【アメフト】主将・横手の意地のQBサック光るも得点奪えず 悔しさ残るシーズンの幕切れに/関東学生1部TOP8第7節vs立大

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前節では完封負けを喫した慶大はこの日、横浜スタジアムでリーグ最終戦を迎えた。試合前には家族による花道や煙の演出、旗を掲げての入場など、最終戦にふさわしい華やかなセレモニーが開催。しかし試合は第1Qから雲行きの怪しい展開となる。ルーキーWR・早川開志(総1・慶應NY)へのロングパスが通る場面もあったものの、ミスが重なり得点には至らない苦しい展開が続く。 一方の慶大ディフェンス陣は、上級生を中心に若い立大攻撃陣に対して、その勢いを止めきれなかった。最終スコアは0ー31。2試合連続の完封負けという悔しい結果で、シーズンの幕が下りた。

 

立教大学 Rushers

慶應義塾大学 UNICORNS

第1Q

第2Q

21

第3Q

第4Q

31

前節の悔しい完封負けを胸に挑んだ最終戦。慶大は自陣35ydから攻撃を開始するも、インターセプトでターンオーバーが生まれ、早くも攻守が入れ替わる。その後なんとか攻撃権を奪い返すと、QB・山岡葵竜(政4・佼成学園)からWR・早川開志(総1・慶應NY)へのロングパスが成功し、一気に自陣を回復。流れに乗った慶大は、ミドルパスや、山岡のスクランブルを中心として果敢に攻め込み、フレッシュを獲得する。さらに17ydのロングパスを成功させ、敵陣に侵入するも、この日2度目となるインターセプトで好機を逃す苦しい展開に。守備ではDL・天野甲明(政3・鎌倉学園)が冷静にロスタックルを決める活躍を見せるが、残り40秒に自陣45yd地点からのFGを許し、先制点を献上する。第1Qを終えてスコアは0-3。苦しい立ち上がりとなった。

好プレーが光った天野(写真左)と、主将・横手(右)

続く第2Qは慶大の攻撃から試合再開。再開直後、立大の反則が重なり、山岡のスクランブルを含め、慶大は一気に33yd前進。敵陣17ydに侵入する。しかしここで痛恨のファンブル。立大の鉄壁に阻まれ、なかなか得点獲得への活路を見出せない。攻撃権が移ると、守備陣が奮闘するも4連続で1st downを決められてしまう。残り5分台、そのままタッチダウンを許し、スコアは0ー10に。なんとか攻撃権の維持を図りたかったものの、リーグ1位の飛距離を誇るP・加藤雄大(理2・本郷)のパントが決まらず、相手の流れにのまれてしまう展開。残り約1分、追加のタッチダウンを許し、スコアは0-17とされると、さらに残り約30秒、ダメ押しのタッチダウンを決められ、0-24と大きく突き離される。ミスが響き、チャンスを生かせないまま第2Qを終えた。

副将としてレギュラーシーズン最終戦に臨んだ作田

後半戦は、慶大のディフェンスから始まる。一層雨が激しくなる中、立大の攻勢も衰えを見せない。大型ルーキーのQB・中川龍之介(文1・立教新座)を中心に、1、2年生主体のフレッシュな立大の攻めを展開され翻弄されてしまう。しかし、ここで執念を見せたのは、この日レギュラーシーズン最終戦を戦う4年生のメンバーたち。副将のDL・作田太一(法4・慶應)やLB・赤木龍士朗(政4・鎌倉学園)が、体を張って相手オフェンスに食らいつく気迫のプレーを見せると、DB・小島陽生(経4・慶應)とLB・倉田直(理4・南山)がプレッシャーをかけ、立て続けに相手のパスミスを呼び込む。するとこの直後、慶大側にこの日一番のビッグプレーが飛び出す。主将のDB・横手謙太朗(医4・慶應)が、鋭いタックルで相手QBを仕留め、9ydのロスとなるビッグサックを見せつける。若い立大オフェンスに対し、主将としての貫禄を放つ一撃となった。このプレーを機にターンオーバー。ランが強みのQB・山岡と、慶大のエースランナーであるRB・山内啓耀(経4・慶應)のランプレーを中心に攻撃を仕掛ける。しかし、立大ディフェンスもそのランを全力で食い止め、得点には結びつかないまま、最終Qへ突入。

