【競走】意地を見せるも宿敵に及ばず 早慶戦

早慶両校の意地がぶつかる伝統の一戦

9月29日、秋晴れの空の下、伝統の一戦である早慶対抗陸上競技会が行われた。第88回を数える今回は慶大のホームグラウンドである日吉開催。今年も宿敵早大に敗れる結果となったが、母校の名に懸けた、早慶両校の選手たちの熱き戦いとなった。

9月29日 第88回早慶対抗陸上競技会@慶應義塾大学日吉陸上競技場

 

 

エース山縣亮太(総2)が欠場した100m(-1.7)には岩見隆裕(理2)、野村隆太(商2)が出場。早大のエース九鬼巧選手も出場したレースであったが、両選手ともスピードに乗りきれず、岩見は10”83で4位、野村は11”11で5位に終わった。

1500mに出場した福島、笹村、坂庭

400mには室伏基(理1)、内芝基樹(総1)、茅田昂(理2)が出場。先日行われた全日本インカレでは1年生ながら4×400mの1走を務めた室伏は、47”95で3位に入り48”15であった自己ベストを更新した。同じく1年生ながら全日本インカレでリレーメンバーであった内芝は4位に。「予想以上に走れて自分でもびっくりしているくらい」(内芝)という満足の走りで、48”09であった自己ベストを47”95に更新した。けがからの復帰戦となった全日本インカレでは調子の良さを見せていた茅田は、終始スピードに乗れず48”78で6位に終わった。1500mには坂庭大輝(総3)、笹村直也(法3)、福島健介(経4)が出場。早大勢に必死に食らいつくも徐々に引き離され、坂庭は3’53”57で3位、全日本インカレでは6位入賞を果たした笹村は3’58”19で4位、福島は4’03”39で6位に終わった。

110mH(-2.6)には小島弘毅(環3)、久保健二(環2)、佐藤丞(理2)が出場。風の影響もあってか、三選手とも本来の走りを見せることができず、小島は15”15で4位、久保は15”36で5位、佐藤は18”63で6位に終わった。

フィールドパートでは走高跳に刈田真人(総1)、仲村将太朗(経2)、詫摩知弘(法2)が出場。春先の六大学対抗戦から活躍を見せていた刈田は、「関東インカレの標準記録の2m3を目標としていたので、記録に関しては満足はしていない」(刈田)と話すが、2m00を跳び見事1位に輝いた。仲村は1m95を跳び1m90であった自己ベストを更新し2位。詫摩は1m90を跳び4位となった。

川島は復活の跳躍を見せた

棒高跳には川島優(環2)、杉本侑嗣(文3)、石川航平(商4)が出場。約1年振りの公式戦であり、「出せる力は出せたかな、という感じ」(川島)と語る川島は、4m80を跳び3位となった。杉本は3m80で5位となった。石川は3m60以降棄権し、3m60で6位に終わった。

走幅跳には小室慧(法1)、重村有亮(環3)、そして急遽棄権した長尾勇佑(環4)に代わり三宅泰生(経3)が出場した。小室は7m39(+1.7)を跳び、7m30であった自己ベストを更新して2位となった。重村は六回目で7m22を跳び、6m69であった自己ベストを大幅に更新して3位となった。中盤以降記録が伸びなかった三宅は6m56で6位に終わった。

フィールドパートチーフとして1年間フィールドパートを支えてきた秋本壮樹(総4)が「僕と堀内兄とでどちらが上でもいいので1位2位をとろうという気持ちで臨んだ」という円盤投には秋本、堀内隆太(環3)、堀内隆仁(環1)が出場。四年間の集大成を見せたかった秋本は三投目以降すべてファールとなり、43m35で43m30であった自己ベストは更新したものの3位に終わった。堀内(隆太)は三投目までに46m05を投げ44m17であった自己ベストを更新した後、さらに六投目に46m38を投げ、目標としていた46mを達成し全日本インカレのA標準を突破し早大のディーン元気選手には及ばなかったものの2位となった。次の目標は48mであり、「慶大のポイントゲッターとして活躍できるような選手になっていきたい」と語る堀内。今後も期待が持てる結果となった。弟の堀内(隆仁)も39m57を出し、37m97であった自己ベストを更新して4位となった。

やり投には西森大展(理4)、堀内(隆太)、吉田惇(法3)が出場。「最後だけは気持ちで投げようという思いでやってきた」という西森は六投目で66m48を叩き出し、63m55であった自己ベストを大幅に更新。引退試合を満足のいく結果で締めくくった。「自分の思うような投てきができて満足している」という堀内は64m95で3位となり、吉田は54m08で5位となった。

 

内芝は400mで自己ベストを更新した

最終種目の4×200mは1走・岩見、2走・野村、3走・塩原寿周(理2)、4走・内芝のオーダーで臨んだ。1走岩見はまずまずのスタートを切ったものの、2-3走、3-4走間でバトンミスが起きてしまい、必死の追い上げを見せるも早稲田には遠く及ばず。さらに3-4走間のバトンの受け渡しで不備があったため、失格という残念な結果に終わった。 

