【ソッカー(女子)】悲願の2部優勝&1部昇格を達成!!TEAM2025の最終戦を白星で飾る!!/関東2部リーグ後期第9節(最終節) VS流通経済大学

ソッカー女子

関東大学女子サッカーリーグ戦2部最終節。試合前時点で2位と勝ち点2差の首位につけ、勝利すれば優勝および1部昇格が決まるソッカー部女子は、流通経済大学との一戦に臨んだ。

15分、野口初奈(環3・十文字)のコーナーキックが相手のオウンゴールを誘い、先制すると、その後も宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)にゴールが飛び出すなど、前半を3-0で終える。このリードを守り切れば、今季の目標である『1部昇格』が決まる後半。TEAM2025の集大成にふさわしいポゼッションサッカーを展開し、ゴールラッシュを見せる。磨き上げてきたショートパスで後方からボールをつなぎ、多彩な攻撃パターンで相手ゴールに迫ると、54分に野口、75分に坂口芹(総4・仙台大学附明成)、77分に野村亜未 (総3・十文字)、85分に髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)、88分に野村のこの日2ゴール目で計5得点を追加し、8-1で快勝した。

この結果、慶大は2部リーグ優勝を達成。1部への自動昇格が決まり、来季は21年以来5年ぶりに1部で戦うこととなった。

2025/11/2(日)13:00キックオフ@慶應義塾大学下田グラウンド

【スコア】
慶應義塾大学8ー1流通経済大学

【慶大得点者】
16分 オウンゴール
29分 オウンゴール
43分 宮嶋ひかり
54分 野口初奈
75分 坂口芹
77分 野村亜未
85分 髙松芽衣(佐藤凜)
88分 野村亜未(米口和花)

【慶大出場選手】

ポジション 

背番号 選手名(学部学年・出身高校)

GK

12 中村美桜(理4・慶應湘南藤沢)

DF

18 岩田理子(総2・十文字)

 

→55分 2 竹内あゆみ(看3・日ノ本学園)

 

4 米口和花(総2・十文字)

 

5 小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース、RB大宮アルディージャWOMEN内定)

 

15 宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

 

23 坂口芹(総4・仙台大学附明成)

MF

11 森原日胡(総1・作陽学園)

 

→81分 24 田中紗莉(総2・県立市ヶ尾/日体大SMG横浜U18) 

 

6 守部葵(環4・十文字)

 

→59分 8 佐藤凜(総3・常盤木学園)

 

10 野口初奈(環3・十文字)

 

7 髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

FW 

9 野村亜未 (総3・十文字)

関東大学女子サッカーリーグ戦2部を戦う慶大ソッカー部女子。最終節を残し、14勝2分1敗と圧倒的な強さを見せ、積み上げた勝ち点は44。自動昇格圏の首位につけている。
本リーグは、2部から1部に自動昇格できるのは1位のみ。2部2位と3位が、1部下位チームとの昇格を懸けた入れ替え戦を戦う規定となっている。慶大は2位以上、すなわち入れ替え戦進出以上の結果が確定しており、これは2部での戦いが始まった22年以降初の快挙である。
慶大と2部優勝および1部自動昇格を一騎打ちで争うのは、シーズンを通してしのぎを削ってきた強敵・国士舘大。慶大が国士舘大を勝ち点2差で上回る状況で、同時キックオフの最終節を迎えた。

残り1試合の自動昇格争い

順位

チーム名

勝ち点

得失点差

総得点

残り試合数

慶應義塾大学

44

44

55

~↑自動昇格ライン↑~

国士舘大学

42

22

29

※勝ち点に次ぐ順位決定要項は、得失点差、総得点、直接対決の戦績、フェアプレーポイント、それでも並んでいる場合は抽選、という順になっている

最終節、慶大の2部優勝および自動昇格決定条件は以下のようになっている。

最終節の慶大優勝&
自動昇格達成条件

国士舘大(勝ち点42)

慶大(勝ち点44)

慶47,国45慶47,国43慶47,国42
→優勝&昇格決定→優勝&昇格決定→優勝&昇格決定
慶45.国45慶45.国43慶45.国42
→得失点差によって変動→優勝&昇格決定→優勝&昇格決定
慶44,国45慶44,国43慶44,国2
→2位でシーズン終了、入れ替え戦へ→優勝&昇格決定→優勝&昇格決定

慶大が引き分け、かつ国士舘大が勝利して両チーム勝ち点45となった場合、勝ち点に次ぐ順位決定要項の得失点差で大きなプラスをつくっている慶大が有利な状況だ(試合前時点で慶大+44、国士舘大+22)。

悲願達成に向けた大一番。また、昇格が決まればTEAM2025にとって、4年生にとってラストマッチとなる今節。ホーム・下田グラウンドには、およそ100人もの大観衆が訪れた。

