前日、下位の順天堂大にまさかの逆転負けを喫した慶大。優勝の可能性は絶望的なものとなったが、上位進出し一つでも上の順位を目指すためには負けられない戦いが続くことに変わりはない。この日は前日の敗戦の影響か、硬さからのミスが見られたが、相手レセプションを崩すサーブと持ち味の多彩な攻撃が機能し、国際武道大に勝利を収めた。
5月13日(日)春季関東大学1部リーグ 慶大×国際武道大 @慶應義塾大学日吉記念館
○慶大3-1国際武道大 |
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慶大 |
セット |
国際武道大 |
25 |
1 |
17 |
25 |
2 |
27 |
25 |
3 |
13 |
26 |
4 |
19 |
出場選手
サイド |
柳田将洋(環2・東洋高) |
セッター |
野口剛志郎(環2・東福岡高) |
センター |
星谷健太朗(理3・渋谷幕張高) |
サイド |
岡田拓巳(商3・熊谷高) |
サイド |
間宮秀太(政4・慶應高) |
センター |
山本悠登(環4・東亜学園高) |
リベロ |
前田優介(環4・日向学院高) |
リベロ |
野瀬将平(環1・東福岡高) |
途中出場 |
村上拓也(法4・慶應高) |
棚橋真之(経3・慶應志木高) |
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稲田聡典(環2・日向学院高) |
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丸谷将大(環2・東筑高) |
この日の相手は粘り強いバレーを得意とする国際武道大。試合前の段階では9位と低迷していたが、「こっちが拾い負けないように」(間宮主将・政4)プレーすることが求められる一戦となった。
第1セットは国際武道大にサーブミスが相次ぎ、ラッキーな形で得点を重ねていく。しかし昨日の逆転負けの影響か、慶大側にも全体的に硬さのあるプレーが目立ち、思うように点差を広げることができない。中盤からは野口(環2)のサーブなどで相手レセプションを揺さぶると、星谷(理3)のブロック、クイック攻撃が効果的に決まり相手を突き放した。結局25-17で慶大が幸先よくセットポイントを先取する。
第2セットは、相手のサーブが決まり始め、シーソーゲームとなる接戦に。圧巻だったのは8-8からのラリープレー。相手に攻め込まれた慶大は粘り強くつなぐと、柳田(環2)が好レシーブで拾ったボールを野口(環2)に渡り、最後は岡田の強烈なスパイクが突き刺さった。さらに柳田、間宮も続き、先にセットポイントに王手をかける。しかしサーブが入り持ち味の粘り強さを発揮してきた国際武道大に逆転を許し、25-27でこのセットを落としてしまう。
続く第3セットも引き離せそうで離せない厳しい展開に。セッター野口とスパイカー陣の呼吸が合わない場面もあるなど、「簡単なミスが多かった」(間宮)という課題が見えた。この重苦しい雰囲気を打開したのはやはり柳田だった。自らのサーブで相手を崩し、強烈なスパイクを決めるなどまさに攻撃陣を牽引する活躍。「本当に頼りになる選手」と宗雲監督も太鼓判を押すエースがチームに勢いをもたらすと、連続ポイントで一気に相手を突き放し、終わってみれば25-13の大差でこのセットをものにする。
序盤からサイド、センターからの多彩な攻撃で得点した第4セットも一時はリードを許すものの、柳田がスパイク、サービスエースなど大車輪の活躍。柳田が警戒されることで岡田の鋭いアタックが決まれば、この日スタメンに復帰した山本(環4)が見事なクイック攻撃を決めるなどセンター線も機能。リベロの前田優(環4)、野瀬(環1)が安定したレシーブで攻撃の起点となり、チームを支えていたことも見逃せない。間宮も攻守にわたる大黒柱として主将の意地を見せた。まさに全員バレーで第4セットも奪い、セットポイント3-1で粘る国際武道大を下した。
残るのは来週に控える2試合のみとなった。2チームとも下位に沈むが、国士舘大は順大に、早大は中大に、それぞれ慶大が敗れた相手に勝利した実力を持っているだけに油断できない。また現在4勝の今季の慶大だが、ストレート勝ちは一度もない。優勝の可能性は潰えたが、慶大と同じ4勝3敗のチームが4つという大混戦の中で、一つでも上の順位で終えるには残り2試合をストレートで連勝することも必要となる。
そのために求められるのは「のびのびとした慶應バレー」(宗雲監督)。最後の2試合は目の前の敵を倒すことだけを目指して、躍動感のある慶大バレーらしさを思う存分見せて欲しい。
(文・並松 康弘)
宗雲監督
(今日の勝利で仕切り直しとなるか)昨日の試合で選手が非常に硬かったというのがあったと思うんですよね。普段、私は試合前ミーティングをほとんどしないんですけど、今日は受け身にならないようにという話をしたんですけど、でもまだ硬かったですね。筑波戦にしても中央戦にしても昨日もあと一歩というところでひっくり返されているので、トラウマがよぎるのかみんながちょっと追い上げられちゃうだけで硬くなっちゃいますね。でもこれもいい経験かなと、今日は勝てたのでそういうふうに捉えています。(昨日の負けを少し引きずってしまっていたか)もともと声を出す子たちではなくて、スマートにやることたちが多いので、いつもはキャプテン間宮と柳田が声を出して鼓舞しているんですけど、今日はガス欠気味かなと感じていました。