関東トーナメントまで残り1週間。そのトーナメント前最後の大会である京王電鉄杯が開幕した。新シーズンが始まってから怪我人が相次いでいた慶大だが、この日も主力の多くを怪我で欠く中での試合となった。試合は随所に光る所を見せながらも、2試合共に慶大らしい堅守速攻はなりを潜める。京王電鉄杯初日は、2連敗という苦しいスタートになってしまった。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 13 | 22 | 15 | 12 | 62 |
青学大 | 29 | 14 | 22 | 21 | 86 |
◆慶大スターティングメンバー | |||||
選手名(学部・学年・出身校) | |||||
PG | 伊藤良太(環2・洛南高) | ||||
SG | 大元孝文(環1・洛南高) | ||||
SF | 矢嶋瞭(総3・福大大濠高) | ||||
PF | 黒木亮(環1・延岡学園高) | ||||
C | 本橋祐典(環3・佼成学園高) |
王者青学大に対して食らいついて行きたい慶大だが、立ち上がりから運動量豊富な青学大のバスケットに圧倒される。慶大はディフェンスから粘り強いバスケットを試みるが、速い展開から高さを生かしたゴール下で得点を重ねて行く青学大に対応出来ない。相手の全得点をペイント内で奪われるという苦しい内容になり、オフェンスでも戻りの早い相手ディフェンスの前に持ち味の速攻が出せず。終盤に伊藤が孤軍奮闘するが、得点差は詰められず。13-29で1Qが終了。2Qに入って、慶大が息を吹き返す。矢嶋のこの試合最初の速攻で反撃の口火を切った慶大。すると、伊藤のカットイン、矢嶋のリバウンドシュートで23-32と点差を1桁まで縮める。これでリズムに乗った慶大は、矢嶋、大元の連続スリーポイントで3点差に詰め寄り、青学大を射程圏内に捉える。一気に逆転ムードが漂うが、青学大#25永吉、#8張本の力強いゴール下でじわじわと点差を広げられてしまう。離されまいと食らい付く慶大は、残り1分30秒に大元がスティールから速攻に持ち込み8点差。35-43の1桁差で前半を終える。
3Qは矢嶋のミドルシュートから幕を開ける。3Qになって運動量を上げて来た慶大は、大元のスリーポイント、黒木の力強いブロックショットなど、1年生の活躍で点差を詰めに掛かる。一方の青学大もインサイドのゴール下での1対1で応戦。慶大の反撃を許さない。しかし、慶大も黙ってはいない。矢嶋のレイアップ、G真木達(環1・国学院久我山高)の巧みなテクニックからのミドルシュートで48-54の6点差まで迫る。だが、終盤は再び相手に流れを渡してしまい、50-65と突き放される形で、勝負は4Qへ。4Qに入って、それまで走り回っていた慶大に疲れが見え始める。足が止まり、3Qまでの勢いを失ってしまう。その隙を青学大が逃すはずもなく、高さを活かしたゴール下や高いテクニックによる個人技で次々と得点を重ねられてしまう。慶大もF大木崚介(経3・慶應志木高)、F中村滉平(理2・慶應高)の速攻、本橋のミドルシュートなどで応戦し、粘りを見せるが及ばず。1試合目は62-86で敗北を喫した。
2試合目 慶大-法大
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 12 | 11 | 12 | 13 | 48 |
法大 | 22 | 20 | 21 | 14 | 77 |
◆慶大スターティングメンバー | |||||
選手名(学部・学年・出身校) | |||||
PG | 伊藤良太(環2・洛南高) | ||||
SG | 大元孝文(環1・洛南高) | ||||
F | 大木崚介(経3・慶應志木高) | ||||
PF | 黒木亮(環1・延岡学園高) | ||||
C | 本橋祐典(環3・佼成学園高) |
