前節の流通経済大学戦は先制を許すも齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)の2ゴールで逆転勝利を収め、後期リーグ戦2勝目を挙げた慶大。降格権脱出へ1ポイントも落とせない戦いが続く中で、今節はホーム下田に総理大臣杯王者である東洋大学を迎えた。中2日、3連戦の最終戦という厳しい日程にありながら、前半を優位に進めると、21分に齋藤真のクロスからオノノジュ慶吏(法1・前橋育英)が関東1部初ゴールとなる強烈なシュートを叩き込み先制に成功する。しかし、自陣でのパスミスから同点弾を許し1−1で前半を折り返す。後半になると、負けられない両チームの球際のバトルが激しさを増す中でなかなか決定機を作れない展開が続く。後半アディショナルタイムにビルドアップのミスで決定機を作られるも、大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース)のブロックでなんとか凌いだ慶大。1−1のまま試合は終了し、勝ち点1の獲得に留まるも、他会場の結果により10位に順位を上げ、暫定的に降格圏から脱出することとなった。
2025/11/1(土)14:00キックオフ@慶應義塾大学下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1ー1東洋大学
【得点者】
21分 慶大 オノノジュ慶吏(齋藤真之介)
29分 東洋大 村上力己(依田悠希)
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース) |
DF | 3 三浦成貴(商3・浜松開誠館) |
| → HT 2 大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース) |
| 4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18) |
| 6 永澤昂大(政4・國學院久我山) |
| 16 藤平一寿(法4・桐蔭学園) |
MF | 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
| 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| 10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース) |
| 23 岡田朋希(商4・國學院久我山) |
| → 57分 17 辻野悠河(商4・暁星国際) |
| 30 オノノジュ慶吏(政1・前橋育英) |
| → 65分 15 清水皇貴(経4・三田学園) |
FW | 11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園) |
劇的勝利を収めた前節・流通経済大戦からスタメンを若干名変更。出場停止明けの角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)と斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)が復帰し、盤石の布陣で第20節・東洋大戦に臨んだ。

復活を遂げた斎藤雅
前節の勝利から勢いに乗る慶大は序盤から相手ゴールへ積極的に襲い掛かる。試合開始直後の1分、右サイドで藤平一寿(法4・桐蔭学園)からの折り返しを受けた主将・ 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)が中央へクロスを送る。相手センターバックの間に抜けだした角田がこれに反応しシュートを放つも、これはわずかにポスト左へと外れる。

スタメン出場の藤平
さらに攻勢を強める慶大は9分、「狂犬」の愛称を持つボールハンター・立石宗悟 (法4・桐蔭学園)が相手センターバックへ猛プレッシャーを仕掛けボールをカット。ここまでチームトップの7得点を挙げる齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)がこのこぼれ球を回収しシュートを放つも、相手キーパーのセーブによりポストに弾かれてしまい、さらに岡田朋希(商4・國學院久我山)が詰めるが惜しくもクロスバーの上へと外れる。

惜しくも得点を奪えなかった岡田
18分には角田のショートコーナーから田中がダイレクトでクロスを送り、立石がフリーで合わせるがこれも枠を捉えきれない。ゴールまであと一歩という展開が続く中21分、左サイドでボールを持った齋藤真がペナルティエリア付近で待っていた右ウィングのオノノジュ慶吏(政1・前橋育英)へ一気にサイドチェンジ。オノノジュはクリアを試みた相手ディフェンダーとの競り合いに勝利してボールを自らの前へと落とし、そのまま豪快なシュートを叩き込んで先制点に成功。うれしい関東リーグ戦初ゴールとなった。

オノノジュのゴールで先制

関東リーグ初ゴールとなった
このまま主導権を握りたい慶大であったが29分、ディフェンスラインからボランチへの縦パスを試みるもこれが相手へと渡ってしまい、そのままショートカウンターでゴール前での突破を許し、同点に追いつかれる。この失点を受けて角田や田中から「一個のプレーでゲームが終わるぞ」という声が掛けられ、慶大イレブンは再び気を引き締める。

