今年の6月初め、アメリカのニューヨーク州に位置するHofstra大学が来日。国際交流の一環として、日本代表、慶大、東大といったチームと親善試合を行う機会があった。筆者は、このうち慶大の試合について取材を行った。その運営の長として活躍した日本ラクロス協会(以下JLA)国際部の櫻井祥平さんのお話はまた第4章に持ち越しとして、今回はHofstra大学の選手たちの様子を中心にお話ししていく。
まず、今回Hofstra大学のラクロスチームが来日したが、本来は昨年行われる予定だった。しかしながら、3.11に起きた東日本大震災の影響で延期を余儀なくされてしまう。1年間延期をして、今年こういった機会が実現したわけだが、Hofstra大学の選手たち、そしてその保護者にも不安があったという。昨年日本に起きたことを考えれば、「放射能の影響は本当にないのか。」そういう心配を抱く選手たちがでても何ら不思議ではない。しかし、そこで重要だったのは日本と米国間での信頼関係。今回、Hofstra大学の来日が実現したのは、JLAの理事の中にHofstra大学・ヘッドコーチTierney氏と学生時代からの親交の厚い方がいたから。「あいつが大丈夫と言っているのであれば、安心だ」。20年来の仲があったからこそ、来日が実現したのだ。
試合は、4-9でHofstra大学の快勝。本場、アメリカのラクロスを前に慶大選手たちは圧倒されてしまった。それでも、試合後には両チームの選手たちには笑顔が。両大学入り混じっての記念撮影、ユニフォーム交換の際には国籍を超えた友情というものを感じさせられた。
今回、来日したHofstra大学の選手たちは、全選手が日本の家庭へのホームステイ。慶大選手の家にも5選手かが滞在した。「ラクロスをプレーするだけでなく、ラクロスを通じて向こう(海外)の文化を知っていくことが大事。」(櫻井さん)。異文化を知るためには、ホテルに泊まるのではなく、「ホームステイをすることが大事」(田中副将)。ホームステイをしたHofstra大学の選手、ホームステイを受け入れた慶大の選手双方に取材をしたが、彼らから聞こえてくるのは「文化を知ることの大事さ」(Hofstra大・Hamilton選手)。ラクロスを通じた、異文化交流がここに実現しているのだ。(記事・石塚大樹)
※次回は、「国際交流の重要性」についてです。
以下、Hofstra大コメント
・Tierneyヘッドコーチ
―日本に来ようと思ったきっかけ。
「去年、本当は来ようと思っていたのですが、震災の影響で、なくなってしまいました。そして今年、安全だということがしっかり分かったので、すぐにフライトのチケットを予約して来日するに至りました。」
―ラクロスを通じた国際交流について。
「JLAの佐々木理事(慶大OB)が米国ホプキンスに留学し同じチームメイトだった時から、その関係は続いているし、これからも続いていくことを信じています。」
―日本についての印象は?
「すごく大好きで、日本人の持つあらゆることに対するこだわりといったものが大好きです。」
―選手たちの反応はどうか。
「選手たちは日本が初めての経験で、皆が大好きと言っています。JLAの人たちがとても親切で、選手たちに良くしてくださっているので、感謝しています。」
―スポーツを通じた国際交流について。
「一つのスポーツを通して、こうして文化を知るということはとても良いことだと思います。受け入れる側、受け入れられる側どちらにとっても良いことだと思うので、これから続けていく必要があると思います。」
・Hamilton選手
―日本についての印象。
「はじめての経験だったのですが、全てが好きです。もう一度来たいです。そば、鉄板焼きが最高でしたね。」
―日本のラクロスについての印象。
「すごく上手くて、早いというのが印象的です。日本人選手の学ぼうとする姿勢というのが、とても良いと思いました。」
―ホームステイについて
「アメリカとはライフスタイルが全然異なり、刺激的でした。箸が上手く使えなかったので、米国に持って帰って練習しようかなと思います(笑)」
―ラクロスを通じた国際交流について
「日本にとってだけでなくて、僕たちアメリカにとってもすごく良い経験だと思います。自分たち発祥のスポーツを通して、こうした交流の場が設けられていることが素晴らしいと思います。」
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