【バスケ】噛み合わない歯車 東海大に敗れ、新人戦は3年連続でベスト16敗退

権田隆人(政2・慶應高)

第52回関東大学バスケットボール新人戦 2012//14(水)@駒沢屋内球技場 慶大東海大 慶大は新人戦初戦の東京成徳大戦では、100点ゲームで相手を圧倒しながらも、リバウンドという大きな課題を残した。2年ぶりのベスト8進出をかけて挑む相手は、圧倒的な高さを誇るインサイド陣を要する東海大。優勝候補にも挙げられる相手に対し、チーム一丸となって戦った慶大だったが、持ち味のトランディションバスケットを披露することは出来ず、春シーズンを悔しい結果で締めくくることとなった。 

 1Q2Q3Q4Q合計
慶大1710261564
東海大2030222094
◆慶大ステーティングメンバー
 選手名(#背番号・学部・学年・出身校)
PG#4 伊藤良太(環2・洛南高)
SG#13 大元孝文(環1・洛南高)
SF#20 真木達(環1・国学院久我山高)
PF#6 権田隆人(政1・慶應高)
#7 黒木亮(環1・延岡学園高)
◆主要選手スタッツ(背番号・選手名・スタッツ)
#6権田隆人:12得点、#7黒木亮:13得点・12リバウンド、#13大元孝文:17得点、#19福元直人(環1・福大大濠高):10得点

 

大元孝文(環1・洛南高)

今大会において優勝候補に名を連ねる東海大。その東海大に対し、開始から慶大は積極的に仕掛けていく。権田の飛び込みリバウンドや真木のスティールなど、高さで分がある東海大に、慶大はリバウンド・ディフェンス共に足を動かして対応。相手に思い通りのプレーをさせない。しかし、立ち上がりはシュート精度を欠いてしまう。フリーの状況を作れているにも関わらずミドルシュートを落としてしまうと、そのリバウンドを東海大に確実に拾われてセカンドチャンスを作り出せない。さらに、落ち着きを取り戻した東海大が高さで勝るインサイドで着実に得点。5分を回ったところで、9‐15と6点のリードを東海大に許してしまう。だが、ここから慶大が息を吹き返す。投入された#23山崎哲(環19・秋田高)がブロックショットを見せると、大元のスティールから福元の速攻が決まる。その直後のディフェンスで24秒バイオレーションを奪うと、東海大に傾きかけていた流れを引き戻すことに成功。17-20と互角の戦いを見せ1Qを終える。2Q序盤、慶大は1Qの勢いそのままに積極的にシュートを放つがリングに嫌われてしまう。そのリバウンドをことごとく東海大に奪われ、速攻から立て続けに失点を喫してしまう。2Q開始からの3分もの間、慶大は得点を取ることが出来ずにいると、その間に東海大に9点を積み重ねられ、一気に突き放されてしまう。苦しい中で大元が積極的に仕掛けてチームを鼓舞するが、チームの核である頼みの伊藤がオフェンスに絡むことが出来ず。終盤にはフリースローやイージーシュートのミスなど集中力の欠如も見えてしまった慶大。このQだけで見ると10-30と大きくリードを奪われてしまい、27-50で試合を折り返す。

福元直人(環1・福大大濠高)