横手が見せた主将の矜持

第4Qは、再び慶大守備から再開。立大オフェンスにランを重ねられる展開が続くも、慶大ディフェンス陣は粘り強く対応。最後は束になって相手を止め、DL・天野がファンブルを誘うビッグプレーを見せる。RB・田中玄樹(理2・本郷)のランで15yd前進する好プレーがあったものの、パスが繋がらず。再び慶大はディフェンスへ回る。DL・天野のロスタックルが飛び出すも、立大のルーキー司令塔・中川に慶大守備の隙を突かれ、タッチダウンを許す。スコアは0-31に。反撃の糸口を探る慶大は、RB・田中の力強いランで大きくゲイン。さらにSB・黒木哲平(経4・大宮開成)へのパスで1st downを更新するも、得点にはあと一歩届かず。このまま0-31で敗戦。2試合連続の完封負けを喫し、悔しさの残るシーズン最終戦となった。

来節以降も期待がかかる期待のRB・田中玄樹

慶大は横浜スタジアムでの最終戦を、悔しさの残る結果で締めくくった。リーグ戦は全日程が終了し、最終順位が確定。レギュラーシーズンをTOP8の7位で終えた慶大は、12月13日(土)11時から、下部リーグ・BIG8の2位チームとの入れ替え戦に臨む。現在、BIG8は順位争いが混迷を極めている。また、試合日程の関係から、慶大の対戦相手が決まるのは11月末になる見込みだ。慶大は、試合のないおよそ1カ月の間に、勝利への準備を重ね、TOP8残留を勝ち取ってほしい。最後の最後こそ、慶應UNICORNSの"本気"を見せて欲しい。

記事:吾妻志穂、水野翔馬、取材:長掛真依、神戸佑貴、鈴木啓護、河合亜采子、中原亜季帆、片山春佳、福田龍之介、神谷直樹、奈須龍成)

黒木哲平(経4・大宮開成)、猪ノ原浩臣(経4・慶應義塾)

――今日の試合を振り返って
黒木:今日の試合は、シーズン最終戦にして課題ばかりが残る試合をしてしまって不甲斐ないなという気持ちでいっぱいです。

猪ノ原:自分自身は怪我で出場することはできなかったので、入れ替え戦にはしっかり体万全にして臨んでいきたいと思います。

――黒木選手は桜美林大戦でタッチダウン二本決めるなど活躍があった。今シーズン全体をどう振り返るか

黒木:今シーズンはシーズン初めにスロットバックにコンバートしました。一年間どうやってオフェンスに絡んでいくか、どうやってオフェンスにラン出すか、パス出すかというところで、ワイドとタイト両方見る視点が求められたので、まずはそこをすり合わせるところから始めました。一つ一つのボールキャッチであったり、ブロックヒットだったりファンダメンタルにこだわってやっていった結果、運よくボールが回ってきたという感じだったので基礎練習を欠かさなかったところが良かったと思います。

――前回と今回の試合であと一歩のところでなかなか点にむすびつかなかったが、オフェンスの指揮として今後どういう戦い方を意識していくか

猪ノ原:一つのブロックや一つのキャリーに対して、今日の試合含めてボールをこぼしてしまったなど基礎的なミスが多かったので、次の試合までの一か月間に基礎的なブロックやヒットにこだわって、そういう地道な部分で相手を圧倒できるように心掛けていきたいと思っています。

――来月の入れ替え戦に向けての意気込み

黒木:やることは変わらず、オフェンスで点を取ることを意識しています。その中でオフェンスはラン中心だが、パスでも私たちセンターバックが顔を出してプレーに絡んでいこうと思っているので、タイトワイド両方で活躍できるようにしたい。そんなオフェンスユニットを私たちのポジションであるスロットバックで、作っていけるように精進していきます。

猪ノ原:ここ2試合、オフェンス自体あまり点数取れず、0点という不甲斐ない結果に終わってしまっているので、最後オフェンスで勝てた試合と言われるように、オフェンスで一人一人引っ張っていって、いい結果に導きたいと思っています。応援よろしくお願いします。

オフェンス組織を引っ張り続ける黒木(写真中央)

天野甲明(政3・鎌倉学園)

一一今日の試合を振り返って

天候に影響を受けてしまって、何度か相手キックのボールを落としてしまいました。それによって流れを持っていかれたので、そこは自分たちの準備不足が露呈してしまったと思っています。

一一自身の複数回のロスタックルについて

自分は前回の試合をアウトしてしまったので、この試合に向けて特に準備を重ねてきました。その準備が実ったと思います。

一一今日のディフェンス組織全体はどう映ったか

個人で止めたプレーは多かったんですけど、ワンチームで止めるディフェンスがあまりできませんでした。

一一今季のディフェンス組織の総括

怪我をしてしまうメンバーが毎試合出てきてしまい、そこを下級生が穴埋めする難しさを痛感しました。もう1度自分たちの強みと弱みを確認して強くなりたいです。

一一入れ替え戦への意気込み

最後の試合になりますし、1ヶ月ほど時間があるので、もう1回ファンダメンタルに立ち返りたいです。4年生を笑顔で送り出せるようにみんなで頑張っていきたいです。

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