大元のフリースローでの得点から始まった、慶大と法大の一戦。立ち上がりは、積極的なリバウンドで相手にプレッシャーをかけていった慶大。しかし中盤を回った所から、歯車が噛み合わなくなっていく。伊藤のターンオーバーから流れを崩すと、そこから均衡が崩れ始める。早い展開についていくことが出来ず、法大に豪快なダンクシュート、速攻などで一気に点差を離されてしまう。中盤、本橋がゴール下で奮闘するも、前の試合での疲労からか足が止まってしまい、法大との点差がじりじりと開いていってしまう。結局2桁差の12-22で1Qを終える。2Qになっても、慶大の持ち味であるトランジションバスケットはなりを潜めたまま。法大のチームファウルに付け込んで細かく加点していくが、それで法大の勢いを止めることは出来ず。崩れたチームを立て直すことは出来なかった。点差を更に広げられ、23-42で試合を折り返す。
3Q、慶大はG吉川治瑛(環2・世田谷学園高)を投入。より攻撃的に攻め込み活気付いてきたかに思えた。だが、それでも試合の流れを引き戻すには至らなかった。前半と比較すればチームとして機能し始めたように見えた。しかし、早いラン&ガンから、高確率のアウトサイドシュートを放り込んでくる法大の攻撃に慶大は反撃の糸口を掴めない。35-63と大きく離され3Qが終了。4Qに入って、慶大が遅まきながら息を吹き返し始める。前線の高い位置からプレスをかけてボールを奪いに行く。すると、慶大の運動量が増えていき、持ち前の激しいディフェンスが蘇る。大元、伊藤のスティール、大木のリバウンド、吉川のレイアップなど気迫溢れるプレーで追い上げにかかる。しかし、ギアが入るのが少し遅かった慶大。相手の得点を10点台に押さえ込みはしたものの、3Qまでの点差が尾を引いて、48-77で敗戦。同じ関東2部リーグのチームである法大に、予想を裏切る形で大敗してしまった。試合後の選手達の表情は暗く、この敗戦の意味を物語っていた。
主力に多くの怪我人を抱え、ベストな状態とは程遠い状況で臨んだ2試合だったが、結果は2連敗。青学大戦の2Qなど所々に光るプレーを見せたが、課題の方が多く残る結果となってしまった。怪我人がいるのは事実だが、来週から開幕する関東トーナメント、その先にある新人戦、早慶戦にベストメンバーでは臨めず、誰かが欠けた状態で挑まなければならないこともまた事実。この危機的な状況を悔やむだけではなく、逆境に立ち向かっていき、一人ひとりが自分の役割を遂行する。慶大の持ち味である“チーム一丸となったバスケット”を実現すること。それが出来れば、自ずと結果は出てくるはずだ。そして、彼らならば、必ずやそれを成し遂げるだろう。
(文・大地 一輝)
◆試合後コメント
F大木崚介(経3・慶應志木高)(今日の試合を振り返って)青学戦は、前半は、それなりにウチのディフェンスも出来て、いい流れだったんですけど。後半は相手のブレイクにこっちが走って付いて行けなくて、走り負けてたと思います。法大戦は、矢嶋の怪我も一つなんですけど、ウチのチームカラーが出せずに、相手の勢いに負けて修正が出来なかったです。(自分の役割は)普段はいつも途中からワンポイントで出場してディフェンスで流れを変えようという意識はしてます。(佐々木HCも同じことを期待しているようですが)自分が求められることはディフェンスなんで、運動量を活かしたディフェンスで流れをチームに持ってくることが自分の役目なので。試合に出てディフェンスの部分ではまあまあ自分でも出来たかなと思うんですけど、オフェンスだったり他の部分でプラスアルファで自分の力を発揮しないといけないんで。ディフェンスと、もう一つ、シュートだったりリバウンドだったりアシストだったり、ディフェンスとプラスアルファの活躍が出来る様になることが、今の課題です。(スタメン出場の法大戦はどの様なことを考えて臨んだか)やっぱりウチはディフェンスで頑張るチームなんで、試合前に皆でディフェンスを頑張ろうって言ってたんですけど、相手の流れをディフェンスで止めることが出来なくて。矢嶋が抜けてオフェンス面でも機動力が無くなって、それで悪い流れがディフェンスの方にも悪い影響を与えて負の連鎖に繋がってしまったのが反省点です。