大きく離される苦しい展開の中、3Qで踏ん張りを見せたのは権田。前半では決めることの出来なかったベリメーターからのシュートを開始早々沈めると、このQだけでスリーポイント2本を含む10得点の活躍を見せた。しかし、権田の孤軍奮闘にチームが応えることが出来ず。49-76と差を縮めることは出来ずに3Qを終える。意地を見せたい慶大は、4Qに選手全員が必至のプレーを見せ、猛追を試みる。大元がテンポよくスリーポイントを放つと、そのリバウンドに黒木、山崎哲、権田らが積極的に飛び込むなど、それまで対抗出来ていなかったリバウンドで踏ん張りを見せる。さらには、福元の積極的な1on1、真木の速攻など必死に点差を縮めるが、それまでに積み重ねられた点数が重く慶大にのしかかった。要所で光るところを見せたものの、東海大という「高い」壁に阻まれた慶大。64-96。ベスト8を前に3年連続で散ることとなった。 「リバウンドが取れなかったことが大きな敗因」(伊藤)というように、初戦で見つかった課題を克服することは出来ず、悔しい敗戦となってしまった。大元や福元、黒木ら1年生の活躍など収穫もあったが、その裏で「僕自身が本当に不甲斐ない」(伊藤)と悔しさを滲ませた伊藤の不振、「実力差」(佐々木HC)が垣間見えてしまった試合展開など、不安要素も多く見つかってしまった試合となった。 主力選手の多くを長期間怪我で欠き、苦しい試合の連続となってしまったこの春シーズン。一部復帰を目指すチームにとって、昨年と同様に結果が出なかったことには大きな不安が残った。だが、不安材料ばかりではない。「責任を持つべき人が自分の役割をしっかりとやった」(佐々木HC)結果、一部の強豪相手に優位に試合を運べているシーンも多かった。「断片的にはいいプレーをする」という佐々木HCの言葉通り、勝利という結果には繋がらなかったものの、所々で見られた素晴らしいプレーは秋のリーグ戦へと必ずや繋がっていくだろう。早慶戦後に桂主将が、「あと一歩で強い相手に勝てるウチのバスケが確立出来ると思うので、本当に悔しいですけどここで下を向かないで、ちゃんと目標を忘れずに頑張っていきたい」と語ったように、彼らに下を向いている時間はない。全ては「一部復帰」という目標を達成するために――。彼らの挑戦はまだ終わってなどいないのだから。

(記事・大地一輝)

