【競走】箱根駅伝予選会直前インタビュー① 齋藤大樹×福島健介

今年もこの季節がやってきた。毎年数々の感動のドラマを生む箱根駅伝(東京箱根間大学駅伝競走)。89回を数える今年、その予選会が10月20日(土)に行われる。例年より一回多く合宿に行き、OBの方をコーチとして招待して練習メニューの指導を受け、力をつけてきた選手たち。予選会を通過できなかったチームのエースが集まる関東学連選抜の制度が変わり、慶應のユニフォームを箱根駅伝の大舞台で見ることのできる可能性が高まったが、現在のコンディションはどうなのだろうか。競走部長距離パートの齋藤大樹パートチーフ(総4)、選手のサポートをしながら自らも選手として走る福島健介選手(経4)にお話を伺った。

 

齋藤パートチーフ(左)と福島選手(右)

長距離パートチーフの齋藤選手(左)と駅伝主務の福島選手(右)

 

――昨年の箱根駅伝予選会を振り返って

 

齋藤 昨年の予選会は、合宿もうまくこなせていて9月の調整期間もしっかり調整できていたので、チームとしてはいい記録を出せるのかなと思ったのですが、いざ本番になったらなかなか20㎞のレースに対応しきれていない選手が多く、自分も含めてそういった面で本来の走りができなかったという感じがします。また天候も大雨だったということもあって、選手たちのメンタル面でも弱い部分が出てしまったかなという気がしました。

 

福島 選手としての結果は今齋藤が言ったような感じだったので、僕の立場として駅伝主務という仕事から去年の予選会を振り返った時に、少しサポート体制でバタバタしてしまった場面が多かったんですね。というのも当日すごい大雨で、予想はできたはずなのですが、サポートする側がそこまで雨のことを重要に考えていなかったというか、晴れのケースのサポートの形しか考えていなかったんですね。実際雨になって、雨の日にどうやって動くのかということがあまりミーティングで話し合われていなかったので、そういった面で選手に少し精神的に負担をかけてしまった部分があったので、今年僕は仕切る立場になるということが分かっていたので、去年の反省をして今年はマネージャーとトレーナーと何回もミーティングを重ねていて、晴れの場合、雨の場合、いろいろなケースに対応できるように今はサポート体制を強化しているので、そういった反省を今年は生かしていきたいなと思っています。

 

――今年特に力を入れた練習は

 

齋藤 昨年の反省にもあったように20㎞に対応しきれない選手が多かったので、いかに20㎞のレースペースというものに対応しきれるかを練習するメニューというものを合宿中多めにとりました。ということで例年よりは練習の強度が非常に高くなり、当初は部員たちの中からもできるかどうか心配だという声もあったのですが、いざやってみるとどの選手もうまくこなすことができて、そういった点でも自信につながり、なおかつ20㎞に対応しきれる走りも得ることができたかなという感じがします。

 

――具体的にどのような練習を行ったか

 

齋藤パートチーフには学連選抜入りの期待がかかる

齋藤パートチーフには学連選抜入りの期待がかかる

齋藤 例年だと、長い距離を集団でそこまで速くないペースで走っていくっていうものをやって距離に対する苦手意識を減らすというものだったのですが、いざレースのペースになるとなかなか対応しきれないことがあったので、例えば、距離は昨年よりは短いもののペースを昨年より10秒か20秒ほど速くして一定の時間20㎞か25㎞走る練習や、20㎞の練習では最初の10㎞を集団走でそこまで速くないペースでいって残り10㎞を各自の全力に近いペースで走るという練習をすることによって、20㎞という距離に対して、なおかつペースに対しても苦手意識を克服できたかなという感じがします。

 

――メニューは誰が決めているのか

 

齋藤 今年の7月からOBの方が考えてくださることになって、コーチという位置づけになってメニューを考えてくださりました。

 

――今年は去年より一回多く合宿に行っているが、その狙いは

 