副将・角田がチームを鼓舞する
ここから一進一退の展開が続くと40分、角田から齋藤真へ一気にスルーパスが通り、抜け出した齋藤真はクロスを選択。このクロスが右サイドのオノノジュへと渡りシュートを放つもブロックされ、さらに角田がこぼれ球を詰めるがこれも相手ゴールキーパーに防がれてしまい勝ち越し弾とはならない。このまま得点は奪えず、1-1で前半は終了した。

1ー1で前半を折り返す
同点で後半を迎えることとなった慶大はハーフタイム明けの交代で、連戦の疲れが見えていた三浦成貴(商3・浜松開誠館)に代わって大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース)を投入する。

今節から追加された「俺たちがついてる」の横断幕
試合前の勝ち点差は3。得失点差で大きな差があるとはいえ、残留やインカレ出場という目標に向けて負けられない両チームの戦いは、さらに激しさを増していく。慶大が54分、永澤昂大(政4・國學院久我山)のサイドチェンジからクロスでチャンスを演出すると、負けじと東洋大も55分、敵陣で激しくチャージしボールを奪い、カウンターを完結させるもシュートは枠外に外れる。

主要メンバーの一角を担う永澤
57分には齋藤真の突破から慶大が決定機を作るもオフサイドとなると、62分には東洋大に左サイドのクロスのこぼれ球を合わせられゴールネットを揺らされるがオフサイドで命拾いするなど、一進一退の攻防が続く。

一進一退の攻防が続く
勝ち越し点が欲しい慶大は57分に辻野悠河(商4・暁星国際)、65分には先制ゴールを奪ったオノノジュに代わって清水皇貴(経4・三田学園)を投入し、攻勢を強めにかかる。

後半途中からの起用が続く辻野
慶大は75分以降、立て続けにコーナーキックを獲得するも、ゴールネットを揺らすには至らない。田中のパスに、87分には辻野が、90分には清水と途中出場の2人が抜け出し、同じような形で立て続けに決定機を作るも得点とはならず。スコアは動かないまま時計が進んでいく。

なかなか得点を奪えず
なんとしても勝ち越したい思いで攻め続ける慶大だったが、90+3分、ビルドアップのミスから東洋大に後半最大の決定機が訪れる。しかし、GKのいないゴールのカバーに入った大下が執念のシュートブロックを見せ、九死に一生を得ることとなった。

