昨年の慶大は春季リーグ戦、秋季リーグ戦ともに5位という悔しさの残るシーズンとなった。そして12月19日、令和8年度慶応義塾大学体育会野球部の新幹部が発表された。主将に一振りで流れを変える強打者・今津慶介(新総4・旭川東)、副将に剛球と知性を併せ持つ大型右腕・広池浩成(新経4・慶應)、規律でチームを引き締める新戦力・寳田裕椰(新経4・三重)、経験豊富な内野の要・上田太陽(新商4・國學院久我山)が就任。また、沖﨑真周主務(新経4・幕張総合)や山口瑛士(新商4・県立郡山)ら学生コーチ、スタッフ陣の発表も併せて行われた。今回ケイスポでは、今津主将、広池副将、寳田副将、上田副将、沖﨑主務に取材し、2026年慶大野球部の「強い慶應復活」に懸ける思いを伺った。第4弾は沖﨑真周主務!
――慶應大学の野球部の何に憧れて入部を決めましたか。
小学生の時くらいから、「東京六大学」にすごく憧れていました。伝統があって、OBもすばらしくて、本当にかっこいいと思っていました。ずっと高校まで野球しかやっていなかったんですけど「プロ野球選手になる」というよりは「六大学野球でプレーする」っていうのが野球人生の目標でした。その中で、以前キャプテンをされていた下山悠介(現東芝野球部・令5卒)さんという方が千葉西シニアの先輩で、尊敬していました。そんな下山さんが慶應高校に進まれて、甲子園に出ている姿を見てかっこいいと思い、同じチームでプレーをしたいと思ったことが慶大野球部を選んだきっかけです。
――これまでの3年間、どのようなことを意識してマネージャー業務をされていましたか。
1番はやっぱり選手です。僕もずっと選手をやっていたので、選手がグラウンドで不自由なく野球に打ち込め、野球のことしか考えなくて済むような環境作りを意識しました。うちの野球部では、マネージャーは寮の事務室でずっと事務系の作業をしていて、選手は外のグラウンドで練習をしているのですが、ずっとここに籠って作業していると、現場で何が起きているのかということがわからなくなってしまいます。
「グラウンドで今どういう問題が起きているのか」「今チームはどういう状況なのか」ということを把握するのが1番大事だと思ったので、下級生の頃から常にグラウンドを見に行って、どんな練習しているのかなとか、今できることはないかなということを確認することは常に意識していました。
――寮にはどのくらいの人が住んでいるのですか
主務はここに住みます。ここは30人規模の寮なのですが、自分の選手28人と、チーフコーチ、主務の30人で住んでいます。
――高校では主将を経験されています。同じ全体を束ねる立場ですが、高校での経験が活きている部分はありますか。
自分がまず先に動かなきゃいけないという点では同じだと思います。高校の時も、「こういう風にやっていこう」ということをみんなに伝えたい時があっても、まず僕が率先してその姿を見せないとみんなはついてこないということがありました。そこは、マネージャーになった今でも意識しています。例えば、「最近寮の風紀が乱れていて、ゴミが落ちていて汚い」ということだったら、僕が声だけかけるのは簡単ですけど、ちゃんとみんなが実践するためには僕が1番に動かなければいけないと思います。
――これまでの3年間を振り返って、一番印象に残っていることは
1年生の時に神宮大会で優勝したことは、すごくよく覚えています。まだ入って間もなくて、よくわからないこともありましたが、やっぱりあの景色は印象的でした。
――逆に、苦労したときは
やっぱりチームが勝てないと辛いです。辛いというか、悔しい。だから、勝てなかった去年のシーズン、一昨年のシーズンは、チームの雰囲気も沈んでいくので、やっぱり悔しかったし、もうその思いはしたくないなと思っています。そういった時、チームの空気を明るくするには、自分が明るく振る舞うということもできると思うのですが、やはり自分はチームが勝つことが一番重要であり、最優先だと思っています。勝つために、グラウンドで足りない備品の補充や合宿の日程を工夫して練習時間の確保に努めるなど、オペレーションやスケジュール面での貢献を一層頑張ろうと決めて、取り組んでいました。
――主務になった経緯
幹部決めは、基本的に監督は関与しなくて、選手とか部員同士で決めるという方針で、立候補制です。僕はずっと「主務をやりたい」と思っていたので、その意思を表明した後、主にマネージャーみんなで話し合って、他にもやりたいって人がいた中、僕を選んでもらいました。僕は、選手に対して物が言えるというか、正しいことは「正しい」、間違ったことは「間違っているからしっかりやれよ」ということを伝えるのが得意な性格なので、そこをみんなが推してくれたのではないかと思います。
――主務の仕事内容
グラウンドで行う野球以外の、部のすべてを管理・統括するというポジションで、細かい仕事は言えばたくさんありますね。例えば、チームのオフの日を決めることや、オープン戦をいつ・どこと組む、などのスケジューリングも主務の仕事です。キャンプに行く時は、キャンプ先の食事、宿泊施設、その他移動手段諸々を手配します。本当に、「野球をするための環境を整えるすべてを行う」仕事です。
――選手とのコミュニケーションで意識していることはありますか。
