六旗の下―。それは東京六大学の応援部、応援指導部が一か所に集い、応援を披露する場である。普段は早慶戦をはじめ、慶大体育会の様々な試合で選手を“応援”する立場にある慶大應援指導部。しかしこの六旗の下にだけは“主役として演技する”。
慶大應援指導部の出番は5番目。若き血、チャンスパターンメドレー、勝利の拍手、そして塾歌。リーダー部の幹部である4年生4人がそれぞれが躍動感ある動きで牽引し、見事な応援で会場を沸かせた。
「なるべく伝統にはとらわれたくないので、常識にとらわれず自分たちが新しい流れを作っていく。例年と同じでは全く面白くないので、伝統があればあるほど挑戦したくなるというのはある」(小山主将)。まさに今年の慶大應援指導部らしい応援演技だった。しかしリーダー部はじめ應援指導部の本分は「応援」。これからも慶大体育会を勝利に導く、迫真の応援で慶大を引っ張っていってくれるはずだ。
(取材 並松 康弘、古屋 雄斐)
小山 太輝 主将(六旗の下にを終えて)僕らは応援が本分なんですけれど、実際舞台に上がってみると不思議な世界ではありました。あれだけの人が喜び、感動して声出している姿を見て、これはこれで大事なイベントであり、僕らが精一杯のことをした甲斐があったなと思いました。(今回はリーダー部の方々が主役だった)そうですね。慶應はあまり舞台向きの動きがあるわけでもないですし、応援部の一つのイベントとしての六旗の下になので、僕らの一番いい形を全力でやったつもりです。工夫としてはお客さんの近くで、応援団ではなく應援指導部として少し客席に入ってみたりと少しでも意味のあることをしたいなと思っていました。(普段の応援との一番違いは)やっぱり対象がないことですかね。(今回は)対象はあくまで僕らで最終目標は盛り上がることでしかなくて、応援する対象があるわけでないので。エンターテイメントとしての一面が強いという点はあるんですよね。でも上がってみたら本当にびっくりしましたね。あんなに盛り上がるんだなと、これはこれで僕らが全うしなければならない、イベントだなと思いました。やっぱりやるからには他大には負けなくないですね。(勝ち負けが明確にはつかないが)やっぱり声の大きさは聞いて分かるし、雰囲気って分からないようで分かるので、圧倒的に人が引きつけられたり、どっと沸いたりする瞬間を作れているかというのは勝ち負けとしてはっきりはしなくても、自分たちの中で手ごたえは感じます。そういう点ではよく出来たと思います。(59回目という伝統は意識するか)僕らはなるべく伝統にはとらわれたくないなというのがあって、今回はあまり形を崩してはいないですけど、例えば僕ら4年生が会場を走り回るだとか、なるべく常識にとらわれず自分たちが新しい流れを作っていく。例年と同じでは全く面白くないので、伝統があればあるほど挑戦したくなるというのはあります。(ケガをしても役目を全うしようという思いはどこから生まれるか)僕の場合は主将という立場で、塾歌は唯一の主将にとっての曲なので、そこだけは僕の代わりに出てもらうわけにはいかないですし、それは何があっても出なくちゃいけないという気持ちでした。(最後の六旗の下でしたが)最後にしてこんだけ感じられるんだなと思いました。僕らはもっと取り組まなくちゃいけないなと改めて思いました。応援ではないけども、いいものをプライドを持って作っていくといういい勉強になりました。(今後への意気込みは)今、早慶戦の勝利数が早稲田と拮抗しているので、普段は大差をつけられてしまうんですけど、今シーズン終わった時に数年ぶりに勝ち越し、野球ではもちろん優勝して三田でより多くの人と丘の上を歌うことです。
佐野 心一 副将
(六旗の下にを終えての率直な感想は)色々ありましたが終わってみればよかったかなと思います。(普段は応援する立場だが今日は主役だったが)ちょっとおこがましいという思いもあったんですが、こういう形での応援もありなのかなと。(観客席からは大きな声援があがっていたが)なかには普段応援している側の人とかもいて、逆の立場になってしみじみしたものがあります。(六旗の下にと慶早戦はどちらが重要か)それはもちろん慶早戦なんですけど、だからといって六旗も六旗で別の次元のすごい価値のあるものだなと思います。(4年間最後の六旗の下にとなったが悔いなくやりきれたか)はい、そうですね。(これからも六旗の下には続いていくが後輩に期待することは)ただ自分と戦い、あとは六大学の他大学の同期と一緒に頑張ってくれれば、あとは言うことないです。(今後の目標は)野球の秋のリーグ戦は優勝してパレードします。
吉貝 穣 主務兼旗手長
(六旗の下にを終えて)準備期間が短い中でそれなりに形になったかなと思います。ひと安心しています。(普段は応援する立場だが今日は主役だったが)たまにはいいんじゃないかなと思います(笑)。(観客席からは大きな声援があがっていたが)多分ほとんどがうちのOBなので気にしないです(笑)。(慶早戦と六旗の下にはどちらが重要か)もちろん慶早戦ですね。そういうものありきでうちの部活があるので、六旗の下には悪く言えばおまけというか、そのエネルギーをちょっと違う形にしただけなので。(4年間最後の六旗の下にであったが悔いなくやりきれたか)もっと準備期間があれば色々できたのかなというのはありますが、それはきりがないので。とりあえずはそれなりの形であって精一杯やれたのでよかったと思います。(これからも六旗の下には続いていくが後輩に期待することは)会場も含めてもっと派手にできるんじゃないかなと思います。(今後の目標は)幻の大塾旗という大きい旗があるのでそれをあげることと、あとは主務をやっているので神宮にお客さんを呼ぶという数値的なものを上げていきたいです。
北島 弘貴 リーダー部責任者
(六旗の下にを終えて)目標が達成できなかったんですが、部員一同満足している人も失敗した人もいると思うんですけど、一つの成長できるきっかけになったと思います。(目標とは)伝統の勝利の拍手において、やっている中で拍手をもらうことでした。他大学も今年はあまりなかったんですけど、目標が達成できなかったですね。(リーダー部の方々が主役でしたが)これは本当に自分の自己満足のステージなので、思い切ってそれに徹してやろうかなという形でした。(普段の応援と最も違う点は)試合の流れを見て、応援を作っていったり変えていったりというのがあるんですけど、ステージは最初からその一回にかけて目標をやり通すということなので、終わりが見えているところですね。いつもは勝つまでで、終わりが見えないんですが、今回は終わりが見えている中でどこまで出し切れるかということですね。(この舞台に立てることは)ありがたいとしか言いようがないですね。(今後への意気込みは)もうこういうステージはないので、各種試合や慶早戦で応援を精一杯頑張っていきたいと思います。
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