 

 

総得点

慶大 17点

早大 40点

 

トラック

慶大 2点

早大 25点

 

フィールド

慶大 15点

早大 15点

今年で88回を数える伝統の一戦。宿敵早稲田に今年も敗北するという結果となったが、刈田、内芝などの若い選手の台頭があり、オリンピック選手を要する早大に対しフィールドパートでは早慶同点になるなど、明るい話題も多かった。今回は欠場したが、オリンピックも経験した山縣亮太も残る新チーム。この試合で引退となる四年生の「来年こそは早稲田に勝ってほしい」という期待に1~3年生はきっと応えてくれるだろう。新チームの今後に期待したい。

 (記事・杉本理沙)

選手コメント

秋本

(早慶戦を終えて)競技自体は続けるので陸上をやめるわけではないですが、部として活動するのは最後ですし、節目の大会が終わったということで、まだ実感はないですが、4年間早かったなというのが感想です。(先日、砲丸投で目標としていた16mでの塾新記録を達成しましたが)全日本インカレで16mを投げて表彰台というのを狙っていたので、そこで達成できなくて悔しかったです。その5日後にもともと出る予定の試合があったので、そこでしっかり投げたいなという気持ちで臨みました。全日本インカレの後に他校の先生や選手から課題を言ってもらい、左手の使い方などのポイントだけを修正して臨んで投げました。(記録が出たときはどんな気持ちだったか)その試合の6投目だったんですけど、感触がすごく良くて、いったなという感じで。インカレのような大きな大会ではなく区民大会のような感じだったので、周りの雰囲気などはいつもと違うんですけど、その中でも周りの歓声などから16mいったんだなという感じはしました。(今日は円盤投での出場でした)部として早慶戦勝利に向けてやってきて、フィールドパートの中の投てき種目、やりと円盤で早稲田にいかに勝ち越すか、ディーン君にいかに勝つかというところだったので、僕と堀内兄とでどちらが上でもいいので1位2位をとろうという気持ちで臨みました。(フィールドパートは早慶同点でした)フィールド種目でできるだけ多くの差をつけて勝ち越すことが早慶戦の勝利につながると思っていて、僕はパートチーフになってから、やっぱり早慶戦勝利に向けて1年間やってきたので、15点で同点だったというのは悔しい気持ちが大きいですね。けれども慶應がとった17点のうち15点がフィールドだったということは、早稲田に一泡ふかせることができたかなと思います。(秋本選手も含め、自己ベストを更新した選手が多かった)フィールドパートでは6人が自己ベストを出しました。みんなで一丸となって早稲田に勝ちたいという気持ちでやった結果なのかなと思います。(フィールドパートチーフとしての一年間を振り返って)本当にあっという間でした。関東インカレや全日本インカレで勝つことも大事ですけど、やっぱり早慶戦で勝ちたいという一心でやってきました。勝つことはできなかったですけど、少しでもみんなが勝利に向かって一丸となって戦えたことは嬉しいですし、1年間みんなの上に立ってきて、強いフィールドパートの長としてやれたことは僕の財産になったかなと思います。(来年以降に期待したいことは)やっぱり早稲田に勝ってほしいなというのがあります。僕たちや僕たちより上の代はけっこう人数が少なかったんですけど、今の3年生の代からは人数も多くて、その中で一人一人のポテンシャルも高いので、一人一人が自己ベストを出すことでインカレだったり早慶戦で勝利できるのではないかなと。そういう若い力に期待していきたいですね。

西森

(早慶戦を終えて)自己ベストも出せて、すっきりした気分で引退することができるかなと思います。同じ投てきブロックの秋本チーフをはじめ、本当に後輩に支えられてきたなと実感できた試合でした。(自身の投てきを振り返って)やりを投げて、今まで落ちてくるタイミングでまだ落ちてこなくて、応援席の方もすごく盛り上がってくれたので、これは記録が出たんだなと分かりました。(この記録を出すまでに苦労したことは)肘のけがを3年間していて、今年の関東インカレでは膝をけがしてしまって、なかなか体が満足いく状態で試合に臨むことができなかったんですけれども、最後だけは気持ちで投げようという思いでやってきたので、それが形にできて本当に嬉しかったです。(西森選手も含め、自己ベストを更新した選手が多かった。)パートチーフの秋本が、フィールドからチームに勢いをつけるということをスローガンとしてやってきたので、それに部員一人一人が、選手だけじゃなくサポートも一丸となって、それに応えるかたちで今回はできたのかなと。ただ、チーム全体として勝ったわけではないので、後輩たちには来年こそは勝利を目指して頑張ってほしいです。

