【ソッカー男子】第8節 2点ビハインドからの大逆転勝利!今季初の連勝を飾る 順大戦

大逆転勝利に歓喜する荒鷲イレブン

荒鷲イレブンが、またもや劇的なドラマを生み出した。前節の明大戦で待望のシーズン2勝目を挙げた慶大。今季初の連勝を目指すべく、臨んだ順天堂大戦は、慶大が前半に2点のリードを許す苦しい展開を強いられる。しかし後半、荒鷲たちは「気持ちが一つになってゴールを目指した」(須田芳正監督)。怒涛の攻撃で同点に追いつくと、ロスタイムに増田湧介(環2・清水東高)が決勝ゴールを決め、3-2で大逆転勝利。慶大が変わらぬ底力をみせた試合となった。

 

2012/5/20(日)13:50KO   @味の素スタジアム西競技場
慶應義塾大学3(0-2)2順天堂大学
【得点者(アシスト者)】27分   順大 斎藤拓也(天野純)、33分 順大 長谷川竜也(天野純)、74分 慶大 オウンゴール、79分   慶大 藤田息吹(赤木努)、90+2分   慶大 増田湧介(松下純土)
◆慶大スターティングメンバー
GK 峯達也(政2・桐光学園高)
DF 保田隆介(法2・横浜F・マリノスユース)
DF 長尾賢太郎(総2・ヴィッセル神戸U-18)
DF 佐潟隆平(法4・鶴丸高校)
DF 岩田修平(総3・名古屋グランパスU-18)
MF 増田湧介(環2・清水東高)
MF 藤田息吹(政4・藤枝東高)
MF 松下純土(総3・國學院久我山高)
MF 近藤貫太(総1・愛媛FCユース)→62分赤木努(経4・大宮アルディージャユース)
MF 武藤嘉紀(経2・FC東京U-18)→77分森田達見(経4・川崎フロンターレU-18)
FW 平戸奨眞(法2・暁星高)→HT山浦公裕(商4・FC東京U-18)
 

 

今季初スタメンを飾った佐潟

慶大は前節で負傷した松岡淳副将(商4・慶應湘南藤沢高)に代わり、佐潟隆平(法4・鶴丸高校)がスタメン出場。また、岩田修平(総3・名古屋グランパスU-18)を左サイドバックに、保田隆介(法2・横浜F・マリノスユース)を右サイドバックに置く布陣を採用した。

試合は試合開始直後から、慶大、順大ともにチャンスをつくる。慶大は、前半5分、近藤貫太(総1・愛媛FCユース)が直接フリーキックでゴールを狙うもこれは壁に直撃する。また、10分には近藤のフリーキックから佐潟が頭で合わせる。しかし、これは惜しくもゴール左に外れてしまう。対する順大も、ピッチを広く使い、両サイドを起点とした攻めで慶大ゴールへ襲い掛かる。試合が動いたのは27分、相手選手が左サイドを駆け上がり、グラウンダーのクロスを中央に折り返すと、走りこんでいた斎藤に合わせられ、先制点を許す。失点直後も順大にペースを握られる。すると33分、再び左サイドでボールを持たれると、華麗なパス回しからクロスを上げられ、ゴール前で長谷川に合わせられる。このシュートは一度、ポストをたたくもボールは無情にもゴールに吸い込まれ、慶大が2点のビハインドを背負うようになった。その後は慶大が形成を立て直すも前半はそのまま0-2で終了した。

今節は右サイドバックでプレーした保田

迎えた後半、慶大は平戸奨眞(法2・暁星高)に代えて山浦公裕(商4・FC東京U-18)を投入。しかし、後半になっても慶大はボールがなかなか繋がらず、苦戦を強いられる。だが、後半17分に赤木努(経4・大宮アルディージャユース)がピッチに送り出されると、前線でボールが収まるようになり、試合の流れは慶大に傾いていく。すると29分、前線でロングパスを受けた赤木が相手選手を一人かわしてそのままシュート。これが相手のオウンゴールを誘い、慶大が一点差に詰め寄る。さらに攻めたてる慶大は34分、赤木のコーナーキックから藤田息吹主将(政4・藤枝東高)が豪快なダイビングヘッドを突き刺し、2-2同点に追いついた。その後は一進一退の攻防が続き、このまま引き分けかと思われた後半ロスタイム、慶大に最高のドラマが待っていた。ドリブルで持ち込んだ松下純土(総3・國學院久我山高)がペナルティ付近にいたフリーの増田へ折り返す。「何も考えずに無心で打った」(増田)シュートは鮮やかな軌道を描き、順大ゴールへ吸い込まれた。慶大が終了間際に試合をひっくり返し、3-2で劇的な勝利を飾った。

