関東大学リーグ開幕戦。慶大ソッカー部女子はアウェイ・十文字学園女子大学戦に臨んだ。開始早々は相手のセットプレーやスピードに押されるも、徐々にペースを掴み、スコアレスで前半を終える。後半は選手交代や配置の変更で試合を優位に進めると、終盤に主将・野村亜未(総4・十文字)の得点で先制する。しかし、アディショナルタイムにコーナーキックから得点を許し、そのままタイムアップ。1―1の引き分けとなった。
2026/4/4(土)10:00キックオフ@十文字学園サッカーグラウンド
【スコア】
十文字学園女子大学1ー1慶應義塾大学
【得点】
86分 慶大 野村亜未(野口初奈)
90+1分 十文字大 金本愛実瑠(大槻美生)
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 四宮里沙(環1・桐蔭学園) |
DF | 18 岩田理子(総3・十文字) |
| →78分 15 田中紗莉(総3・市ヶ尾/日体大SMG横浜U18) |
| 6 木田遥(総1・十文字) |
| 5 米口和花(総3・十文字) |
| 4 宮嶋ひかり(環3・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18) |
| 14 福島紗羅メヘル(政1・昌平) |
MF | 11 森原日胡(総2・作陽学園) |
| 2 竹内あゆみ(看4・日ノ本学園) |
| →90+1分 19 安達梨咲子(商4・Palos Verdes High School / Fram Soccer Club) |
| 10 野口初奈(環4・十文字) |
| 8 佐藤凜(総4・常盤木学園) |
| →HT 7 髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18) |
FW | 9 野村亜未 (総4・十文字) |
昨季、2部優勝という形で1部昇格を果たした慶大。今季は21年以来5季ぶりの1部での戦いとなる。目標は”インカレ出場”(=8位以上)。18年以降、7季続けて届いていない夢の舞台へ。TEAM2026の開幕戦を迎えた。相手は昨季1部3位の十文字学園女子大学。アウェイの地で、19年以来7季ぶり、黄大城監督就任(21年)後初の1部白星を目指す。
スタメンはお馴染みの攻撃時3―1―5―1のシステム。
中村美桜(令8理卒)の卒部により、不在となっていたキーパーを務めるのは、1年生の四宮里紗(環1・桐蔭学園)。待望の新守護神に期待がかかる。
3バックの右は、これまた1年生の木田遥(総1・十文字)。プレーの正確性や落ち着きはすでにチーム随一だ。
中央には、今春、全日本大学選抜に選出された米口和花(総3・十文字)。昨季は右CBと右WBをメインに務めた米口が、昨季リベロとして活躍した小熊藤子(令8環卒/現RB大宮アルディージャWOMEN)の穴を埋められるか。
左には、両足から正確なパスを繰り出す宮嶋ひかり(環3・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)。
アンカーは、イーグル・アイでピッチ全体を俯瞰し、慶應のサッカーのカギを握る竹内あゆみ(看4・日ノ本学園)。
2列目は右から。WBには、クロスとダイナミックなプレーが持ち味の岩田理子(総3・十文字)。
右シャドウは、カットインで切り込む昨季2部新人賞の森原日胡(総2・作陽学園)。
トップ下は、昨季2部最優秀選手。慶應の10番を背負うエースの野口初奈(環4・十文字)。
左シャドウは、冷静さと巧みなボールタッチが特徴のテクニシャン。副将の佐藤凜(総4・常盤木学園)。
左WBは、今節3人目の1年生スタメン。機動力に優れた福島紗羅メヘル(政1・昌平)。
CFは、2季連続2部最多得点選手。荒鷲の絶対的ストライカー、そして主将の野村亜未 (総4・十文字)が入る。
守備時は5―4―1のシステム。竹内が右、野口が左のダブルボランチで、両シャドウがサイドに拡がって守る。
試合途中からの小雨が予想され、少し肌寒い天候の中、戦いの火蓋が切られた。

男子部創部100周年を記念した新ユニホームでの初戦
開始30秒。慶大左サイドを突破され、クロスを入れられるも、新守護神・四宮ががっちりとキャッチ。ピンチを逃れる。

待望のキーパー・四宮
ファーストチャンスは8分。右サイドの森原から竹内、米口、宮嶋とショートパスで素早く左サイドまで展開すると、佐藤が受けて大外の福島紗へ。佐藤のフリーランニングによって空いたスペースで野口が受けると、前線に上がった森原に縦パス。森原から内側に入ってきた岩田につながり、ペナルティアーク付近からシュートを放つ。これは惜しくもキーパーの正面を突いたが、相手を左右に振りながらマークがずれたところを的確に使った良い形を見せる。
12分。セットプレーのこぼれ球からボックス内でフリーでシュートを浴びるも、ポスト直撃。さらに跳ね返りを打たれるも、米口がかき出す。この場面以外にも序盤はスピードのある攻撃で押し込まれ、ロングスローやコーナーキックなどから守りに徹する時間が続くが、安定したヘディングが持ち味の宮嶋を中心とした堅守でしのいでいく。

