今季最後のホームゲーム。下田グラウンドで迎え撃つのは、前期に5失点の大敗を喫した難敵・日大。前半から苦しい展開が続くも、44分、オノノジュ慶吏(政1・前橋育英)が好位置でFKを獲得すると、角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が角度のないところから直接FKを決め、神秘的なゴールで先制する。75分、早川太晟(総4・都立駒場)を送り込み、貴重な1点を守り切りたい慶大だったが、83分にクロスから失点を許す。このまま終わるかと思われた90+2分、角田の完璧なクロスに立石宗悟 (法4・桐蔭学園)が頭で合わせ、見事勝ち越し。歓喜のままに下田グラウンドを後にした。
2025/11/8(土)14:00キックオフ@慶應義塾大学下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学2ー1日本大学
【得点者】
44分 慶大 角田惠風
83分 日大 松本大地(大久保帆人)
90+2分 慶大 立石宗悟(角田惠風)
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース) |
DF | 2 大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース) |
| 4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18) |
| 6 永澤昂大(政4・國學院久我山) |
| → 90+1分 29 田形昂生(政3・慶應) |
| 16 藤平一寿(法4・桐蔭学園) |
MF | 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
DF | → 75分 5 早川太晟(総4・都立駒場) |
| 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| 10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース) |
| 23 岡田朋希(商4・國學院久我山) |
| → 51分 17 辻野悠河(商4・暁星国際) |
| 30 オノノジュ慶吏(政1・前橋育英) |
| → 69分 15 清水皇貴(経4・三田学園) |
FW | 11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園) |
半は苦しい時間が続く。8分にはCKのチャンスを与えるも洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)がヘディングで対応し、ゴールは譲らない。その後も大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース)らを中心にゴールを守る。

スタメン出場の大下
16分にはCKのピンチを、19分にはFKのピンチを迎えるも防ぎ切り、24分、岡田朋希(商4・國學院久我山)がパスを受けて抜け出しチャンスを作るも得点には繋がらない。

意地を見せたい岡田
36分、オノノジュ慶吏(政1・前橋育英)が圧倒的なフィジカルで相手を寄せ付けず、ドリブルで前線にボールを運ぶも、チャンスには至らず。40分には治療のため、一時離脱していた斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)がクロスボールを対応しピンチを防ぐなど、流動的な展開が続く。

驚異的なドリブルをみせたオノノジュ
慶大はなかなか決定機を生み出せないものの、42分、オノノジュがペナルティエリア付近でFKを獲得。絶好のチャンスで角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が角度のないところからシュートを放つと、ボールは直接ゴールに突き刺さり先制。神秘的なフリーキックで得点を奪い前半を1ー1で折り返す。

エース・角田の神秘的なフリーキックで先制
貴重な1点を守り抜きたい慶大は51分、岡田に代えて、絶大な安定感を誇る辻野悠河(商4・暁星国際)を投入するも、後半は攻められる展開が続く。60分、永澤昂大(政4・國學院久我山)がボールを運び、パスを受けた齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)が2度クロスをあげるも得点には繋がらない。

チャンスメイクで貢献する永澤
大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース)や斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)を中心に守り続ける展開が続く慶大は69分、オノノジュに代えて清水皇貴(経4・三田学園)を送る。しかし、堅守の日大相手になかなかチャンスを生み出すことが出来ない。74分には角田が1人でゴール前までドリブルで運び、シュートを放つもボールは惜しくも相手GKの正面に飛び、追加点とはならなかった。

負傷しながらも出続けた斎藤雅
75分にはMF齋藤真に代えてDF早川太晟(総4・都立駒場)を投入し、フォーメーションは5バックに。11人で1点を守り抜くことを決めた慶大。その後はまたも攻め続けられる展開が続く。なんとか攻撃を凌いできた慶大だったが、84分、右サイドからのクロスからとうとう失点を許す。

この日はフル出場の藤平
手痛い失点を許した慶大。フォーメーションの違いや齋藤真の不在から上手く決定機を作り出せない。90+1分には永澤に代えて田形昂生(政3・慶應)が久々にリーグ戦に出場を果たす。

田形が久々に出場
このまま終わるかと思われた90+4分、ペナルティエリア後方でボールを受けた角田がゴール前に華麗なクロスを送ると、飛び出してきた立石宗悟 (法4・桐蔭学園)が頭で押し込み勝ち越し点。今季5ゴール目となる立石のゴールが決勝点となり、2-1で試合終了。大事なホーム最終節を、劇的勝利で締めくくった。

見事ヘディングシュートを決めた立石

角田&立石の素晴らしいコンビネーションで勝ち越し
苦楽を共にした下田グラウンドに笑顔で別れを告げた慶大。22節に及ぶ長い長いリーグ戦も残すはあと一節。「一部優勝・全国制覇」の夢が絶たれた今、残すは「一部残留」だけだ。プレーオフはいらない。最終節勝利で自力残留へ。最後は笑って終わりたい。

