12月1日、新宿文化センターにて慶應義塾体育会應援指導部第75回定期演奏会が開催された。4年生にとっては、應援指導部人生最後の晴れ舞台となる本公演。”進”という今年度のスローガンを体現し、努力を重ねてきた部員たちが、集大成の素晴らしい演奏を披露した。
例年12月上旬頃に催される定期演奏会。今回も前売り券は販売開始後すぐさま札止めとなった。應援指導部のOB・OGや体育会の選手たちなどによって埋め尽くされた新宿文化センター。愛塾心溢れる観客たちが、今か今かと待ちわびる中、全5部のステージが開演した。
当団体は今回のステージに向け、應援指導部定期演奏会号外を発行し、来場者に配布した。定期演奏会で一区切りを迎える4年生を中心に、記憶の一部となるような新聞を製作した。

【第1部】
開演を告げたのは『ARSENAL』の演奏。力強さの中にあたたかみのある、應援指導部らしい音色を披露した。続いて、アニメ『ONE PIECE』のオープニングテーマ曲『ウィーアー!』の吹奏楽アレンジを演奏。曲の中間部ではフルート、アルトサックスのソロで魅了し、万雷の拍手が送られた。最後に演奏されたのは、東京ディズニーシー・アトラクション「ストームライダー」より『ストームライダー組曲』。トランペットが高らかに響き、まるでアトラクションの世界にいるかのような迫力満点の演奏を見せた。


【第2部】
シンフォニック・ステージとして執り行われた第2部。2曲構成で行われるこのステージは、1曲目として『ノートルダムの鐘』が演奏される。この曲は、同名のディズニー映画の主題歌で、今でもミュージカルとして公演されることも多い。鐘の音が作る厳かな雰囲気を背に始まったこの曲は、やがて重厚感あふれる金管楽器の力強い演奏へと変わる。この緩急の鋭い演奏がホール全体を圧倒した。教会音楽を思わせる壮大なコーラスが、同映画の舞台である15世紀のパリへといざなう。

2曲目は『トリトン・エムファシス』。この曲は、静かな生活から始まり、社会の荒波を表現する2部を経て、社会へと旅立つ若者への応援歌で締めくくられる3部構成となっている。この定期演奏会を以て社会へ旅立っていく4年生たちへの想いが込められた、まさにこの舞台にふさわしい1曲と言えよう。トロンボーンとホルンによる荘厳さがこもった力強いファンファーレで曲が始まり、それが全体へ派生。中盤、社会の荒波を表現すべく緩急の効いた演奏が続くも、最後は若者への応援歌を表現し、壮大なクライマックスを以て幕を閉じる。常に最前線で体育会応援を楽しみながら、締めるべきところを締めて戦う体育会を鼓舞し続けた應援指導部。その姿を、音楽の緩急という形で盛大に表現したステージとなった。

【第3部】
第3部はチアリーディングステージ。開演を前に暗転すると、青とピンクのペンライトが会場を華やかに彩る。開演直前からボルテージは最高潮。4年生部員の名前を呼ぶ声が響き渡る。オープニングから、大迫力の華やかなダンスで会場を魅了。一つ一つの動きに歓声が鳴り止まない。そして、ステージ中盤。スクリーンには、今季の体育会の活躍を振り返る動画と、應援指導部の部員たちの思いが映し出される。「本当に応援は届いているのだろうか。応援ありがとう。その言葉に何度救われただろうか」普段は見せることのない部員たちの思いに、思わず目頭が熱くなる。体育会ステージでは、アメフト、ソッカー、ラグビー、バレー、ラクロス、野球など様々な部活のユニフォームに身を包んで登場。スローガン「挑め」を体現するようなスタンツ、力強いパフォーマンスを披露。最後の最後まで、一人ひとりの笑顔が会場を明るく照らし続ける。名残惜しくもフィナーレを迎えると、割れんばかりの歓声に包まれて第3部は幕を閉じた。


【第4部】
第4部は「ドリルステージ」。部員たちは、一糸乱れぬ隊列と、力強い金管楽器と躍動感あふれるバッテリーが作り上げる華やかなステージを披露。ステージの中盤で披露されたチアリーディング部を含めた総勢149名でのステージでは、各々の部員の明るい表情と軽やかな音色を、聴衆の心に響かせた。



【第5部】
第5部は応援ステージ。幕が上がり5つの塾旗紹介から始まる。義塾の歴史を背負った塾旗は、舞台の上で荘厳とそびえる。そして紹介後には、慶應が世界に誇るチャンスパターンを盛り込んだスペシャルメドレーを披露。その中で、卒業を控える4年生のO.H、代表の枝廣二葉による塾生注目があった。枝廣は約7分間にわたり、これまで支えてくれた仲間、先輩、そして観客席にいる家族に感謝の言葉を述べる。塾注中に堪えきれず涙を流す4年生の姿もあった。


メドレーの演奏が終わった後、一度舞台の幕が降りる。しかしその後、もう一度幕が上がり、下級生たちに見送られながら、責任者らが舞台中央から登場。そして枝廣による魂のこもった最後の塾注。4年間の全てを全身全霊で、観客、部員、そして家族に届けた。観客席の割れんばかりの拍手と共に、定期演奏会は幕を閉じた。

4年前に應援指導部の門戸を叩き、応援に全てを注いできた4年生。喜びだけではなく、厳しさや悔しさを味わうことも多かった。コロナ禍も重なり思うような応援ができず、活動の意義を問い直されることもあった。それでも彼らは応援し続けた。この日の拍手は、そんな彼らへの答えであろう。4年生はこの日をもって引退するが、應援指導部はこれからも続いていく。彼らの矜持と覚悟は、後輩たちの心の中に確かに受け継がれている。
(記事 : 柄澤晃希、神戸佑貴、佐々木瞬、長掛真依、中原亜季帆)
【應援指導部担当チーフ 代交代のお知らせ】
今年度、慶應スポーツ新聞会にて應援指導部担当チーフを務めておりました、経済学部3年の岩切太志です。今回の記事をもちまして、私はチーフを引退いたします。今年度も應援指導部の皆さまにご協力いただき、応援席の取材、役職に関するインタビュー、夏合宿などの記事を投稿させていただきました。様々な場面に密着させていただき、應援指導部ファンの私にとっても夢のような時間でした。来年度も弊団体では、應援指導部の様子をお届けしてまいります。新チーフを中心に、よりパワーアップした記事・動画をお届けできるよう精進いたします。引き続きご注目いただけますと幸いです。
【應援指導部号外 アンケートご協力のお願い】
今回、ケイスポでは定期演奏会に合わせて、初となる應援指導部号外を制作いたしました。今後の参考とするため、アンケートにご協力いただけますと幸いです。

