ついに最終試合を迎えた六大学対抗戦。第1Qは格上明大相手に接戦を繰り広げるが、第2Qで逆転されてしまう。慶大は河村さくら(文4・松陽)を中心に猛攻し、第3Qで同点に追いつくも、明大の激しいディフェンスに終始苦しみ、63−80で惜しくも敗れてしまった。4年生にとってはこれが引退試合となったが、最後まで「慶應らしさ」を貫いたプレーを見せた。
2025/11/16(日) @立教大学 新座キャンパス | |||||
第43回 東京六大学女子バスケットボール対抗戦 | |||||
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
慶大 | 17 | 13 | 22 | 11 | 63 |
明大 | 17 | 25 | 16 | 22 | 80 |
◆慶大スターティングメンバー◆ | |||||
F | #4 中山璃音(文4・湘南) | ||||
C | #5 網野梨加(環4・Irvine High) | ||||
F | #7 河村さくら(文4・松陽) | ||||
G | #10 岡部愛(薬3・仙台二) | ||||
GF | #12 小川佳凛(商1・長崎西) | ||||
第1Q開始直後、網野梨加(環4・Irvine High)がシュート時にファウルを受けて得たフリースローを2本とも沈め、慶大が先制。続けて河村さくら(文4・松陽)がフェイクからキレのあるレイアップを、小川佳凛(商1・長崎西)もパスカットからレイアップを決めるなど、慶大は好スタートを切る。中盤には中山璃音(文4・湘南)のフリースローやリバウンドからのシュートも得点に繋がり、終盤には河村がロールから華麗なレイアップを決め切る。格上の明大相手に互角の戦いを見せ、17−17で最初の10分を終えた。

中山璃音(文4・湘南)
第2Qは開始早々明大に先制を許すも、中山がディフェンスを交わしてジャンプシュートを決め返し、相手に流れを渡さない。しかし、次第に明大のオールコートプレスに苦しめられ、連続失点を喫する。シュートが決まらず苦しい時間が続く中、この状況を打開するかのように、河村がファウルを受けながらドライブ、バスケットカウント・ワンスローが決まった。フリースローも決め切り3点プレーを成功させると、それに続いて小川も3ポイントシュートを決め、追い上げを見せる。吉田千里(理4・田園調布雙葉)らも気迫を見せ、終盤にかけて猛攻を仕掛けた慶大だが、明大に3ポイントのブザービーターを打たれ、30−42で前半を折り返した。

網野梨加(環4・Irvine High)と河村さくら(文4・松陽)
明大への逆襲に燃える第3Q。序盤の攻撃では、相手にボールをカットされそうになるもなんとか繋ぎきり、河村がゴール下シュートを沈める。勢いそのままに相手に追いつきたい慶大は、小川や岡部愛(薬3・仙台二)らのアシストを受け河村が2連続得点を挙げ、続いて網野もリバウンドから押し込み、徐々に点差を縮めていく。ディフェンスでも慶大は24秒を守り切り、流れを掴んでいく。中盤以降も中山の3ポイントシュートや、コートを縦横無尽に駆け抜ける小川のレイアップも決まり、ついに残り4分半の河村のドライブにより同点に。続く中山のファストブレイクで逆転に成功した。その後も河村と網野によるカットインプレーなどで得点を重ねるが、明大に再度逆転され、52−58で6点のリードを許して第3Qを終えた。

河村さくら(文4・松陽)
このメンバーでプレーをするのは最後の10分になる第4Q、河村がドライブからのゴール下シュートを決め幕を開ける。再び逆転を狙う慶大だが、明大に連続得点を許し10点のリードを奪われ、たまらずタイムアウトを取る。タイムアウト後のオフェンスでは、岡部の3ポイントシュートや岡部のバウンスパスを受けた網野がゴール下シュートを決めるも、思うように点差を詰めることができない。それでも慶大は榎本京佳(経2・慶應女子)と網野の身長を生かしたプレーや中山のドライブで得点を挙げていく。残り2分頃には今井楓子(商4・吉祥女子)がコートインし、4年生全員が揃って果敢に攻撃を展開。最後まで攻めの姿勢を崩さなかったが、一歩及ばず63−80で明大に敗れた。

河村さくら(文4・松陽)と今井楓子(商4・吉祥女子)
4年生にとっては引退試合となるこの一戦。勝利こそ掴めなかったが、全員が慶大らしい粘り強さと一体感あるプレーでコートを駆け抜けた。引退する4年生の想いを来年へと繋ぎ、「慶應らしいバスケ」を受け継いでほしい。