齋藤 昨年までは合宿は3回だったのですが、合宿が終わるのが9月の初めごろで9月の2週目に全日本インカレがあるのですが、それまでの間が中だるみになりがちかなという感じがありまして。というのも涼しい合宿地から暑い関東に帰ってきてすぐに練習できるような体調になるわけでもなく、そうなると例年だと単にジョギングだけという練習、そして全日本インカレの応援等に向かっていってそこで休むということだったのですが、それだと少し休みが増えすぎかなということもありまして、3回目の合宿と全日本インカレの間にもう一回合宿を置くことによって中だるみをなくして、予選会に向けての最後の調整、仕上げ的な合宿のメニューをやって、全日本インカレの期間中は疲れを抜いて練習を少し軽めにするといった目的のために4回合宿をやりました。

 

――サポート面の負担も大きかったのでは

 

福島 4回目の場所は河口湖に行ったんですね。河口湖は僕たちが1年生の時に一度行っただけで、ここ数年は行っていなかったんですね。ということで宿のことですとか、当時サポートしてくれていたマネージャーの方々はもう卒業されていたので、なかなか土地勘とか、どういうサポートであったり練習であったりというのができるのか、ということを覚えている人が少なかったということが大変だった一番の要因だったのかなと。あとは久しぶりに行ったので、集団走をするときの距離のポイントを道路に書くのですが、それが三年間の月日のせいで消えてしまっていたり他の大学とかぶってしまっていたりして、うちの印がどこかということが分からなくなってしまっていて、僕は少ししか手伝っていないのですが、マネージャーの子たちが測ってくれて正確な距離表示を作ってくれたので、僕たちも走りやすかったです。

 

――合宿に行くことでチーム内の雰囲気にはどのような変化が

 

齋藤 当初は、コーチのメニューが例年よりも強度が高いということがありまして、僕も含めて本当にできるのかという不安の声もあったのですが、一次二次の長野の菅平での合宿はクロスカントリーコースを使った足づくりなのですが、そこでうまく練習をこなすことができたということで自信につながり、北海道の紋別合宿、河口湖での合宿でもメニューを消化していこうといったように、長距離の部員が当初とは違ってしっかりとした目標に向かって前向きに練習に取り組むような姿勢に変わっていったかなと思います。

 

福島 今年は合宿ごとに毎回ミーティングをしていて、いろいろと後輩たちから厳しい意見とか、時には意見がぶつかることもあったのですが、そういったことを重ねることによって、一回目のミーティングよりは徐々にいい方向にというか、ぶつかった分だけ結束も強まったのかなと思います。

 

――予選会まであと4日だが、今の状態は

 

齋藤 チームの状態としましては、合宿はうまくこなせたのですが、やはりその疲れが出てきてしまったのか、9月中旬ごろからけが人や体調不良の選手が出てきてしまい不安なところもあったのですが、現在は予選会まで一週間を切ったところで、けが人も回復し体調不良者も調子を取り戻してくれて、合宿で培った練習とかそういったものを自信にして走ってくれれば、目標であります予選会塾記録の10時間46分54秒ははっきりしたものになってくるかなと思います。

 

――今年のチームの特徴は

 

ラストイヤーに塾記録更新を目指す

ラストイヤーに塾記録更新を目指す

齋藤 自分が考える今年のチームの要は、中堅の選手がいかに頑張ってくれるかということだと思います。他のチームは上位の選手がしっかりと走ってそれになんとか食らいついていくという感じだと思うのですが、今年のこのチームの特徴としては4、5、6番手の選手が今非常に調子がよく、うまくいけば上位の選手にも食い込んでいけるような状況になっています。目標である塾記録更新のためにも、全員がしっかり走るのはもちろんですが、今年は中堅の選手がしっかりと本来の力、本来の力以上の力を出してくれればいいレースが展開できるのではないかと思います。

 

福島 今年はエントリー選手が3、4年生が多いと思うんですね。僕たちは1年生の時は1年生が全員エントリーしたということで、予選会が終わった後も監督のほうから1年生に向けて、君たちが4年生になるころはきっと強くなってるから、みたいな言葉をかけてもらったんですね。ちょうど4年間が経って僕たちが一番上の学年になって、一個下の3年生も大人数入ってくれて力もみんなついていて、3年生4年生がエントリー14人のうち11人なので、そういった意味では今年は勝負の年というか一番狙える年なのかなと思っています。