◆試合後コメント 佐々木三男HC 実力差がありますね。体力や走力を含めて全ての面で実力差があります。(個々のプレーについて)いいプレーもあるんですけど、持続性がないんですよね。断片的にはいいプレーをするんですが、それを持続出来ない。例えばさっき黒木には言ったんですが、24秒あるうちの15秒ぐらいでシュートを打つわけなので、リバウンドを取る機会は1分間で3回あるわけなんです。そういう風に区切って、その3回に集中をして欲しいんですが、そういう考え方がまだ出来ていないので、プレーに抑揚がないというか、ダラダラとやってしまっています。悪い意味で慶應に馴染んでしまっていますね。(春シーズンを振り返って成長した点は)成長というか良かったのは、トーナメントや早慶戦で、責任を持つべき人が自分の役割をしっかりとやった時があったことです。秋に向けても、それを持続的に出来るようにさせないといけません。(秋シーズンの前には延世大との定期戦があるが)今年はあちらの事情で7月の末にあるんですが、韓国は高さがあるしシュートも入るので、ディフェンスを試すいい機会だと思っています。 PG伊藤良太(2・洛南高) チームというよりも僕自身が本当に不甲斐ないプレーしか出来なかったんで、チームに申し訳なくて。キャプテンとして、チームの代表として出ていたんで、引っ張っていく立場だったのに、自分が引っ張りきれなくて一年生や他の二年生に助けてもらってばっかりだったんで、情けなく思っています。技術面としてはリバウンドが取れなくて、自分たちの本来の形であるディフェンスから速攻っていう形を作れなかったんで、今後秋シーズンに向けて今シーズンの反省を活かして、必死になって頑張っていきたいと思っています。(2Qで崩れた要因は)下らないターンオーバーと、リバウンドが取れなかったことが大きな要因だと思うんですけど、オフェンス面で固くなってしまって、大元君や真木君達フォワード陣ばかりに頼ってしまって、チームとしてのオフェンスの機能がなくなってしまったのが反省です。(ガードとしての役割について)僕自身が落ち着いて出来ていなかったっていうか、オフェンスのバランスも悪かったですし、チームを落ち着かせることが出来なかったんで、相手が強いチームになった時にゲームをコントロールできるように、日ごろの練習からしっかり一つ一つのプレーを意図的にできるようになって行きたいと思います。(4番を背負ってのプレッシャーは)最初の1試合目は感じたんですけど、プレッシャーというよりも、日ごろから中心選手として引っ張って行こうと思っていたんですけど、桂さんや上級生がいないとなると、自分の心の弱さだと思うんですけど、やりづらかったです。でも、そんなことも言っていられないと思っているんで、練習からしっかりやっていかなければいけないと思っています。(課題は)先生もおっしゃっていたんですけど、中心となる存在だと思っていますし、今回のような不甲斐ない結果だと、チームに迷惑もかけるしゲームにもならないと思っています。日ごろの練習からもっと必死になっていかないといけないと思いますし、ガードとして圧倒的な力を付けないといけないと思っています。上級生に上がっていくにつれて、チームを引っ張っていく立場なんで、一つ一つの発言だったり行動だったり、もっと考えて行動していきたいと思います。技術面ではシュート力とか細かい基礎のところをしっかりして、安定したポイントガードになりたいと思っています。 F権田隆人(政2・慶應高) (今日の出来を自己評価すると)最上級生として入った試合だったんですけど、先生もおっしゃられていたような最上級生としてのプレーというものをなかなかできなかったのが、1Qだったり2Qだったりで、自分の出来としては全然でした。まぁ1年生に勝たせられなかったっていう意味でも、全体的な意味でも、出来っていう面では全然良くなかったですね。(東海大の印象は)身長が高いということは結構前の段階から分かっていたので、そのことへの対応っていうのを、この新人戦に向けて練習でやってきたんですけど、リバウンドだったりゴール下のディフェンスだったりで、やっぱり東海大と差が出来ちゃったのかなぁっていうふうに思っています。(チームにおける自分の役割は)やっぱり自分が点を取らなきゃなというふうに思って、1・2Qであれだけ自分の得点が入らなくて結構沈んでたんですけど、やっぱりチームメイトだったり、ベンチのみんなだったり、後ろで応援してくださっている先輩の方だったりとかが、「権田どんどん行け!!」だとか「もっとどんどん打っていいよ」というふうに言ってくれたので、3Qはとても積極的に行ったんですけど…。やっぱり点を取らなきゃっていうのと、あと、今の新人戦メンバーだと4番だったのでリバウンドを取らなきゃっていう点をあまり実践することが出来なかったので、今日はまだまだでした。(敗北の中から見つけた収穫は)やっぱり1年生がすごく頑張ってくれていたので…まだ入ったばかりなのにあれだけすごい、まぁ大元だったり黒木だったりがすごく良い活躍をしてくれているんで、彼らがもっとチームにアジャストしてくれたら、秋に向けて良いチームになると思いますし。まぁ、個人的にはなかなか今日の東海大学と競るということは無かったので、もっと割と得意なシュートっていう武器だったり、あとは一方のリバウンドだったりディフェンスだったりっていうあまり得意じゃない部分の両方を、夏休みなどで克服して秋に取り組んでいけたら良いなと思っています。(今後にむけて意気込みを)フルメンバーで出られるかどうか分からないんですけど、フルメンバーの中でもスコアラーの矢嶋さんが今怪我してて、なかなか点を取れる人がいなくなっているので、僕がそこに入っていけたらいいなっていうのと、あとはまぁ、本当にこのチームっていうのは今2部で1部に上がらなきゃいけないチームだと思うので、1部に上がる努力をしていかなくてはなぁと思います。 