漢・大下が食い止める
試合はこのまま1−1で終了。前半の決定機を決めきれなかったことが響き勝ち点3獲得とはならなかったが、敗れた東京国際大学を勝ち点で抜いて残留プレーオフ圏内となる10位に浮上。残留が確定する9位・中央大学とは勝ち点差2で残り2試合を迎えることとなった。
(記事:甲大悟、首頭千紘 取材:長掛真依、重吉咲弥、塩田隆貴、甲大悟、首頭千紘)
【試合後インタビュー】
◇オノノジュ慶吏(政1・前橋育英)
――今日の試合を振り返って
前半から慶應ペースで結構チャンスも多かったのですが、決めきるところを決めきれずに相手に追いつかれてそのまま点を決められず、少しもったいない試合だったと思います。
――先制点となったゴールシーンを振り返って
逆サイドのしんの君(齋藤真)がボールを持った時にクロスが上がってくるのは分かっていたので、練習の時からゴール前へ入っていくのは意識していて、最初ヘディングして運よく自分のところにこぼれてきたのであとはシュートを打つだけという感じでした。
――本職はセンターフォワードだが、右サイドでのプレーはどんなことを意識しているか
あまり慣れていないというのがあって、難しいことは考えすぎずに自分の持ち味である推進力を活かして前へ前へというところを意識しています。
――次節・日本大学戦に向けて
残留するには勝っていくしかないというところなので、絶対に勝って残留にできるように頑張りたいと思います。
――翌日の新人戦準決勝、産業能率大学戦に向けて
自分はたぶんベンチスタートなのですが、出るという気持ちで臨んで、出た時にはチームの勝利に貢献できるようなプレーだったりゴールだったりを決めたいと思います。
◇大下崚太(商4・慶應 /東京ヴェルディユース)
――今日の試合を振り返って
勝ち切りたかったですし、勝てる試合だったからこそ、正直「引き分けた」というより「落とした試合」という感覚のほうが強いですね。チームとしても、自分自身としてもそう感じています。
――連勝を狙った試合。プレー中の心境は?
このところ3連戦で、正直体力的にはキツくて、でも前節で順位を上げられたんで、その勝利を意味あるものにするためにも、今日は絶対に勝たなきゃいけない試合だったと思います。ほんとに「気持ちで体を動かせ」っていうところを意識してやってて、だからこそ、勝ち切りたかったですね。
――今日の試合は後半から途中出場。試合最終盤には、相手のシュートを体で防ぐようなプレーがあったが、あのプレーを振り返って
自分たちのエラーからのピンチだったんすけど、個人的には相手選手が左利きだっていうのは分かってたんで、左足のコースに来るなっていうのは予想できてました。だから、素早く準備できたかなと思います。
――次節は日大戦。前期リーグ戦では敗戦を喫しているチームだが、日大戦に向けての意気込み
とにかく一部残留のためには、あと2試合勝つしかないんで、ほんとに勝つだけです。しっかり最高の準備をして、絶対に勝ちたいと思います。
◇清水皇貴(経4・三田学園)
ーー水曜日の流経大戦で久々の1部の公式戦復帰、今節が下田での復帰戦に。どんな思いでピッチに立ったか
今まで半年ほど(試合に出ることが)できていなかったという中で、その分なんとしても流れを変えようという気持ちで試合に臨みました。
ーー前半にゴールを決めたオノノジュ慶吏との交代で投入、中町監督からはどのような指示があったか
とにかく前から勢いをもたらすプレーをしろと言われました。
ーー田中選手からのパスで抜け出すシーンなどもあったが、自身のプレーを振り返って
チャンスを1回だけ作れたと思うんですけど、もっとチャンスを作って点を取るところまでをやりたいと自分の中では思っていたので、まだまだだと思います。
ーー残り2試合、残留に向けて負けられない戦いが続くが、どんな部分が求められている役割だと感じるか
自分のプレーでチームに勢いをもたらすというのが求められているところだと思うので、途中出場だとしてもスタメンだとしても、チームに勢いをもたらすところと点をとって勝利に貢献するところを、今日の分は切り替えて次の2試合挑んでいきたいと思います。
ーー最後に次節・日大戦に向けての意気込み
あとがない戦いの中で、絶対に勝つというところをチームで認識をそろえて、自分も点を取って勝ちたいと思います。
◇中町公祐監督
――流経大戦から中2日、疲れもあるなかでどのような試合を組み立てる予定だったか
連戦というところと、相手がどのようにやってくるかというのが状況によるというのは(部員には)伝えてありました。とはいえ前半はあれだけチャンスを作りながらも点決め切れなかったですし、ちょっとしたミスで試合を壊してしまったなという印象はありますね。
――HTで大下崚太(商4・慶應 /東京ヴェルディユース)を投入
あれはもう連戦で、三浦成貴(商3・浜松開誠館)の動きが良くなかったというところで交代しました。
――後半、疲れもあったなかで、交代は消極的だったが
もちろんスタートで出てる選手のほうが信頼度が高いとかではなくて、最後の最後で一発出るかどうかっていう可能性を信じたというだけですね。
――次節・日大戦への意気込み
勝つしかないので。頑張ります。