安定感がピカイチの宮嶋
すると17分。左サイドの福島紗が相手キーパーとDFラインの間に絶妙なクロスを供給。合わせた野村のシュートは惜しくもバーを越えるが、野口と森原、ファーサイドの岩田もボックス内に駆け上がり、そこにWBがクロスを供給するという、昨季多くの得点を生み出した攻撃を披露する。

福島紗のクロスからチャンスメイク
前半途中からは慶大がペースを掴む。十文字大はプレス時、4―2―3―1のシステム。慶大3バックとアンカーの竹内によるひし形に対してマンツーマンで寄せてくるが、慶大の3トップ下が相手ダブルボランチに対する数的優位を生かし、スペースを突きながら前進していく。また、野村のスピードで相手DFラインにプレッシャーをかけたことも相まって、中央にスペースができ始め、敵陣でテンポよくショートパスがつながる場面が増える。
ルーズボールの多くを慶大が回収し、被カウンター時も米口を中心とする最終ラインが対人の強さを存分に発揮。決定機こそ多くないものの、途中からは押し気味の展開で前半を終える。

好守連発の米口
後半頭から佐藤に代えて絶妙なポジショニングとハードワークで攻守に貢献する髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)を投入。立ち上がりは慌ただしい時間が続くも、粘り強く守ると、主導権を握り始める。髙松の投入に伴い、左の髙松、右の野村の2トップに近いシステムへと変更すると、相手守備陣の対応が遅れて髙松を捕まえられず、フリーでボールを引き出す場面が増えていく。また、左サイドではWBの福島紗が高い位置を取り、さらには左CBの宮嶋も積極的に攻撃に参加。髙松を含めた3人で左サイドを支配していく。

髙松の活躍でさらに勢いを増していく
56分。相手CFのフリックから2列目の選手に中央を突破されかけるが、木田の見事なカバーリングで難を逃れる。

すでにチームの中心となっている木田
65分。宮嶋の空間を使ったパスに野村が反応すると、左サイドで時間をつくり、ペナルティアーク付近の野口へ。ボールは右サイドへと流れたが、岩田が反応し左足でシュートを試みる。しかし、相手DFのブロックに合い、得点にはつながらない。
2度目の交代は78分。縦に速く、右足クロスを得意とする岩田に代えて、内側に入っていくプレーが特徴の田中紗莉(総3・市ヶ尾/日体大SMG横浜U18)が右WBに入る。終盤は試合途中から降り始めた雨が勢いを増していく中、慶大が敵陣でボールを握り、支配する時間が続く。また、アンカーの竹内が髙松のいたポジションに、髙松がトップ下に、トップ下の野口がアンカーにポジションを代え、攻撃のリズムを生んでいく。
待望の瞬間は86分に訪れた。右サイドからの攻撃。木田のパスを髙松がダイレクトで落とし、受けた野口もダイレクトで前線へ。抜け出した野村は相手DFと上手く入れ替わり、キーパーとの一対一の絶好機をつくる。相手キーパーが飛び出してきたところで、鼻先でボールを触ると、ボールはゴールマウスへゆっくりと吸い込まれていった。TEAM2026の初得点は主将の右足から。大きな先制点を挙げる。



虎の子の1点をなんとか守り抜きたいところだったが、アディショナルタイム1分頃。相手にコーナーキックを与える。左サイドからのボールは相手CFにドンピシャで合い、ヘディングシュートが無情にもネットを揺らした。
失点直後。竹内に代えて安達梨咲子(商4・Palos Verdes High School / Fram Soccer Club)を投入するも、勝ち越し点を奪うために十分な時間は残されていなかった。ほどなくしてタイムアップを迎え、1―1で試合終了。TEAM2026の初陣は、引き分けで勝ち点1を獲得する結果となった。1部での得点および勝ち点を挙げるのは、21年以来5季ぶりだ。

「後半アディショナルタイムに追いつかれて引き分け」。文面だけを見れば、痛い一戦だったと言える。しかし、1部で戦っていく上での好材料も間違いなく多かった。
まずは1年生の活躍。3選手がスタメンで、緊張感のあるゲームをフル出場で戦い抜いた。すでにチームにフィットしており、今後の活躍も大いに期待できる。
また、小熊の抜けた穴を感じさせない米口のプレーも印象的だった。昨季はドリブル突破やクロスなど攻撃で輝く場面が多かったが、今節のリベロのポジションでは守備力やフィードで貢献し、能力の高さを大いに見せつけた。
そして、絶対的ストライカーの野村が1部でも通用する得点力をいきなり証明できたことも、ポジティブな要素の一つだろう。

