10月18日(土)、第102回箱根駅伝予選会が行われた。昨年は悪条件の中で過酷なレースを強いられ、総合29位と悔しい結果に終わった慶大。今年は4年生を中心とした布陣で32年ぶりの本戦出場を狙ったが、主力の不調や途中棄権もあり、満足に力を発揮することはできなかった。最終的に昨年よりも順位を下げ、総合30位に散った。
【チーム成績】
順位 | 大学名 | 最終総合タイム |
1 | 中央学院大学 | 10時間32分23秒 |
2 | 順天堂大学 | 10時間32分35秒 |
3 | 山梨学院大学 | 10時間32分44秒 |
4 | 日本大学 | 10時間32分57秒 |
5 | 東海大学 | 10時間34分07秒 |
6 | 東京農業大学 | 10時間34分59秒 |
7 | 神奈川大学 | 10時間36分07秒 |
8 | 大東文化大学 | 10時間36分12秒 |
9 | 日本体育大学 | 10時間36分14秒 |
10 | 立教大学 | 10時間36分56秒 |
… | … | |
30 | 慶應義塾大学 | 11時間06分48秒 |
【個人成績】
順位 | 選手名 | 記録 |
160 | 田口涼太 | 1時間04分27秒(PB) |
239 | 鈴木太陽 | 1時間05分18秒(PB) |
260 | 弓田一徹 | 1時間05分30秒 |
295 | 関口功太郎 | 1時間06分08秒 |
307 | 石野日向 | 1時間06分13秒(PB) |
317 | 芦野清志郎 | 1時間06分23秒(PB) |
331 | 澤田薫 | 1時間06分38秒(PB) |
376 | 金丸蒼 | 1時間07分57秒 |
385 | 東叶夢 | 1時間08分17秒 |
416 | 渡辺諒 | 1時間09分57秒 |
ーーー | 上位10人ライン | ーーーーーーー |
417 | 島田亘 | 1時間10分04秒 |
DNF | 安田陸人 | ー |
※「DNF」=途中棄権
※上位10人の記録を合計して、大学の最終総合タイムを出す
正月の箱根路を目指す猛者たちが、今年も立川に集まった。昨年は30℃に迫る酷暑も影響した予選会だったが、この日の気温は午前8時時点で18.5℃。タイムの出やすい高速レースを予感させる気候になった。
当日の出走メンバーには、主力の東叶夢(環4・出水中央)や安田陸人(商4・開成)、鈴木太陽(環4・宇都宮)ら4年生が順当にエントリー。6名の4年生を中心とした布陣で、午前8時30分の号砲を迎えた。

鈴木太陽(環4・宇都宮)

安田陸人(商4・開成)
スタート直後に前に出たのは、鈴木と安田。5キロ通過時点で集計すると、この2人が15分フラットで通過し、日本人の先頭集団でレースを進める展開に。その後方では弓田一徹(環2・法政二)、関口功太郎(経4・宇都宮)、田口涼太(政2・慶應志木)らが15分20秒前後のラップを刻み、さらに芦野清志郎(理3・高田)、澤田薫(医2・渋谷教育幕張)、東らが続く隊列となった。渡辺諒(法4・慶應)、石野日向(商2・横浜国際)、島田亘(法4・慶應志木)、金丸蒼(医5・国立)らは5キロを15分30秒ほどで通過し、後方でレースを進めた。

弓田一徹(環2・法政二)
10キロ地点で鈴木、安田は少し位置を下げ、日本人トップから20秒ほど後方でレースを進める。弓田、関口、田口らもペースを維持して中盤につけ、全体200位が見える位置で運んだ。その一方で、順位を下げたのは東だった。ハーフマラソンの持ちタイムではチームトップだったが、チーム内10番手まで位置を下げる苦しいレース運びに。その力を満足に発揮することはできなかった。

関口功太郎(経4・宇都宮)

島田亘(法4・慶應志木)
10キロ通過時点で順位速報が入ったが、慶大は上位20位圏外。予選会突破に向けて厳しい状況となった慶大を、更なるアクシデントが襲う。10キロ地点ではチーム内2番手でレースを進めていた安田が、15キロ地点ではチーム内8番手まで失速。この5キロに17分以上を要しており、異変が起きていることは明らかだった。公式記録に刻まれたのは「DNF(途中棄権)」の3文字。主将・東の不調に重なった副将・安田の離脱。予選会突破は絶望的となった。

芦野清志郎(理3・高田)

澤田薫(医2・渋谷教育幕張)
この苦境の中、出色の走りを見せたのが田口だ。15キロ地点でチーム内2番手に浮上すると、公園内でもペースを維持し、20キロ地点ではチーム内1番手に浮上。アップダウンの激しい15キロ地点からの5キロに慶大の選手が苦戦する中、この区間をチーム内唯一の15分台で走りきった。最後までペースを保った田口は、64分27秒/個人全体160位でゴール。初のハーフマラソンながら激走を見せ、大きな存在感を発揮した。
チーム内2番手は鈴木。公園内でペースを落としたものの、PBを更新する65分18秒でフィニッシュ。チーム内3番手には田口と同じ2年生の弓田が入り、ここまでが66分以内で走破した。また石野、芦野、澤田も自己ベストを更新する記録で完走。田口、鈴木を含めた5選手がPBをマークした。