最終節も慶大は、3-4-2-1のシステム。

キーパーは、3年時にフィールドから転向し、計り知れない努力を重ねてきた守護神・中村美桜(理4・慶應湘南藤沢)

3バックは右から、積極果敢な持ち運びで攻撃に厚みを生む米口和花(総2・十文字)。中央は、鉄壁の守備と流れを変えるロングフィードでチームを引っ張る主将・小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース、RB大宮アルディージャWOMEN内定)。左は、安定したプレーでチームに落ち着きをもたらす宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

中盤は4枚。右WBは、サイドで上下動を繰り返し、ダイナミックなプレーで攻撃の起点となる岩田理子(総2・十文字)。右ボランチは、度重なる故障に打ち勝ち、華麗なボールタッチと鋭い縦パスで魅せる副将・守部葵(環4・十文字)。左ボランチは、キープ力とプレースキックに長けたファンタジスタ・10番の野口初奈(環3・十文字)。左WBは、正確なクロスでチャンスを演出する荒鷲の翼・坂口芹(総4・仙台大学附明成)

2列目にはシャドウが2枚。右は、相手の意表を突くファーストタッチとカットインでゴールに迫る森原日胡(総1・作陽学園)。左は、抜群の運動量で攻守の架け橋となるファイター・髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

センターフォワードは、荒鷲の絶対的ストライカー・副将の野村亜未 (総3・十文字)

シーズンを通して貫いてきた“慶應のサッカー”で、2部優勝と1部昇格を懸けた一戦に臨む。

ファーストチャンスは6分、左サイドで野口から絶妙なパスが通ると、抜け出した髙松が左足でクロス。このボールにファーサイドから入ってきた岩田が詰めるが、惜しくもバウンドが合わず、ミートできない。序盤はいつものように、攻撃時はアンカー気味の低いポジションを取る守部と3バックによってボールを保持する時間が続くが、相手ゴールに迫るような場面はつくれないまま時間が経過していく。迎えた15分、野村がスピードを活かした献身的な守備を見せ、慶大左サイドからのコーナーキックを獲得する。キッカーは野口。幾度となくチームを救ってきた魔法の右足から放たれたボールは、美しいカーブを描いてゴールに迫ると、相手のオウンゴールとなり、先制。昇格に向け、大きな1点を挙げる。

野口の右足から貴重な先制点

先制点の後もボールを握る時間が続くが、追加点のチャンスはないまま給水タイムに突入し、前半を折り返す。給水明け直後の26分、相手にディフェンスラインの裏へパスを出され、あわやキーパーとの1対1という場面を迎えたが、米口がスライディングでブロック。泥臭く身体を張った守りでシュートは打たせない。すると29分、敵陣で坂口からのパスを受けた守部が得意の楔のパスを狙うと、オウンゴールを誘い、2点目。4年生コンビが得点を演出した。

坂口(23番)と守部(右)の4年生コンビが得点を演出

30分、自陣でのつなぎを奪われると、ゴールほぼ正面からロングシュートを浴びる。しかし、守護神・中村が頭上のボールを難なく抑え、得点は許さない。

4年・中村がセーブを見せる

2-0となった後は、なかなか上手くボールがつながらず、ショートカウンターからピンチを招くシーンも見られた。そんな中でもロングボールに頼ることなく、チームのスタイルである後方からのビルドアップを試み続けると、前半終了間際の43分、コーナーキックを獲得する。今度は右サイドから、キッカーはもちろん野口。小熊をターゲットにしたファーサイドへのセンタリングも考えられたが、相手の意表を突くニアサイドへの低いボールを蹴り込むと、マークを外した宮嶋がダイレクトで合わせ、3-0。セーフティーリードに拡大し、前半を終えた。

完璧に合わせた宮嶋(左)とキッカーの野口(中央)

同時キックオフの2位・国士舘大も2-0とリードして前半を終えたが、他会場の結果に関わらず、勝利すれば2部優勝および1部自動昇格が決定する慶大。このまま逃げ切れば、TEAM2025と4年生にとって最後の試合となる状況で、後半が始まる。

後半開始から流経大は積極的にプレスをかけるようになったが、慶大は真骨頂であるポゼッションを展開。キーパーの中村を含めた最終ラインからつなぎ、2列目の森原・髙松・野口が自在に動いてボールを引き出し、WBの岩田・坂口がつくったチャンスをCFの野村が仕留める。日々の練習からこだわり続けたショートパスでビルドアップを行い、チームのスタイルである「相手を見ながら自分たちで判断をしていく」サッカーを繰り広げていく。

主将・小熊を中心としたパスサッカーが機能

54分、素早い切り替えからこぼれ球を拾った野口がダブルタッチで相手をかわすと、ファーサイドへ右足でシュート。これがサイドネットを揺らし、4-0とさらに点差を拡げる。