SG大元孝文(環1・洛南高) 前の試合で課題として残っていたゴール下の部分で対処できなくて、2クォーターくらいから差が開いてしまったのかなと思います。結構リバウンドの対策とかもしてきたんですけど、東海大のケビンさんとザックさんと橋本君が想像以上に高くてその部分でやられてしまったと思います。(後半に集中力が切れてしまったことについて)点差が開いたので、フロントコートに入る前にバックコートでプレッシャーをかけようということになりました。ですがハリーバックという意識が皆の中にまだなくて、そのプレッシャーが空振りになってしまった時に、皆が戻らなかったり、セカンドショットをとられたり、そこで更に点差が離れて、集中力を切らしてしまいました。そこはチームの中心の人が声をかけて、集中を高めるべきだったんですけど、そこまで余裕がなかったので、そういう面でも若いチームの課題が残ったのかなと思います。(春シーズンを通してチームで成長できたこと)慶関戦も10年ぶりくらいに負けてしまって、トーナメントも納得のいく結果が残せない中で、チームで何回かミーティングしながらやっぱり生まれ変わらなきゃだめだという話になりました。早慶戦はチームとしてのまとまりの兆しが見えてきて、そういう中で新人戦に繋げていきたかったんですけど、こういう不甲斐ない結果になってしまいました。でも春シーズンを通してチームとして出来上がってきていると思うので、今度はそれを秋に向けてしっかり修正していきたいと思います。(春シーズン通しての個人の成長)1年生らしくハツラツとプレーしなさいと佐々木HCにも言われていましたが、ちょっと不安定な部分もあって、納得のいく結果ではなくて、非常に悔しい部分もあります。今日の試合も攻め気はよかったんですけどそれがシュートに繋がらないという場面も多くて、高校でバリバリやってきたうぬぼれというのがあって悔しいです。(秋シーズンに向けて)秋シーズンは2部からのスタートになるんですけど、1部昇格して日本1になりたいので、春シーズンを通じて得た自分の課題を見つめなおして、秋シーズンに向けて体づくりから始めて、絶対秋シーズンには1部に復帰したいと思います。 PF黒木亮(環1・延岡学園高) 結果的にはこういう結果になってしまったんですけど、1Qは出だしを気をつけた分、格上の東海に自分達の力が通用していると1Qは思っていました。でも2Qからは、試合後に佐々木先生が言われていたんですが、中心となる僕とか伊藤さんとか試合に出る人たちが不安定で、2Qとかにミスだったりミスしたあとのプレイが出来ていなかったり、メンタル的なものもチグハグになっていた状態が続いた結果、今日の結果になったと思います。(1Qに通用した部分は)ミーティングで出だしをしっかりすれば自分達のペースにもっていけると話し合っていて出だしの部分はしっかり出来たと思います。プレイ的な面では最初走ったりだとか速攻の部分を皆走れていたんですけど、後半になるとだんだん自分達のやるべきこと、フォーメーションが出来なくなって、新人チーム1、2年のそういうところが課題だったんですけど、東海戦では特にチグハグになったと思います。(春終わってみて今のモチベーション的には)監督の福島さんにも言われたんですけど、全てが悪いわけではなくて、結果的には良くないんですけど、早慶戦とか色々な試合をしていく中で個人個人の誰かの成長であったり、良い場面があったと思います。それでも自分達の掲げている目標に達することが出来なかったので、残念でした。これからオフがあるのでこの機会を使って他の大学にも負けないように個人の能力をあげるためにトレーニング、自主練を頑張っていきたいです。(秋シーズンに向けて)チームとしては一部昇格、インカレ優勝が目標なんですけど、個人的な大きな目標を言うと、大学に入ってまだ当たりが弱い部分があるので体をしっかり作って安定したプレイを出来るようになりたいです。自分自身が安定すれば周りもプレイしやすくなると思います。オフの日も大事だと思うので、自分がストイックにトレーニングや自主練して、掲げた目標を達成できるよう頑張っていきたいです。 F真木達(1・国学院久我山高) (新人戦を振りかえって)早慶戦があったので練習期間が一週間短かく、準備不足というのがチーム全体でありました。個人的には一回戦の東京成徳大戦でもシュートがあまり入らなくて、今日の試合も入らず、悩んでます。自分にとっては新人戦で優勝することが目標だったんですけど、自分があまり貢献出来なかったと、新人戦を振りかえって思います。(東海大の印象について)3番、4番、5番に高い選手がいたので、リバウンドが強かったです。(リバウンドの対応について)チームで課題はリバウンドだと試合前のミーティングでもお互い話し合ってたんですけど、リバウンドを取られてセカンドチャンスを与えてしまいました。相手は点を決めてからどんどん調子付いてきたので、徹底出来なかったなと思います。(春シーズンについて)トーナメントとか早慶戦とか今日の東海大戦もそうですが、一部の強い相手と試合ができて、2部では味わえないディフェンスのプレッシャーとか、試合勘とかというのを少しは経験出来たと思うので、秋に繋げていきたいです。またスピードの部分では、一部の選手にも劣っていないというか、やれる部分はあったと思うんですけど、フィニッシュのところでシュートを決めきれない時が多いです。自分が調子の悪い時にいかに自分で立て直すかというのが自分の中で課題となっているので直していきたいです。(延世大学戦、秋のリーグ戦に向けて)今矢嶋さんがいなくてフォワード陣で点が取れる人が少なく、フォワード陣では僕が点数を取らないと行けないと思うので、それを常に頭に置いてコンスタントに点数を取れるように延世大学戦、秋シーズンもがんばっていきたいと思います。

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