試合後の集合写真

岡部愛(薬3・仙台二)と河村さくら(文4・松陽)
(取材:本橋未奈望、大泉洋渡、新妻千里)
▼以下、試合後インタビュー
〈 野呂優子コーチ 〉

野呂優子コーチ
――1年間でチームはどのように成長した
最初は一体感がなく、個人がバラバラでプレーしている印象でした。しかし、試合を重ねるごとにチーム全体で「これをやろう」と決めたことや、ディフェンスなど、5人が一つになって戦うことができるようになったと思います。今日の試合を見ても、2部相手に3Qまで接戦できたことは、1番の成長かなと思います。
――引退する4年生との関わりの中で印象に残っているのは
色々あり過ぎて(笑)。直近では、本当は11月12日が最後の練習だったのですが、その日の出来がすごく悪かった。私は「このままでは終われない」と思い、男子バスケ部に練習を代わってもらって練習しました。とはいえ試合前なので軽めの練習を予定していたところ、4年生から「納得できないのでもう1度ゲームをやらせてください」と申し出がありました。その最後のゲームでは自分たちらしいプレーが出て、翌15日の試合では、1部の立教を相手に、全員が気持ちを込めたすごく良い試合をしてくれました。自分たちで「何かしたい」と言うことがあまりなかったのが、最後の最後で「自分たちで何かを成し遂げたい」という気持ちを見せてくれた。それが、とても嬉しかったですね。
――4年生へ送る言葉
入替戦出場・2部昇格という目標には届きませんでしたが、プレーを通じてたくさんの成長を見せてもらって、本当に楽しませてもらいました。「本当に今日で終わるのかな」と思います。まだまだ一緒にやりたい気持ちも山々ですが、次の夢に向かって皆さんを応援していますので、頑張ってください。
〈#4 主将・中山璃音(文4・湘南)〉

主将・中山璃音(文4・湘南)
――今日の試合を振り返って
ルーズボールなど、自分たちがこれまで積み重ねてきた泥臭いプレーを徹底しようと話していました。4年生を筆頭に、今までやってきたことをプレーで体現し、応援に来てくださった方々への感謝の気持ちを伝えられたのではないかと思います。
――バスケットボール部での4年間を振り返って
私が入部した際に掲げた「プレイヤーとしても人としても成長する」という目標に対して、様々な面で成長できたと思っています。バスケットボール部に入ったことで、先輩・後輩・同期を含めたチームメイトはもちろん、体育会の横のつながりや他大学の選手とも出会うことができ、自分の考え方の幅も広がりました。
――「チーム中山」として、バスケットボール部にどのようなことを残せたか
今年のスローガンに「想繋(そうけい)」を掲げ、応援してくださる方々やこれまで慶應を繋いでくださった先輩方の想いを、未来の慶應に繋げていこうという気持ちでした。また「応援されるチームになろう」という目標も掲げていて、挨拶や審判の方へのお礼など、プレー以外の細かいところを徹底することもずっと意識してきました。後輩たちも真摯に受け止めてくれて、その面では、プレー以外の部分でも応援したいと思ってもらえるチームを残せたと思います。
――後輩へのメッセージ
私たちの代は4年生が6人と多く、試合に出させてもらうメンバーも多かったので、部の中で担う役割も大きかったと思います。でも、後輩とそれぞれ一緒にやってきた中で、みんなプレー面も人としても尊敬できる人たちなので、来年も絶対に良いチームになるはずです。私も応援に行くので、本当に頑張ってほしいです。
〈#5 副将・網野梨加(環4・Irvine High)〉

副将・網野梨加(環4・Irvine High)
ーー今日の試合を振り返って
前回・前々回は自分たちのやるべきことを徹底できず、覇気のない試合になってしまったので、今日はそうならないよう、40分間集中して戦おうと意識していました。前半はひるまず自分たちのペースでガンガン攻められたものの、途中で気の緩みがありリードを許す場面もありました。ただ、それでも食らいついて、自分たちらしいバスケができたと思います。
ーーバスケットボール部での4年間を振り返って
スタメンではなかった時期や怪我で苦しんだ時期、スタメンになっても上手くいかない時期もありました。それでも、最後こうして応援されるような良いチームになれたのが嬉しいし、みんなにすごく感謝しています。
ーー特に印象に残っている同期との思い出
1年生の頃、仕事のことや練習への姿勢について先輩方にたくさん怒られてしまったことがありました。でもその経験があったからこそ、練習の一つひとつを大事にする意識が身につき、成長につながったと思っています。
ーー後輩たちには何を期待したいか
私たちの代は試合に絡むメンバーも多く、抜けることで大変なこともあるかと思います。でも、一歩一歩着実にチームは強くなっているし、3年生は下級生とも良い関係を築いているので、これからも良い雰囲気で、自分たちのバスケを信じて最後まで戦い抜いてほしいです。

「力関係を表したポーズです」と笑う主将・中山(右)と、副将・網野(左)のツーショット