僕自身も、普段スタメンで出ることは無くて、変わった試合の出方だったんで、これからはフロアで最上級生として自分のことだけでは無く他人にも気を配ってやって行きたいと思います。(怪我人が多いが)試合後にサークルで先生が仰ってたんですけど、「スタメンの1人や2人が抜けてそのシーズンが終わったらダメだ」って言われて、それはその通りで。怪我人が出た時こそ控えメンバーやBチームのメンバーが爆発的に頑張ることで、1人が抜けた穴を全員でカバーする気持ちでやんないといけないと思っていて、ピンチでもありますが、チャンスでもあると思うので、自分だったり平石だったり田中や中村だったり、あんまり試合に出る機会が無い選手が頑張って怪我人の穴を埋めて行ければなと思います。(明日に向けて)今日の反省点であるディフェンスと、青学戦では走り負けてこと。それと法大戦ではリバウンドの数で負けていたので、その三つの点を頑張って行きたいと思います。
F中村滉平(理2・慶應高)
自分の仕事はディフェンスとリバウンドなんですけど、青学とかは身長も高くて上で取るのは難しかったので、下でチャレンジしたんですけど、自分の技術が足りていないなというのを実感しました。法政はもう少しアウトすれば取れたのにそれが出来なかったので、もう少しディフェンスとリバウンドを集中して頑張ろうと思いました。(プレーで意識したこと)オフェンスでは伊藤君や大元君が点を取れるので、僕は後ろの補助の部分のリバウンドとディフェンスを意識していました。特に上が抜かれた時は自分達が最終ラインなので、しっかり自分達が守ろうと思っていました。(ポストプレーからのシュートもありましたが)いけたらいけと言われていたので。やっぱり自分がシュートにいかないと僕についてるディフェンスもヘルプにいってしまうので、僕が思い切りいくことで、味方の負担を分担させることが出来ると思うので、要所で打とうと思ってました。(怪我人も多いですが)怪我した人の分も、自分がしっかりアピールできるように頑張っていきたいと思います。(明日に向けて)明日はリバウンドを最低でも5本以上、ブロックもしっかりして、下からチームを盛り上げられるように頑張りたいと思います。
PF黒木亮(環1・延岡学園高)
法政は6大でもなんとか勝てた面があったんですけど、今日は矢嶋さんが怪我してしまって得点をなかなか取ることができませんでした。自分達がしっかりしないといけないので、言い訳はできないんですけど、2試合目の法政戦はダラダラになったというか得点の免で停滞してしまったのが一番の敗因だと思います。(2試合ほぼ出場していたが体力的には)1試合目終わった時は大丈夫だったんですけど、さすがに2試合目は交代もほとんどなくて、最後残り30秒くらいで交代させられたんですけど、正直言うときつかったです。(自身から見たチームの雰囲気は)悪いと思います。怪我人がすごく多くて去年から出ているメンバーも多いし、インサイドは何人も怪我してるので。なので、僕と本橋さんがもっと頑張らないといけないと思います。関東のインサイドはすごく強いんですけど、まずは1年生らしく自分が出来ることをしていきたいです。(オフェンスリバウンドをなかなか得点に繋げられなかったが)東海とか日体との練習試合ではリバウンド取ったあとも良いプレイが出来たんですけど、こうやって電鉄杯が始まって電鉄杯独特の雰囲気に自分の未熟さもあって飲み込まれてしまって、まだまだだなと感じてます。(明日に向けて)明日は初戦が専修で、アタリもインサイドも強いのでインサイドで頑張っていかなければならないというのもあるんですけど、矢嶋さんが怪我したのが本当に痛くて、誰が得点をしていくのか、得点の面でどうやってみんなでカバーしていくかが大事だと思うので、明日それを課題にしてやっていきたいです。
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