1部残留まであとひとつだ
(記事:塩田隆貴 取材:愛宕百華、重吉咲弥、塩田隆貴、小野寺叶翔、甲大悟)
【試合後インタビュー】
◇角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)
――今日の試合を振り返って
自分たちのサッカーが1試合を通して全くできなかったというところが正直な感想なのですが自分たちの立ち位置的にそんなことは言っていられなかったので、勝利を目指して全員で戦った結果が最後のゴールや勝利につながったと思います。
――角度のない中でのフリーキックだがどんなことを意識していたか
キーパーがニアサイドに寄っていたので速いボールをファーサイドに蹴れば何か起こるかなと思って思い切り蹴ったらいい感じに入っちゃいました(笑)
――同点に追いつかれた瞬間、副将としてどんな声をかけていたか
1-0の状態でディフェンスを1枚増やしてファイブバックにしてチームの意思的にはこの1点を守り切ろうという形だったのですが、その中で失点してしまっていつもならここでガクっと落ちて2点目3点目と取られていたと思ったのですが、ここ跳ね返して1個強さ見せようよという声はかけていました。
――2点目のアシストのシーンについて
敵と向かい合ったとき、宗悟(立石)が自分のマークの後ろにいたのが見えていたので、ディフェンス野間に速いボールを送れば、宗悟との信頼関係で宗悟が何か突っ込んでくれるかなと思って蹴ったらゴールが生まれました。
――残留に向けて意気込みを
自分たちが1番望める高い結果が残留なので勝てば残留が決まるというところでチーム一丸となって勝利を目指したいと思います。
◇立石宗悟 (法4・桐蔭学園)
――今日の試合振り返って
自分たちの順位的にも絶対勝ちが欲しい中で、最初から自分たちのプレースタイルやりたかったところでしたが、全然うまくささらずで。でもなんとか勝ちをもぎ取ることができて良かったと思います
――1点取られた時の心境
勝つためのマインドでいたので落ち込む暇がなかったです。
――最後勝ち越しとった時の気持ち
惠風(角田)があの場所に出してくれると思ってずっと狙っていたので、自分は冷静に枠に入れることだけ意識していて、入って良かったです。
――最終節への意気込み
本当に最後、なんとしても勝って終わりたいので、今日みたいにしっかり気持ちで負けないようにしたいと思います。
◇辻野悠河(商4・暁星国際)
ーー今節どういう気持ちで臨んだか
今日勝てば、最終節の自力残留が見えてくる、そして自分たち4年生はホーム最終節ということで結構気持ちは入ってました。応援も最初からボルテージ高めでやってくれて、個人的にもチーム的にも結構気合い入った試合だったかなと思います。
ーー投入された時は中町監督にどういう言葉をもらったか
相手のハイプレスに苦しんでいて、トップ下の選手があまりボールに触れていなかったという中で、相手のディフェンスラインと中盤の間でうまく外してボールを受けて欲しいと言われました
ーー今日の試合を振り返って
正直失点した時はまた引き分けで終わるのかと思いましたけど、惠風(角田)の個人技でゴールが決まって、最終節自力残留ができる立ち位置になったので、最終節絶対勝って残留したいと思います。
ーー下田グラウンドでの公式戦は今節が最後だが
今日最初のミーティングで監督が4年生はラスト2試合だぞと言っていただいて、絶対に監督に勝利を届けたいと思っていたので、本当に勝ててよかったなと思います
――最終節への意気込み
最後アウェイですけど、みんな応援に来てくれると思いますし、チーム130人で残留を掴み取りたいと思います。
◇洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)
ーー今日の試合を振り返っての率直な感想
とにかく、今日の試合は惠風(角田)がスーパーだったなという試合でした。
ーー身長高い選手が多かった日大への対応で意識したことは
クロスボールに出ることは、今週1週間ずっと求められてきたところで。ただ、自分自身あまり出られた場面もないし、失点もクロスからだったので、そこはまだまだ足りなかったなと。やるべきことをしっかり全うできなかったかなと思います。
ーー後ろからチームの雰囲気、戦い方はどのように見えたか
頼もしいなっていうのはすごくあって、守備も本当に良かったです。後半は押し込まれる展開が長く続いたなと思うんですけど、みんなハードワークして、失点はしてしまったものの、そのあと「もう1点取りに行こう」という勝ちに行く姿勢があって。そこは見ていてすごく頼もしかったです。
ーー最後、立石選手が押し込んだ時はどんな気持ちだったか
宗悟はああいうの外しがちなところがあるんですけど、今日はよく決めてくれたなと思います。
ーー次節、東京国際大学戦に向けての意気込み
勝てば自力で残留できるということで、そこは絶対に目指したいですし、4年生として多分最後の試合になるので、後輩たちに残せるものは1部に残すことだと思っています。そこは責任をもって頑張りたいと思います。
◇中町公祐監督
ーーどういった気持ちで臨んだか
残留争いを抜け出すっていうところもありましたけど、いつも通り勝ち点3を狙いに行くというだけでした。
ーー失点時の心境は
90分通して自分たちのサッカーができなかったっていうところと、相手の攻撃をずっと受ける形だったので、早い段階で守り切るという形にシフトしましたけど、セットプレーを起点とした失点だったというところで、そこは少し予想外でしたけど、最後選手たちが意地を見せてくれたなと思います。
ーー5バックでの攻撃は難しかったと思うが
試合通して全然攻めれてないので、5バックだからどう、3バックだからどうという話ではなくて、角田と立石の個人のスキルの部分で決まったなというだけですね。
ーー最終節の意気込み
最後、学生と一緒に勝ち点3だけを目指してやっていきます。

