試合だったので、早稲田の選手を見ながら、試合を進めることに意識を持ってやっていくことを、まず一番に心がけた感じです。

――早大の選手と対峙して感じたことはありましたか?

やはり対抗戦ということで、お互いに意識している部分というのは少なからずあると思うんですけど、年に一回という特別な舞台なので特別感というのを少し感じました。

――特に上手くいったなと思う点は?

非常に多くの部員が競技を見てくれている中、すごいプレッシャーがかかる状況で、跳躍ができたというが一つ嬉しかったので、すごい良かった点になるのかなと思います。今後もこういう舞台を一つでも多く作ってくれると、というか自分が作っていけたらいいなと思ってます。

「すごいプレッシャーがかかる状況で跳躍ができた」

――この結果に向けて、どんな準備をしてきましたか?

何か特別なことをしたというわけではなくて、でも公式戦という重みがある試合なので、気持ちの面だったり、どこか自分の競技で勝てるんじゃないかという緩みみたいなのはなく、怪我もしないように、きっちりと自分のやるべき役割というのを自覚できていたので、そこを全うしたっていう感じです。

――チームの結果についてはどのように捉えていますか?

かなり厳しい状況だなっていうのを感じています。毎年毎年負けてしまうというのが…。年に一回という特別感をもう少し皆の中で浮き彫りにすることで、チームの結果というもの、まあ今回こういう点差で負けてしまったんですけど、少しでも勝利に近づけるような方向を、今後チームとして見つけていけたらいいなと感じています。

――個人としてはどんな成長を目指していますか?

「目標とするアスリート像は”自立できた選手”」

自分の目標とするアスリート像っていうのは”自立できた選手”で、まずは日々の練習や日常生活の部分から部の模範となるような行動を示すことが一番求められるかなと思っています。来シーズン自分自身、競技の集大成という中で、2m20っていうのは今年中に何とかクリアしたいなっていうのがあるので、まずはそこまできっちり怪我なく練習を積んでやっていけたらなと思ってます。

――次期主将として、どんなチームを目指していきたいですか?

まだ抽象的な形なのですが、なかなか今シーズンとか、自分自身大学に入学してきて、我々の同期というのは、大きく飛躍することができたかと言われるとできてなくて、何か現状に関して甘く感じてしまっているような部員というのが少なからずいるのかなと思うので、その部員に寄り添ってあげて、一人も欠けることなく、チームの指揮としてどんどん良い方向に持っていくというのが一番理想の形かなって思います。

――自分が理想とする「主将像」はありますか?

自分は寡黙なタイプで、言葉数も多くないようなタイプで、かと言って群を抜いた驚異力というのもないとは思うので、そこに関してまずは自分自身を変えていくために、きちんと人と対話すること、周りをきちんと見ることを大事にして、その先の自分が最終的に理想の主将像になっていけばいいかなと思います。

「きちんと人と対話すること、周りをきちんと見ること」

 

インタビューは以上です!これからもケイスポでは体育会の皆さんの活動を取材していきますので、今後ともよろしくお願いします!

(取材:吾妻志穂、長掛真依、小澤理太、片山春佳、神戸佑貴、小林由奈、五條理子、竹腰環、中原亜季帆、野村康介、檜森海希、山口和紀)

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