大学選手権も間近に迫り、慶大蹴球部に緊張感が走っている。大学選手権直前対談の第2弾では、慶大を支えてきた三人、仲宗根健太(総4)、明本大樹(総4)、藤本慎二郎(環4)にお話を伺った。名門・桐蔭高校時代から切磋琢磨し合ってきた彼ら。高校時代の思い出から慶大でのラストイヤーに向けた思いまでを伺うなかで、三人の熱い友情とお互いへの信頼というものも見受けられた。
(この取材は12月14日に行いました)
――今のそれぞれの調子は
明本 Jr.選手権が終わって調子自体は上がってきていると思うので今度は大学選手権に向けて自信をもって行きたいと思います。
仲宗根 3週間試合をしてないんでわからない部分もあるんですけど、悪くはないかなと思います。3週間良いモチベーションで個人的にも練習ができたので。
藤本 僕もそねと同じ感覚で流経戦に向けてやってきているので僕自身も調子は悪くなく良くなってきていると思います。
――チームとしての雰囲気は
藤本 Aチームが早稲田に負けてからBチームは明治にいい勝ち方をしてくれましたしそのあと優勝してくれて、本当にJr.選手権に出たメンバーのおかげで良い流れが来ていると思います。
――ジュニアチームが優勝したが下からの追い上げはありましたか
仲宗根 監督とかヘッドコーチの話を聞いている限りでは誰を出そうか本当に迷っていましたね。そういうところでお互い切磋琢磨できていると思いますしすごく良い影響があったと思います。
――今年は各ポジションでポジション争いが激しいですが
仲宗根 昨年は4年生が多く活躍していて22人中18人くらいが抜けてフラットな状態で春を迎えて、だから今出ている人たちは3月から約9ヶ月自分をアピールして勝ち残ってきた人たちなんだと思います。
明本 僕のポジションのFL、No.8はかなり入れ替わりがあって野澤さんの見ているところは違うので、自分の色を出していかなければと思いますし、他の人も良いプレーをするので出していこうと意識はしています。
藤本 Jr.選手権に出てた南や遠藤も印象的な良いプレーをしていましたし僕も頑張らなくちゃいけないなと思いました。
――時間が経ったが改めて早慶戦を振り返ると
仲宗根 結果として大敗でしたけど何がいけなかったのかなと考えたときにプレーではサポートとか低いタックルとか色々あるんですけど少し気負いすぎたというのはありますね。ガチガチで臨んで空回りしてしまいました。点数的にはそんなに差はないと思うので自分たちの今やってることを信じて目標は一節ずつという感じですかね。
――足りなかったところは
仲宗根 タックルがイマイチで、成功率が70%ということだったんですけどそれじゃ勝てないので、それは真摯に受け止めて今はタックルの練習をしています。
――今4年間の蹴球部生活を振り返ると
明本 僕自身やるべきことはやってきたので楽しく今までラグビーをやってこれたと思います。僕は楽しくやることがモットーなので。
仲宗根 僕自身グレードでも上下があったのであけ(明本)と同じで後悔していることは無かったです。下に下がったときでもそこでやるべきことをやって、先輩たちのつくる文化や姿勢を見てそれを自分でもやってきたので、後輩には作ってきた文化を引き継いでいってもらいたいと思います。
藤本 ケガとかもあってあまりAチームに絡める選手でもなかったので、あまり良い思い出が多いわけではないですけど、4年目になって出れて、満足はしてないんですけど、僕たちの代で下の人たちを引っ張っていきたいと思います。
――中学、高校と一緒にプレーしているわけだが、第一印象は覚えていますか
仲宗根 僕とあけは小学校の時に知り合って、最初はなかなか上手い奴だなと思ったんですけど、まさか大学まで一緒にやるとは思わなかったです。単純なところは10年間変わらず見た目通りだなと思います。慎二郎は優しいやつだと最初思ったんですけど、怖いところもあって、いい意味で一歩踏み込ませない、踏み込ませすぎないところがありましたね。
藤本 ソネ(仲宗根)は中学時代有名でどんな人かなと思っていたら意外と気さくで親しみやすい人でした。あけは最初「俺に回せ」みたいなキャラでこういう奴かと思ったんですけど実際は優しいやつでした。高校時代はいじられキャラでしたね。
明本 ソネは初めてプレーしたときに、自分よりうまい人を見たことなかった僕が初めて自分より強いって思ったプレイヤーでしたね。慎二郎は本当におとなしいやつだなと思ったんですけど実際はすごく怖い奴で接しにくかったですね。
――お互いはどんな選手ですか
仲宗根 あけは単純で熱いプレイヤーでモチベーション次第でプレーが変わってくる人ですね。チームにそういう人がいないので引っ張られる部分もありますね。慎二郎は私生活でもプレーでも強いプレイヤーだと思いますね。
藤本 ソネはパフォーマンスにぶれがない、堅実、ディフェンスが強いから安心してみていられる。あけは自分のモチベーションによってプレーが大きく変わる。自分のプレーを見てくれる人が多くいればいるほど良いプレーをしてくれるプレイヤーですね。本当に試合になったら頼りになります。
明本 ソネは主将として立派ですし、縦にも抜けられますし、ディフェンスも硬い。慎二郎は強くて縦にボールを持っていってくれますししかもこんなでかいのにステップが切れるんですね。本当にいい仕事をしてくれていると思います。
――昔からプレースタイルは変わらないのですか
藤本 変わらないですね。
仲宗根 でもあけは最初アタックアタックみたいなタックルだったんですけど最近ではモチベーションが高いときはFLらしい良いタックルをするようになりましたね。あと僕なんかはパスがうまく放れるようになってきましたね。
――何か思い出に残っているエピソードはありますか
藤本 桐蔭は携帯とかもってきちゃいけなかったんですよ。で、僕が明本にテーピングとか借りるときに入れ物の中に普通に携帯とか入っているんですよ。
明本 何回もありましたね。しかもそういうものを持ってくる日に限ってこいつ漁るんですよ(笑)。
藤本 見つかったら坊主なんですけど、こいつ一年の時は何度かなってましたね(笑)。
――私生活で関わることもありますか
明本 他の奴らとならあるんですけど、この三人だけでってのはないですね。
仲宗根 俺とあけは語学が一緒だったんでよく行きましたね。飯食いに行くときに固定メンバーでいつも行くってのはないですね。それぐらい仲がいいです。
――ご自身の後継者となる後輩はいますか
藤本 茂木ですね。
明本 だったら俺は鹿児島と大朗ですね。
仲宗根 柚木とかですかね。
――引退したらやりたいことはありますか
明本 いっぱいありますよ。パーマをしたいですし、旅行もしたいですし。
藤本 食べられなかったものを食べたいですね。ラーメンとか揚げ物とかですね。
明本 チャリで大阪いくっていう計画は?