(4セット目には相手に離されかけ、負けた昨日と同じ展開がよぎった)そうですね。たぶんおっしゃる通りで選手たちもそう思っているんですよね。もちろんベンチもよぎったんですけど、冷静に選手、コーチで話していたのは相手は一か八かのサーブを打っていたのでたまたま2セット目にはまってしまっていただけで、それ以外ではミスが多かったので確率からすればそんなに何本も入るものじゃないということでした。なのでこちらはローテをいじることはしませんでした。いいサーブが入って押されかけましたけど、今季頑張っているサイド陣とリベロがサーブレシーブ頑張ってくれたと思います。(厳しい状況では間宮選手、柳田選手の活躍が目立った)間宮はチームの柱として、柳田は最近守りも本当によくなって今日も一本いいプレーがあってすごい盛り上がったんですけど、本当に頼りになる選手に成長してくれています。(サーブで相手のレセプションを崩すシーンも多かったが)アナリストの片岡から情報が入って指示をしてきたんですけど、時々自分たちの作戦をやっていること自体に満足してしまって結局返されてしまうということに気づかないということもあったので、(レシーブが)弱い選手、その周りを動かしてサーブレシーブさせるのが大事なんですけど、その辺は気をつけながら私も見ていました。ただ正直リーグ序盤ほどサーブは強くないなという印象です。(残すは来週の2試合となったが、目指すのは1つでも上の順位ということになるか)そうですね。いいバレーをして勝ち星をちゃんと積めるかどうか、もうそれしかないと思うんですよね。そしていい気持ちで次のシーズンに行けるかどうかということだと思います。(意気込みは)学生にはさっき話したんですけど、うちは横綱ではなくて実際には新興チームと一緒なので、これからの歴史を作るためにはもっとのびのびとした慶應バレーでやって欲しいなと思うのでとにかくのびのび残り2試合やって欲しいなと思いますね。
間宮 秀太
(今日の試合を振り返って)昨日の試合で集中力が切れてしまったので、今日はそれがないように最低限の努力はできたかと思います。(昨日の試合からどんなことを意識して臨んだか)こっちが有利になっていても、ちょっとした油断からミスが出てしまっていてそこで逆転されて負けていたので、今日はどんなにリードしていても気持ちを切らさずに行こうと思っていました。(国際武道大の印象)攻撃よりも拾ってくるチームなので逆にこっちが拾い負けないようにということで対策はしていました。(対戦してみて感じた印象)もう少し堅いチームかと思ったんですけど案外ミスが多かったのでそれに助けられたところもありました。(チームとしての収穫)全体として優勝目指してやってきた中で昨日の敗北で戦線から降りてしまったのでショックが大きかったんですけど、今日勝っていい流れができたのかと思います。(チームとしての課題)簡単なミスが多かったです。派手なプレーで派手に決めることはできるんですけど、地味なプレーで簡単にミスしてしまったりするので、もう少し堅いチームになれたらいいなと思います。(個人の課題)キャプテンらしいことができていないので、負けそうなときに自分がどういった姿勢を示すかが大事だと思います。(国士舘大戦に向けて)結構強いチームに勝っていて、下位とはいえ油断ができない相手なので今日と同じようなバレーができたらいいなと思います。
星谷 健太朗
(今日の試合を振り返って)もうちょっとすっきり勝ちたかったんですけど、勝てたことは良かったかなという感じです。(ブロックが効果的でしたね)相手にプレッシャーをかけることはできたのかなとは思います。(星谷選手のサーブ時に連続得点でしたね)僕のサーブが良かったのではなくて、相手のローテが弱い所だったということもありますし、味方のブロックもすごい機能していたので結果的に連続得点になったのですけど、あれはチームとしての点数なので、それはそれで良かったと思います。(クイックも決まっていました)そうですね、マークが厳しかったということもありますけど、序盤はけっこう良かったです。でも終盤は柳田・岡田頼みの面があったので、そこは克服する必要があると思います。(昨日の試合からどのように気持ちを切り替えたか)昨日も本当は簡単に勝つつもりだったのですけど、それができなくて、チームとしても気持ちを切り替えて臨んだので、昨日よりは調子が悪かった時に大崩れせず、みんな反省を活かしてできたと思います。(ホームでの連戦であったが)観客の皆さんが応援してくれたので、流れができてとてもやりやすかったです。(最終週に向け)あと2戦、順位的には格下相手ですけど、向こうも必死でやってくると思うので、こっちもしっかり上から潰せるように、しっかりと準備して2勝を手に入れたいと思います。
野口 剛志郎
(今のお気持ちを)昨日悔しい負け方をしたということもありますし、今日勝たなければ上位も狙えなかったので、今は勝ててホッとしています。(昨日からどのように気持ちを切り替えましたか)負けちゃったのは結果的に仕方がないので、今日に向けて切り替えるしかないということで、試合にしっかり勝とうという気持ちで臨みました。(日吉での試合が続きましたが)そうですね・・・全勝したかったというのが率直な気持ちで、ただただ昨日の試合が悔しいですね。(最終試合に向けて)まだ上位にいける成績ではあるので、残りの国士舘、早稲田との2試合をしっかりと、自分たちのバレーで勝てるようにしたいです。
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