特別意識することはないですが、それぞれとちゃんと会話をしようとは思っていますね。選手たちは、同じ寮に住んでいるので友達みたいな感じですけど、「この選手が今どういうコンディションで、どういう思いで野球をしているのか」ということは、話してみればわかるので、改まってそういう話をするというよりは、日々の日常会話から自然とそういったことを把握できています。
――前任の勝野淳(経4・慶應)さんから何かアドバイスなどはありましたか。
勝野は、小学校1年生から同じクラスで、少年野球チームも一緒だったので、ほぼ友達みたいな感じです。「頑張れよ」くらいしか言われていませんが、今でもわからないことがあればたまに聞いていますし、1番身近で何でも聞きやすい存在なので、彼が前任で助かっています。彼はすごい真面目で几帳面で、本当に細かいところまでしっかり管理していて、それが部のスケジュール面や管理面ですごい現れていたので、そこは継続して彼の良さを見習いたいなと思っています。
――マネージャーの同期や後輩について、印象に残っている行動は
みんなそれぞれの思いがあってマネージャーとして入部してきています。僕はずっと高校まで野球しかやってこなかったんですけど、全然そうじゃなくて、
野球を一切知らなかった人もいます。副務の水品玲香(新4・慶應湘南藤沢)は野球を今まで知らなくて、高校までずっとバスケをやっていたけど、大学で野球部のマネージャーを始めたんです。
それぞれ違う思い、違う経験をして入ってきたんですけど、みんなが同じ「日本一」っていう目標に向かってすごいそれぞれが頑張っているので、「この人のこの行動」というよりは、それぞれが自分の役割を理解して一生懸命頑張ってくれているなという印象ですね。
――主務としての理想像を教えてください。
「全部僕に聞けばわかる」っていう状態が理想です。監督は、私生活の面でもいろいろ気にかけて声をかけてくれることがあるんですけど、監督が野球のプレー面に集中でき、それ以外のところは「全部沖﨑に任せておけば大丈夫だ」と思ってもらえるような主務になりたいです。
――「慶大日本一」に向けて、どのようなビジョンを思いが思い描いていますか。
本当に選手たち、特に4年生は悔しい思いを味わって、「今年はやってやるぞ」という気持ちがすごく強いです。さらに、客観的に見てみても、他の大学に負けてない、戦力的にすごい実力のある選手たちが集まっているので、このまま本当に死に物狂いで練習してリーグ戦に入っていければ、勝てるという自信はありますね。
――来季に向けての主将や副将、またはチーム全員でその話し合いの場は
たくさんありましたね。早慶戦が終わって新チームになって、11月から12月半ばぐらいまでは、ほぼ毎日、4年生全員で集まって、3時間4時間ずっとミーティングをしていましたね。みんな目の色変わって「本当に勝ちたい」という、そういう熱気に溢れていました。その熱意は下級生にも伝わって、練習を見ていても、4年生が1番元気を出して練習していて、それに下級生もついていっています。本当にいい練習できているので、すごく今はいい状態です。
――この1年間、慶大野球部のどのような姿に注目してほしいですか。
一昨年、去年と負け続けて、今はやはり世の中からの期待値も低いと思いますが、それを跳ね返して、「強い慶應」を取り戻したいです。「やっぱり慶應は強いんだ」という印象を世間の皆さんに知らしめたいと思います。
――主将の今津選手の印象は
普段はふざけているというかちゃらんぽらんなイメージではありますけど、でも野球になるともう目の色が変わって、誰よりも野球にひたむきに向き合っています。去年の秋シーズンは結果が出なくて苦しんでいましたけど、挫けないでずっとバット振り続けた姿があって、だからこそ立大戦でホームランが出ました。今津がキャプテンでこのチームを引っ張っていくことが、勝つためには必要だなと思っています。
――副将については
上田は1年生の頃からベンチに入って、神宮大会で優勝した時もグラウンドにいた選手です。ただ、2年、3年と上がってく中で、レギュラーを掴みきれずに悔しい思いをしていると思います。「今年はレギュラーを取る」という強い意気込みで、野球にかける思いもすごい強いですし、実力は誰もが認めるところなので、彼については、野球面でのチームへの貢献というか、チームを野球で引っ張っていく姿をすごく楽しみにしていますね。
広池は、もう何も言わなくていいというか、野球が大好きで、きっとプロ野球選手になると思うんですけど、彼は自分で考えて練習をしています。今まではそれを自分だけに落とし込んでやっていたんですけど、4年生になり副将になったことで、ピッチャー陣や選手全体を巻き込んで、トレーニングや食事の面とですごく発信しているので、彼の存在はチームにとってすごく大きいと思います。
寳田はあまりリーグ戦に出ていないんですが、今まで彼はもうずっと最初から僕らの代のリーダー的存在というか、精神的支柱だったので、彼が言うことにはみんな従うということがあります。なので、この代は今津のチームではありますけど、精神的支柱という意味では寳田のチームだと思っていますね。
――今年活躍を期待する選手は
全員ですけど、個人的にやっぱり上田に頑張ってもらいたいなというのはありますね。さっきお話した通りですけど、彼がバーンと結果を残すと、チームは勝てます。
――最後に意気込みをお願いします。
去年、一昨年と悔しい思いを味わい、今年はリーグ戦優勝、日本一を達成し、「強い慶應」を取り戻したいと思っています。よろしくお願いします!
(取材、記事:片山春佳)