仲宗根 行きたい奴勝手に行けって感じで(笑)!あと何も考えずに旅にでてみたいですね。今まではオフが何日から何日までって決められていたので。
明本 あとバイトしたいですね。
――大学選手権の組み合わせ抽選結果を見ての感想は
仲宗根 慶應は対抗戦5位で、挑戦する相手にしか当たらないと思っていました。あと慶應はまだまだ成長できるチームなので勝つたびに切磋琢磨しあえる組み合わせで僕は本当に良かったと思っています。
――流経大にどんな印象をもっていますか
明本 外国人選手が大きくて強いっていう印象ですね。
仲宗根 僕も同じですね。対抗戦ではこういったチームは珍しいんですけど、雑で粗いチームだと思います。それでいてのると強くて。でも慶應がらしさを出せれば難しい相手ではないと思います。
――相手の外国人選手への対策はありますか
明本 僕らの低いタックルで、アタックしたくないって思わせるようなプレーができればと思います。
藤本 ひとりじゃ多分勝てないので2,3人で低くあたって苛つかせることだと思います。
――大学選手権で対戦したい相手はいますか
明本 ここ最近大学選手権で帝京に負けているのであいつらに勝って優勝したいです。先輩たちの悔しい思いもあるのでそれを晴らしたいです。
仲宗根 僕は大敗しただけに早稲田にリベンジしたいですね。
――黒黄ジャージはどんなものですか
明本 憧れのものだったと思います。これを着て早稲田を倒したいと思いましたし、やはり慶應だったらみんなが目指すべきものだったと思います。
藤本 僕は今年初めて着て、やっぱり3年間着られなかった想いとかありましたし、過去の先輩方が着ていてかっこいいなと思いましたし、そういう思いもありながら悔しい思いもしてきたので着れて本当に嬉しかったですね。
仲宗根 153人が目指しているジャージですね。慶應は想いとか練習量とか多くて、有名な選手とかいない中でもこうして結果を残しているところを見ると、練習量に比例して重みを増していっていると思います。一年の頃は全然考えてなかったんですけど、Aチームに上がって、レギュラーになっていくにつれて重みが増してきたと実感しています。
――大学選手権に向けての抱負は
明本 大学選手権優勝という目標があるので、また慶應で優勝したいのでしっかりやらなくちゃと思いますし、対抗戦5位ですけどミラクル5っていうのがあるらしいので(トップリーグでNECが7位通過からチャンピオンシップをとった「ミラクル7」にちなんで)、対抗戦5位でも優勝できるんだというのを思い知らせてやろうと思います。
仲宗根 一番の目標が大学選手権優勝なので、主将として優勝しなければいけない責任があるのでここで目標が達成できなかったら後悔するというのもありますし、負けたくないという気持ちを持って一つ一つ勝っていきたいと思います。
藤本 対抗戦5位といっても上位は近いのでしっかりやって、負けたら終わりっていうのはみんなわかっているのでそういう空気を優勝まで維持して緊張感を持って臨みたいと思います。
――お忙しい中、ありがとうございました!
By Dai Miyamoto
仲宗根 健太(なかそね・けんた)
桐蔭学園高を経て、現在総合政策学部4年。体格を生かした突破とフィジカルの強さで抜群の存在感を放つ。主将も務める今季は春から全試合にフル出場している。常にチームのために体を張り続ける姿はまさに“背中で語る主将”1㍍80、94㌔
藤本 慎二郎(ふじもと・しんじろう)
桐蔭学園高を経て、現在環境情報学部4年。昨季まではケガのため満足にプレーすることはできなかったが、ケガが癒えた今季は主力として活躍。Fwdリーダーとしてチームをけん引している。1㍍82、98㌔
明本 大樹(あけもと・だいき)
桐蔭学園高を経て、現在総合政策学部4年。最大の持ち味であるアタックで幾度となく好機を生み出してきた。今季のジュニア選手権決勝でもトライにつながるアタックで勝利に貢献した。1㍍75、90㌔
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