3季連続5位と低迷が続いていた慶大。しかし今季は勝ち点4を挙げ、8勝2敗で現在単独首位につけている。東京六大学野球春季リーグ戦も残すは5月30日、31日に行われる伝統の早慶戦のみとなった。対するワセダは現在勝ち点1、3勝6敗。宿敵との大一番が目前に迫る。
第7週の明法戦で明大が法大に2連勝したことで、慶大の優勝の行方は早慶戦での勝ち点獲得に委ねられた。5季ぶりの頂点、そしてワセダ撃破へ。そこでケイスポは“優勝の懸かった早慶戦”に挑む選手たちにインタビューを行った。今回は広池浩成(経4・慶應)です!(このインタビューは5月20日に対面で実施しました。)
――ラストイヤーとなる今年のリーグ戦。ここまでのご自身の投球と、チーム全体の戦いぶりをどう評価していますか
それぞれの登板でいいものを掴みながら来ているなと思っています。立大戦では先発として、バッターに向かって球速の乗った強いボールを投げることを大事にしました。150km/hを超えるボールも出て良かったのですが、変化球の使い方がうまくいかなくて。
一方で次の明大戦は3イニングだけでしたが、左バッターに対してしっかりフォークを使って入ることを意識できました。東大戦ではマックさん(上田誠コーチ)とフォームを改良しながら、力感なくボールを放ることを意識して入りました。
法大2回戦はストレートで打者を差せない場面が多くて。初回は、井上(井上和輝=法2・駿台甲府)くんと今泉(今泉秀悟=キャリア3・石見智翠館)くんは、もう元からフォアボールでオッケーっていう話だったので、そこは四球で歩かしてというピッチングで。なんとか打者を見ながら最小失点にはいけたんですけど、なかなか圧倒できる場面がないというのが自分の中で課題だと思って。法大3回戦では少しアングルを上げました。離す位置が13センチぐらい高くなって、だいぶ回転軸ってとこが変わってストレートも150km/h超えるボールが戻ってきて。結構3戦目で良い手応えを感じて次に迎えてるなという感じです。
――前回インタビューさせていただいたときに、2種類のフォークへの使い分けにこだわっていくというお話がありましたが、リーグ戦では活用できているか
こだわってはいるんですけど、結局ストレートを差さないとなかなかフォークも生きてこないので。3戦目でデータ的にも裏付けがあるんいいストレートがいけたので、それでいこうかなと思っています。早慶戦に向けてもだいぶいける気がしています。
――さらに体つきが大きくなったように感じる
チームとしてリーグ戦中もウエイトトレーニングを継続するというのはずっと言ってきたことですね。リーグ戦中は疲れて痩せていく選手が例年多いですが、僕たちはその中でも強化していこうとお互い言い合ってきました。自分も意識しているところです。実際ここまで体重を変えずに、トレーニングのボリュームは落とさないようにやってこれています。
――各球種(フォーシーム、カッター、フォーク、スライダーなど)の手応えは
スライダーは元々得意なので、いいボールとして使えています。フォークもいい変化量で空振りも取れています。ですがやっぱり一番はストレートですね。「Stuff+(スタッフプラス)」という球速や変化量を数値化したボール自体の偏差値のような指標があるのですが、去年の春は自分のストレートが155km/hくらいあって手応えがあったのに、なかなかそこに戻ってこないなとずっと感じていました。それが法政の3戦目で、アングルを変えたことでスピードも縦変化も良くなり、155km/h後半のボールが出るようになりました。やっと自分のストレートが戻ってきたなという感じです。スタッフプラス155km/h後半のボールがあればバッターも意識してくれるので、裏付けのある自信を持てています。
――2年前の選手アンケートの話には、「遠投150メートル」と書いていただいた。最近その凄さが巷で話題に
150メートルいくかは分からないですけど(笑)、ステップなしで120メートルは絶対届くかなとは思います。元々遠投はすごく得意な方なので、少しアングルを上げながらボールを叩き込むと、スピードも変化量も変わってストレートがすごく良くなりました。
――今シーズンの出力面(球速・球質)での手応えは
すごくありますね。法政3戦目でリリースのアングルを変えたら全く違う感覚になり、ボールも全く違うものになって今すごく楽しみです。球速面でも151km/hまでちゃんと出たので、先発でこれをしっかり放れたら、だいぶ試合を作れるなという手応えがあります。
――制球面の手応えは