田口涼太(政2・慶應志木)

金丸蒼(医5・国立)
最終成績は総合30位。本戦出場校の結果発表で、慶大の名前は呼ばれなかった。総合タイムでは10位の立教大に約30分もの差をつけられた。また、個人タイムでも全体100位以内で走りきった選手は1人もおらず、他校のエースと渡り合える選手、タイムを稼げる選手がいない現状が浮き彫りになった。

渡辺諒(法4・慶應)

石野日向(商2・横浜国際)
慶大は4年前の予選会で箱根駅伝プロジェクトの発足以降最高となる19位に入ったものの、その後4大会は26位、22位、29位、30位と、なかなか順位を上げられていない。4年前、10分足らずのところにあった本戦出場校のタイムには、今や30分ほど水をあけられている。来年は出走メンバー12人のうち5人が抜け、今年以上に厳しい戦いになることも予想される。

東叶夢(環4・出水中央)
ただ、これで箱根路への道が閉ざされたわけではない。初のハーフマラソンで激走を見せた田口を含め、出走した4人の2・3年生がPBを更新。新戦力の誕生をしっかりと印象づけた。来季の駅伝主将となる安田も、来年こそは雪辱の走りを見せてくれるはずだ。このまま箱根路への機運はしぼんでしまうのか、それとも来年こそ“結果”にこだわった、巻き返しの走りを見せてくれるのか。ここからが、長距離ブロックの正念場だ。
本日は暑い中お集まりいただき本当にありがとうございました。今年は強い4年生の先輩方が抜けて、「本当にこのチームは大丈夫なのか」という中でスタートした新チームでした。ですが、最終的には「今年も箱根目指すぞ」というような雰囲気を作れて、皆さんに「頑張っていきます」と胸を張って言えるチームにできたところは、素晴らしかったのではないかな、と思います。

東叶夢(環4・出水中央)
ですが、結果が勝負の世界です。昨年より順位を落としたこと、応援してくれる皆様に「本当に来年大丈夫なの」って思わせるような結果を残すことしかできなかったこと、本当に悔しい気持ちでいっぱいです。
ですが、今日走った後輩たちが上位で走ってくれました。「これからもやろう」っていう気持ちの強い、熱いメンバーが残ります。これからも応援していただけると嬉しいです。私たちの4年間も見守っていただき、本当にありがとうございました。これからも応援よろしくお願いします。
まず、本日は暑い中お集まりいただき、本当にありがとうございました。
私は来年、長距離ブロック長としてこのチームを引っ張っていきます。過去3年間、自分のせいで、自分が走れなかったせいで順位を大きく落としてしまいました。特に今年は予選会メンバーに選ばれた身でありながら、途中棄権という形になってしまいました。本当に申し訳ございませんでした。

安田陸人(商4・開成)
ですが、この3度の失敗を踏まえ、来年は必ず、ここで勝利の言葉を述べたいという風に思います。3度予選会に嫌われてもまだまだ諦める気はありませんし、この失敗を活かして来年度につなげていきたいと思いますので、どうか変わらぬご声援のほどよろしくお願いします。改めまして、本日は本当にたくさんのご声援、とても力になりましたし、止めてしまいそうな時もありましたが、皆さんの声援のおかげでなんとか1メートルでも長く走ることができました。本当にありがとうございました。
暑い中、朝早くから大勢の皆様のご声援いただきありがとうございました。
今年のチームは昨年の予選会が終わった次の日からミーティングをして、そこから1年間どう戦っていこうか、と話をしている中で、1人抜け、1人抜けとブロックの人数が減り、そもそも予選会の舞台に出られるのか、という状況がございました。
その中で、東、安田を中心としてチームを立て直してくれて、春先には(鈴木)太陽が関東インカレで入賞するなど、実績としてはかなり順調そうに見えておりました。
しかし夏合宿の段階から、人数が少ないことで、強い練習、しっかりとしたボリュームのある練習を課すことができませんでした。それが9月になり、質が上がったところで故障者が出てしまい、選手を万全な状態で起用してあげることができませんでした。今回の安田の起用もそうですが、全てにおいて裏目に出てしまい、また、後手を踏んでしまい、最後の詰めのところで私の甘さが出てしまった、という風に痛感しております。

保科光作ヘッドコーチ
来年に向けて、今年以上に厳しいチーム状況、厳しい戦いになると思います。それでも来年もう1度しっかりとチームを立て直し、戦ってまいりたいという風に思いますし、戦えるチームにしていきたいと思っております。少し落ち着いてですね、どういう風にチームを立て直していくか、また来年の主将の安田と話をして、1日でも早くいいチーム状態を作れるように頑張ってまいります。
今年は結果として恩返しすることはできませんでしたが、来年少しでもいい結果を残せるように頑張ってまいりたいと思います。今日はご声援いただき、どうもありがとうございました。
取材:吾妻志穂、小澤理太、小田切咲彩、片山春佳、河合亜采子、小林由奈、重吉咲弥、塩田隆貴、鈴木拓己、竹腰環、中原亜季帆、野村康介、森田紗羽、山口和紀
記事:吾妻志穂、鈴木拓己
編集:吾妻志穂、中原亜季帆