 

――自身の走りの特徴は

 

齋藤 自分はスピードランナーだと自覚しているので、うまくレース運びができて、最初の5kmもスピードに乗ってスピードを維持することができれば、本番のレースでもいい記録が狙えるのではないかと思います。

 

福島 僕は正直あまり立川に相性が良くなくて、今まで立川のレースであまりいい思い出がないのですが、今年は公式戦でうまく走れている感じがすごくあるので、今年だけ本番に強い…だといいです(笑)。

 

――チームの目標順位は

 

福島 去年の20位が44分なので、20位以内ですね。

 

齋藤 10番台ですね。

 

福島 もし塾記録が達成できたらそれくらいまで食い込めると思います。

 

――個人の設定タイム、目標順位は

 

齋藤 61分40秒で100位以内というのが目標です。例年100位以内というのを目標にしているのですがなかなか思った通りの走りができなくて、厳しいのではないかと思ったのですが、コーチの方が背中を押してくれて、自信もっていけということで、100位以内というのをしっかり目標にしていきたいなと思います。でもやはり一番の目標はチームで塾記録を更新することなので、それを目指して自分が出せる力をしっかりと出せば、おのずと個人の成績がついてくるのではないかと考えています。

 

福島 僕はこの一ヶ月で調子の変動があったので、いろいろと考えるところはあるのですが、チーム内の順位で5番、64分台で走りたいなと思います。周りがどう思うかは分からないのですが、それぐらいの意気込みで。

 

――今年から関東学連選抜の制度が変わり、個人で出場できる可能性が高まったが

 

齋藤 チャンスは非常に広がったと思いますが、さっきも言った通り、個人の順位ばかり優先して考えてしまうとチームとしてあまり良くないなと私は考えているので、各自が自分の力を出し切ってくれれば、その結果慶應大学からも一人学連選抜に選ばれてくれると信じています。

 

福島 正直うちのチームでも狙っている人は多いと思うので、そういった面でチームの上位の選手たちがある意味ライバル心というか、競い合って意識してくれることは相乗効果になってくれると思うので、チーム上位層のモチベーションになっているのかなと思いますね。あとはやはり齋藤が言ったみたいに、チームのことは第一ですけど、誰か一人が選ばれることによって慶應の長距離ということを今の高校生に知ってもらえたら、この先のことを考えるとすごくいい機会だと思うので、ぜひ誰か一人選ばれてアピールしてもらいたいなと思います。

 

――予選会への意気込み

 

齋藤 自分自身は4年目で最後の箱根駅伝予選会なので、本当に悔いのない、自分らしい走りをしたいと思っています。チームとしても福島が言った通り、今年は3、4年が主体のチームなので、集大成のチームであると考えているので、苦しい約1時間のレースになると思いますが、一人ひとりが慶應の誇りを持ってレースに挑んでいって、目標である塾記録の更新をしたいと思います。

 

福島 齋藤に全部言われてしまった感じはあるのですが(笑)。僕はさっき言ったみたいに、立川でいい思い出がないので、4年目、最後ということで、立川にいい思い出を作って、立川を去りたいと思います(笑)。あとはサポートの面でも、当日僕は選手なのでサポートのほうはマネージャーに全部任せているので、指示出しとかもあまりできないのですが、事前準備は今やっていて、タイムとか順位とかそういった面で走った結果がいいというのももちろん目標なのですが、サポートとして、4年間で一番いいサポートだったよって選手に言ってもらえるように、残り4日間マネージャーとミーティングなどもするので、しっかりしていきたいなと思っています。

 

――ありがとうございました!

 

第89回東京箱根間大学駅伝競走予選会(箱根駅伝予選会)は、10月20日(土)9時30分~陸上自衛隊立川駐屯地‐立川市街地‐国営昭和記念公園において開催されます。

 

(取材・杉本 理沙)

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