得点直後の55分、慶大は1度目の選手交代を敢行。岩田に代え、冷静なボールさばきで攻撃のタクトを振るう竹内あゆみ(看3・日ノ本学園)がピッチに入り、右ボランチのポジションに。守部が右シャドウへとポジションを上げ、森原が右シャドウから右WBに移る。
さらに、59分には2度目の交代機会を使用。卓越した技術で攻撃にアクセントを加える佐藤凜(総3・常盤木学園)が右シャドウに入り、4年副将の守部がベンチへ。どんなときもチームを照らし続けた慶應の太陽・守部葵に、割れんばかりの拍手と大きな声援が送られた。

69分にミスから失点を喫するも、後半の慶大の流れは留まることを知らず、ここからゴールラッシュが始まる。75分、坂口の左サイドからのクロスは相手にカットされるも、野村がすぐさまプレッシャーをかける。相手のクリアが小さくなったところを坂口が拾うと、デルピエロゾーンから右足インフロントにかけたファーサイドへのシュート。これがサイドネットを揺らし、4点差に戻す。

見事なゴールを決めた坂口

77分にはカウンターが炸裂。髙松がセンターサークル付近でボールを持つと、野村が目にもとまらぬスピードで相手を置き去りにし、スルーパスを受ける。最後はキーパーとの1対1を冷静に流し込み、6-1。荒鷲の絶対的ストライカーが、2季連続となるシーズン20得点を達成した。

絶対的ストライカー・野村が2季連続20得点を達成

81分、森原に代え、正確な両足キックと複数ポジションでの活躍が光る田中紗莉(総2・市ヶ尾/日体大SMG横浜U18)を右WBに投入。交代機会を使い切る。悲願達成へ、刻々と時間が過ぎていく中、85分、右サイドから佐藤がアーリークロスを上げると、髙松がドンピシャのヘディングで合わせ、7点目。さらに88分、竹内の浮き球のパスに反応した米口がオーバーラップでサイドを攻め上がり、キーパーとディフェンスラインの間へセンタリングを供給すると、野村が合わせてゴール。8-1とし、勝利を決定づけた。

髙松(7番)の得意のワンタッチゴールで追加点

野村(9番)を待ち構えるベンチの選手たち

歓喜の瞬間に向けた緊張と、4年生の引退が近づいていることへの寂しさが入り混じる下田グラウンド。アディショナルタイムが3分ほど経過したころ、長いホイッスルがこだました。TEAM2025の有終の美を飾るゴールラッシュを見せ、8-1で勝利。悲願の2部優勝、および1部昇格が決まった。

昨シーズンの最終節は3-5の打ち合いを落としたが、奇しくも、このときの相手も流経大だった。1部昇格に届かなかった卒業生の想いを背負い、この1年間で大きな成長を果たした選手たちが、これ以上ない最高の結果でシーズンを締めくくった。

2021年の失意の降格から始まった2部での戦い。選手・スタッフが試行錯誤を繰り返し、もがき続けた4年間だった。今シーズン、なんとしてでも昇格を果たすために掲げたスローガンは、『細部に宿せ』。日々の練習から、1本のショートパスに「こだわる」ことを徹底し、チーム内で厳しく要求し続けてきた。

そして、今シーズンのチームがビジョンしていたのは『賢く泥臭く、虜にさせる』サッカー。キーパーからビルドアップを始め、相手の陣形を見ながら選手たちが動き回り、華麗なパスワークで崩す賢い攻撃。ピンチの場面では体を張り、90分間走り続ける泥臭い守備。見る人を虜にさせるサッカーで、『1部昇格』という4年越しの目標を結実させた。
シーズンの結果は15勝2分1敗の勝ち点47。総得点は63。1試合平均3.5得点という攻撃力を持ちながら、総失点もわずかに12。攻撃は最大の防御と言わんばかりに攻め続け、ボールを保持するスタイルを貫き、圧倒的な強さを発揮した。

関東大学女子サッカーリーグ戦2部 最終順位

順位チーム名勝点得失点差総得点
慶應義塾大学47155163
~↑自動昇格ライン↑~
国士舘大学45142432
順天堂大学34101530
~↑昇格入れ替え戦ライン↑~
国際武道大学33102851
尚美学園大学31101234
立教大学2819
流通経済大学2010ー724
武蔵丘短期大学1313-3518
~↓降格入れ替え戦ライン↓~
上武大学15-44
~↓自動降格ライン↓~
10日本女子体育大学15-47
自動昇格達成により入れ替え戦進出がなくなったため、入部以降2部で戦い続けてきた4年生はチームを引退。1年生の頃に立てた「インカレ出場」の夢は叶わなかったが、ラストイヤーで後輩たちを1部の舞台へと導いた。

後輩たちを1部の舞台に導いた4年生(左から守部、小熊、坂口、中村)

来季は21年以来5年ぶりに1部で戦う慶大。4年生が届かなかった目標を、1年生から3年生までの18人の後輩たちと、新たにチームに加わる選手たちが実現させる。

 

(取材:柄澤晃希)

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