制球面に関しては、今季そこまで不安になった場面がないです。例えば法大戦も四球こそ2個出していますが、初回の井上選手や今泉選手の場面は、元から歩かせる意図がありました。ここは四球で他のバッターと勝負するというのを頭に入れていたので。ストレートの威力が出てくればバッターもボール球を振ってくれるので、そこまで不安視はしていないですね。
――やや球数がかさむ場面もあるが、あくまで全て計算の上であると
結果として球数はかさんでしまっていますが、それができるのも後ろに良いピッチャーたちがいるからです。ピッチャーがいなければ球数を抑えようとして打たれてしまうこともあると思いますが、後ろを信頼して丁寧に最少失点でいきたいと考えられるので、すごくいい状態です。
――対左打者・対右打者それぞれの攻略にあたってカギとなる球種は
どっちもストレートですね。ストレートがいいとバッターはスライダーもフォークも振ってしまうものなので。スライダーやフォークの質はいいと思っているので、法政3戦目で投げたようなストレートがちゃんと投げられればいいかなというところです。
――最近取り組んでいる課題は
マックさん(上田誠コーチ)とフォームの面で、お尻から出て連動しながら投げるというのをすごく意識して練習しています。その結果として法大3回戦ではアングルを上げて出力が出せたので、取り組んでいることはうまくいっていると思います。
――先発とリリーフ、ご自身の志望度としてはどちらが上ですか
特にこだわりはないですが、イニングを投げたいのでそういう意味で先発がしたいですね。タイトルを獲りたいというより、イニングをかさんだ方がチームへの貢献度が高いので、しっかり投げたいという気持ちから先発がいいですね。
【副将として】
――チームはここまで4カード全てで勝ち点を獲得し順調ですが、この強さの秘訣は
冬の取り組み、野球に対して真摯に向き合う姿勢がチームとしてだいぶ良かったと思います。生活面も含めてちゃんと野球に向き合うというのが、このチームで一番大きく変えられた部分かなと。幹部を含めて真面目に取り組むメンバーが多く、周りにも注意するようになりました。全員が野球に真摯に向き合うからこそ、試合の負けられない場面でも一球に対してしっかり集中できているのだと思います。
――アンケートに「今津主将は人が変わった」とありましたが、それが分かるエピソードはありますか
もう明らかに人は変わっていますね。3年生の時までは周りにいい影響を及ぼすようなことはなかったんですが、あいつが先頭に立って周りを引っ張り、なんなら周りに注意できるところまで変わったのはすごいと思います。
――主力としてリーグ戦を戦いながら幹部職を務め、SNS更新までこなしているが
SNSはたまにしか更新してないですけどね(笑)。本当はリーグ戦で投げている映像を出したいんですが、神宮球場の規定で出せないので。あんまり出すものがないなと思いながら、まれにやっています。
――リーグ戦もいよいよ大詰めを迎えますが、大舞台に向けてチーム全体の士気や、現在の仕上がり具合は
みんな落ち着いていて、試合になってもアップアップにならないですね。普段からちゃんと野球をやっているという自信があるので、神宮でも同じことをやればいいというマインドです。浮き足立つこともなく、着実に練習してウエイトもして食事も摂って、普通にプレーしようという状態です。
――あえて今のチームの課題点を挙げるとしたら
マインド面はみんなしっかり出来上がってきているので、シンプルに野球の技術を上げていくことですね。当たり前ですけど、全員がプロ野球選手級の実力があれば負けないわけで。しっかりとトレーニングして技術を上げていくことが必要かなと思います。
――今後の進路について
野球で次のキャリアを作ろうと思っています。
――最後に応援してくれているファンや塾生に向けて、早慶戦で「オレのここを見てほしい!」というアピールポイントと意気込みをお願いします。
まずはチームが優勝する姿を見てほしいです。その中で僕が投げたときは、ストレートの強さを見てほしいですね。ただ、神宮球場のガンは全く当てにならなくて、平均して8キロくらい遅く出たり、ボールによっては15キロ遅かったりするので……(笑)。「本当はいくつぐらい出てるんだろう」と球速を想像しながら楽しく見てもらえたらと思います。
みんな本当にしっかり練習してきたので、自分たちのやるべきことをやって優勝します。それを遂行している姿を頼もしく見てほしいなと思います。
(取材:神戸佑貴)