内芝

(初めての早慶戦への意気込みは)早稲田はスポーツが強くて、400mに関しても全カレで優勝していたので、挑むような気持ちで臨みました。その結果タイムもついてきたのでよかったです。(早慶戦の雰囲気は)日吉でホームだったので、応援も間近に聞けて安心して走れました。緊張というよりはリラックスしていけました。(今日の調子は)全カレをピークにその後どんどんタイムが落ちていたので不安だったんですけど、リラックスできたおかげかベストが出せてよかったです。(満足の走りができたか)予想以上に走れて自分でもびっくりしているくらいです。(今日の課題を挙げるとしたら)やっぱりラスト100mですね。300mまでは調子良く走っていたんですけど、ラストで追いつかれて練習不足だなと思ったのでそこが課題です。今後の陸上生活においても目標としていきたいです。(今後は)日本ジュニアと日本選手権リレーがあります。まずはジュニアで、本職の400mハードルでは今はタイムが出せていないのですが、400m自体の走力は上がっているのでここでいいタイムを出したいなと思っています。

刈田

(今日の試合を振り返って)部が一番重要だと位置付けている試合だったので、それなりに緊張感もあったのですが、結局早稲田の選手が一人しか出なかったので、少し拍子抜けした感じもありました。(2mという記録だったが)目標としていた高さは関東インカレの標準記録の2m3を目標としていたので、記録に関しては満足はしていないんですけど、ひとまず2mに乗せられたことに関してはよかったかなと思っています。(調子は)少し足首を痛めていたこともあって、万全ではなかったんですけど、実際に跳んでみて違和感もなかったので、悪くはなかったと思います。(今季これまでを振り返って)高校の時に比べたら安定して2m台に乗せられているんですけど、まだ自己ベストが出せていないので、それを早く出せるように、もっともっと足りない所を補って、先輩方と切磋琢磨して練習していかなければいけないなと思っています。(今の目標は)2m10というのを目標にしてるんですけど、それは慶應の塾記録でもあり、インカレの標準記録でもあるので、それに向かって頑張っていきたいです。(今季の今後について)一番大きな大会としては、10月に日本ジュニアという全国大会があるので、そこで自己ベストが出せるように頑張っていきたいです。

堀内(隆太)

(振り返って)やりは最近練習していませんでしたが、自分の思うような投てきができて満足しています。円盤は早大のディーン選手に勝ちたくて、ずっと狙っていました。僕の記録としては46mということで目標には到達できました。でもディーン選手には及ばなかったので、それは悔しくて残念に思っています。(円盤投は自己新記録となったが)今までと変わった練習をしたわけではありませんが、今まで練習で、投げの精度があまり高くなかったので、今回は高い水準で全部投げられるようなイメージの練習はしました。(ディーン選手と戦術などについてのお話しは)ディーン選手とは試合で会う度に話します。僕はやり投の初心者なのでそれについて聞いたりしました。(フィールドパート全体の善戦について)投てきはディーン選手ひとりに持っていかれてしまっている感じがありました。来年こそは円盤投で自分が彼を下し、慶大全体での勝利につなげられれば、と思っています。(今後の出場予定は)今日割と思うようにできたので、今後の出場予定は未定です。今考えています。これでシーズンを終えてもいいかな、とも思っています。(秋・冬に強化したい点)自分は筋力がまだ足りないので、冬季は主にウェイトトレーニングをして、また来年の春にいい投げができるように頑張ります。(来年の抱負)今までは円盤投全日本インカレのA標準(46m)を目標に頑張ってきましたが、次は日本選手権の48mに照準を合わせていこうと思っています。慶大の塾記録もちょうど48mなので、塾記録更新と日本選手権出場を目指していきたいです。48m投げられるようになったら、早慶戦でも六大学戦でも活躍できると思うので、慶大のポイントゲッターとして活躍できるような選手になっていきたいと思います。

川島

(久々の試合であったが)3月に左足首を二か所骨折してしまって、それからずっと練習も禁止で、六か月たって、この早慶戦で復帰できればいいなという予定で頑張ってきました。(どのようなリハビリを行っていたか)左足の靭帯がまず切れていて、それはもうくっつかないので、足首がゆるゆるな状態なんですよ。それをそのまま普通にやると走りとかが全然できないので、足首周りの筋肉をチューブとかで、地味なトレーニングで補っていってという感じでした。(早慶戦に向けての意気込みはどうであったか)久しぶりの全助走で、全力で跳躍するということで、正直自己ベストは5m20なのでそれは狙えないというのは実感としてあったので、持てる力を出せば4m80とか5mとかそこらへん狙えるかな、ぐらいのイメージだったので、出せる力を出せたかなという感じですね。(体が戻ってきたという感覚はあるか)そうですね。技術的な部分はだいぶ今回の試合で戻った感じがあるので、あとはけがをしてしまった左足の筋肉の弱った部分というのをなくしていって、助走スピードとか、そういう練習もこれから積んでいけるので、それで治していけばもっと自己ベスト以上に跳べると思います。(今後に向けて)今後は、試合は11月ぐらいに一つ狙いたい試合があるので、そこで5mくらいは跳んで、来年の関東インカレのA標準をまずは突破して、来年の春には5m30や5m40をコンスタントに跳べるような選手になって、ユニバーシアードという大学生の世界大会があるので、それに向けて頑張っていきたいと思います。

 

 

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