野村のスピードと得点力は1部でも健在
何よりも、全選手にとって1部で初めてのゲームで、勇敢に、慶應のスタイルを貫いて勝負できたことに大きな価値がある。
前半はプレッシャーがかかる中でもWBが高い位置を取り、押し込まれた際にはしっかりと帰陣して守り抜いた。したたかに戦うサッカーがジャブのように効き始め、後半から優位に試合を進めるのは昨季と変わりない光景だった。
また、所属する選手は21人と少ない中でも選手の個性やユーティリティ性を活かし、交代や配置の変更でさまざまな戦い方ができるという点でも、昨季からの慶大の強みが活かされていた。
一方で、課題は得点力。公式記録によれば後半は得点となった野村のシュート1本に終わり、ボックス内で大きなチャンスをつくることはできなかった。後半の慶大が押し込んでいた時間帯に相手が5バック気味で守っていたような強固な守備網を敷かれた場面をどうくぐり抜けていくかがキーとなってきそうだ。昨季数多くの得点を創出した野口のプレースキックにも期待したい。

野口の右足から得点を
次節はホーム開幕戦。相手は、昨季2部3位の順天堂大学。昨季はいずれも接戦となったが、シーズンダブルを果たした相手に、どんな戦いをできるか。
伝統と強さを受け継ぎ、新戦力が台頭するTEAM2026。19年以来7年ぶり、そして黄大城監督就任(21年)後初の1部白星へ。次節は4/11の14:00キックオフだ。
【試合後インタビュー】
黄大城監督

――試合の総括
1部という環境に変わり、アウェイで、また試合中に天候が変わることが予想されていた中で、今まで積み重ねてきたものを自信を持ってチャレンジしてくれたところは非常にポジティブで評価に値すると思いますし、あとは選手がこの試合を通してどういった感覚を持ったかというところと、それをきちんと技術に繋げるというところが大事になってくると思います。
――立ち上がりの連続したセットプレーに対する守備について
去年からの継続(の課題)で、ロングボールに対しての処理や、最後の(失点した)セットプレーもそうですが、やはり1部と2部ではボールの飛距離やヘディングで競る選手の能力が違いますし、まだまだ改善をしなくてはならない一方で、すぐに良くなる問題ではないので、シーズンを戦う上で一番難しくなってくるポイントだと思っています。
――後半からは選手交代や配置の変更でボールが回るようになった
相手がある程度混乱していたと言うか、守備が上手くいっていないように感じていました。最後、初奈(野口)をアンカーにしたところでは、相手もかなりラインが下がってきていて、スペースができていたことと、(雨の影響で)ボールがスリッピーだったので、大きな展開やミドルシュートを狙ってほしいという意図がありました。また、相手が下がっているときは芽衣(髙松)と亜未(野村)の2トップのような形でスペースが生まれてきて、自分たちが押し込める展開をつくれたと思っています。
――野村主将のゴールについて
彼女の良さである常に狙い続けるところは、やはりストライカーとして一番大事な部分ですし、あの時間帯に得点に繋げてくれるというのは選手として強いところだと思います。また、90分通して前線で体を張ってボールをキープしてくれたので、そういった意味でも次に繋がるゲームになったのではないかと思います。
――この勝ち点1が持つ意味
捉え方によって勝ち点2を落としたか勝ち点1を拾ったかという違いがあると思いますが、アウェイの開幕戦で、初の1部という難しい中でしっかりと勝ち点1を取れたことはポジティブに捉えたいですし、十文字とはホームで戦える機会がまたあるので、そこで勝ち点3を取るモチベーションになるという意味でも、ポジティブに捉えたいと思います。
【ギャラリー】
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見事なファーストタッチでプレスをいなした竹内
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右サイドで積極的に仕掛けた岩田
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大学リーグ初のフル出場で貢献した森原
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スルーパスが光った佐藤
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得点に喜ぶ選手たち①
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得点に喜ぶ選手たち②
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得点に喜ぶ選手たち③
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得点に喜ぶ選手たち④
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スタメン図①
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スタメン図②
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後半開始①
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後半開始②
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今節の試合結果一覧
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慶大試合結果&予定
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順位表
(記事:柄澤晃希 取材:柄澤晃希、神谷直樹、奈須龍成、水野翔馬)
