赤木は途中出場ながら、2得点に絡む活躍をみせた

2点のリードを許しながらも、後半に3点を奪って掴んだ今節の勝利は大きい。しかし、「自分たちのサッカーを貫けた」(松下)後半に比べて、前半は「後手に回ってしまった」(増田)。まだまだ試合の中で調子の波があることが、現チームの課題といえるだろう。それでも今季初の2連勝により、リーグ戦の順位を6位まで上げた荒鷲イレブン。上昇傾向にある彼らは勢いそのままに、次節、宿命のライバル・早大との伝統の一戦を迎える。

(記事・田中 裕之)

 ・試合後コメント

須田芳正監督

(後半からはパス回しのなかで、長いパスから縦を狙う展開が多くみられたが、ハーフタイムはなにか指示をだしたか)何も言わなかった。プロでもないし。学生スポーツの良いところは、もちろん監督がサッカーの戦い方の方針を出すのだけれども、その中で学生が主体になって、どう戦うか。コンビネーションだったり細かいところは学生たちが主体となって、ひとつの目標に向かって、ベクトルを同じように向けてやっていくのが学生スポーツの特に良いところだと思うんだよね。特に慶應っていうのは昔から学生が良く考えて試合に臨むんだというところがいい伝統だと思う。その部分があまりにも欠けていた。我々は長短合わせたパス回しをして、ビルドアップして、ゴールまで結びつけようというサッカーを練習でしているのに、今日は前半はディフェンスラインからなにも考えていない。もちろん風が強くてボールが収まらない。そういう技術的な部分で低い部分はあるんだけども、そうやってしっかりパスコースを速くつくってボールを動かして、ゴールを目指そうっていう練習でやろうとしていることをやらないっていうのはおかしいわけでしょ。何のための練習かということになっちゃうので。サッカー的に成長するためにはゲームでトレーニングしたことをトライすること。そうやって成長していってシーズンで徐々に良くなっていく。それがリーグ戦文化なのだから。勇気をだして、トライする。もちろん勝ちたいと思いすぎちゃって固くなるという部分はあるんだけども、サッカーの部分の質を上げるというか、上げるには勇気なのだと思うんだけどね。そういうトライする気持ちを持ってサッカーの質をあげてもらいたいなと思います。(今節、保田選手を右に、岩田選手を左に配置した理由は)岩田が上がりすぎ。上がりすぎるのはいいんだけれども、タイムリーなときに上がらないでいつも上がっちゃうから。サイドバックっていうのはディフェンダーだから、守ることが大切。右だとどんどん上がっていくから左にして、上がらせないようにするために。あと、相手の三番がかなり上がってくるっていうのもあって、今回は逆にしました。(後半の3得点を振り返って)まずは気持ちが一つになったというかね、みんながやらなきゃいけないと。ゴールを目指そうと、まず一体感というか、気持ちが一つになって、ゴールを目指した。それが3点に結びつくし、最初からもうちょっとやった方がいいんだけれども。(ハーフタイムに平戸選手を下げたのは)平戸がいることによって、蹴っていいのかなと。ビルドアップをしていく中で前にあてる、あるいは頭をめがけてとか、高いボールで収めようと。そういうのであれば彼を置いておく意図があったんですけど、そればかりに頼っちゃって、フリーな人に繋いでいき、数的有利を作りながらゴールを目指すというのが全くないので、もう外してそれは無いよと。(平戸選手のパフォーマンスというよりかは、システム的な理由か)そうですね。あと少し頭(のけが)もあったので。大事をとってというのもありますけど、一番はシステム的なメッセージです。(近藤選手も代えたが)まあ良くないでしょ。負けている状況なので、システムも変えて。4‐3‐1‐2にして、縦に速い展開を考えていたので、それでまえの2人はもう代えちゃいました。(実際ツートップになってからは前線でボールが入るようになり、ゴール近くでボールをキープするシーンが増えた気がするが)そうですね。どんどんディフェンスとディフェンスの間に走り抜けてたり、まずは相手より走り抜く、走る量を増やすことが大事だったので、赤木と森田はよくその部分ではやったと思います。(次節への意気込みを)早稲田ということで、学生たちは力が入ると思うんですけど、リーグ戦の一つなので。また同じように、いい準備をして、いいゲームができるように、勇気を持って戦えるように、練習して臨みたいと思います。

MF藤田息吹主将(政4・藤枝東高)

(劇的な勝利を挙げた今の気持ちは)正直ほっとしている部分が大きいです。結果としては勝つことが出来たのですけど、反省が多い試合だったと思います。(具体的に反省とはどういった部分か)特に前半のような、サッカーをしてしまうってことが良くなかったと思います。(後半3点とれた要因は)ハーフタイムに監督に言われたんですけど、出ている選手でやるしかないってことを言われて。選手一人一人が自分たちでやるしかないんだってことを思ってくれて、気持ちの面で戦う姿勢だったりが出てきたことが良かったと思います。(ご自身のゴールを振り返って)一点とってチームの雰囲気が押せ押せ状態だったので、その中で追加点が取れて良かったのと、個人的には今季初得点だったので良かったです。(これで連勝となりましたが、チームの調子は)雰囲気自体は良いんですけど、まだまだ今日の前半のようなサッカーをしてしまう可能性もあるので、油断はできないと思います。(次節への意気込みを)やっぱり早稲田は特別な相手ですし、リーグ戦でも上位のチームなんで、負けないように、勝ち点3を積み上げられるように、頑張りたいと思います。

MF赤木努(経4・大宮アルディージャユース)

(試合を振り返って)内容はともかくとして、勝てて良かったです。(勝因は)学生主体ということを意識し始めてから、少しずつ良くなってきたという感じはあります。(途中出場だったが、意識したことは)ゴールに向かうプレーが少なかったので、とにかくゴールに向かうということを意識してやりました。(今季初の連勝となったが、チームの調子も上向いて来たか)序盤になかなか勝てない中でも、みんなでもがいたのが良かったかなと思います。負けたからこそ1人1人が自覚を持てるようになりましたし、このまま波に乗っていければいいと思います。(早大戦に向けて)僕が入部してからは1度も負けていないので、その流れを閉ざさないように勝つだけです。

MF松下純土(総3・國學院久我山高)

(今日の試合を振り返って)前半自分たちのサッカーが出来ずに0-2で折り返して、いつもだったらずるずると90分間やって結果的に負けてしまうっていうゲームが多かったんですけど、うまくハーフタイムで切り替えられて、後半気持ちを新たにして自分たちのサッカーを貫けたのが結果的に逆転に繋がっていると思います。(逆転ゴールをアシストしたが)2-2になったときにまだ時間もあったので、流れも慶應ペースだったので、全員が3点目を取りに行こうという意志があった。僕自身も結構前に残っていて、あの場面は自分で打てたんですけど、増田選手が走ってきたのが見えたので。増田選手に出した方が入るかなと思ったので、たまたま出せました。(前後半で流れが大きく変わったがハーフタイムにはどのような指示があったのか)いつもだったらすごく怒られるのですけど、今日はむしろ自分たちでやってくれという感じだったので、逆に僕たちもそれで感化されたというか、やらなければいけないという気持ちになりました。(今日は松岡選手が負傷で出られなかったが)もちろん副キャプテンなのでいないのは正直痛いのですけど、今年のコンセプトとして誰が出ても遜色のないプレーができるというのがあって、また副将がいないことによって1人1人が自覚をもって良い方向に進んでいっていると思います。(次節の早慶戦に向けて)今日勝って2連勝してチーム全体が良い雰囲気できているので、今週1週間もいい準備して、いつも通りのプレーをして結果にこだわって頑張りたいと思います。

MF増田湧介(環2・清水東高)

(今日の試合を振り返って)前半相手に先に得点を許してしまって、なかなか自分たちのサッカーができなくて、ハーフタイムにも監督に結構厳しいことを言われて。そこで逆に吹っ切れて後半やるしかないということで、チームでやる気を入れて、最終的には勝てたんですけど、課題が多く残る試合でした。(得点を振り返って)後半はずっと押し込んでいたので、自分は守備のことだけを考えて相手にカウンターをさせないように、その流れを切らさないようにしていたんですけど、最後は相手もあまり守備に残っていなかった。自分のマークも甘かったので、そこはうまく見て自分が上がっても大丈夫かなと思って上がったらいいボールが来たので打ちました。(決めたときの気持ちは)普段から守備の面が自分の役割なので、なかなか得点というのは機会が少ないので、気持ちよかったです。(非常に難しいシュートだったが)プレッシャーも無かったし松下選手の落としたボールもすごい丁寧で、特に何も考えずに無心で打ったら決まっちゃったみたいな感じですね。(ハーフタイムには具体的にどのような指示があったのか)サッカーの戦術的な指示はほとんどなくて、何というか呆れられたという感じで、本当に相手の方が闘う気持ちがありましたし、一歩早かったですし、そういったところで失点してしまって。後手に回ってしまったので、そういったところの気持ちの面で今回は言われてしまいました。前期はいい試合をしたあとの次の試合で気持ちの面で言われることが多かったので、全く成長できていないし、今回はひっくり返せたというのは良かったですけど、気持ちの面でもう一回しっかり準備してやっていきたいと思います。(ここ数試合終了間際のゴールなど去年のような粘りがでてきたが)慶應の一体感のようなものが今シーズンになってだんだん出てくるようになってきているのではないかと思っていて、先週の明大戦でもそうですけど、本当に観客席の選手たちが声を切らさず応援してくれているし、ベンチでもサブの選手だったり監督コーチなどの慶應に関わっているすべての人が勝ちたいという気持ちで入ってくれているので、その一体感が終了間際の結果に繋がっていると思います。

 

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